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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
186/748

第94話-2 再会

宣伝です。

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿しています。今日も18時30分ぐらいに投稿予定です。

アドレスは以下のようになります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


設定で若干、『ウィザーズ コンダクター』で失敗しました。詳しくはカクヨムの近況ノートと呼ばれるところに書いています。久々にやってしまったような気がします。確認して投稿していたのに―…。本当に申し訳ございません。

では、話は、『水晶』の方へとうつしましょう。

前回までのあらすじは、第九回戦第四試合、瑠璃VSミランの対決は引き分けに終わり、瑠璃とミランを狙っていた人物の矢の攻撃をギーランが弾き返すのであった。その後、観客席の中の貴賓席では、ランシュ、ヒルバス、レラグ、クローマ、リークがいる中に、突如、ベルグが登場し、今の事態について説明するのであった。説明を終えると、ベルグは帰っていくのであった。

 中央の舞台。

 グランチェ率いるチームがいる側。

 アルフェも今の光景に驚いている。

 アルフェもミランを抱えている人物の名前は、知らなかったが、矢がミランに向かって飛んできているのはわかった。

 (あれを弾き返すタイミングを合わせるのだって難しいのに、あっさりと着地してすぐにできるなんて―…。どんだけの実力者だ。)

と、心の中で驚く、アルフェは、表情には動揺の顔色がはっきりとでていた。

 そして、アルフェは、ミランに関して、味方として回収する気はなかった。アルフェは、ギーランの言っていた言葉を思い出し、マドルフとグランチェが寝かせられている場所へと向かうのであった。

 そう、アルフェは、ミランは完全にギーランに任せることにしたのだ。ミランの言葉の数々が、目的において協力することが可能だから協力しましたというようなものであるから、そこまで、ミランを仲間だとは思わなかった。

 そういう面で、第九回戦のグランチェ率いるチームは、相手に対する敬意がないと言えば、嘘であるが、他の人がもっているものよりはるかに低いものでしかなかった。

 さらに、アルフェは、マドルフやグランチェに今日の第九回戦の結果を伝えなければならない。ここで放置してしまうと、後に厄介な事にしかならないからだ。ゆえに、マドルフとグランチェが目を覚ますのを待つのであった。

 (どうなってるんだ、今日は―…?)

と、アルフェは、なぜか疑問を発生させてしまうのであった。

 その疑問すらわからずに―…。


 中央の舞台

 瑠璃チームがいる側。

 そこでは、驚きが広がっていた。

 ギーランの登場による驚きが―…。

 (つーか、やっぱり来ると思った、ギーラン。本当に厄介なのが来やがったよ。つーことは、魔術師ロー(あのババア)も近くにいるということか。)

と、アンバイドは心の中で、ある懸念を抱いていた。

 アンバイドは、魔術師ローとともにギーランが行動していることを知っている。ゆえに、経験則上、アンバイドは、近くにローがいる可能性が高いと踏んでいた。さらに、今、ローに会いたいとは思わなかった。元々、ローに会いたいとは思っていないが、ミランがここにいるということは、必ずヤバい奴が近くにいるのではないか、と体全体に寒気のようなものがはしるのであった。

 そう、アンバイドは数々の記憶の中で、屈辱を浴びせられた人生最悪の人物がいるのではないか、と。それは、アンバイドより年下なのに、小さい頃から強すぎて、アンバイドが一回も勝ったことがない人物が―…。

 「ほお~、アンバイドよ。ルーゼル=ロッヘ以来じゃなぁ~。瑠璃たちと一緒にいて、何をしようとしているのかわかっておる。だけど―…、そんなに儂に会うのを嫌そうにするのはいただけないの~う。そんなお主には、スペシャルなゲストが来ている。会いたかったろ~う。」

と、ローは笑みを浮かべて言う。

 その笑みは、アンバイドの驚きの表情と、ローに会うのが嫌な表情を感じとって、あえて笑みをローが浮かべることによってアンバイドに対して、恐怖を感じさせようとしていた。

 それは、咄嗟に直感といっていいほどの時間の短さで判断し、すぐに実行するのであった。そこに、ローの心の言葉が入る余地など存在しなかった。

 アンバイドは、ローの笑みに対して、恐怖を感じていた。

 それでも、アンバイドにとって、ローに負けた気になるのは癪に障わることである。ゆえに、ローに負けたように判断される表情をしないようにするために、強がる。

 その間に、アンバイドは見落としてしまっていた。

 そこに、アンバイドに苦い思い出を与える人物がすでに来てしまっていることを―…。

 「アンバイドは、一回―――――――――――…、ぶっ飛んどけ―――――――――――――――――。」

と、叫び声が聞こえる。

 その声で、誰かが近くに向かっていることにアンバイドは、気づいた。だけど、遅すぎた。

 その人物は、すでに蹴りによる攻撃に移行していて、もう一秒もしないうちにアンバイドの顔面にその人物に左足が当たる位置にいた。

 そして、アンバイドはそれを避けることができずに、まともに受けてしまうのであった。

 その様子に、李章、瑠璃を回復させていた礼奈、クローナ、セルティーが呆然としてしまう。それもそうだろう。さっきの攻撃は、瑠璃、李章、礼奈、クローナ、セルティーであっても、あの時点からかわすことは不可能である。それほどに、今の左足による蹴りの攻撃のスピードと同時に、威力が強いのだ。アンバイドを蹴った人物の右側に向かって飛ばすほどに―…。

 (すごい一撃です。弟子入りすれば、私もきっとあのような蹴りをすることができるのでしょうか。)

と、李章が心の中で思う。

 アンバイドを蹴り飛ばした人物に自らの蹴りについて相談し、学ぶことができれば、瑠璃を守ることができるのではないかと李章は、考え始める。これが現実のものとなれば、確実に刀での戦いをする可能性は低くなるだろうし、もし、そうでないにしても、刀との組合せの戦いの参考になるのかもしれない。そこに、アンバイドを心配するという李章の気持ちは存在しなかった。

 別に、アンバイドのことを嫌っていたわけではないが、アンバイドを蹴った人物の蹴りの素晴らしさがそれをはるかに上回っただけである。それでも、人命のことを考えれば、蹴られたアンバイドのことを心配する方が妥当なことであるが―…。

 一方で、茫然とした礼奈、クローナ、セルティーは、ただ、ただ、驚くしかなかった。クローナは、瑠璃の治療を続けることができるほどに集中力を保った状態であるが、クローナとセルティーは完全に驚いてしまい、魔術師ローがいることを一切忘れてしまうほどであった。

 そして、李章、礼奈、クローナ、セルティー、それに加えて、ローも蹴られたアンバイドが飛ばされていくのを見つめてしまう。

 あの衝撃的なシーンが、アンバイドを蹴った人物、その後のアンバイドの飛ばされる状態に視線を見るようにさせるのである。

 そうして追っていくと、アンバイドは、中央の舞台と観客席を隔てる壁に衝突するのであった。

 ドゴーン、ズドオオオオーン。

 音を文字のするのが難しいぐらいの音をたてて―…。

 アンバイドがその壁に衝突した地点の近くにいる観客席にいた人々は、そのことに驚くのであった。ある者は、食べていた食べ物をこぼしそうになり、その後に近くで視線のあった人と後に結婚することになるし、子どもは驚いて泣き出し、その母親があやすと、その子どもは数か月後に、天才少年であることが周囲に知られるようになり、偉大な学者になったとか、何とか―…。そう、珍しいことに能力とか関係なく、アンバイドを蹴った人物であるイルーナの被害を受けたものは、その不幸を埋めるがごとく幸せになったり、出世したりするのだ。そんなことがよく起こる。アンバイドからしたらたまったものではないが―…。被害しか受けていないから―…。

 「イルーナ、お主。さすがに、アンバイドに対して、やりすぎじゃないか。」

と、ローでも、イルーナのさっきの蹴りは、アンバイドに対して、やりすぎであり、もう少し手加減してやってもいいのではないかと思う。

 それほどに、イルーナの蹴りの威力は、普通の人であれば、完全に生の終わりにいたりそうなものであった。

 「大丈夫ですよ、アンバイドなら―…。体は頑丈な方だし。それに、天成獣の宿っている武器を扱っているのだから、これぐらいノーダメージで耐えていますよ。アンバイドにはあれぐらいがちょうどいいのよ。馬鹿な復讐なんてきっと、義姉(ねえ)さんは喜んでいないだろうし、復讐よりも、子どもたちの面倒しっかりみて、人生まっとうしろと思ってますよ。……ツ!! それよりも、ミランの方を―…。」

と、ローに向かって話しながら言うと、イルーナは、ミランのいる四角いリングの方へと向かって行った。

 その様子を見ていたローは、

 (アンバイドよ。お主、本当に別の意味でアンラッキーじゃの~う。さすがの儂も同情してしまう。それよりも、儂もミランと瑠璃の方に向かわないといけない。儂の力が必要じゃろう。)

と、心の中でアンバイドのことを憐れに思いながらも、ミランと瑠璃の方が心配だったので、四角いリングの方へと向かう。


 四角いリングの上。

 ギーランは、ミランを抱える。

 ミランは焦げている面もあるが、息はしていた。

 死ぬほどではないだろう。

 だけど、大怪我だ。とにかく、ローを呼んで、治療させないといけない。

 ギーランに、治療することができるほどの能力があるわけではない。そうなってくると、誰かにその治療の役目を果たしてもらわないといけない。

 今現在、四角いリングへと駆け付けた、ギーランがこの異世界へ送った少女の一人である礼奈が瑠璃を治療し始めていた。

 ギーランでもわかっていた。ミランよりも、傷が酷いのが瑠璃なのである。

 瑠璃は、ミランの攻撃によって、腹部を貫通されることはなかったが、腹部に数センチほどの刺し傷があり、血の出てからの時間を考えれば、一刻の猶予は存在しない。するわけがない。

 だから、礼奈は、瑠璃のもとへと駆け付けてすぐに、

 「青の水晶(すいしょう)

と言って、瑠璃の傷の部分を閉じさせようとした。

 これ以上傷口から血を流させないようにするために―…。

 ゆえに、ギーランは、礼奈にミランの治療を頼むことはできなかった。

 そして、礼奈のように治療ができるのは、この場において、ギーランが確実にわかっているのは、ローぐらいであった。そう、礼奈に回復の効果をもつ青の水晶を渡したロー本人である。

 その時、アンバイドがイルーナによって、蹴り飛ばされるのをギーランは見ることになるが、その後に、ローが四角いリングへと駆け付けるのであった。

 そして、礼奈が瑠璃を治療しているのを見て、ミランの方に向かって来た。

 ギーランは、

 「ローさん。治療の方は可能ですか。」

と、ローにミランの治療が可能かを聞く。

 ギーランにとっては、ローの答えはわかりきっているが、それでも、わずかばかりの不安がローにそのように聞かせる。

 その気持ちを理解したローは、

 「大丈夫じゃ。ほら、そこにミランを置くとよい。ギーラン。」

と、ギーランに向かって指示する。

 その言葉を聞いたギーランは、ミランを近くに置くのであった。決して、ミランを放置するわけではなかった。

 それを確認し、ギーランは、ミランから距離をとる。

 そうすると、ローは、

 「治療(ケア)

と、唱えると、ミランのあたりを、薄緑の球体が出現し、ミランを覆うのであった。

 その中で、ミランの怪我がしだいに時が戻るかのように、治療されていく。そう、傷がみるみるなくなっていき、第九回戦第四試合前の状態と何が違うのかと問われても、その違いに誰もが気づかないほどになっていくのであった。

 その時間は、20分程度であった。

 もしも、この異世界で同様な治療をし、命を繋ぎ止める場合には、何日もその傷の手当てをして、自然に回復させるのを待たなければならない。そうなってくると、生存確率も減少することになってしまう。

 ローの治療にかかれば、その不安もなく、治療することができ、生存確率はよっぽどローがヘマをしなければ、100%といってもおかしくないほどであった。傷口から菌が入り、別の病気になって、重症化することもない。運ぶことにさえ、気を付ければいいのだから―…。

 ローがミランの治療を終えると、

 「これで完了じゃ。ギーラン、もう触れても大丈夫じゃ。」

と、ギーランに向かってローが言い、ギーランはミランへと向かって行くのであった。

 同様に、イルーナもミランの方へと向かって行くのであった。イルーナとしては、蹴り飛ばしてやりたいという気持ちもあったが、ミランはまだ怪我から回復したばかりなので、蹴るのを止めて、心配するのであった。まあ、実際にミランが目覚めても、イルーナはミランを蹴ることはないと思うが―…。暴力をいつもふる親ではないのであるから―…。ギーランを出会い頭に蹴っているようだから信用できるわけではないが―…。

 ローは、瑠璃の治療をある程度進めていた礼奈を見て、一人で大丈夫だろうと判断して、イルーナに蹴られた、アンバイドの治療へと向かうのであった。


 四角いリングの上。

 礼奈の方は―…。

 李章も瑠璃のもとへと駆け付けていて、瑠璃を心配そうに見つめるのであった。

 (瑠璃さん―…。どうにか無事でいてください。)

と、李章は、心の中で必死に祈るのであった。

 礼奈の方は、

 (あと、もうちょっと。だいぶ、傷口は塞ぐことができた。後は、菌などによる感染を抑えて―…、っと。よし!!)

と、心の中で言いながら、瑠璃の治療に集中する。

 礼奈は、青の水晶の扱い方にもだいぶ慣れ、難しいこともできるようになった。難易度でいえば、ローが同様に青の水晶を使ってもできないことができるようになっていた。

 しかし、ローがさっきミランを治療するために発動させた「治療」という魔法、いや能力よりも、劣ってしまうのであるが―…。

 それでも、今までは、菌の活性化をさせてしまっていたが、今では、活性化させる対象を絞ることができるようになったのである。それほどに、青の水晶の使用に関するコントロールが正確になり、効率性も上昇させることができたのである。

 ここでも礼奈のセンスというものが発揮されていた。

 そして、ローのミランを治療し終えてから、五分後に、瑠璃の治療を終えるのであった。

 (よし、これで、完了っと。)

と、礼奈は、心の中で安堵するのだった。


 中央の舞台。

 アンバイドが気絶している場所。

 そこでは、ローが、魔法でアンバイドの傷を治療していた。

 アンバイドは、第九回戦で負けたわけではない。いや、そもそも試合に参加していない。

 なぜ、そうなっているのか。理由は簡単だ。第九回戦第四試合終了後に、登場したイルーナによって蹴り飛ばされたためだ。

 そう、イルーナの蹴りは、アンバイドを気絶させるほどの威力があるのだ。

 そのせいで、アンバイドは気絶とともに、ダメージを受けてしまった。

 それをローは、ミランの治療の後に、本日二度目の治療をおこなうのである。

 そこには、クローナとセルティーがいた。イルーナの蹴りを見て、さすがに心配だったので、アンバイドの方に向かったのである。クローナにとっては、揶揄うのにちょうどいいのであるが、さすがにあそこまでやるのを見て、普段の揶揄いをするような態度にはならず、心配するほどのダメージを負ったのではないかと感じてしまった。

 セルティーにいたっては、次の第十回戦に影響が出てはまずいと思い、心配しているのだ。

 ローは、

 「傷としては、強くないほうじゃ。すぐに傷は治るじゃろうし、後は、誰が運ぶかとなると、儂の空間移動を使ってリースの城に向かうことにしよう。」

と、これからの行動を含めて言う。

 こうして、アンバイドの治療を終えた後、瑠璃、李章、礼奈、クローナ、セルティー、ロー、ギーラン、イルーナ、ミラン、アンバイドは、ローの空間移動によって、リースの城へと向かったのである。

 意識のない瑠璃、ミラン、アンバイドは、瑠璃を李章が、ミランをギーランが抱えて、アンバイドのいる場所へと向かった後にであるが―…。


第94話-3 再会に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


次回の更新から、物語開始の半年ほど前に遡ります。李章が言っていたあの事件の内容となります。当初、『水晶』では予定していませんでした。昔に書いたネームにも存在しないものとなるかもしれません。厳密に言うと、別のところでネームが存在しているのですが―…。

理由は、瑠璃が主人公の話しは2篇存在していました。投稿開始時に2篇のうち、現在投稿している第1篇より前の篇をなかったことにしたために、そこで知るはずだった瑠璃の過去について、ここで話すことになりました。詳しいことに関しては、第1篇が終わった時に、できればいいなと思います。

最後に「第94話-3 再会」の方は、後は見直す程度の状態までになっています。近いうちに投稿すると思います。早ければ、2021年6月2日にも―…。まあ、実際にどうなるかはわかりません。

では、次回の更新にて―…。

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