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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第13話-1 それぞれの相手

第13話は分割となり、この回の投稿は第13話の前半の扱いとなります。

前回までは、李章、瑠璃、礼奈がナンゼルら襲撃者の前に姿を現し、この戦いに参戦する。

 瑠璃と礼奈はどうして敵の襲撃に気づくことができたのか?

 それは、少し時間戻さなければならない。アンバイドがゴンドの最初の攻撃を受けるとき。

 瑠璃と礼奈はそのときはまだ眠っていた。

 だが、浅い眠りの周期であった礼奈は、外の大きな叫び声が聞いた。あまりにうるさかったので、外で何かあるのだと感じ、静かにテントの入り口から外を覗いてみた。右目だけが外が見えるようにして―。

 (!!!)

と、礼奈は驚く。目の前でゴンドがハンマーで闇の攻撃を放ち、瑠璃や礼奈のいるテントへ向かって闇の攻撃が迫ってきていたのだ。それに気づいた礼奈は氷を展開しようとした。

 しかし、礼奈はそれをやめた。なぜなら、アンバイドの展開している武器がゴンドの闇の攻撃を吸収しているのが見えたからだ。

 (アンバイドさんの武器が防いでいる。)

と、礼奈は心の中で呟くのであった。

 

 それから少し時間が経ち、礼奈は右目だけでテントの外の状況を見ようとした。

 それは、闇の攻撃をしてきた敵の数を知るためであった。敵の数を知らないで出ていくことはわざわざ的にしてくださいと言わんばかりだ。ゆえに、敵の数を数えた、そして七人ということがわかった。

 寝ている瑠璃を起こすことにした。


 瑠璃は揺らされる感覚を感じた。

 (もう、朝かな~。)

と、瑠璃は心の中で言った。そう、瑠璃はもうすでに朝になっていて、礼奈が起こしてくれているのかなと思っていた。余りの友達の前で、普段の家でやっているような「あと五分~」だとか「あとちょい寝かせて~」という恥ずかしいことはできないと考えて、目を開ける。

 「おはよう~、礼奈。」

と、あまりにも緩すぎる言葉を瑠璃は言う。

 それを見た礼奈が、怒りのマークを一つ浮かべたのは言うまでもない。

 それは、敵が近くにいるのに、平和な朝の挨拶をしている人のような挨拶をする瑠璃の危機感のなさに対して―…。

 しかし、怒りよりも優先させなければならないことを礼奈は理解していた。ゆえに、怒りを隠して、瑠璃に今の現状がどうなっているのかを、

 「瑠璃、敵が現れた。」

と、伝えた。なるべく簡潔にすぐに戦闘態勢へ移れるようにするために必要最小限の言葉で言った。

 それを伝えられた瑠璃は、すぐに状況を理解し、緩さを引っ込ませた。

 相手の動向を知るために礼奈に、

 「今、敵は?」

と、敵の動向がどうなっているのかを知ろうと礼奈に尋ねた。

 「敵は七人で、今、アンバイドさんが一人で対峙している。それに、私たちの居場所はわかっているが、私たちが敵に気づいていることには知らないみたい。」

と、礼奈が説明した。

 すぐに、瑠璃はテントから出ていって、アンバイドに加勢しようとした。そのために、すぐテントの入り口へと向かっていった。

 しかし、礼奈に上着のすそを掴まれ、止められてしまうのであった。それを見て瑠璃は、

 「止めないで!! いますぐに行かないと。」

と、言う。

 「それは今はダメ!! 今出て行っても、かえって私たちの方が不利になるだけ。それに、相手が私たちが敵に気づいていないという状況をかえって利用したほうがいい。それに……、私たちが奇襲を仕掛けて、一人でも相手の隙をついて倒すことができたならば、優位を確立しやすくなる。」

と、礼奈が冷静に言う。それを聞いて、瑠璃は礼奈に従った。七人の敵を無鉄砲に突っ込んでいったとしても、かえって返り討ちにあうだけであるから。

 

 それからというもの、瑠璃と礼奈はテント中で片目でどこで奇襲を仕掛けるのかと考えていた。ときにはヒソヒソと話し合っていた。さらに、敵の動向を見ていた。

 アンバイドがゴンドを倒し、李章が登場するときも大人しく見ていた。それは、まだ奇襲してもいい状況ではなかったからだ。


 さらに、時間が経過し、李章がイドラの攻撃を避けたとき。

 瑠璃は気づく。ナンシが李章に向かって攻撃を仕掛けようとしていた。

 瑠璃は居ても立っても居られなくなり、ついに、電玉を発動し、赤の水晶の能力を使って、ナンシの目の前にワープ移動させた。

 「私、行ってくる。」

と、瑠璃が出ていった。それを礼奈が止めることはできなかった。瑠璃が李章のことを好きで、好きな人のピンチに黙って見ていることができないと礼奈は判断した。ゆえに、止めることができなかったということよりも止めなかったのほうが正しい。

 そして、礼奈は、奇襲をここで仕掛けた。イドラの足を凍らせるということで動きを封じ込めるために―。


 時は、瑠璃と礼奈がナンゼルらの集団に対して姿を現したときへと到る。

 (凍らされて…これじゃ……攻撃できない。)

と、イドラは心の中で思い、舌打ちする。

 イドラの右足が凍らされていて動けないことに気づいたファンシが、

 「イドラ。凍らされたのか。なら、俺がそれを溶かしてやるぜ。」

と、言う。

 礼奈はそのファンシの言葉の意味を考え、すぐに気づいた。

 ファンシの天成獣の力は炎の属性ではないかということを―。

 ファンシは自らの武器である槍を構え、炎を槍先の剣の先端のようなっている部分に纏わせた。ちなみに、ファンシの武器は、槍の両方の先端に剣の先端の形をした金属がある。炎を纏わせているのは、今自分が前を向いている方の槍の先端である。

 ファンシの武器の纏った炎は、熱を周囲へと伝えようとした。

 「温風」

と、ファンシが言う。そうすると、周囲へと暖かい空気が流れていき、イドラの右足を凍らせていた氷が徐々に解けていった。

 「ありがとう、ファンシ。これで十分に戦える。」

と、イドラは言って、凍らせた人間に対する仕返しするための闘志を燃えあがらせながら―。


 【第13話 それぞれの相手】


 一つの武器が不規則な動きをしながら突き進む。

 それは、フォースの武器である。先端の矢じりのようなものを一番前にして―。

 (あいつのような直接攻撃は苦手なんだよ。俺の武器は―…。すでに、一つが破壊され、しばらく展開することができない。くそっ!! これ以上長引かせるのは良くない。それに、他の奴とも相手しないといなけない。なら、あれを出すしかないか。あの武器を―…。)

と、アンバイドは心の中で考えていた。アンバイドは自らの武器の一つを出すしかないと考えていた。そして、決断したが、それでも、瑠璃、李章、礼奈やナンゼルらの奇襲してきた集団にあまり見られたくはない。特に、ナンゼルらに見られれば、ベルグへの復讐の()()()をわざわざ公開してしまうようなものだ。

 そして、アンバイドはフォースの攻撃を避けるが、フォースは自らの武器を操作して、アンバイドへと向かい続けてきた。

 (あの鎖みたいのは、攻撃を避けても、またすぐにこちらへと攻撃をしてくる。)

と、アンバイドは心の中で思いながら、歯がゆい気持ちであった。たとえ、アンバイドのように実力がかなり高いものでも得意な相手と苦手な相手がいる。フォースはまさに苦手な相手の部類である。

 「あたれ~~~~~~。」

と、フォースは叫ぶ。たとえ、アンバイドが避けたとしても、フォース自身の武器を巧みに操作してさえいれば、アンバイドが避けるなかで生じた隙をつくことができるから―……。

 キーン、と。アンバイドの武器の一つの中心部の玉のようなものにフォースの武器の先端があたった。しかし、玉のようなものにヒビを入れることができなかった。

 (防御されたか……。なかなかやるな~。)

と、フォースはアンバイドの武器の頑丈さを褒めるのであった。それは、フォースにとって自分の力をさらに出すことで倒せるのではないかと思えた。アンバイドの武器にフォース自らの武器をあたっているということから―。

 (今は武器を壊さず守れたが、…このままでは……。)

と、アンバイドは悔しさを噛みしめた。一方的に、フォースを倒せないということに…。

 フォースは自らの武器を戻した。そして、再度自らの武器をアンバイドへ向けて飛ばす。

 不規則な動きをしながらアンバイドのもとへと向かってきていた。

 (しょうがない。ここは出すか、切り札の武器を―…。)

と、アンバイドが心の中で思い、新たな武器を出そうとした。

 しかし、フォースの攻撃に割って入る影が一つあった。それは、フォースの武器を右足の蹴りで弾いたのである。

 「なぜ!! ここに。」

と、フォースは言う。フォースの心の中では、

 (あいつはさっきイドラの所にいたはずだ。どうして。)

と、思っていた。それもそのはず、フォースはアンバイドとの戦いの集中しすぎたせいで、李章がこちらに向かってくることには気づくことができなかった。

 李章は、瑠璃と礼奈がイドラとナンシとファンシの相手をしている間に、状況が不利であったアンバイドの所へ向かってきたのである。ただし、李章は瑠璃や礼奈の所にいたかったのであるが、瑠璃や礼奈のお願いによって仕方なくきたのである。

 李章は、足を地面につけて、立った。

 今まで攻撃をしてこなかった影の一つであるアルシングが、

 「フン!! 準備が手こずったが完了した。見よ、我の地の力を―――――――――。」

と、叫んだ。

 そうすると、アルシングの地面の周りを若干、浮き上がってきた。

 そのとき、アンバイドは、

 (面倒くさいが…これぐらいはやらないとな!!)

と、心の中で言うと、

 「回れ」

と、相手に聞こえない程度の声で言った。

 アンバイドの武器の一つが中心部の玉のようなものを中心として回転し始めた。それは、アルシング目掛けて向かってきたのである。

 アンバイドの攻撃に気づいたアルシングは、アンバイドの武器の攻撃を後ろに向かってジャンプすることで回避した。

 「チッ!! 外した!!!」

と、アンバイドは舌打ちしながら言った。

 アルシングは、アンバイドの武器の一つが回転するのを見て、

 (なかなかのレベルだな。物理攻撃もできるみたいだな。ゴンドを物理攻撃で倒したことからも言える。)

と、心の中で感心する。ゆえに、アルシングは、気を引き締めてかからなければならない相手だと確信した。

 一方のアンバイドも、

 (フォース(あっち)は李章に任せたほうがいいな。俺の今出している武器だと、相性が悪すぎる。不規則の直接攻撃は対処が難しいからな。それに、アルシング(あいつ)の方が今出している俺の武器が通用しやすい。)

と、心の中で思った。そして、フォースとの相手は李章の方が今の状況からアンバイドたちが生き残るために最善であるとアンバイドは判断した。


第13話-2 それぞれの相手に続く。

次回の投稿はたぶん、2020年5月中旬頃になると思います(予定)。

注意:予定は変更されることがあります。予定よりも早かったり、それよりも遅くなる可能性もあります。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。

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