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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第14話 凍らせること

前回までは、ファンシの火の攻撃に苦戦する礼奈。勝利することができるのか。

同日にもう1話更新することになるとは思いませんでした。第13話の後半は投稿する日の前日に仕上がったのですが…。その翌日で第14話が出来ました。う~ん、とにかく頑張っていきます。不定期更新ですが…。

 ファンシと礼奈は、対峙していた。

 ファンシは、礼奈の発言によって舐められたことに対して怒りを感じていた。

 礼奈は、ファンシとの戦いに対して自らの勝利を確信していた。

 (こんなものは爆風を利用して…、いや、氷の能力(チカラ)を使って俺の炎を消させていたのか…。)

と、ファンシは思いながら、

 「しかし、火は氷を溶かすことは当たり前だ。礼奈(お前)の氷の盾を俺の炎の攻撃をぶつけて、水にして倒そうとしているのか? もし、そうなら、火がいくら水に弱いとはいっても、温度を最大限に上げれば…どうってことない。」

と、言った。言いながら、ファンシが自らの武器である槍の先端の目に見える方に火を強くさせた。

 ボオウと、少し油断しそうな感じの音も聞こえるが、近づけば焼き尽くされ、人の命をも簡単に奪えるほどであった。

 そして、礼奈はファンシへと走りながら向かっていった。ファンシに氷の攻撃を仕掛けるために―。

 「!!!」

と、ファンシは驚くが、

 「氷が火に弱いことを知ってても攻めてくるか。おバカさんだねぇ~、これでも喰らえ―――――。」

と、冷静に言う。

 ファンシは、さっきの礼奈の勝利を確信したセリフを思い出しながら、それはあくまでもファンシ自身を動揺させるためのハッタリであったのだという結論にいたる。

 礼奈がファンシに向かって攻めてきているのは、ただの無謀な攻撃でしかないとファンシは考えた。


 礼奈がファンシの近くへと走ってきて、足を前に出して、氷で覆われた礼奈の武器である槍を構えた。

 礼奈は自らの槍をファンシに向かって突きをした。

 それは、真っすぐに一直線にファンシへ目掛けてくるのである。ファンシの腹部を突かんがために―。

 それに気づいたファンシは、驚きながらも、ファンシは自らの武器である槍を前に出し対応しようとした。

 そして、礼奈の槍は、ファンシの槍にぶつかった。

 そのとき、ドゥオンという衝撃音がなった。

 「成長(グロース)。」

と、礼奈は言う。

 そして、ファンシの武器と礼奈の武器が接した所を中心に大爆発が起こる。その音は、襲撃者や瑠璃、李章、アンバイドにも聞こえるほどだった。大きな音として―…。


 【第14話 凍らせること】


 礼奈の槍での攻撃と、ファンシの武器での対応による激突で、爆発が発生していた。そして、その周囲には煙のようなものが漂っていた。

 

 「!!! いきなり爆発とはなんだぁ~。それにこんなに大きいものとは…。」

と、アンバイドが礼奈の武器とファンシの武器に対する爆発にこんな感想を漏らす。


 (いったいどうなってるの……礼奈、大丈夫かな~。)

と、瑠璃は不安そうに礼奈の無事を信じることしかできないと理解していた。


 「っ!!! これは―………。」

と、ナンゼルは驚きの表情であった。このような爆発は、ファンシが今まで戦ってきたなかで一度もなかったからだ。それは、ナンゼルがファンシという人物の戦いを見たなかで…という範囲の中ではあるが…。

 ゆえに、ファンシの方がやられるのではないかと考えを抱きながら、

 (早くしないとな。)

と、ナンゼルは思った。そして、自身の武器である大剣を見て、自身の天成獣の力を使えるようにしようとしていた。


 (確か・・・あそこは………ファンシがいたところ。大丈夫か~、あいつは…。)

と、心配そうにイドラは思った。

 それに、ファンシが倒されたら、礼奈が自分のところへ回ってきて、瑠璃と礼奈が共闘されるという2対1になることを心の中で一部だけれども、イドラの頭の中を横切った。イドラにとって、瑠璃と礼奈の共闘となることはイドラ自身にとって不利なことでしかないと考えた。ゆえに、ファンシが無事であることを心の底から祈っていた。行動に示すことはなかったが…。


 シュウウウウウウウウウ………と音がなる。

 そこは、礼奈とファンシが戦っていた場所である。

 その煙のような場所のなかで、

 (フン!! 俺はこんな爆発でやられるわけがない。)

と、ファンシは心の中で言う。

 (たとえ、氷を俺の炎の攻撃で溶かして、そこからできる水によって俺の炎を消して、俺の戦意を喪失させて勝とうなどとしたとしても無駄だ。高温の火と、大量の氷が衝突すれば、爆発が起こる。そうすれば、吹っ飛ばされるのは武器の衝突の近くにいるほうだ。)

と、ファンシはなぜ、礼奈の武器と自身の武器の衝突によって爆発が起きたのかを心の中で解説し、礼奈の考えを自身なりに推察もしていた。

 (ふっ、後は衝突と同時に爆発場所から武器とともに素早く離れればいい。それに、火を消してな。)

と、ファンシは心の中で呟いた。

 そう、ファンシは、礼奈の武器と自身の武器が衝突したとき、火を衝突場所に残して、武器と自身は素早くその位置から離れたのである。

 (だが、爆風がこちらが大量にくるとはな…。これだけは誤算だったが…、俺自身が生きているから良しとしよう。)

と、ファンシは自らが生き残ったことに対する自身の結論にいたる。

 ファンシは、礼奈のいる方向と思われる方面を見ながら、

 (俺の勝ちだ!! 礼奈(お前)は負けたのだよ…、じゃあ、他の所に行くとするか…。)

と、ファンシは、礼奈との戦いに勝利を感じた。だから、まだ戦っている他の仲間の所へ行こうとした。

 「!!!」

と、ファンシは驚く。

 ファンシは気づく。煙のようなもの、いや、霧の流れが変わっていたのである。

 タン、と足音がした。

 ファンシは自ら見て左側に気配を感じた。ファンシは顔を左に向ける。

 「何!!!」

と、ファンシは声をあげる。

 いたのだ。歩き過ぎていくような雰囲気で礼奈が―…。

 「あなたの…負け。」

と、礼奈はファンシにしか聞こえないような声で言う。

 ファンシは、このような礼奈の登場に驚きしかなかった。それもそのはずだ。ファンシは自らの勝利を確信していた。それなのに、なぜ、いる。どうしているのだよ。お前は倒されたはずだ、とファンシは思ってしまっていたからだ。

 礼奈がどうしてファンシの左側から歩き去るようにしているのかを確かめるために顔を前に向ける。すでに、煙のようなものは晴れていた。

 そこにはあった。氷の盾が。今まで礼奈が展開した氷の盾よりも大きい氷の盾が―。

 ファンシは唖然とした。

 (どうしてあんな大きな氷の盾を―…。)

と、ファンシは考える。礼奈がどうしてこんなに大きな氷の盾をだしているのか。どうしてあの爆発の近くにいて生き残ることができたのかを…。

 「!!!」

と、ファンシは何か冷たい感触を感じた。

 ファンシは顔を下に向けた。ファンシ自身の体の下半身全部が凍らされていたのだ。

 「凍れ。」

と、礼奈が言うと、ファンシの全身は凍っていった。自ら凍らされていく中でファンシは自らが倒された理由を考えることしかできなかった。正解に至ることなく―…。

 「あと、これで残りは四人。」

と、礼奈は襲撃者の残りの数を確認するかのように言った。


 ここでなぜ礼奈があの爆発を防いだのかについて補足する。礼奈はあの爆発の前に「成長(グロース)」といい、展開した氷の盾を最大限に成長させたのである。ファンシが見た氷の盾がまさにそうである。その氷の盾には、いくつか爆発のよる痕が残っていた。それは、爆発によって溶けた分の氷である。この溶けた分の氷が霧状となって周囲を覆っていたのである。

 そして、礼奈の狙いはファンシが指摘したような氷を溶かして水で攻めるということではなく、ファンシの炎と礼奈自身の氷を衝突させたことによる爆発を氷の盾で防ぎ、そこから発生する霧をファンシの体の纏わせ、それを青の水晶の能力で成長させて、ファンシを凍らせたのである。

 つまり、最初から礼奈はファンシをどう凍らせるかをひたすら狙っていたのである。

 以上で、捕捉を終わることにする。


 さて、話を戻すとしよう。

 鎖状をした武器が相手に目掛けて進んでいく。

 その攻撃を避けるのは李章。

 (あの鎖状の武器は二回の連続攻撃ができるみたいです。そこにつける隙があるかもしれません。)

と、李章は思う。フォースという相手を倒すために必要なことを―。

 「喰らえ――――――――――――――――――。」

と、フォースは叫ぶ。そして、鎖状の武器で攻撃をしてくる。二回の連続攻撃の二回目を―。

 鎖状の武器の先端に取り付けられた剣の先端の尖った部分のようなものが李章へ向かっていく。

 (ここでもきますか。これが厄介です。隙をついていくのが難しい…。)

と、李章は思う。このフォースの武器による攻撃が一回が終わったとしてもすぐに二回目がくるということが―。

 「いけえええええええ―――――――。」

と、フォースはさらに叫ぶ。自らの武器の先端が李章へかすめようとしていたからだ。

 しかし、あと数センチほど距離が足りなかった。

 李章は何とかフォースの攻撃をかわすことに成功したのである。

 そして、すぐに李章は攻撃へと移っていった。

 素早くフォースの近くへと近づいていき、左足をつけ、右足での蹴りへと移行していった。

 (こんな速く攻めに転じるのかよ!! いい神経してやがるぜ!!!)

と、フォースは思う。李章のあまり素早い攻撃への移行に、感心するが、同時にその攻撃を喰ってたまるか―、と自らの心に対して鼓舞させた。李章の攻撃に対処するために―。

 (決めます!!)

と、李章も今自らが行おうとして攻撃を相手に与えるために自身を鼓舞させた。


 一方、アンバイドとアルシングの戦いは―。

 「はああああああああああああああああ。」

と、アルシングは叫ぶ。とてもない大声で。

 (さっきの爆発は一体何だったんだ。その後、襲撃者の一人が凍らされていた。ってことは瑠璃、李章、礼奈(あいつらの誰か)のうち一人がしたってことになるか。ま、一人倒したことには違いない。それに今はアルシング(あいつ)に集中しないとな。アルシング(あいつ)は、たぶん天成獣の属性能力は土ということでよさそうだな。それにパワーだけなら、俺よりをいくことも可能か。だが、俺に勝つことはできないぜ。現地点でパワーは俺の方が上だ。)

と、アンバイドは分析する。だが、現時点でアンバイドがアルシングに負けることはない。実力差がありすぎるからだ。フォースには苦手ということもあって苦戦はしていたが―…。

 アルシングが大声を続けながら、地面へと拳にした右手がつく。

 アルシングは地面にパンチをしたのである。

 アルシングの周りにある地面の一部が何個かに分かれて浮かびあがる。

 それを操ってアンバイドへ攻撃しようとしていた。

 (なかなかのパワーだ!! この俺のパンチによる土の攻撃の出来は…。後はこれをぶつければアンバイド(あいつ)は終わりだ。)

と、アルシングは思った。

 しかし、アンバイドにとって()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()―…

 「放て」

と、アンバイドが言う。そうすると、アンバイドの武器の二つ(中央に玉のようなもの、その周りに円になるように五つの円柱と三角錐の合体したもの)がアンバイドの目の前でアルシングに向かって、砲撃のような攻撃を放つ。

 そのアンバイドの武器の二つが放った攻撃は、アルシングの周囲を発生して浮かび上がった地面の一部をも覆うぐらいの大きな一撃である。

 そして、アルシングと発生させた地面の一部ともども覆いつくした。


 辺りには、煙のようなものができていた。

 これは、アンバイドの放った攻撃によるものだ。

 そのアンバイドの攻撃が止んだあとに覆いつくしたのである。

 その中から一人の人物がでてくる。そう、アルシングだ。

 「がはっ!!」

と、アルシングは何かを吐き出すかのような声をだす。

 (こんなの一体どうやって…、まさか、あのゴンドのときの攻撃をも…吸収していたのが残っていたのか……。)

と、アルシングは思い至った。そう、アンバイドはゴンドの攻撃を吸収して反射させたのがまだ残っていて、それを自分に向けたのかということである。

 これは間違いである。正しくはアンバイドは自身の天成獣の力を少し多く借りて二つの武器から放っただけなのだ。

 そして、アルシングは、自らの体がフラっとしたのに気づく。

「ぐっ!!」

と、アルシングは言葉を吐き、ゆくっりと体が倒れていったのである。

 そのなかで、

 (くそ~!! こんな一撃を喰らっちまったら、立ち続けることさえできない。)

と、心の中言いながら、アルシングは自らの視界を黒の一色へとさせていった。

 アンバイドは言う、

 「俺の勝ちだ。」

と、勝ち誇ったように。


 【第14話 Fin】


次回、李章と瑠璃の活躍が見られるのか??

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。

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