表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
181/746

第91話 因縁の対決は続く

『ウィザーズ コンダクター』第28回を18時30分頃に更新します。興味のある方はぜひ読みに来てください。

アドレスは以下のようになっています。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


有名な検索するためのサイトでも「ウィザーズ コンダクター」で1ページ目で表示されます。実際に、二つほどですが―…。

お知らせは以上です。

『水晶』の前回までのあらすじは、第九回戦第四試合が始まるが、リースの競技場のどこかで、瑠璃とミランの両方を狙っている者がいた。

 リースの競技場。

 瑠璃とミランの戦いを見ながら、弓をいつでも構えられるようにしている人物が一人いた。

 (さあ~、どんどんやり合ってくれ。最後は、どっちも俺に殺されるのだからな。)

と、不敵な笑みを浮かべながら―…。


 四角いリングの上。

 そこでは、第九回戦第四試合がおこなわれている。

 その戦いは、瑠璃とミランの試合であり、ミランにとって瑠璃に対する復讐であった。

 ミランは、二つの黒い蠢くものを瑠璃に向けて、攻撃してくる。

 それは、瑠璃の方へと確実に向かって来る。

 瑠璃は、対処するために、自らの武器である杖を前に傾け、雷の攻撃をミランに向かって放つ。

 それと同時に、瑠璃は、二つを完全に避けることはできないと判断し、一つを避け、もう一つを自らの武器の先を上向きにして、防御の体勢をとり、凌ごうとした。

 結果として、瑠璃の対処は成功する。一時的でしかないが―…。

 「甘いよ。」

と、ミランが言うと、避けたの黒い蠢くものが、鞭のようにしなって、瑠璃の首に向かってくる。

 瑠璃は、杖を右手だけで持ち、左手でミランの攻撃を防ごうとする。

 パチーン。

 そのような音とともに、瑠璃は、ミランから見て左側へと飛ばされる。

 瑠璃は、すぐに、杖を四角いリングに杖の水晶玉とは反対の方を接するようにして、はじき飛ばされる勢いを減速させて、四角いリングの外に出るのを回避しようとした。

 何とか、ギリギリのところでそれが終わり、四角いリングに瑠璃は体をぶつけて、少しだけ、コロコロと回転するのであった。瑠璃の体に傷を付けながら―…。


 中央の舞台。

 瑠璃チームがいる側。

 「瑠璃さん!!」

と、李章は叫ぶ。

 李章としては、瑠璃に万が一、何か重大な怪我を負わせてしまうのであれば、自身の不甲斐なさに責任を感じてしまうであろう。いや、確実と言ったほうがいい。

 それでも、李章は四角いリングの中に入って、瑠璃を助けることはしない。したくても、アンバイドに確実に止められるからだ。それがわかっているので、李章は今は堪えることしかできない。

 アンバイドは、

 (互いに、相手の裏をかこうとしているな。だが―…、そういうテクニックという面では、ミランの方が上か―…。さらに、ミランが優位なところは、天成獣の宿っている武器を使っての戦いの年月が瑠璃よりも長いと思われるところ―…。一方で、瑠璃は、まだ、杖でしか戦っていないということだ。剣を抜いた時の実力で、ミランの実力と比べた時、どっちが強いかということか。このままでは、ミランの方に軍配が上がる。そして、なぜミランは、瑠璃に復讐する必要がある。ミランは誰かに嘘を吹き込まれたのか? まあ、それは、第九回戦第四(この)試合後に問い詰める、とするか。)

と、心の中で考えるのであった。

 アンバイドとしては、瑠璃とミランの実力を比較すれば、今のところ、ミランの方が優位で、第九回戦第四試合の試合時間が長引けば長引くほど、その様相がはっきりとするだろうと予測する。

 それは、ミランの方が戦いに対するテクニックというか、技術面での優位がある。ミランの武器は、柄のみで、闇で武器の形を生成しないと、相手にダメージを与えることができないのではないかと思うほどだ。だけど、裏を返せば、武器の形を好きなように決められるがゆえに、相手に合わせて、闇の形を変えて、別の名前をもつ武器にしてしまえばいい。そのために、戦闘において、応用性があるし、使い手次第で、どこまでも強くなることが可能なのである。

 それに引き換え瑠璃は、仕込み杖で、杖での遠距離攻撃と仕込み杖に仕込まれている剣での中距離および短距離攻撃が可能である。だけど、ミランも一つの武器で、いろいろ変えることで遠距離攻撃から中距離、短距離攻撃が可能なので、瑠璃の優位となる要素とはならない。

 こうなってくると、瑠璃は、何一つとしてミランに優位をもっていないということになる。だけど、戦いというのは、何が起こるかわからない。必然もあるが、偶然と思わせるほどの要因の重なりも存在するのだ。

 アンバイドは、ミランと瑠璃の試合を眺める。瑠璃の勝利を望んで―…。そう、イルーナに過去に揶揄われたことに対する仕返しを、瑠璃の勝利に重ねて―…。

 一方で、礼奈は、

 (瑠璃、大丈夫―…。瑠璃ならきっと勝つ。あんな訳分からないことを言う人に瑠璃が負けるはずがない。きっと、勝利する。)

と、心の中で瑠璃の勝利を奥底から強く思うのであった。

 礼奈としては、李章から聞かされた瑠璃に対する衝撃の事実もあるが、それでもミランが言っていることに矛盾を強く感じていた。瑠璃がミランの復讐対象になるように、結び付けられる証拠がないのだから―…。そう、現実世界からこの異世界へ移動する方法が十数年前に確立していた根拠も事実もないのだから―…。


 中央の舞台。

 瑠璃チームの側ではなく、グランチェ率いるチームの側。

 そこでは、まだ、マドルフは気絶したままであり、グランチェも意識を失っている状態であった。

 ゆえに、気絶から意識を取り戻しているのは、アルフェだけで、アルフェが第九回戦第四試合を眺めている。

 そのなかで、アルフェはある感想にいたるのだった。

 (強すぎだろ、ミラン(あの女)!!! グランチェよりも強いんじゃないのか。)

と。

 アルフェは、ミランの動きは、戦闘経験をして、どうやって戦うかということと同時に、攻撃されたとしても防御し、すぐに攻撃に移り、さらに、攻撃をかわされても、すぐにかわされたものを相手に向けるというよく考えられている攻撃であり、よっぽど、頭の回転が速くないとこんなことはできない。

 ゆえに、ミランがグランチェよりとアルフェは、思ったのだ。戦いをそれなり多く、知っているからこそ、そう判断する事ができるのだ。

 (戦闘センスは半端ねぇなぁ~、おい。)

と、アルフェは、心の中で言うのであった。


 四角いリングの上。

 四角いリングの表面に倒れた瑠璃は、すぐに立ち上がるのだった。

 (強い!! 今まで戦った相手の中で、一番強いかも。攻撃に対処して、その隙を攻撃してもかわされるし、すぐに攻撃をしてくるし―…。かわしても、攻撃を二重にも仕掛けてくるなんて―…。どうする!!?)

と、瑠璃は、心の中でミランのことを自らよりも強いと思う。

 それもそのはずだ。ミランと瑠璃では、天成獣を扱っての戦いに対する経験の差が違いすぎるのだから―…。

 ミランのその方は明らかに上である以上、現状、その部分を瑠璃が覆すことは不可能である。

 瑠璃にできることは、ミランの隙を伺い攻撃することか、運に任せることしかできない。

 ミランの方は、

 (実力はわかった。そこまでもないね。レラグ(水使い)をうまく倒すことに成功したが、それでも天成獣を扱っての戦いの経験が浅すぎる。だから、さっさと終わらせてやる。)

と、心の中で、第九回戦第四試合の決着をつけようとするのであった。

 ゆえに、ミランは、瞬間移動するかもしれないと思えるほどの速度で移動を開始する。

 それは、瑠璃も気づいたが、一瞬のことであったので、動いてかわすことができないと判断した。

 そして、ミランは、瑠璃に自らの武器で攻撃することができる範囲に到達すると同時に、突き攻撃をするのであった。

 そう、ミランは、自らの武器である柄に、展開した自らの闇を覆わせたうえで、剣の形にさせていたものを刀の形にすぐさまに変え、剣の時よりも長さを少しだけ長くして―…。

 瑠璃は、ミランの突き攻撃によって心臓部分を刺される。

 ブスッ!! と、音をさせて―…。

 その様子は、中央の舞台にいる礼奈が、

 「瑠璃!!!」

と、叫びだしてしまうほどであった。


 【第91話 因縁の対決は続く】


 闇で形づくられた刀が瑠璃を突き刺す。

 こうなってしまえば、引き抜かれた時点で瑠璃は、その生へと終わらせるのに時間はそんなにかからないだろう。

 そうだろう。血が大量に出るし、その傷を回復させることを瑠璃自身ができるわけではない。

 礼奈がすぐにむかえるのならば、重傷は負うとは言っても、命は助かるだろう。

 だけど、そんなことをミランがさせるわけがない。ミランにとっては、瑠璃は復讐対象である。そうである以上、絶対にミランは、瑠璃が助かる手段をとらせるはずがない。残酷なことかもしれないが、ミランにとって奪われた幸せは、それぐらいにミランにとって価値があり、欲しいものである。

 だけど、このように実際に、瑠璃が突き刺されていればの話ではあるが―…。

 ミランは、瑠璃を刺した後、すぐに闇で形成した刀を引き抜く。

 そこからは、血が一滴もたれることがなかった。たれるはずもないだろう。

 そこで、ミランは、刀が涙を流すかのように、一滴の闇の雫を刀から形成して、四角いリングの表面に落とす。

 闇の雫は、重力の流れに逆らうことなく、四角いリングの表面に落下することに成功した。

 そして、四角いリングの表面に接した、闇の雫は、物理法則を無視するかのように、拡大し、円状となり、瑠璃を真下から覆うのであった。

 「!!」

と、瑠璃は、すぐに動揺する。

 だけど、瑠璃に対処する方法がある。

 それでも、対処するには、対戦相手であるミランがどのように攻撃してくるのかを知らないといけない。

 だから、瑠璃は、防御の範囲を強くしたのだ。カウンターするために―…。

 「一つがダメなら、複数はどう―…。」

と、ミランは続けて、

 「闇の串刺し。」

と、言う。

 そうすると、瑠璃の真下を覆った闇の雫であったものが、その覆っている範囲で、人を刺し殺せるほどに鋭い串のようなものが何本も展開される。数としては八本ぐらいであろう。

 それが一斉に、瑠璃を突き刺そうとして、襲ってくるのだった。

 そして、瑠璃は貫かれるのであった。

 これを言ってしまうとさっきのと同じで、語弊が生じてしまう。見た目には、瑠璃は貫かれたように見えるのだ。八本の闇の鋭い串のようなものに―…。

 だけど、ミランは、最初に瑠璃を突き刺した時に気づいていた。ゆえに、一つの攻撃ではなく、複数が同時に攻撃する方法に変えたのだから―…。

 それは、ミランにとって、瑠璃が突き刺されても、動ける理由となっているのだ。いや、正確に言うと、瑠璃はミランの突き攻撃および八本の闇の鋭い串のようなものに刺されていないのだから―…。

 瑠璃は、その攻撃を防いだのである。それはどうしてか。途轍もなく簡単なことな答えがある。

 「水晶ね。それも赤の―…。」

と、ミランは、瑠璃がどうして、自らの攻撃を防いだのか、その正体を言う。

 その時、ミランの表情は、悔しそうなものであった。

 そう、赤の水晶を薄く展開し、ミランの攻撃が貫かせたように見せたのだ。ゆえに、それも展開したの場所は、ミランの武器である闇で覆われた刀の先であるし、串のようなもの先でもある。

 さらに、刺されているように見せるために、移動して、瑠璃の体に触れるか触れないかの距離が来るまで、刀であえて押されるように移動していたのである。これには、さすがの瑠璃もかなりの集中力を使った。そうでもしないと、ミランとの戦いで、互角にもっていくことができないと判断したからだ。

 そして、同時に、闇で作られた刀で突き刺された時にはしなかったが、串のようなものの時には、別のことしているのだ。

 そう、ミランは気づく。

 「!!」

と、驚くほどに―…。

 (まさか、今度は、私の攻撃で私を突こうと―…。嫌なカウンターを仕掛けてくる。)

と、心の中でミランは、再度、悔しそうにする。

 それは、串のようなものの先、すべてが、ミランが攻撃を伸ばせば、ミランを刺すようになっていたのだ。つまり、串のようなものの先をミランにカウンターできるように、ミランの周囲に空間移動させていたのだ。

 それでも、ミランは、状況を理解したうえで、対処することが可能であった。

 「甘いね。」

と、ミランが言うと、串のようなものの先が、方向を変え、再度、瑠璃の方へと向かってきたのである。

 瑠璃は、すでに次の攻撃の準備を完了していた。

 そう、瑠璃は、自らの武器である仕込み杖の水晶玉の部分に雷ではなく、光を蓄えていたのである。自らのこれからするであろう攻撃のために―…。

 「光砲(ライト・キャノン)

と、瑠璃は言うと、仕込み杖の水晶玉の部分をミランに向け、そこから、光の砲撃を放つのであった。

 その瑠璃の光の攻撃は、対戦相手であるミランを覆うほどの威力を発揮したのである。

 そして、瑠璃の攻撃は、四角いリングの瑠璃の目の前を白く光り輝かせるのであった。それでも、囲いが四角いリングを覆うように形成していたので、四角いリングの外に瑠璃の攻撃がでることはなかった。囲いがなければ、瑠璃はこのような攻撃を実行することはなかったであろう。


 【第91話 Fin】


次回、闇の波動!!

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


「水晶 なろう」で検索すると、1ページ目の中ぐらいのあたりに『水晶』が表示されるようになりました。嬉しい気持ちです。

もうそろそろすれば、第九回戦も終わります。その後は、いろいろかはわかりませんが、重要な伏線を回収しないといけません。今も、若干であるが伏線回収をしているのですが―…。

では、次回の更新で―…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ