表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
170/748

第84話 奪われた武器

前回までのあらすじは、李章は、アルフェに自らの武器を奪われてしまうのであった。

 李章は飛ばされる。

 それは、アルフェの周囲を覆っていた風が四方八方に拡散したからだ。

 それでも、李章は四角いリングの外に飛ばされないようにするために、右手を四角いリングの表面につくようにし、さらに、体をぶつけるようにするのである。

 そのおかげで、何とか、四角いリングの外に飛ばされることはなかった。

 とにかく、倒れながら、必死に四角いリングの上にしがみつく。

 そうすると、数秒で、風が止むのであった。

 (やっぱり、風を覆っていました。今は、態勢を立て直し、刀を奪い返すの先です。)

と、李章は心の中で言いながら、立ち上がり、すぐに、四角いリングの中央に戻るのであった。

 そうした後、李章の方をずっと向き続けていたアルフェは、

 (チャンス!!)

と、心の中で言う。

 そうすると、アルフェは、自らが手に持っている二つの刀を上に上げる。その二つの刀に風を纏わせる。それは、螺旋(らせん)状のように―…。

 ある程度、風を纏わせ終えると、今度は、クロスするのではなく、アルフェから見て右斜め上から左斜め下になるように二つの刀が平行の軌道で振り下ろすのである。

 その軌道上に風の斬撃が発生し、李章に向かって行く。

 「喰らえ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。」

と、アルフェは叫ぶのであった。

 李章は、アルフェから放たれた風の斬撃に対して、横に素早く避けるのであった。

 (あの攻撃を受けてしまえば、一発で四角いリング(フィールド)の外へ飛ばされてしまいます。)

と、心の中で思いながら―…。

 そして、アルフェの攻撃は、中央の舞台と観客席を隔てる壁に衝突するのだった。

 その威力は、アルフェの第九回戦第二試合の中の今までにおいて最高の一撃であった。


 【第84話 奪われた武器】


 アルフェの攻撃によって、中央の舞台と観客席を隔てる壁に衝突した後に、壁がいくつか削れたために、煙のようなものが発生する。

 それは、中央の舞台の一部を侵食するほどであり、グランチェ率いるチームのメンバーは、気絶しているマドルフを除いて、それぞれ心の中で思うのだった。

 (威力は十分だが、避けられているようではダメだな。これ以上、アルフェ(あいつ)が荒らされると退場する道が一つ塞がれてしまうし、それに、壁が壊れて落下してきたらこっちのほうが危ないのではないか。もう少しのその場にあった戦い方をしろ。まあ、今更、言ったところで無理か。)

と、グランチェは、アルフェのド派手に大きな一撃をだす戦い方に、注意することに諦めムードになるのだった。

 さらに、アルフェは、派手なこともするが、細かくて地味なことも得意なのだ。見せ方に少しこだわりがあるだけで―…。

 (派手にすればいいというわけではないけど―…、李章(あの少年)が落とした刀をすぐに拾って、武器としてうまく扱うのはうまいな。頭は回るようね。だけど、一緒には戦いたくはないね。それに、天成獣の武器を他人に奪われるようなミスは初心者でもしてはいけない。すれば―…、戦闘では相手に殺されても文句はいえないのだから―…。)

と、瑠璃に似ている少女は、アルフェが頭の回る人物であると思うが、このような派手でド直線のような攻撃は、一緒にいるとその攻撃に自身が巻き込まれる可能性あると思い、避けたいと考えるのであった。 

 さらに、自らの武器を奪われた李章に対して、悪態をつくのであった。愚かにもほどがあると思って―…。実際、天成獣の宿っている武器を手放さないようにするのは、天成獣の宿っている武器での戦いでは基礎中の基礎なのだ。それができない李章に戦い方を教えているであろうアンバイドに、教えておけよと思うのだった。


 一方で、観客席。

 その中で、アルフェのさっきの風の斬撃が衝突した場所とその周辺。

 そこでは、煙のようなが広範囲に発生していた。

 もしも、煙の中にいたのならば、前を見ることすらできないだろう。

 それでも、壁が壊れることはなく、修復されていくのであった。リースの競技場自体が、今は失われてしまった技術の結晶であり、損傷があると、競技場が勝手に自動で修復していくし、観客席には、いっさい傷がつかないような仕組みになっている。

 それがゆえに、観客は前が見えなくなるだけで、怪我をする人はいなかった。

 たぶんであろうが、観客の安全を確保しないと、この競技場を運営している者に賠償責任が法律上、この競技場が造られた時に定められていたがゆえだったのかもしれない。それは、今のこのリース王国の時代になってからはわからない。

 煙のようなものに覆われることがなかった観客たちも、李章とアルフェの試合に注目しながらも、多くの人々は、むしろアルフェの風の斬撃で衝突した場所にある煙のようなものであった。

 大丈夫なのか。自分たちのところには攻撃がこないのか。そう思うのだった。それぐらい、観客たちにとって、無視できるようなことではなかった。

 それでも、このランシュの仕掛けたゲームを止めることはできない。ただ、ただ、戦局を見守っていくしかなかった。


 四角いリングの上。

 そこでは、アルフェと李章が試合をしていた。

 李章は、アルフェのさっきの攻撃を避けた後、すぐに、アルフェのもとへと向かって行った。

 まだ、アルフェの周囲を覆っている風をどうすればわからない。それでも、李章は自らの武器である刀を取り戻さないといけない。

 そうしないと、長期戦になってしまえば、確実に李章はアルフェに倒されてしまうことになる。

 李章は、何とか背後に回る。

 (この蹴りで!!)

と、心の中で言いながら、李章は右足で蹴り始めるのであった。

 だけど、結果はわかりきったことでしかない。

 そう、李章の蹴り攻撃は、アルフェの周囲を覆っていた風によって、アルフェに直接当たることはなかったのだ。

 「裏をついてくるとはな。だけど、意味はない。」

と、アルフェは、李章の方向へと向きながら、自らの周囲にあった風を四方八方に飛ばすのであった。

 李章は、素早く右足を地面につかせ、左足で防御するかのように攻撃するのであった。

 左足は、アルフェの風の一部分に触れるのであった。

 その時、李章は、アルフェの風の攻撃を防ぐことができたのだ。飛ばされるのではなく―…。

 (どうなっているのですか。)

と、李章は心の中で、不思議に思うのだった。

 さらに、李章は続けて、

 (刀が奪われる危険というのは、今、私自身が武器をアルフェに奪われたことからもわかりますが、そのままやっても大丈夫。そして、さっきの攻撃を防ぐことができました。いったい―…、まさか、そういうことですか。)

と、心の中で考えると、気づくのであった。

 途轍もなく、簡単なことでしかなかったことに―…。


 【第84話 Fin】


次回、取り戻せ!! 己が武器を!!!

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


明日は、第86話が完成すれば、2話分(第85話と第86話)を同日更新すると思います。実際、まだ第86話は完成していません。あと、三分の一ぐらいかな? 量的には―…。

第86話の更新をした後は、次回更新、第87話以降は、2021年5月中旬頃になります。

では、次回の更新で―…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ