表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
178/747

第90話-1 睨まれる理由

前回までのあらすじは、クローナはグランチェに対して、大きな一撃を放つのであった。

第90話に関しては、分割していきます。内容量の増加が理由です。

 【第90話 睨まれる理由】


 シュウウウウウウウ。

 煙のようなものが四角いリングの上に舞う。

 それは、双方の相手を視界に見ることを邪魔するのである。

 だけど、舞わせたのは、邪魔されている側の方がやったことなので、怒りをぶつけるわけにはいかない。

 ぶつけられるものでは、そもそもないし―…。

 これは、クローナの風の攻撃によって、今までの攻撃によって四角いリングの表面が削れて、粉塵になっていたものを再度舞わせていたのだ。グランチェではなく、クローナが―…。

 さらに、クローナの風の攻撃が、一部、四角いリングの表面を削ってもいる。それが、今の粉塵にも付け加わっている。区別などできやしないが―…。

 このような、光景を見ながら、粉塵を吸わないように再度、防御テント(バリア)を全面に展開する。

 そのおかけで、手を口から粉塵が入るのをおさえたり、目に入らないようにすることもする必要がなかった。それは、粉塵が防御テント(バリア)の中に入ってこなかったことに起因する。

 (………。)

と、クローナは、心の中で言葉にはしなかった。

 ただ、第九回戦第三試合の対戦相手であるグランチェが倒されていることを祈るばかりであった。

 たとえ、グランチェが、さっきのクローナの攻撃をうまく防いで戦うことができる場合には、もう一度、いや、二、三度ぐらいは戦うことができる分は残している。そう、天成獣から借りられる力の量は、十分に存在している。

 それでも、対戦相手であるグランチェが戦闘不能になっていることを望む。試合をこれ以上続ければ、四角リングの地面が剥き出しになり、足の踏み場がなくなってしまい、移動がしづらくなり、相手の攻撃が自分に当たる確率を上げてしまうのだ。そうなってしまうと、グランチェを倒すために使う力の量が増大してしまうのではないかと思ってしまう。


 数分の時間が経過した。

 この間、クローナは、風の攻撃を受けた時にいたグランチェのいる方向に視線を合わせぱっなしにしていた。

 そして、同時に、左右のグランチェの光を確認するが、それも、この数分の間にガタン、と崩れていき、しだいに、その光は消えていったのである。

 ゆえに、クローナは、確信はしなかったが、グランチェをあの風の攻撃で倒すことができたのではないか、と推測するのであった。それでも、グランチェがわざと光を消し、どこからか攻撃しようとしているのではないかという可能性も残っていた。

 だから、クローナは、油断することも、警戒を緩めることもできなかった。

 そして、数分で、粉塵が四角いリングの表面に落ちていき、しだいに、視界が良好になっていった。

 つまり、グランチェがどうなったのかがわかるのだ。

 クローナも自らの視界に、グランチェが徐々に見えてくるのであった。

 (………、あれは―…。)

と、クローナは、心の中で、言葉にする。

 意識的というわけではなく、無意識といったほうがいいだろう。その言葉は、自然という表現も似合うかもしれない。

 徐々に見えたのだ。グランチェの姿が―…。

 グランチェは、今、クローナが見ている視界の中に存在した。そう、クローナがグランチェに向かって、放った風の攻撃の方向と同じ方向に―…。

 グランチェは、武器を両手に持っていた武器を落としてしまっていた。

 グランチェの意識は微かなものであった。

 (私が、避けられなかった。いや、避けることができなかった。攻撃のスピードが速すぎた―…。だが―…わ…た……し………は―…………。)

と、心の中で、言葉にしながら、微かにあった意識はなくなっていき、四角いリングの上に、前から倒れていくのであった。

 バタン、と、音をさせながら―…。

 その中で、グランチェの気持ちは、まだ戦えると思っていた。自分の状態も理解できずに―…。暗くなる景気の中で、ただ悔しく思ったことであろう。

 実際に、グランチェは、クローナの風の攻撃を受けて、耐えることはできた。しかし、できたのはそれだけであり、その間に、グランチェ自身が自らの天成獣から借りられる力の量を使い切ってしまい、ダメージも受けてしまっているのだ。

 そうなってくると、意識を失うのも当然である。実際に、そうなのだから―…。

 倒れたグランチェが意識を失っており、戦闘不能状態であることを見て、確認した観客席にいる審判であるファーランスは、

 「勝者!! クローナ!!! これにより、第九回戦の勝利チームは、瑠璃チーム!!!!」

と、第九回戦第三試合の勝者と、第九回戦の勝利チームを告げるのであった。

 そのファーランスの言葉の後、観客席にいた多くの観客が歓喜の声をあげるのだった。それは、勝者を称えるため、良い試合をしたということを称えるためなどの多くの気持ちが入り混じっていた。


 歓声の中にあるのとは違う場所。

 そこは、中央の舞台である。

 そして、グランチェが率いるチームがいる場所。

 そこでは、一人の人物が呆然としてしまっていた。

 (………………グランチェが……敗れた………。俺よりも強い、グランチェが―……。)

と、アルフェは心の中で言う。

 アルフェにとっては、ありえなかった光景だ。クローナが子どもとはいえ、実力があるということはわかっていた。それでも、グランチェが倒せないほどの相手ではない。戦闘経験の差がもろにでやすいはずだ。

 でも、現実は、クローナが勝者で、グランチェが敗者だ。過去に決した以上、この時のこの結果を覆すことは今の時代の誰にもできないことである。ゆえに、確実な現実だ。

 アルフェは、この結果を受け入れないといけない。たとえ、残酷な結果であったとしても―…。それでも、グランチェは死んでいない以上、最悪で残酷な結果にはなっていない。再度、戦うことも可能であろう。

 アルフェの呆然としてしまっている姿を見た、瑠璃に似ている少女は、

 「グランチェ(あいつ)の戦い方は、威力が強いが、その分、次の攻撃への移行に時間がかかっていた。面白い戦い方ではある。広範囲攻撃にかなり向いているだろう。削れる戦力は多大だ。だけど―…、このゲームは、一対一、つまり、広範囲向けの攻撃は、確実に相手に当てるか、四角いリング(フィールド)を破壊しながら相手の動ける場所を減らすか―…。それができなかった時点で、グランチェ(あいつ)が勝てる確率はかなり小さくなっていたといってもいい。」

と、冷静にグランチェの範囲を言うのであった。

 瑠璃に似ている少女にとって、グランチェが強いことは認めている。戦い方も決して悪いものではない。だけど―…、威力の高い攻撃に頼りすぎて、戦略面が単純で、わかりやすすぎた。さらに、広範囲攻撃というのは、多数対自分一人の時に、多数に気づかれないときにかなりの効果を発揮する。そのため、一対一で、相手の姿がわかるのであれば、そのような広範囲攻撃は、発動するのが相手に丸見えになってしまう、かわされてしまうかもしれない。ゆえに、広範囲攻撃は、相手の足場を減らすか確実に相手にその攻撃を当てる必要がある。

 (もしも、クローナ(相手)がやったように透明のシールドのように光の鋏(あの技)を透明にすることができていたら、勝てたのにね―…。)

と、瑠璃に似ている少女は、心の中で言うのであった。

 その瑠璃に似ている少女の言葉を聞いたアルフェは、ただただ、その事実を鵜呑みにすることしかできなかった。戦闘のことを理解しているアルフェにとって、瑠璃に似ている少女が言っていることは事実に近いものであったからだ。

 「そうだな。」

と、アルフェは大人しく言う。

 そこには、雰囲気はその逆であり、感情という感情が目まぐるしくアルフェの体をめぐっていた。冷静な判断を認めない、火のように燃え上がる気持ちが―…。

 それでも、抑えておく必要がある。戦いに負けた者は、その戦いが正々堂々とルールの中でおこなわれたのであれば、負けたことに文句をつけるのは、その戦いを汚すことになる。李章の武器を奪ったりしたアルフェであるが、戦いに関しては、それなりの礼儀をもっている。

 ただし、それなりなのであり、もしもの時、自分がルールを破ることで生き残れるのなら、ルールを破ることに躊躇いはない。ルールよりも自分の命があってこそ、意味があるのだから―…。

 まあ、結局は、集団行動のとれないのは重々承知のうえで組んでいるチームなのだから、必要以上にチームに対する愛情はない。

 だけど、試合の進行に迷惑をかけるわけにはいかないので、アルフェは、グランチェを回収しに四角いリングへと向かうのであった。


 四角いリングの上。

 アルフェがそこに到着した。

 四角いリングに入る時、透明な何かがあったが、それは、簡単にすり抜けることができた。

 そして、アルフェは、倒れているグランチェのところへ向かう。

 そこでは、傷だらけであるが、息もしており、その傷も塞がっている状態であった。

 とにかく、アルフェは、グランチェを引きずりながら、四角いリングを降り、マドルフが気絶している場所の隣におくのであった。

 そして、瑠璃に似ている少女が近づき、一つの瓶をアルフェに投げ渡すのであった。

 それをアルフェは、キャッチする。

 「それは、回復薬だ。回復の促進を補助してくれる。特別製。副作用のことなら気にしなくてもいい、一日、体に必要な機能以外が動かないだけだから―…。その副作用の後は、まるで、今まで傷がなかったほどに元気になるから―…。」

と、瑠璃に似ている少女は、言う。

 瑠璃に似ている少女からしても、グランチェに対して、死んでほしいとは思わない。魔術師ローが調合法と術式を組み合わせて完成させた薬であり、その薬を一緒のチームで組ませてもらったお礼に渡すのであった。それ以上でもないし、それ以下でもない。

 瑠璃に似ている少女にとっても、チームに関しては、どうでもいいし、この第九回戦第四試合以後は、一切、関わりをもつことはもう二度とないのであるから―…。

 そうこうしているうちに、四角いリングの自動修復が終わったので、瑠璃に似ている少女は、四角いリングの上に向かうのであった。

 (瑠璃(あいつ)に復讐する!!!)

と、心の中で強く、強く、思いながら―…。


 一方、中央の舞台、瑠璃チームの側。

 クローナは、四角いリングから下りて、自分の属しているチームの元へ向かう。

 そこに到着すると、

 「クローナ、勝利、おめでとう。」

 「すごかったな、クローナよりも強い奴を倒すなんて―…。つまり、俺の修行をサボらずにやれば、もっと強くなれるということだな。」

 「傷は、目立っているのはないね。」

 「クローナさん。おめでとうございます。」

と、瑠璃、アンバイド、礼奈、セルティーの順で言うのであった。

 瑠璃は、クローナが第九回戦第三試合で対戦相手であるグランチェを倒したことを喜んだ。

 アンバイドは、クローナよりも強いグランチェを倒すことに成功したことに対して、喜んではいた。しかし、同時に思ってしまうのだ。アンバイドの修行に対して、クローナがサボったりしようとしなければ、グランチェを圧倒できたのではないか、と。その気持ちがあるために、さらに、大きな思ってしまうがために、口に出して言うのだった。

 礼奈は、クローナが対戦相手であるグランチェに勝利したことに対して素直に心の中で喜んでいるが、やっぱりクローナが試合の中で怪我していないかのほうが心配であった。ゆえに、礼奈はクローナを見て、見た目の上では目立った傷がなかったことに安心するのであった。

 セルティーは、クローナの勝利を喜んでいた。言葉として、社交辞令のような感じではあるが、気持ちとしては素直にそう思っている。社交辞令のような言葉でも、言い方に関しては、それとは異なる感じで、素直に思っていることが現れているようなものであった。

 クローナは、瑠璃、アンバイド、礼奈、セルティーの言葉を聞いて、

 「うん、勝ったよ。ありがとう。アンバイド以外。礼奈―…、怪我はしてないから―…。」

と、言うのであった。

 瑠璃、セルティーに関して、クローナは、素直に自分の第九回戦第三試合の勝利を喜んでくれてありがとうと思うのであった。礼奈に関して、クローナは、怪我のことを心配していたので、不安にさせないように、正直に怪我していないということを言った。

 瑠璃、セルティー、礼奈に関しては、素直に喜んでくれてありがとうと気持ちとしても言うことができた。しかし、アンバイドの余計な言葉に関しては、クローナのアンバイドに対する喜びの感謝の気持ちを相殺してしまうぐらいのものをクローナが感じたのであった。

 修行をサボろうとしたことに関する、アンバイドの余計な一言に対して、クローナは、

 (修行ちゃんとしてたでしょ。)

と、心の中で強くツッコむように言うのであった。

 実際、クローナとアンバイドの間には、修行のサボりの見方に対する相互の違いが生じている。そう、クローナにとって、真面目でおふざけのあることがアンバイドには不真面目で、修行のサボりに見えたのである。

 「ほ~う。そうか。なら、俺は、さっさと終わらせてくるか。第九回戦第四(次の)試合を―…。あ~、後、クローナ。お前の修行、明日から倍に増加…な。」

と、アンバイドは言いながら、四角いリングへと向かうのであった。

 アンバイドの修行追加の言葉を聞いた、その対象者であるクローナは、

 「そんなぁ―――――――――――――――――――――――――――――。」

と、叫ぶのであった。

 アンバイドは、四角いリングに上がろうとすると、

 「アンバイド―…、お前の相手をする気はない。」

と、言った声が聞こえる。

 その声を出したと思われる瑠璃に似ている少女の方へ視線を合わせる。

 (やっぱりか…。)

と、アンバイドは、心の中である確信を抱くのであった。

 今、瑠璃に似ている少女は、フードを被っている。ゆえに、アンバイドからその素顔を見ることはできない。

 声でやっとわかったというべきか―…。いや、確実に確信ができたのだ。

 ゆえに、四角いリングの上がり、瑠璃に似ている少女の目の前に言って、

 「ミラン。」

と。

 そして、瑠璃に似ている少女は、被っていたフードを後ろへ下げ、その素顔を現すのであった。


第90話-2 睨まれる理由 に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


そろそろ第九回戦第四試合です。対戦相手は、どうなるのだろうか。

では、次回の更新で―…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ