第12話 加勢
前回までのあらすじは、アンバイドの武器の攻撃をゴンドが受けた。
『水晶』のあらすじを大まかに追加しました。全7編になるかはまだ決まっていません。一様、予定としてのものを書いています。そのため、ストーリーの内容次第では、予定を変更することがあります。ご承知お願いします。
「ゴンドォォォォォ――――――――――――――――――――――――。」
と、ナンゼルの叫び声が森の中に響いた。
そう、ゴンドはアンバイドの三つの武器の攻撃をくらってしまったのだ。
そして、ゴンドにいた方向に成っていた草や木は幾程か粉々になくなっていた。
辺りには煙が充満していた。
煙はほんの数秒で晴れていった。ゴンド以外の六人は同様を隠せなかった。特に、ナンゼルはゴンドの闇の攻撃の威力の強さを知っていたから、尚更だ。ナンゼルや他の五人は、ゴンドはアンバイドのあの三つの武器の攻撃によって倒されたと思っていた。それも核心に近いものを抱きながら―…。
煙が晴れるとともに、一人の人の姿が露わになっていく。
その一人の人は、「はあ、はあ。」と、いう息のあがった声を出していた。
そう、一人の人とは、ゴンドであった。
ゴンドは自らの武器のハンマーを地面につけてやっとの思いで立っていたのである。
「はあ、……はあ……。これは効いたぜ。…………しかし、…俺はまだ……ここで…立っている。……そして、………俺は…戦える。」
と、息を切らしながらゴンドは言った。
「しぶといな~。お前。」
と、アンバイドが言う。アンバイドの表情は、当初、ゴンドがアンバイドの三つの武器の攻撃を受けて、立っていたことには驚いていたが、そのゴンドの姿を見て、すでにゴンドがアンバイドと戦って勝つのは無理であろうと推測した。すぐに冷静さを取り戻したアンバイドは、
「だけど――…、お前の力はだいたいわかった。さっさと倒すか。」
と、言う。アンバイドの武器の一つが、
「回れ。」
と、アンバイドに命令されると、回転し始めたのである。
そして、ゴンドに向かって回転しながら向かってきたのである。さすがに、これにはゴンドも驚かずにはいられなかった。
「何!!!」
と、ゴンドが声を上げるが、アンバイドの武器の一つはゴンドを直接攻撃を加えた。つまり、回転しながらゴンドの腹の部分を切ったのである。
そして、ゴンドは地面に向かって倒れていった。意識を失いながら―…。
「ゴンド!!!」
と、ナンゼルは叫ぶことしかできなかった。ナンゼルは無力と悔しさを実感していた。
ゴンドを倒すために、アンバイドがアンバイド自身の武器をゴンドの方面へと向けたの隙をとらえて行動に移す一人の存在がいた。そう、フォースである。
フォースは右足を前に出した。フォースの武器は鎖状に繋がれ、先端には剣の先端にあるような形をしたものが取り付けられていた。フォースは、自らの武器をアンバイドに向かって投げるのである。そう、先端の剣の先端のような部分にある形をしたものをアンバイドに向けて―…。そして、その反対側にあるものを握ったままである。
フォースの武器は、アンバイドへと目掛けていく。
(この鎖から逃れらない。)
と、フォースは心の中で思う。それは、自身の武器はたとえ避けられたとしても、すぐに対応して、相手に当てることは可能であったからだ。
(ここは避けるだけに限る。)
と、アンバイドは避けるという選択肢を選び、その動作をする。
アンバイドはジャンプしてフォースの攻撃を避けたのである。
フォースは自分の思い通りの動いてくれた思い、
「まだまだぁ~。」
と、叫んで、鎖の先端を上へ、飛んで攻撃をかわそうとするアンバイドに向けて動かした。
「喰らえ――――――――――――。」
と、フォースはさらに付け加えて言う。
フォースの武器の軌道が変わって、自らに向かって来たと気づいたアンバイドは驚き、
「何っ!!!」
と、言った。
しかし、アンバイドは保険を最初から賭けていた。アンバイド自身は、ファンシにつけられていたことに対して気づいていた。だからもし、ファンシが隙をついて狙ってきた場合、夜、テントの中でどうするか、一人に話していた。
タッと、その人物が現れた。そして、両手を地面につけ、両手を回転させることで、両足を回し、フォースの攻撃を防いだのである。
それを見た、フォースは、
「チッ!! もう一人いたのかよ。」
と、舌打ちしながら言った。
フォースの攻撃を防いだ李章を見ながらアンバイドは、
(少しはやるじゃないか少年。)
と、思った。
アンバイドは両足を地面につけ、襲撃して戦闘可能な六人をそれぞれ見る。
「ナンゼル、ゴンドの方はどうだ。」
と、フォースは、ゴンドの状態をナンゼルに尋ねる。ナンゼルは、アンバイドがフォースの攻撃を避け、李章が防いでいる間にゴンドの方へと向かっていたのである。
ナンゼルは、ゴンドの状態を素早く確認し、状態を言う。
「気絶しているだけだ。腹の傷はそんなに深くはないし。すでに止まっている。しかし、しばらくは戦闘に参加させることはできない。」
と、冷静さをもってナンゼルは仲間全員に向かって声を出す。
そのナンゼルの言葉に苛立ちと仲間一人やられた悔しさの感情を全面に出し、
「チッ!! くそっ!!! てめ~ら、ぶっ殺してやる!!!! ゴンドの分を含めてな―――――――!!!!!」
と、フォースは言った。
その様子を李章は、只々眺めながら、どのように動くべきかを考えていた。そう、李章が加わったとしても今の現状は六対二であり、李章とアンバイドにとって不利であることに変わりないと李章は思っていた。
一方で、アンバイドは、
(あ~……、あちらさんは本気になったのか。少々、厄介になってしまったなあ~。)
と、少し倒すのに苦戦するのではないかと予想していた。
【第12話 加勢】
とある場所。ベルグがいつもいる場所。
「いないのか、ベルグは。」
と、ちょうど来ていたランシュが言った。続けて、
「どこへ行ったんだ。教えてくれ。フェーナ。」
と、言う。
「ベルグなら現実世界へと行ったよ。計画の方を優先するとか言っていたけど…。」
と、フェーナが言う。
「はあ~。ベルグの悪いところがでているな。まあ、瑠璃、李章、礼奈の足止め、いや、討伐に関して影響はでないがな。本当に何を考えていやがるんだ、わかんねぇが、わかった。」
と、ランシュはそう言って、自らを無理矢理納得させて、ベルグがいつもいる場所から去っていった。
現実世界。一人の男が降り立った。
この男、ベルグは、ゆっくりと歩きながら、ある場所へと向かっていく。薄ら笑いを浮かべながら―。
「やっと会えるねぇ~。僕の計画を狂わした原因のギーランさん。」
と、ベルグは言う。
キーンと金属音が鳴る。
ここは、瑠璃、李章、礼奈、アンバイドが野宿している場所。
李章が襲って来たナンゼルらの集団の一人イドラに右足で蹴りを入れようとしたが、イドラの武器である弓によって防がれたのである。
この弓は、矢の先端を攻撃するときに接する場所がとても固くできているために、李章の蹴りだけで壊すことはできなかった。
「ぐっ!!」
と、イドラは李章の攻撃の強さに声が出てしまった。
(もしも、これを出さないで、李章の攻撃を受けていたら、僕は完全に一発でKOだった。しかし、僕は弓を出したんだ。だから、負けるわけにはいかない!!)
と、イドラは李章の攻撃の強さを実感し、自らの武器である弓を出したのだから勝たなければならないという自らの誓約という覚悟を噛みしめていた。そして、イドラは自分は負けてはいけないという気持ちを表情に出していた。
李章は右足での蹴りの後、イドラから少し距離をとり、離れた。
(あの弓の頑丈さは、今の自分では壊すことはできません。なら、どうやって相手に自分の攻撃を当てるかを考えていくべきです。)
と、李章はイドラに対して、どのように攻めようかと考えていた。イドラの動きを警戒しながら―。
一方、アンバイドは、ゴンドを倒し、そして、イドラは李章が現在引き受けているので五対一の状況となっていた。
(五対一か……。これをどうやって崩していくかだ。瑠璃と礼奈の女子二人はまだこのことを知らせていないから。援軍としては無理か……。なら、ここは様子を見ながらのほうがいいということか。)
と、アンバイドはゴンドとイドラ以外の五人をどのように相手をして倒そうか考えていた。そして、自らの結論をアンバイドは下した。
「お前は俺が仕留めてやる――――。」
と、フォースが言う。そして、フォースは自らの武器を剣の先端のような形したところをアンバイドに向かって飛ばす。
アンバイドは、フォースの攻撃に対してあまり得意という意識を持っていなかった。なぜなら、フォースの初撃を見たとき、一直線ではなく、向きを変えて来ていたからだ。そうなると、いくら避けようとしても体力の無駄にしかならず、フォースの優位を形成することになる。また、アンバイドの武器は防ぐことのできる武器であるが、今現在、瑠璃、李章、礼奈に対して、自らのもう一つの武器を見せたいと思っていない。よっぽどのことがない限り。ゆえに、
(くっ!! 操作してくる武器の攻撃は苦手だ。しょうがない。これで防ぐしかない。)
と、アンバイドは考え、実行した。
つまり、今アンバイドが出している武器の一つをフォースの攻撃の盾として使用したのである。そのため、アンバイドとフォースの攻撃している武器の間にアンバイド自身の武器の一つを挟ませた。
アンバイドの武器の一つとフォースの武器が衝突する。
キーンという、金属音が鳴る。金属はもちろんフォースの武器であり、アンバイドの三つの武器は金属ではない。そして、アンバイドの武器は金属より低い防御力しかもっていない。
そのため、フォースの武器がアンバイドの武器に当った場所は、アンバイドの武器の中心の玉のような物があるところであった。
フォースは自らの武器の先端を自らのいる近くへと引く動作をおこなった。
その結果、アンバイドの武器の中央部分の玉のようなものはヒビが入って、砕けた。
(くっ!! 俺の武器の一つが…、中央の玉が砕かれても、しばらくすれば同じ形で出せるが、その間にどうやってやっていく。少しヤバい状態かも。)
と、アンバイドは顔を滲ませて、考えていた。この状況を打開するために―。
アンバイドは決して弱くはなく。、ものすごく強いほうである。天成獣の力を借りての戦い方は熟練したものがあった。ゆえに、冷静さを取り戻してもいた。
アンバイドは簡単な結論を下した。自らのもう一つ武器を最悪の状況では使用して勝つということを―。それをどのタイミングで出すのがよいかを相手との戦いのなかで判断しながら―…。
イドラは弓を構える。すでに矢を弓にセット済みで、弓弦を後ろに引いていた。
「軽く、この攻撃で倒してやるだけだ。」
と、イドラは言う。
(とにかくイドラの射線から離れないと。)
と、李章が思った。弓攻撃において、矢を避けるのは普通の人間では不可能と言ってもいいぐらいだ。しかし、今の李章は天成獣の力を借りて戦うことができるので、イドラの弓攻撃を避けることは可能である。
「喰らえ――――――――――。」
と、イドラが叫び、矢はイドラの弓から放たれた。
李章はイドラの矢の攻撃の射線から素早く必要最小限の移動だけで避けた。
(何とか避けられた。)
と、李章はイドラの矢の攻撃を避けたときにそう思った。
「甘いぜ、李章。」
と、声が聞こえる。
それを聞いた李章は、気配を感じる。それは緑の水晶も警告するように、李章にとって危機であった。大ダメージを喰らう可能性のある攻撃が近づいていること―。ゆえに、李章は対処しようと焦る。
「ゴンド一人倒したからって、俺らは六人いるんだぜ。李章とアンバイド二人ではどうにもなりやしねぇ。」
と、声は言う。声の招待はナンシである。ナンシはアンバイドがフォースの攻撃に集中している隙にアンバイドより弱そうな李章を早めに潰そうとして向かっていったのである。李章はナンシの方を向くが―…。
「これで李章の負けだ――――――――――――。」
と、ナンシは勝利を確信しながら言う。そう、すでに李章はナンシの攻撃は逃れらないところにいた。
しかし、李章はそんなことよりも、ナンシの腹部あたりに目を向けていた。
「征け。」
と、声が聞こえる。そう、その声は、李章にとってとても身近にいる人の声だった。
そして、ナンシも気づく。
そこに、電玉があることを―。
「これは―…、光る……、いや、これは雷!!」
と、ナンシが言う。ナンシは電玉が雷を玉の周辺をビリっと動いていることを―。
ナンシは電玉を避けることはできない。すでに、ほんの十数cmの距離に電玉があったからだ。
そう、ナンシは電玉を喰らったのである。
「があああああああああああああああああああああああああああああああああ。」
と、ナンシは雷を全身に浴びてしまったのである。
イドラはナンシを助けることはできなかった。
すでに、ナンシの電玉が目の前にあったからである。もし、助けにいったのならば、イドラ自身も電玉の攻撃を受けてしまうことになる。そうすると、戦闘不能になる可能性が高く、そうイドラは判断したからだ。
ゆえに、イドラ自身が今できることに集中した。そう、ナンシが攻撃を受けている途中で、隙が生じていた李章を狙うため、矢を弓で射ようとして構えようとした。
しかし、イドラは気づく。構える態勢をとるために、足を動かそうとしたときに―。
「…………足が凍っている?」
と、イドラは足を見て、右足が凍っていたのだ。それも先端の方が―。
(なぜ!! どうしてだ!!! まさか、李章の天成獣の力なのか?)
と、イドラは自ら右足が凍っていることを言い、原因を考えた。つまり、李章の天成獣の能力が凍らせる能力を持つものであるのか、と。しかし、李章の天成獣の力は相手を凍らせることできない。
凍らせることができるのは―…、
「瑠璃が一人倒すことができたから、これで残り五人ってところかしら。」
と、言う。その声の正体は礼奈であった。ナンシを電玉で攻撃したのは瑠璃であった。
瑠璃と礼奈は武器を構え、ナンゼルらの襲撃者に対して姿を現した。
【第12話 Fin】
次回、襲撃者との対決はますますヒートアップへ!!
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。