表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
183/747

第93話-1 狙う者

前回までのあらすじは、ミランの攻撃を瑠璃が防ぐのであった。

第93話は分割することになりました。

後で、この部分は修正・加筆する可能性があります。

修正・加筆に関しては、2021年5月24日に、完了し、第132話終了後における2か月ぐらいの期間におこなわれる可能性のある修正・加筆までの間の時期における修正・加筆は、この部分に関しては、ない可能性が高くなりました。更新の日程に関しては、しっかりと考えていかないといけません。反省し、以後気をつけていくことにします。

 ミランは、さっきの衝撃波を防ぐことのできた瑠璃が、それをするためにおこなったトリックに気づく。

 ゆえに、

 「赤の水晶(すいしょう)の力!!」

と、ミランは言う。

 ミランは、瑠璃が赤の水晶の能力で、瑠璃自身に衝撃波の攻撃を受けないように、空間移動できる切れ目をドーム状に形成し、ドーム状から衝撃波を四角いフィールドの中の闇の繭の方に流したのではないか…と。

 厳密に言えば、ミランの言っていることは、最後の方が実際にはそれとは異なっているのだ。瑠璃は、自らの周囲に衝撃波がこないようにしており、そこを飛び越えて、自らの後ろに流したのである。つまり、瑠璃とその一定の周囲だけが衝撃波を受けないようにしていたということになる。

 このようにして、瑠璃は、ミランが展開した闇の球状の形をしたものの衝撃波の攻撃を防いだのである。


 観客席。

 その中の貴賓席。

 そこには、ランシュ、ヒルバス、レラグ、リーク、クローマがいた。

 この五人は、衝撃波から発せられる衝撃音によって、全員が四角いリングの方を見るのであった。

 ただし、リークは、アンバイドの試合が無理矢理ミランによって、別の人物にされてしまったこと、そう、瑠璃に変更されてしまったことに対して、怒りを感じてはいたが―…。

 それでも、この衝撃波は、それを一時的ではあるが、フッ飛ばしてしまうほどのインパクトを誇っていた。

 その攻撃に対してランシュは、

 「どんだけだよ。緻密な戦略的戦い方をしたかと思ったら、こんな大胆に大きな一撃を放って戦うなんて―…。軍隊による戦いなら、一人で一軍団ぐらいは簡単に倒してしまうぐらいだ…。久々に見た…こんな実力の持ち主を―…。」

と、驚くしかなかった。

 ランシュとしても、自身がそれ以上のことをすることは可能であるが、それでも、戦略的戦い方もでき、広範囲殲滅も可能ということになると、自らが勝利した後には、確実に部下として誘わないといけなくなる。それほどに、ミランという少女は、他国に戦力として引き抜かれてしまっては、それだけでリースにとって脅威となってしまうのだ。

 ランシュというほどの実力のある人物なら、すぐにわかってしまう。自らが騎士であり、実力がかなりある以上は―…。

 同時に、ミランという少女は、どうして有名になっていないのか疑問に感じるのだ。これほどの実力を有していれば、どこかしら、そのような噂が流れるものだ。

 ランシュが集めた情報を記憶で思い出せるだけ集めてみても、ミランに関する噂は一切、聞いたことがないのだ。

 (これは―…、とんでもない掘り出し物をしたな。)

と、ランシュは、心の奥底で喜びにわく。

 「ランシュ様。ミランに関しては、危険な要素が存在します。」

と、ヒルバスは、警告するように言う。

 「それは何だ。」

と、ランシュがヒルバスに尋ねる。

 「ミラン…、彼女は、明らかにランシュ様の言うことはあまり聞かないでしょう。忠実な部下というものとは絶対逆の―…。むしろ、依頼を受けて、報酬で動く傭兵タイプの人間でしょう。それに―…、ミランの裏を調べたら、魔術師ローの傍にいるギーランという人物の娘であることがわかりました。」

と、ヒルバスは、自らが調べもしたし、調べさせもしたことを言う。

 そう、ヒルバスは、ミランが十二の騎士になる時に、事前に調べていたのだ。ミランという人間の素性があまりにも怪しいと思ったからだ。それに気づいたのは、何となく、勘的な面があったが―…。

 そして、ミランの事に関して、自らで調べ、部下に命じて、調査させた。

 そうすると、ヒルバスがさっき言葉にした結果になったという。そう、ミランは、ギーランの実の娘であることが―…。

 だから、ヒルバスは続けて言う。

 「ゆえに、ミラン自身、魔術師ローと繋がっている可能性があります。そうなってくると、私たちの情報およびランシュ様の上司にあたる方の情報も魔術師ローに洩れている可能性があります。」

と。

 ランシュは、すぐにあることを否定する。

 「ヒルバス、たぶん、ベルグに関する情報に関しては漏洩していない。なぜなら、ミランは、昔の俺と同じ顔している。俺も復讐者だからそういうことがヒルバスよりもわかる。そして、ミランは、ギーランの実の娘であるのは、本当のことだろう。ヒルバスの情報は信頼している。だけど、戦いを見ていればわかる。あの目は、三人組の一人、今戦っている奴に強烈な恨みをもっている。あんなド派手な技を使ってもいる。それに―…、演技をしているようにも見えなかったからな。むしろ、注意しないといけないのは、俺らがこのゲームで勝利した時、必ずミランを部下にしておいたほうがいい。他国に渡せばリースにとって最悪の展開になるからな。」

と。

 そして、ランシュは付け加えても言っている。ミランがベルグの情報をローに漏らすという否定した後、ミランが復讐者であることをランシュは知っていた。

 なぜ、ランシュがそのようなことがわかったかといえば、ランシュ自体が昔にクルバト町の虐殺で家族である母親と妹を殺されており、それを実行した当時のアルデルダ領の領主であったエルゲルダ、そして、それに簡単に乗って協力したリース王国前国王レグニエドに対して復讐しようとしていたからだ。

 ゆえに、ミランが復讐しようとしている対象がいることをすぐに理解したのである。

 その復讐を成すために、かなり天成獣の宿った武器の扱い方を必死に学んだはずだ。目標を持っているものは、そうでないものよりも、成長速度は速い。ランシュは自身の経験からそのことを理解しており、ミランも同様なのではないかと思ったのだ。ただし、ランシュも全員が全員そうであるとは思っていなかったが―…。

 ヒルバスの方は、ランシュの言葉に対して、

 「わかりました。」

と、無理矢理自身を納得させるのだった。

 (あれほどの実力の持ち主だとは―…。)

と、レラグは感心するのだった。

 レラグは、自らより実力よりもはるかに上だとミランを見た時にはわかっていた。それでも、感覚的なものであり、実力はわかっていたとしても、第九回戦第四試合でここまで大きな一撃を出してくるので、レラグが思っていた以上の強さであることを感じずにはいられなかった。

 一方で、リークは、

 (ミラン(あの女)は強ぇ―が。アンバイド(あいつ)よりも弱い。そんな奴の戦いを見ても仕方ない。だけど―…、今の一撃はムカつく。)

と、心の中でミランに対して怒るのである。

 それは、瑠璃との対戦を望むのではなく、最初に第九回戦第四試合で戦う予定であったアンバイドと対戦して、その一撃を使って欲しかった。それをアンバイドがどう対処するのかを見て見たかった。そうすれば、アンバイドの強さの底を見ることができ、次の最終回戦でアンバイドと対戦する時にどうすればいいのかを考えることができたのに―…。

 結局、リークは、アンバイドを倒すことしか頭にないのであった。

 クローマは、

 (強いねぇ~。この一撃は―…。よく考えられているよ。だけど―…、俺ほどではない。若さゆえの甘さもある。もう少し、細かい攻撃を続けたほうがいい。そうすれば、圧倒的な差で対戦相手を倒せただろうに―…。)

と、冷静に今のミランの戦い方を分析して言うのであった。

 クローマならば、ミランのような細かい戦い方は、対戦相手の頭の中に、何をしてくるのかを只管(ひたすら)に考えさせ、他のことへの配分を疎かにさせることができるようにする。そうすれば、相手に攻撃を当てさせることが簡単になる。そして、相手が完全に思考停止に近い状態になったのを見計って、とどめをさす。その方が、効率的だ。

 そういう意味で、ミランの戦い方は、クローマにとっては甘いとしか言いようがなかった。

 追加するかのように、

 (憎しみというものは、欠けることなくして生まれない。憎しみを感じる側のな―…。)

と、心の中で言うのだった。

 それは、ミランという人物が何か重要ものが欠けてしまったからだとクローマは考えている。そう、ミランには欠けてしまったのだ。母親であったイルーナの悲しみを見てしまったことによって、本当の愛情を注がれていても、それを信じるという気持ちが―…。

 そのなくなった気持ちを奪ったのが、自らの妹がいなくなったせいであり、妹の存在がそのようにさせたのだから、その欠けた分の報いを与えようとしているのだ。たぶん、これがミランの復讐原理に対して、クローマが抱いている答えである。

 本当の気持ちは、ミランしか知らないことであろう。ミランの気持ちなのだから―…。


 中央の舞台。

 瑠璃チームのいる側。

 「やったぁ~、瑠璃が凌いだ。」

と、クローナは、瑠璃はミランの闇の波動の攻撃に対処できたことに喜ぶのであった。

 「ああ。たぶん、水晶で自らの周囲にドーム状の空間の裂け目を展開し、瑠璃自身にミランのさっきの攻撃が当たらないようにしたのだろう。」

と、アンバイドは言う。

 アンバイドとしては、傷を負っているのに、そのように冷静にミランの闇の波動に自分なりの解答で対処したことに、瑠璃に対して賞賛をおくるのであった。

 これで、次の最終回戦でもランシュに対抗できるかもしれないと、考えながら―…。

 と、同時に、懸念もあった。

 (問題は、ミランの攻撃で負った傷だな。礼奈が治療させることができるとしても、完全に一週間で回復することができるか―…。ここは、突貫、いや、無理矢理にでも全快にさせる必要がある。やるしかないだろうな。)

と、心の中でアンバイドは、これからの瑠璃に対する懸念について考えるのだった。

 アンバイドとしては、第十回戦、つまり、最終回戦の試合までに瑠璃がミランから受けた傷を完全に治すことができるかどうかであった。

 そう、治さないと瑠璃が、第十回戦でランシュに対抗させることは不可能となるだろう。アンバイドは、ランシュと戦っても勝つことは可能である。自信をもっていえることであろう。

 だけど、それは、ランシュ自身が本気を出して戦わないといけないことであり、ベルグに実力を分析させないために隠しておきたい自らの力を曝け出すことになってしまうからだ。

 アンバイドはそれを避けないといけなくなる。そうなると、ランシュに勝つ可能性があるのは、瑠璃ぐらいになってしまう。

 アンバイドは、瑠璃の傷が小さいものであることを祈るのであった。そして、同時に、

 (第九回戦第四(この)試合。俺が最初に思っていたよりもはやく決着がつきそうだな。俺の予測もあまり、役に立ってないなぁ~。心がいじけてしまう。)

と、心の中で、自らの予測が当たらないことに気分を落としてしまいそうになるのであった。

 李章は、

 (瑠璃さん、とにかく、命だけでも無事でいてください。)

と、心の中で、かなり心配しながら瑠璃の無事を祈るのであった。

 表情には、一切出さないようにして―…。

 礼奈やセルティーの瑠璃のことを心配するのであった。たとえ、ミランの闇の波動の攻撃を防ぐことができても、受けた傷による出血がある以上、とにかくすぐに試合が終わってほしいと思う。瑠璃が出血多量で生を終えないようにしたいからだ。


 【第93話 狙う者】


 四角いリングの上。

 ここでは、第九回戦第四試合がおこなわれている。

 ミランは、

 「赤の水晶(すいしょう)の力を使って、防いだのね。ホント、嫌な奴。」

と、瑠璃を睨みながら言う。

 ミランとしては、瑠璃が赤の水晶の能力を使って、自身が展開した闇の球状の形をしたものが放った闇の波動を防いだのだ。ミランにとって、強い一撃であったがために、復讐ができないのではないかと焦り、苛立つのである。

 さらに、気に食わないのが、

 「次の攻撃で、私を倒すって―…。負けるの間違いじゃないの?」

と、ミランはイラつきながら言う。

 ミランの言い方の中に、もろにその雰囲気を感じさせるものであった。

 一方で、瑠璃は、傷を負っているせいか、苛立つ暇すらなかった。痛みとの戦いである以上、余計なことに集中することができなかった。それが功を奏したのだろうか。倒すべき相手であるミランに集中させることができた。

 (まだ、ミランって人は、攻撃方法をもっているはず。だけど、私が使えるのは、もう赤の水晶(すいしょう)能力(チカラ)以外は、一発の攻撃だけ―…。それ以上は私の意識の方がもたない。イチかバチか。ここが勝負の分かれ目。)

と、瑠璃は心の中で覚悟していく。

 ミランを倒すことができるのは、このタイミングしかないと―…。

 ミランは、

 (ふう~。私の方は闇の波動(ダーク・ウェーブ)を放ってもまだ大丈夫。残りは半分になったが、攻撃していくことに問題はない。)

と、心の中で言う。

 そうしながら、再度、ミランは闇を展開し、自らの武器である柄に纏わせるのである。柄の金属が差し込まれれば立派な武器になるところに、闇がその代わりとなって武器を形成する。

 今度は、刀になるのであった。細長い―…。

 その様子を瑠璃はしっかり見ていた。その武器が纏わせている時間に攻撃すれば、ほぼ確実に瑠璃は勝利を得る事ができていただろう。

 しかし、それをしない。できない。一発、大きなのを放てば、瑠璃の意識はなくなるし、小さいのでも一発攻撃を放ってしまえば、もう、大きな攻撃を放つことはできないのだ。だから、ミランの今のしていることにまだ対処することができない。ただ、流されるままに、ミランの好き勝手に展開させるのを見る事しかできなかった。


 観客席がある場所。

 そこに向かって走ってくる者たちがいた。

 彼ら、彼女らは、観客席へと到着する。

 そして、見るのだった。

 「ミラン!!」

と、ギーランは、その光景を見て、驚きながら言う。

 そう、観客席へと到着したロー、ギーラン、イルーナは、ミランと瑠璃が戦っているのを見てしまうのであった。

 まさに、ミランが武器に闇を再度覆わせている場面に―…。


第93話-2 狙う者に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


次回の更新は、2021年5月25日頃を予定しています。

では~…。


2021年5月24日 タイトルが「第93話 狙う者」となっていたが、第93話は分割するので、「第93話-1 狙う者」が正しいタイトルとなります。タイトルミスをしてごめんなさい。慌ててやる回数を減らしていきたいと思います。

文章の方も多く修正しています。

①「さっきの衝撃波を防ぐことのできた瑠璃がしたトリックに気づく」の部分を「さっきの衝撃波を防ぐことのできた瑠璃が、それをするためにおこなったトリックに気づく」に修正。

②「ミランの言っていることは、最後の方が実際には異なっているのだ」の部分を「ミランの言っていることは、最後の方が実際にはそれとは異なっているのだ」と修正。

③「自らの後ろに流れた」の部分を「自らの後ろに流した」と修正。

④「アンバイドの試合が無理矢理ミランによってなくされてしまったので、怒りを感じて」の部分を「アンバイドの試合が無理矢理ミランによって、別の人物にされてしまったこと、そう、瑠璃に変更されてしまったことに対して、怒りを感じて」に修正。

⑤「他国にいかれてしまっては」の部分を「他国に戦力として引き抜かれてしまって」に修正。

⑥「ランシュというほどの人物」の部分を「ランシュというほどの実力のある人物」に修正。

⑦「それは、ミランという人物が何か重要ものが欠けてしまったからだとクローマは考えている。そう、ミランには欠けてしまったのだ。母親であったイルーナの悲しみを見てしまったことによって、本当の愛情を注がれていても、それを信じるという気持ちが―…。

 そのなくなった気持ちを奪ったのが、自らの妹がいなくなったせいであり、妹の存在がそのようにさせたのだから、その欠けた分の報いを与えようとしているのだ。たぶん、これがミランの復讐原理に対して、クローマが抱いている答えである。

 本当の気持ちは、ミランしか知らないことであろう。ミランの気持ちなのだから―…。」

「追加するかのように、

 (憎しみというものは、欠けることなくして生まれない。憎しみを感じる側のな―…。)

と、心の中で言うのだった。」

の後に追加。

⑧「今度も、さっき前に形成したのと同じ、」の部分を「今度は、」の修正。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ