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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
221/747

第102話 闇の中の戦い

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

アドレスは、以下になります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』のあらすじは、第十回戦第二試合、クローマVSセルティーの試合。クローマの展開した「闇夜の世界」の中に閉じ込められるのだった。

 中央の舞台。

 瑠璃チームのいる側。

 今、四角いリングは、クローマの「闇夜の世界」で外から見えない状態になっていた。

 それは、審判であるファーランスも同様である。

 それを、瑠璃チームのメンバーは、心配になりながら見つめるのであった。

 「闇夜の世界」は、ドーム状になっていた。

 「ほ~お。なかなかやるの~う。対戦相手も―…。」

と、魔術師ローは言う。

 ローとしては、クローマの展開した「闇夜の世界」の中を見てみたいという気持ちではあったが、その中を見ることができるわけではない。いくら、不可能なことができると噂されるローであったとしても、できないことは存在する。できるということになることが可能になるのは、運でしかないのだ。そこに、努力すればできるようになるとかいうのは、一切存在しない。

 相手の技で覆われた場所の中が覗けるというわけではないということだ。

 (透視の能力は手に入れられていない。得るためには―…。心が痛むの~う。また、()()を見ないといけないのだから―…。確実に得られるとは限らないが―…。)

と、ローは心の中で言う。

 ローは、一時的に、心の中が暗くなるのだった。悲しみの色である青と、そして、それとは違うが何も見えない黒のように―…。

 「ローさん、戦局はどのように展開すると思われますか。」

と、ギーランが、ローに向かって質問してくる。

 ギーランとしては、戦闘経験がこの世界で一番多いのではないかと思われるローに尋ねる。実際に、ローを人と区分すれば、戦闘経験の数は、この世界において一番であるかもしれない。可能性としては、かなり高いと言っていい。間違いなく―…。

 「そうじゃの~う。一概には言えないが、クローマ(対戦相手)の方が実力としては、上じゃな。あやつは、戦闘経験もあるが、戦局を正確に読むことにたけているかもしれない。こうなってくるとの~う、セルティーが不利なのは事実じゃろう。それでも、セルティーも何か重要なことをしてくるかもしれない。強い者がいつまでも勝ち続けるようなことはありえないのじゃからの~う。」

と、ローは言う。

 ローは、クローマとセルティーを比較すれば、天成獣の宿っている武器での戦いは、確実にクローマの方が上であろう。クローマの方が、戦闘経験と応用性が強いし、クローマの所有している武器に宿っている天成獣の属性は闇であることがわかる。一方で、セルティーの武器に宿っている天成獣の属性は幻である。実力が同じ同士なら、幻の方が優位になる確率は高いが、クローマは戦闘経験と応用性でセルティーを上回っており、かつ、天成獣の宿っている武器の扱い方はかなりのものであると推測することができる。

 セルティーは、この第十回戦第二試合、普通に試合をおこなっていけば、ほとんど確率でセルティーはクローマに敗れるだろう。

 だけど、クローマは、アンバイドよりも実力は劣っている。つまり、圧倒的な差ということにはならないのだ。だから、セルティーがクローマを倒せる確率は残っていることになる。

 ローは、続けて言う。

 「じゃから、セルティーが対戦相手の弱点にしっかりと気づくことが勝利の鍵となる。いや、さらに、選択も重要になるかの~う。」

と。

 ギーランは、ローの言っていることを理解する。ローの言っていることは、ギーランにとって、そこまで難しいことではなかった。

 (ローさんの言う通りです。この回戦、ランシュ戦は必ず勝利しないといけない。アンバイドが出たということは、確実にアンバイド以外の相手にこちらが勝利しないといけない可能性があり、そうしないと、ランシュ戦で負ければ、敗北してしまう。)

と、ギーランは、心の中で言うのだった。

 ギーランとしては、アンバイド以外に、ランシュに勝てる可能性を考えると、一番なのが、礼奈と思っているが、自分の娘である瑠璃もその可能性があるのではないかと考えていた。直感的なものにすぎないが―…。

 (まあ、これは、ランシュ戦で負けるということを想定すればの話ですが―…。ランシュを破る可能性が高いのは、アンバイドを除くと―…、一番じゃないのに、なぜ瑠璃が勝てるの思うのだろうか。こういう直感というやつが、後々、窮地を救ってくれることがあるから油断できないのだが―…。)

と、ギーランは、心の中で、続けて言うのであった。

 一方で、アンバイドは、

 (クローマ(セルティー王女の相手)とセルティー王女、どっちが強いと言われれば、対戦相手というべきだろう。明らかではないほどであるが、実力はあっちの方が上だ。セルティー王女の勝つ確率はかなり低いと見積もるべきか。そうなると、瑠璃は余計に敗北できなくなるということだな。)

と、心の中で考えるのだった。


 【第102話 闇の中の戦い】


 四角いリング。

 クローマの「闇夜の世界」の中。

 「どお、慣れたか。「闇夜の世界」の中は―…。」

と、クローマが言う。

 クローマとしては、「闇夜の世界」にセルティーが慣れてくれない方がいいが、夜目があるのならば、慣れてくるのも時間の問題でしかない、と思っていた。

 それでも構わない。重要なのは、いかにして、相手を上回るかであり、勝利することである。

 今は、それが求められているのだから―…。

 一方で、セルティーは、クローマのさっき言った言葉に反応して、

 「ええ、慣れてきたところです。気配と音が重要って言っていたのに、ほとんど使えない視覚もある程度使うことができる。これなら、ある程度の不利は補える。」

と、言う。

 セルティーとしては、気配と音で戦うのはかなり難しいことだ。戦えないというわけではないが―…、情報が少なくて、相手の位置を正確に把握することはできない。気配や音では―…。

 だけど、ここに視覚というものが加わると、一気に相手の位置を正確に把握しやすくなるのだ。人が視覚に頼っているがためなのかもしれない。見えたものというのは、はっきりと映像という感じで記憶されるので、強く、相手の位置を把握する有力な証拠となるわけだ。

 ゆえに、視覚がある程度確保することができる可能性が確実に近いほどになったセルティーは、心の中で喜ぶのであった。相手の位置を知ることができる有力な方法が完全にダメというわけでなくて―…。

 セルティーは、目の前にいるクローマの姿を認識する。視覚として―…。

 クローマは、セルティーに向かって移動する。この時、自らの手から闇の球体を取り出し、剣の形にしていく。形は、長剣ではなく、簡素で黒一色のものである。セルティーからすれば、「闇夜の世界」と同じ色であることから、目で見ることはできない。

 セルティーは、クローマが移動するとの同時に、クローマの方に向かって移動を開始する。

 そう、クローマとセルティー、両者とも自らの対戦相手に攻撃をしようとしているのだ。

 セルティーは、移動中に自らの武器である大剣を構える。すぐにでも、攻撃に移ることができるようにして―…。セルティーの大剣も灰色であることから、クローマに見えにくいものになっていた。

 双方ともに攻撃を当てることができる範囲の中に入ると、それもクローマとセルティーの両方ともが同時にそうなるのであるが、すぐに攻撃を開始するのだった。

 クローマもすでに、移動中に構えていた剣を上下に振るのであった。セルティーにおいても同様だった。

 キーン。

 金属音のような音がする。

 片方は、金属音と言っても過言ではない。そう、セルティーの持っている自らの武器である大剣がクローマの件の形をした闇に衝突した時の音は―…。

 クローマの方も、闇を剣の形にして、闇をより硬くさせていたのだ。それは、セルティーを自らの攻撃で斬るという方法でダメージを与えるために―…。

 そして、クローマとセルティーは、己の武器を相手にぶつけ、拮抗させるのである。

 「クッ!! やるねぇ―…。」

と、クローマは、セルティーに向かって言う。

 クローマとしては、セルティーに攻撃が当たるのではないかと思っていた。つまり、一撃をセルティーに加えているということだ。

 だけど、現実には、そのようなことは起こらずに、セルティーに防がれるということになっていた。少しだけ、クローマは、心の中で悔しそうにするのだった。

 「なかなかに剣の腕前があるみたいですね。」

と、セルティーの方は、苦々しそうに言うのだった。

 セルティーとしては、剣術に関しては、日ごろから鍛えているし、自らの武器が大剣である以上、ちゃんと剣術を鍛えることは、自らの戦いにとって重要であった。剣術の差が勝負の差に直結することがあるかもしれないからだ。

 一方で、セルティーは、クローマの剣の腕前に鍛錬しているのではないかということを感じた。

 実際、クローマは、ランシュの直属の重臣であり、かつ、今はリースの騎士に所属していなくても、ランシュを守る以上は、最低限の武器の扱い方に関しては、鍛えているつもりだ。特に、剣に関しては、中距離と短距離戦の双方で重要となってくるので、日ごろからしっかりと鍛えていたというわけだ。ここ数年のことであるし、ランシュにも剣の扱い方に関しては、教えてもらってもいた。

 さらに、クローマは、闇を造形したりするので、武器の形にさせることもある。ゆえに、その時に一つの武器に達人が相手だった場合のことを考えて、ちゃんとしておく必要があった。武器の扱い方の差が勝敗を決する可能性を考慮して―…。

 そして、クローマとセルティーは、同時に距離を取るのだった。自らの体を後ろへとジャンプさせることによって―…。

 双方ともにちゃんと四角いリングの上に着地することに成功する。

 「やるじゃないか。第四回戦の時よりかは少しだけ成長しているということか、セルティー王女。」

と、クローマは、セルティーに向かって言う。

 クローマは、ネリワッセという名で、第四回戦でセルティーと戦った時の実力と、今、第十回戦第二試合で戦っているセルティーの実力を比較して、強くなっていることを肌で感じるのだった。

 「それはどうもありがとうございます。」

と、セルティーは、クローマのさっきの言葉に感謝するのだった。

 それでも、セルティーにはわかっていた。クローマが、セルティーより強いということを―…。その気持ちが、第四回戦の時と同様にあるということを―…。

 「じゃあ、これでも喰らいな。」

と、クローマが言うと、剣の形をした俺の闇の一部を球体に変化させる。

 そして、球体になった闇は、ぐるぐると回転をし始め、拡大し始めるのであった。

 「拡大せよ。」

と、クローマは続けて言う。

 セルティーは、察した。第四回戦のクローマが名を偽って出場した時に、セルティーにトドメをさした攻撃をしてくるのを―…。

 「!!!」

と、セルティーは、驚きながらも、防御の態勢をとることを放棄して、避けることにしたのだ。

 「無駄だがな!! そのような方法では、俺のこの攻撃を避けることも防御することもできない。」

と、クローマは言う。

 クローマのこの闇を拡大させる攻撃は、クローマ以外の人物にある程度の範囲と距離の中で、大ダメージを与えるものだ。

 こうして、四角いリングの全面に、クローマの闇の拡大させる攻撃が広がるのであった。セルティーがかわすことができる範囲も、場所も与えずに―…。

 その衝撃音は、四角いリングの外においてもわかるほどだった。


 『!!!』

と、四角いリングの外にいた者は、驚くのだった。

 それは、中央の舞台、観客席を問わず。

 中央の舞台。

 瑠璃チームのいる側。

 「これは!!!」

と、瑠璃は驚くのであった。

 瑠璃としては、「闇夜の世界」で、セルティーがどうなっているのか、負けてしまいそうなのか、それとも、優位に試合を進めることができているのかがわからないので、不安になっているのだった。「闇夜の世界」の中が見えないということにより―…。

 「あの中で一体!! 何が起こっているの?」

と、クローナは、心配そうな顔をするのだった。

 さっきの衝撃音というのも、クローナを不安にさせるものであった。瑠璃と同様にクローナもセルティーのことを心配しているのだ。クローナは、仲は良い方なので、心配してしまうのだ。友達と言っても過言ではないほどに―…。

 一方、イルーナは、

 (大丈夫かな。セルティー王女の相手は、かなりの強さを持っているし、セルティー王女よりも実力は上だから―…。まあ、第十回戦第一(前の)試合とは、異なり圧倒的な差というわけではないだろうし―…。時と場合によっては、セルティー王女の勝利はあるだろうし―…。)

と、心の中で思うのだった。

 イルーナは、セルティーとクローマの実力というものを比較を何度している、心の中で思ったことは、すでに何度も繰り返していると言ってもいいのではないだろうか。

 それほどに、わかりきっていることだ。

 ギーランは、

 (中で何が起こっているのかがわかればいいのですが―…。そうすれば、戦局は何となくわかるのですが―…。)

と、心の中で思うのだった。


 四角いリング。

 「闇夜の世界」の中―…。

 クローマは、動く。

 さっきの闇を拡大させる攻撃をセルティーは受けたが、防御されて、あまり効果はなかったようだ。

 それに気づいたクローマは、すぐに、セルティーが思われる位置に気づいて、動きを止め、

 「闇の手。」

と、言う。

 この攻撃は、セルティーのいる位置の真下から、闇でできた腕が地面をすり抜けてくるように出現させるのだった。こうすれば、確実にセルティーにダメージを与えることができるからだ。

 それでも、クローマは、この「闇の手」で倒せるとは思っていなかった。

 そして、すぐに、クローマは、「闇の手」を解除し、手の形をした闇を分散させる。

 「闇の手」があった場所には、煙のようなものが発生していた。薄っすらとしか見えないので、どれほどの規模かは、さすがのクローマにもわからなかった。でも、セルティーがどのような行動をとるのかぐらいは予測することができる。

 そう、クローマは、

 (確実に、セルティー王女は、俺の真後ろに現れる。)

と、心の中で言う。

 そうすると、

 「残念、こっちだ。」

と、クローマの後ろから、セルティーの声がするのだった。

 セルティーは、闇を拡大させるという攻撃を受けたが、何とか守ることもできたし、ダメージは大きくはなかった。そして、同時に、クローマが攻撃してくるのを何となく予想し、クローマの背後に回るのだった。クローマにバレないように、幻を見せて―…。

 ただし、大きな幻の技をセルティーがかけなかったのは、まだ、現時点で、そこまでしても意味がないものであると思っているからだ。最後の手段を使うために、使用を減らしておく必要があるのだ。

 「それぐらい、予想はできていたよ。」

と、クローマは言うと、すでに、クローマの右手には闇の球体があって、回転をしているのだった。

 クローマは、「闇の手」を解除した後、それらを分散して、集め、闇の球体をすでに形成していたのだ。

 そして、闇を再度、拡大させるのだった。

 「!!!」

と、驚き、

 (また!!!)

と、心の中で言うのであった。

 そして、セルティーは、クローマの闇の拡大させる攻撃に巻き込まれるのだった。それでも、セルティーに策がないわけではなかった。


 【第102話 Fin】


次回、闇夜は終わり、次の闇が襲う!!!

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していきたいと思います。


次回の投稿は、2021年9月4日頃を予定しています。

では―…。

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