表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
171/747

第85話 自分の武器を取り戻せ

前回までのあらすじは、李章は自らの武器である刀をアルフェに奪われ、窮地に落ち込まれるが、アルフェの攻撃を李章は蹴りで防ぐのである。そして、李章はあることに気づく。

 李章が考え事をし終える。

 アルフェは、すでに、次の攻撃の準備を完了していた。

 「これでも喰らえ――――――――――――――――――――――――――――――――――。」

と、叫びながら、長刀の方を上から下に振り下ろしながら、風の斬撃を放つのであった。

 李章は、それに気づく。だけど、避けようとはしなかった。

 その行動は、試合を見ている観客を驚かせた。さらに、瑠璃チームや、グランチェ、瑠璃に似ている少女をビックリさせるのであった。

 李章は、今、周りの声がほとんど聞こえていなかった。耳が別に悪いというわけではない。ただ、集中していたのだ。周りが気にならないほどに―…。いや、一つの事に関心を払っているせいで、周りの音をほとんだ遮断しているのだ。

 李章は、自らの左足に、生の力を纏わせるのだった。

 そして、

 (とにかく、やってみます!!)

と、李章は心の中で言いながら、左足で蹴りの攻撃をする。

 そして、アルフェの放った風の斬撃と李章の左足の蹴り攻撃が衝突するのである。


 【第85話 自分の武器を取り戻せ】


 リースの郊外。

 リースの中への入口からは見えない場所。

 そして、人が通りかからないような場所。

 そこに、魔術師ロー、ギーラン、イルーナがそこにいた。

 三人は、ログハウスからローの空間移動という方法で、ここに移動してきたのだ。

 理由は、ギーランとイルーナとの間に生まれた娘の一人であるミランを探しだすためであった。

 場所は、わかっている。リース。そして、第九回戦が何を意味しているのか、ロー、ギーラン、イルーナにはわからなかった。だけど、それにミランが関連していることは明らかだ。

 ゆえに、

 「とにかく、リースの中へと入って、第九回戦とかやらが何を意味するのか聞いてみるしかないの~う。」

と、ローは言う。

 ローとしても、ギーランやイルーナの願いが叶うのだ。それは、喜ばしいことだ。そして、ベルグが言っていた、ミランと討伐組の一人に、首筋に水晶がある子の命を狙っている。それは、たぶん、誰がターゲットになっているのかはわかっている。ギーランにおいても予想がついた。

 (確かに、首筋に水晶が埋め込まれている子がいるのはわかっていた。でも、その子がなんでギーランの娘になるのじゃ…? 偶然、別の誰かという可能性も存在するのに―…。それに、たまたま水晶が埋め込まれてしまったという人だっているのじゃ。何か、確証できる証拠でもあるのか?)

と、ローは心の中で、ベルグの言っていたことに疑問を膨らませるのだった。

 (だけど、解決させる方法がないわけではない。遺伝子検査をすれば、可能であろう。イルーナのミトコンドリアDNAと、その子のミトコンドリアDNAを検査すれば―…。)

と、解決方法をすぐにローは見つけるのであった。

 ただし、ローが知っている方法は、自分が自らで創った方法であるために、他の誰にもできないのである。現実世界では使われていないような方法であり、科学的ともいえない方法であるが―…。

 そして、ロー、ギーラン、イルーナは、リースの入口へとたどり着くのであった。


 リースの中にある競技場。

 中央の舞台の四角いリングの上。

 李章が、アルフェの風の攻撃を左足の蹴り攻撃で受け止める。

 それから、数秒の時間が経過した。

 結果は、誰も驚くものとなっていた。そう、風の攻撃が李章の蹴りの攻撃で完全に防がれてしまっていたのだ。

 そして、風は、李章の蹴りの攻撃で完全に消失するものであった。

 (やっぱり、威力は十分にあるが、派手であることと、面全体で接しないと大きな威力のある攻撃になりません。さらに、派手な攻撃をしてくるので見落としていたが、他人の武器を盗んで、それも使って攻撃しているのです。何かしらのリスクがあるはずです。天成獣は、自らの宿っている武器を持つべき所有者を選びます。ゆえに、それができない他者が武器としてそれを使おうとしても使えない可能性があります。現に、武器を奪おうとしたものをみたことがありません。)

と、心の中で李章は気づくのである。

 それは、天成獣が宿っている武器が、所有者以外に渡った場合に、何かしらのリスクがあるのかどうかだ。実際に、そのようなケースでは、武器に宿っている天成獣の属性を使うことはできない。現に、アルフェは、李章の武器に宿っている天成獣であるフィルネの属性である生を一切、使っていない。使うことができないのだ。理由としては、天成獣は、自ら認めた者にしかその属性の力を使わせないからである。さらに、天成獣との相性によっては、抵抗を受けてしまうこともある。ただし、所有者以外に渡った場合でも、その者が天成獣との相性が良いものであった場合は、天成獣の属性の力を使える場合もある。

 結果として、アルフェは、李章の持っている武器に宿っている天成獣であるフィルネとは相性が良くないのだ。ゆえに、フィルネからの抵抗を受けていて、その抵抗によって、アルフェ本来の力が発揮できていないのだ。だから、李章でも武器なしで、生を纏うだけで、攻撃を受け止め、防ぐことができたのだ。天成獣の抵抗は、時間が経過するほどに強くなる傾向にあることから、次第に、その攻撃の威力も低下するのである。

 しかし、アルフェの風の斬撃は、中央の舞台と観客席を隔てる壁に衝突させたものは、後になっていくほうが威力が強いものであった。それは、一撃を強くしていたためであり、抵抗を受けていないわけではなかった。抵抗を受けていなければ、より強い威力だったのかもしれない。それに、その抵抗に、アルフェ自身が気づいていなかったのだ。理由は、フィルネが、それに気づかせないように、ゆっくり、ゆっくり、徐々に抵抗を大きくしていたからだ。

 つまり、李章は完璧ではないが、おおまかな面でアルフェの今の状態の正解に近いことに気づいていたことになる。

 李章に自らの攻撃が防がれたことに、アルフェは驚くしかなかった。

 (ありえないだろ。威力は最初に覆っていたものと変わらない。なのに、どうして―…。いや、そんなことは関係ない、俺の一撃で―…。)

と、心の中で動揺するもすぐに、アルフェは、自分がするべきことに気づく。

 アルフェは、風を自らの両手に持っている刀に纏わせるのである。

 そして、刀に風を纏わせ終えると、刀を李章の目の前にだす。この時、李章は一歩も動かず、ただ、アルフェが攻撃してくるのを待つのであった。

 アルフェは、双方の刀に纏っていたものをその刀の間の空間に渦をつくるようにしていくのである。それを放てば、確実に渦巻となり、李章に直接に向かってくるだろう。確定的にである。

 それでも、李章は動かず、ずっと、アルフェの方を見ているのだった。

 (何なんだ。動こうとしていない。どういうことだ。何かあるのか。でも、この攻撃は、威力は強いし、それに、すぐに李章(お前)のもとへと到達する。避けられるはずもない。)

と、アルフェは心の中で自信をにじませるのである。

 それは、アルフェが今からしようとしている攻撃がスピードの速いものであり、李章では避けることができないと思っているからだ。それほどに、これからアルフェが放とうとする攻撃はスピードが速いのだ。

 李章は、動くこともなく、アルフェの攻撃の準備を完了させてしまうのである。何もせずに―…。

 「さあ、俺の攻撃は完成した。これでも喰らえ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。」

と、アルフェは、天にも聞こえるぐらいに叫ぶ。

 そして、アルフェの風の攻撃が放たれる。

 それは、竜巻であった。ただの竜巻ではない。李章に向かって、直線的に竜巻を伸ばしていくのであった。まさに、李章という名の地面に向かって、落下するがごときだ。

 李章は避けない。ただ、何かのタイミングを見計らっているかのように―…。

 そして、アルフェの放った竜巻は、李章のいる位置を襲い、今度は、今までとは違う場所の中央の舞台と観客席を隔てる壁に衝突するのであった。

 壁は、何とか、表面が削られるだけでアルフェの今の竜巻による攻撃を防ぐのであった。


 そして、アルフェの竜巻を放つ攻撃は、約一分ほど続くことになった。

 その間、李章のいる場所は、竜巻によってアルフェからも見えなかったのである。

 さらに、アルフェは視線を中央の舞台と観客席を隔てる壁のほうに向いていて、そこに集中させていた。

 ゆえに、見逃してしまうのである。

 気づいた時には、遅かった。

 「ガァッ!!」

と、アルフェは声を漏らす。

 アルフェは、右手に痛みを感じたのである。そう、李章がアルフェの攻撃で落としてしまった刀を拾って、持っていた手に―…。

 どうしてなのか?

 それは、李章が右足で蹴り攻撃をしたのだ。李章は、アルフェが攻撃してくるのもわかっていたし、避けることもできると判断していた。自らの足に生を纏わせていたのだ。

 アルフェが竜巻が放たれると、竜巻が李章の避けられる距離のギリギリのところを見極めて、しゃがむのである。アルフェの竜巻が上下に長くなっているのではなく、李章に向かうという四角いリングの表面にほぼ並行であったのだ。ゆえに、倒れているほどと思えるぐらいにしゃがむことで、アルフェの竜巻を避けることに成功するが、それでも、四角いリングの表面を抉ってくるので、すぐに横に回避する。この時、李章は、アルフェに気づかれるかもしれないと思った。しかし、アルフェは、自らの放った竜巻の先にある中央の舞台と観客席を隔てる壁の方向に視線を集中させていたので李章が竜巻を回避し、アルフェへと攻めようとしていることには気づいていなかった。

 そして、李章は素早く移動するのではなく、音を立てずに一気に移動し、竜巻の攻撃がなくなると、すぐにアルフェの右手に向かって右足で蹴りの攻撃をしたのだ。

 そのために、アルフェは、右手に持っていた刀を手から放して、落としてしまうのである。

 そして、李章はさらに回転させるように動き、右足を地面につけ、その反動を利用して、左足で蹴り攻撃をし、アルフェにその攻撃をあてる。

 アルフェは、李章の左足の蹴りの攻撃により、後ろへと飛ばされるのである。

 そして、左足を地面につけさせた李章は、すぐに、自らの武器である刀を手に握るのであった。

 (ふう~、これで武器を取り戻せました。)

と、心の中で李章は、安堵するのであった。


 【第85話 Fin】


次回、決着の時!!

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


何とか、第86話まで完成させることができました。更新は、この話数からだいぶ近い時間にしていくと思います。そう、第86話は今日中の更新となります。

では、次回の更新で―…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ