第87話-1 光の一撃
更新を再開します。
っと、その前に、カクヨムで更新を開始した作品について宣伝します。
タイトルは、『ウィザーズ コンダクター』です。
アドレスは、https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138 となっております。
主人公が男性であることは、前回の『水晶』の更新でも言ったと思います。
話しの内容は、2023年に世界が滅ぼされ、神によって創造された世界。神は人を創造した。そして、物語は、神によって創造された世界で、2023年近くまで、文明水準が回復した時代が舞台。そこでは、各田十言という神信学園に通う青年がいた。彼は、周りから悪魔と呼ばれ、ある意味ファンタジーな日常を送っていた。そんなある日、コンビニの帰りに神信会に命を狙われるも、自らに眠っていた能力を開花させて追い払うことに成功する。
この物語は、神を滅ぼす力を持つ青年が、理不尽を創り神を仲間の少女たちと滅ぼす話である。
こんなものかな、あらすじは―…。
ぜひぜひ、読んでいただけると幸いです。
宣伝はここまでにして『水晶』の内容です。
前回までのあらすじは、第九回戦第二試合、李章VSアルフェは、李章の勝利で決着がつくのだった。
【第87話 光の一撃】
観客席から歓声が湧く。
観客席を埋め尽くしている人たちによってなされている。
観客席の全てに観客がいるために、歓声は大きく、迫力のあるものになっていた。
歓声もしばらく鳴り止むことはなかった。
そんななか、四角いリングの上では、李章が四角いリングから中央の舞台の自らのチームのもとへと向かって行く。
それは、第九回戦第二試合が終わり、李章が対戦相手であるアルフェに勝利したからだ。
(刀を使うのはあまり慣れません。練習を始めたのが一週間前だから仕方はないことです。それに後悔はしていません。今回は、蹴りでの戦いが役に立ちました。刀と蹴り、これをどう組み合わせて、自分らしい戦いにしていくかが、これからの課題です。後、一週間、突き詰めていくしかありません。)
と、李章は、そう、強く、心の中で思いながら―…。
それは、李章にとって、自らの戦い方、今までの蹴りでの戦いと自らの武器である刀での戦いをどう組み合わせていくのか、それは大きな課題でしかなかった。蹴り攻撃をしている間、刀を使う攻撃ができないし、刀を使っている間は、蹴りの攻撃できないというところが李章の現状である。
たぶん、それを改善させていくのはかなり難しい道のりでしかない。できるかどうかはまだ、わからないだろう。
李章は、四角いリングを無事に相手に奇襲されることなく、実際にされるわけはないが―…、無事に瑠璃チームのいる場所へとたどり着くことができた。
「勝ちました。」
と、李章は自ら勝利したことをチームのメンバーに報告する。
「大丈夫? 怪我とかは?」
と、瑠璃が心配しながら尋ねる。
瑠璃としては、李章は武器を奪われたり、相手の風の攻撃を受けていたので、切り傷などの怪我をしていない心配になっていたのだ。
礼奈も同様に心配そうな表情で見つめる。
瑠璃と礼奈の心配は、共通している面もあるが、相異しているところもあった。怪我をしていないか傷が酷くなっている場所がないか、気づかないうちに大きな怪我を負っていないかという面では共通している。礼奈の心配はそこまでであったが、瑠璃の心配はさらにもう一つあったのだ。そう、李章がこれ以上危険な戦い方をして、酷い怪我もしくは死んで欲しくないと思っている。なぜなら、好きである以上、心配をかけさせてほしくなかったからだ。好きな人がいなくなるのは嫌だから―…。
「大丈夫と言いたいところですが。切り傷とは、小さいですがあります。でも、これだけで済んでよかったです。」
と、李章は、正直に答えながら、擦り切れている箇所がある腕や足を見せる。
そこには、数カ所ほどの小さい切り傷があった。それでも、戦っていたので、化膿している可能性もあったが、そこまで酷くなっているわけではなかった。傷薬を塗って、絆創膏を貼っていれば、一日ほどで治るほどのものであった。
しかし、絆創膏は、リース王国にはない。包帯は、かなり普及しているが、絆創膏を作るという技術が存在しないのだ。
そのため、礼奈が李章に近づいて、青の水晶を使って治すのであった。その時、傷口から黴菌が入って、傷口を化膿させて、腕や足を壊死させないように、水を傷口にかけてから、使うのであった。
その後、傷口にかけてあった水をタオルで軽く、拭き取って李章の切り傷の治療を終えるのであった。
観客席。
審判であるファーランスのいる場所。
そこでは、ファーランスは、四角いリングの状態を見ていた。
四角いリングは、第九回戦第二試合である程度削りとられていたのだ。そう、アルフェの攻撃で―…。
短い時間であるが、修復に時間を割く必要があった。
ゆえに、ファーランスは、
「四角いリングの修復のため、第九回戦をしばらくの間中断することにします。」
と、観客や第九回戦に参加しているチームに向けて言う。
その後、30分ほどの時間が休憩時間となるのであった。
観客席の中の貴賓席。
そこには、ランシュ、ヒルバスはもちろん、レラグ、クローマ、リークがいた。
レラグは、罰とはいえないもので、この場にいる。
クローマとリークは、ランシュやヒルバスによって、無理矢理に近い感じで連れてこられたのだ。
ランシュやヒルバス側の理由は、リークが相手チームの実力を実際に肌に感じさせることで、より強くなるためのきっかけと、実感してもらうことであった。
そのついでに、師匠であるクローマも連れてきたのである。後、もう二人ほど連れてきたかったのであるが、ていよく逃げられてしまったのだ。
それでも、その二人はちゃんと相手を試合の中で確実に分析することができるので、必要以上に第九回戦の試合観戦を求めなかった。
「マドルフとアルフェは、相手の実力を考えたうえで戦ってはいたが、油断があったな。優位を確立してから―…。」
と、ランシュは言う。
これがランシュが見た第九回戦第一試合と第二試合での感想だった。ランシュとしては、マドルフもアルフェの実力が礼奈や李章に劣っているとは思っていないし、現に劣っているわけではない。むしろ、単純な実力では、マドルフやアルフェの方が上なのだ。
だけど、現実は、マドルフとアルフェは試合で負けてしまったのだ。優位を確立したこと、マドルフでは時間停止を使って凍らされたことをなかったことにすること、アルフェでは李章の武器を奪うことを達成した時点で、心の中で油断が発生した。ランシュはそのことを見逃さなかった。試合において、強い者は、決して、相手の実力を油断なく計り、相手に主導権を渡すことになく、相手を戦闘不能の状態にすることができるのだ。ちゃんと正確に―…。
結局は、マドルフやアルフェは、ランシュの基準からして強い者という基準に達していなかったのである。
だけど、その中で、グランチェ、瑠璃似ている少女の実力は、マドルフやアルフェよりも強いものであり、油断して戦うという感じがしない。ただし、一人だけは、復讐のことしか頭にないのであるが―…。
ゆえに、ランシュは、第九回戦第三試合以後の試合に関して、心の中で楽しみにしているのだ。どう戦ってくれるのかを期待して―…。
「そうですね。マドルフのは明らかにわかりやすかったです。アルフェも対処はしていたと思います。しかし、天成獣の抵抗に関して、知らなかったようです。だから、自らの戦いの中で使う力の量の減り具合を確かめようともしていませんでした。そこは、残念です。」
と、ヒルバスは言う。
ヒルバスとしては、天成獣の抵抗というものを知らないのはしょうがないと思っている。それでも、力の量の減り具合ぐらい、ちゃんとしっかりと確かめてほしかった。さらにマドルフは、時を使う攻撃にバリエーションを増やして欲しかった。
(それに、マドルフは、時を攻撃までの瞬間移動と氷をなかったことにするだけに使用していたけど、触れた者のダメージを一時的にわざと止めたり、相手の時を止めたうえで連続攻撃するなど、相手を一時的に幼児化させるなど方法がたくさんあるのに―…。戦略性があまりにも礼奈よりも欠けていました。はぁ~。)
と、ヒルバスは心の中で思うのだった。
ヒルバスのマドルフのあまりに単純な戦い方に呆れてる表情は、ランシュもレラグの気づくほどであった。
「ヒルバス。呆れ顔をしているのがバレバレだ。いつものニコニコもしくはポーカーフェイスはどうした。」
と、ランシュは、ヒルバスらしくないと感じた。
それを指摘すると、ヒルバスはいつもの表情に戻すのであった。
(私としたことが―…。)
と、ヒルバスは、心の中で言葉にする。
ヒルバスとしては、自分のキャラクターというものを理解していた。優秀で、ポーカーフェイスで、ジョークもうまい性格で、周りの人の素の性格をうまく発揮させることのできるのだ、と。それでも、実際の周りの印象とは若干ではあるが異なっていた。ヒルバスの一般的なものは、ランシュを揶揄うが、優秀で、多くの者に対して公平に接することができる人物である、と。
「ヒルバスもそんな表情するのか、ランシュを揶揄っていることが多いから、呆れる表情を見ることはあるけど、ランシュ以外にそんな表情をするとは―…。面白いものを見ました。」
と、レラグがなかなか面白いものを見れたとにやけるのであった。
そんなレラグの表情に対して、いつもの表情のまま、レラグに向かって威圧をかけるのである。まるで、ヒルバスの後ろからレラグに向かって、黒いオーラが発せられるかのように―…。
そう思えてしまったレラグは、
(ヤバい、あれマジでやるやつだ。)
と、心の中で恐怖を感じるのであった。
そして、今にレラグは殺されるのではないかと感じる。
ゆえに、ごめんポーズをヒルバスの方向に向かってとるのであった。
ヒルバスも、そのポーズを見て、これ以上しても意味がないと判断し、威圧を抑えるのであった。
レラグは、
「俺は、マドルフやアルフェの力は実際に見たことがあるからわかるが―…、グランチェはどうなんだ。実際、ランシュ様の企画したゲームに参加するための決定戦の中では、ずっと、グランチェは何もしていなかったし、大半はマドルフやアルフェで簡単に倒していたが―…。」
と、ヒルバスへの謝罪をここで終わらせようとして、慌てて他の話題を話す。
それは、グランチェの戦い方や実力がどれくらいか、である。実際に、レラグは、グランチェが戦うところを見たことがないのだ。ランシュが企画したゲームへの参加をかけておこなわれたバトルロワイヤルの中で、グランチェはマドルフやアルフェに全てを任せ、グランチェ自身は何もしなかったのである。そんな様子を、レラグは、バトルロワイヤルの中でみていたのだ。
そのようなレラグの言葉を聞いたのか、
「そりゃ、グランチェがバトルロワイヤルの中で本気をだしたら、10回戦もゲームができるチーム数が生き残れるわけがない。グランチェは相手の攻撃を受けずに、全員を圧倒してしまうかもしれないからな。ランシュの意図がわかったうえで、あえて戦いをマドルフやアルフェに任せたんだよ。後、俺は寝たいから、大人しくしていてくれ。」
と、クローマが勝手に説明し、説明をし終えると眠ってしまうのであった。
クローマは、ヒルバスやレラグの会話が五月蠅いと感じて、目が覚めてしまったのだ。そして、その内容がグランチェのことであった。そのため、思い出したのだ。過去にグランチェの戦いを見たことがあることを―…。その戦い方は、広範囲攻撃であり、かつ相手の攻撃で一切ダメージを受けなかったのである。理由は、わかっている。あの戦い方は、クローマであっても、苦戦する可能性がある、と。それでもクローマは、グランチェと戦えば自分が勝つことに関して揺らぐことはなかった。
そんなことを思いながら、眠りにつくのであった。ここでの勝敗など俺にとっては意味ない。大事なのは、第10回戦、そう、最終回戦に瑠璃チームが進出することに重要なことはないのだから―…。ランシュの企画したゲームから考えると、試合前の不意打ちを認めているわけではなく、正々堂々の個人対個人のチーム戦である以上、瑠璃チームが最終回戦に進出することによって自分達は戦うことになるのだ。ゆえに、今はただ待つのみであった。
一方で、リークは、ただ、中央の舞台にいるアンバイドの方を見続けるのであった。アンバイドの実力がどんなものかを確かめるために―…。
中央の舞台。
瑠璃チームの対戦相手チームの側。
グランチェがアルフェを四角いリングから回収して、戻ってきていた。
「しばらく休憩になるようです。あなたはどうなされるつもりですか。」
と、グランチェは、瑠璃に似ている少女に尋ねる。
瑠璃に似ている少女は、グランチェの声を聞き、面倒くさそうに、
「私は、ここにいる。目の前に私の復讐対象がいるから―…。」
と、素っ気なく答える。
瑠璃に似ている少女にとって、今、この場に、自らの復讐対象である瑠璃がいるのだ。瑠璃の動向を監視しておかないといけない。もし、グランチェが瑠璃と対戦することがないようにするために―…。
瑠璃に似ている少女の言葉を聞いたグランチェは、
「別に、あなたの復讐対象との戦いに関しては、あなたに譲りますよ。そうしないと、私のほうが、あなたに殺されかねません。それに、あなたと私の戦いとなれば、お互いに死闘のようになってしまいますからね。周りに被害が出てしまいかねません。」
と、瑠璃に似ている少女とグランチェが戦った場合どうなるかをすぐに推測する。
さらに、グランチェにとって、瑠璃に似ている少女の恨みをかってまで瑠璃と戦いたいわけではない。それなら、瑠璃以外の瑠璃チームと戦ったほうがいい。瑠璃と戦うというデメリットばかりなものを選ぶよりも、他の選択肢のほうがデメリットは少ないのだから―…。
それでも、グランチェは、アンバイドと戦いたいとは思わなかった。アンバイドの強さは、グランチェよりも強いとグランチェは感じているから―…。
「よくわかっているようね。」
と、瑠璃に似ている少女はそれ以後、静かに復讐対象である瑠璃を見続けるのであった。
第87話-2 光の一撃 に続く。
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。
今日中の更新は、時間があれば、すると思います。
追伸:カクヨムで更新して『ウィザーズ コンダクター』の今日の更新は2021年5月12日20時28分ぐらいを予定しています。すでに、2021年5月1日から『ウィザーズ コンダクター』の更新は開始しています。