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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
174/748

第87話-2 光の一撃

前回までのあらすじは、第九回戦は、四角いリングの修復のために一時、中断することになった。

今回で、第87話は完成します。

本日の更新、二回目です。

 時間が三十分ほど経過する。

 中央の舞台。

 瑠璃チーム側。

 「四角いリング(フィールド)が完全に治った。」

と、クローナは驚きながら見る。

 クローナは、この四角いリングの修復作用に毎度、毎度驚かされる。

 クローナにとって、壊れたものは誰かが修復しないと、元通りになることはないのだ。さらに、人の手によるものでは、修復された部分がわかってしまうのだ。例えば、素材が違ったり、色が違ったりなどによって―…。

 ここの四角いリングの修復作用は、完全に試合前の状態に修復されるのだ。見た目からはっきりと同じであり、試合による傷自体が存在しないのではないかと思えるほどだ。この原理に関しては、失われてしまったがゆえに、わかっていない。

 クローナは、それがどうなっているのかという原理はわからないが、それでも、そのすごさには感心するのであった。

 そして、クローナは、四角いリングが完全に修復されたことを確認する。

 四角いリングへと上がろうとするが、審判からの声がないので、その気持ちを抑える。

 そして、時間が数秒も経過せずに、四角いリングの状態が完全修復されたと感じたファーランスは、

 「これより、中断していた第九回戦を再開します。第九回戦第三試合に出場する両チームのそれぞれ一名は四角いリング(フィールド)に上がってください。」

と、第九回戦再開を宣言する。

 その声を聞いたクローナは、

 「じゃ、行ってくる。」

と、自らの属しているチームのメンバーに向かって言う。

 「頑張って、クローナ!!」

 「大怪我だけはしないようにね。」

 「クローナさん頑張ってください。」

 「少しぐらい痛い目に会うのが一番いい。」

と、瑠璃、礼奈、セルティー、アンバイドの順で言う。

 瑠璃は、第九回戦第三試合でクローナが試合に勝つことを信じている。

 礼奈は、大怪我して重症になるのを回避してくれれば、試合に負けてもいいと思っているが、基本的にはクローナの勝利を望んでいる。

 セルティーは、瑠璃と気持ちは同様であるし、クローナの戦いをも楽しみにしていた。それは、クローナがどうやって、あの強い人物の二人のどちらかの第九回戦第三試合の相手にどう勝負を仕掛けていくのかが気になっているからだ。

 アンバイドは、普段、クローナに弄られたり、困らされている。だから、クローナは、少しぐらい第九回戦第三試合で痛み目にあって、修行に心の底から見た目を含めて真面目にやってほしい。さらに、クローナはアンバイドのことを敬ってほしい、とアンバイドは思う。

 そして、クローナは、四角いリングへと上っていくのである。


 中央の舞台。

 グランチェ率いるチーム。

 マドルフとアルフェは気絶している。

 気絶している二人は、近くに並べられておかれている。

 ゆえに、会話が可能であったのは、グランチェと瑠璃に似ている少女のみであった。

 「第九回戦第三(この)試合も、私の復讐対象は出場しないようだね。だから、第九回戦第三(この)試合もパス。」

と、瑠璃に似ている少女は第九回戦第三試合をグランチェにいかせるのであった。

 瑠璃に似ている少女にとっては、クローナは復讐対象ではない。ゆえに、戦いたいとは思わない。あと、残っているグランチェにでもやらせておけばいいと思っていた。復讐対象である瑠璃以外には興味がないのだから―…。

 (第九回戦第四(次の)試合。次の試合は確実に私が出場しないといけないのか。まあ、確実に次は、瑠璃(あいつ)を引っ張り出すだけだけどね。)

と、心の中で思うのであった。

 瑠璃に似ている少女が、この第九回戦第三試合に出場することがクローナが四角いリングに上がった時点でないと判断したグランチェは、自らが四角いリングへと向かって行くのであった。

 その時、

 (やっぱりあいつは嫌だな。もしも、俺の力がもっと強ければ、確実にあいつだけは屈服させていました。だが、そんなことを気にしても意味はありません。今は、目の前の相手です。)

と、心の中でグランチェはこう思いながら、四角いリングへと向かって行くのであった。

 瑠璃に似ている少女とグランチェがどっちが強いかと言えば、瑠璃に似ている少女だろう。戦闘センスのところもあるが、同時に、瑠璃に似ている少女は、武器が戦いに対して柔軟に対応しやすいのだ。グランチェもそこそこかどうかはわからないが、柔軟に対応することはできる。それでも、瑠璃に似ている少女の武器のそれより優れてはいない。

 さらに、力の使い方の点においても、瑠璃に似ている少女は、卓越しているのだ。あまりにも優れているので、グランチェは、ランシュの企画したゲームへの参加をかけた予選みたいなもので、真っ先に対戦を避けたのだ。そして、強いと判断して、瑠璃に似ている少女と組んだのだ。瑠璃に似ている少女の方もそれに賛成した。

 瑠璃に似ている少女は、一人のチームでも良かったが、グランチェに復讐対象である人物と試合で対戦となる場合は、優先的に瑠璃に似ている少女が戦うという約束をしてきたので、チームに加わったのである。瑠璃に関する情報も手に入る可能性があると思ったから―…。

 瑠璃に似ている少女は、瑠璃を睨み続けるのであった。


 四角いリングの上。

 そこには、これからおこなわれる第九回戦第三試合で戦う二人がいる。

 そう、クローナとグランチェだ。二人は、それぞれ自らの対戦相手を見る。

 それは、試合において、対戦相手を倒すために必要な弱点を探るために―…。

 そうこうしているうちに、クローナとグランチェが四角いリングの上に上がって、中央付近にいることを確認したファーランスは、

 「両者ともに試合を開始してもいいでしょうか。」

と、第九回戦第三試合を開始してもいいかと尋ねる。

 その言葉を聞いて、

 「OK!!」

 「試合を開始しても構いません。私の方は、すでに準備を完了しています。」

と、クローナ、グランチェの順に言う。

 クローナとグランチェ、双方ともに第九回戦第三試合を開始してもいいという返事であった。

 ファーランスは、右手を上に上げ、

 「これより、第九回戦第三試合―…、開始!!!」

と、宣言し、上に上げた右手を下に向かって振り下ろすのであった。

 こうして、第九回戦第三試合が開始されることになった。


 試合が開始されるとすぐに、グランチェは、自らの武器を背中にかけているショルダーから取り出す。

 ショルダーを四角いリングの外に投げて、自らの武器を構える。

 グランチェの武器は、槍だ。ただし、ただの槍ではない。天成獣が宿った槍である。

 槍の穂先には、金属のひし形になっている、相手を突くことを主とするものがある。

 そして、グランチェは、消える。

 (消えた!!)

と、クローナは、グランチェが目の前から消えたことに気づく。

 クローナは、すぐにグランチェの居場所を理解する。

 それは、トン、と小さいけれど、足音がした。そこへ視線を向きを変えようとする。

 「貫け。」

と、小さな声が聞こえる。

 クローナは、その小さな声を聞いて、驚く。

 そして、クローナは、グランチェの攻撃がくるのではないかと推測する。

 その声は、グランチェのものであり、グランチェは、クローナの真後ろに移動し、槍を素早く構え、突きを放つのであった。

 その突きを放って伸ばしたとしてもクローナには、届くほどではなかった。

 それでも、グランチェは、クローナにこの突きの攻撃が当たると確信していた。

 そう、グランチェの武器である槍が、光を発しながら伸びてきたのだ。

 クローナも何かが近づいてくると感じて、そこに片手に持っている自らの武器で防御の態勢をとる。

 キーンと、金属音がなる。

 それは、クローナがグランチェの突きの攻撃を防ぐことに成功したのである。

 (光!!)

と、クローナは、光が月のように伸びてきたことに気づく。

 クローナは思い出す。

 (第六回戦第一試合で(前に)戦った相手と同じ属性で、同じ攻撃方法!! それに、今度私の背後を突いてくる。もしも、以前に戦った同様の相手がいなければ、一発でやられていた。)

と。

 クローナは、以前、第六回戦第一試合でファーキルラードと戦ったことが今回のグランチェの攻撃への対処を可能にした。もしも、クローナがファーキルラードとの戦いを経験していなければ、簡単にグランチェによって倒されてしまっていたことだろう。

 それでも、経験があったからこそ対処し、次にどうするべきかクローナは考えることができる。冷静になって―…。

 (今、必要なことは距離をとっても意味がないし、遠距離からでも攻撃しないと近づくことすらできない。)

と、クローナは心の中で考える。

 そうしている間に、

 (いちいち、考えさせる時間なんて与えはしない!!!)

と、グランチェは、クローナの様子を見て心の中で思うのだった。

 そう、グランチェは、クローナが光で伸ばして突くという攻撃方法に対処しようとしているのだ。グランチェはそれができている理由はわかっていた。第六回戦第一試合のファーキルラードとの試合で経験して、その経験を生かして、対処しているのだ。

 ファーキルラードとは違い、初手から素早い移動により、背後を突こうとしたのである。経験があったとしても、一つだけ経験とは違うことをいれることで、クローナへの動揺を誘おうとした。

 しかし、クローナは、経験と直感をうまく活用して、何とか防ぐことができたのだ。

 そのことに関してグランチェは、わずかであるが、悔しくは思った。それでも、今は試合中。なら、素早くこれがダメということを経験の中に入れつつも、同様ではなく、速攻などの要素付け加えを考えての攻撃に移行すること。

 そして、クローナに考えさせる時間を与えず、攻撃する時間も与えずにさらに、攻撃をグランチェは、繰り出そうとする。単純な攻撃である。

 そう、再度、光を消して、構え、クローナに向かって突きを放つ。

 今度は、瞬間移動のような移動方法を実施せずに、最初に攻撃した位置から突きであった。

 クローナは、それに気づいて、風の攻撃の準備がまだ終わっていないので、

 「白の水晶(すいしょう)

と、言って、白の水晶を発動させて、防御テント(バリア)を形成するのであった。

 防御テント(バリア)はすぐに展開をし終えるのであった。

 ゆえに、グランチェの光の突きの攻撃は、クローナの展開した防御テント(バリア)に防がれるのであった。

 ただし、そこで終わるということはなかった。

 さらに、グランチェの突きの攻撃は、クローナの展開した防御テント(バリア)を貫こうとして、前へ動こうとするのだ。それも、しだいに、光の先端が回転し始めるのである。

 そのため、クローナの展開した防御テント(バリア)は、しだいに、光の突きの攻撃の接している部分からドリルによって地面を削っていくように、穴があき始めるのであった。

 それを見たクローナは、

 (あと、もうちょっとで、風を纏わせるのが終えられる。)

と、心の中で思いながら、少しでも防御テント(バリア)がもってくれることを祈るであった。

 (もう少しだ。)

と、グランチェは、自らの攻撃がクローナが展開した防御テント(バリア)を削っていっているのを見て、防御テント(バリア)に穴があけることを確信するのである。

 そして、グランチェの確信は、現実のものと変わる。

 (突き破った。後は伸ばすだけ!!)

と、グランチェは心の中で言いながら、光の突きの攻撃をクローナへと向かわせるのであった。

 それは、クローナにとって恐怖ではあるが、同時に、希望がその時に訪れた。

 (準備完了。)

と、クローナは、風を纏い終えたのだ。

 クローナは、右手に持っている武器を構え、横に振って、風を光の突きに向かって放つのである。

 さらに、左手に持っている武器を構え、右手での攻撃の後に、風を同様に光の突き攻撃に向かって放つ。

 この時間差のある攻撃は、両方ともグランチェの光の突きの攻撃に衝突する。時間差がそこに存在した。

 クローナの放った風の攻撃は、そんなに長く、グランチェの攻撃を抑えることができず、破られてしまうのである。

 だけど、クローナにとって、それは想定済みでしかない。

 それは、自らの二つの風の攻撃が、グランチェの攻撃を一時的に抑えることで、その威力を削ることに十分に成功しているのだ。

 ゆえに、クローナは防御態勢をとり、グランチェの光の突き攻撃を防ぐことができると判断した。

 キーン。

 音が鳴る。

 クローナの武器と、グランチェの光の突きの攻撃が衝突したのだ。

 結果は、クローナが、自らの武器に触れたグランチェの攻撃を逸らすことで防ぐことに成功する。そう、クローナの右手に持っていた武器に衝突し、クローナから見て右側に攻撃を逸らしたのである。

 その対応に対して、グランチェは、

 (なかなかやるな―…。)

と、心の中で思う。

 一方で、クローナは、

 (はあ…はあ…。強いんですけど―…、グランチェ(相手)。)

と、心の中で、グランチェの強さに驚くのであった。


 【第87話 Fin】


次回、鋏って!!!

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


カクヨムで、

『ウィザーズ コンダクター』を2021年5月1日から更新しています。

アドレス:

 https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138

と、なっています。

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