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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第83話 相手に刀が―・・・

前回までのあらすじは、第九回戦第二試合が始まった。李章は、アルフェ相手に苦戦することになる。それはまだ、始まりでしかなかったが―…。

 アルフェの周囲は、風に覆われていた。

 それは、自らが起こしたものである。

 アルフェは、李章の蹴りの攻撃を自らの武器である長刀で防いだ後、弾き飛ばすために形成したのだ。

 結果、李章を弾き飛ばすことに成功する。

 それでも、李章は、何とか自らの武器である刀を抜刀して、四角いリングの表面に刀を刺すことで何とか四角いリングの外へと飛ばされることを回避したのである。

 そして、目の前にいるアルフェと、アルフェを覆っている風を見る。

 その間に、アルフェに聞こえないような声で、

 「緑の水晶(すいしょう)。」

と、言って、発動させるのであった。

 今、李章にとって欲しいのは情報である。アルフェへ攻撃する方法であり、それを安全になし、かつアルフェの攻撃にどうすればいいのか、ということである。

 〔李章、アルフェ(今日)の相手には、速攻で刀、使うのね。〕

と、フィルネの声が聞こえた。

 〔はい。だけど、まだ、蹴りの攻撃との組合せは完成していないので、そこまで期待できるものではありません。〕

と、フィルネの声に念話で返すのであった。

 そうして、李章は、緑の水晶の能力でどうすればいいのかわかったのだ。

 (刀で戦うの危険と隣り合わせになるが、そのままやっても問題なくできる―…。アルフェに攻撃しても大丈夫。ただし、長くそこにいるのが危険!! なるほど。刀を奪われることに注意!!? ですか…。刀を奪われても、奪い返すことができれば、勝利できます。わかりました。)

と、李章は心の中で、緑の水晶の能力の発動の結果を理解するのであった。

 ただし、すべてではなかった。

 (刀を奪われることに注意に関しては、わかりませんが、とにかく相手に攻撃にしないことには、どうにもなりません。)

と、心の中で李章は、ある一つのことを除くのであった。

 そう、刀を奪われることに注意というところに―…。

 一方で、アルフェの方では、

 (何をしているのかわからないが、李章(小僧)は、何かを仕掛けようとしている。攻めて、その仕掛けに引っかかるのは、御免蒙りたい。第九回戦第一(前の)試合でマドルフが礼奈(相手)に対して、攻撃して凍らされているのだからな。李章(小僧)の攻撃方法と天成獣の属性が完璧にわかっていない以上は、迂闊(うかつ)に攻めるのはよくない。俺は、直接攻撃が主ではないからな。むしろ、李章(小僧)の攻撃に対して仕掛けさせてもらう。あの刀で、イルターシャを倒したと聞くし。なら―…。)

と、心の中で、李章との戦いをどうしていくのかを決めるのであった。

 アルフェは、相手に対して素手や蹴りなどで直接攻撃することは得意としない。武器も長刀であることや天成獣の属性が風であることからわかるように、中距離、刀での直接攻撃、風を放っての長距離攻撃がメインなのである。ゆえに、アルフェ自身が戦いにくい攻撃方法を選択することをしなかった。

 また、李章が何かを仕掛けているのかわからないことも影響していた。それは、第九回戦第一試合で、マドルフが礼奈に攻撃して凍らされて、マドルフの装備している武器に宿っている天成獣の属性が時で、その時を使わないといけない機会に多く直面させられたからだ。その経験をも踏まえたうえで、攻めるという行動をアルフェはとらなかったのである。

 逆に、李章は、アルフェへと攻撃を選択する。そのため、李章はアルフェへ向かって移動を開始する。

 (攻めてきた!!)

と、アルフェは、心の中で李章が攻めてきたことに気づき、言うのである。

 さらに、アルフェは続けて、

 (それでも、刀での攻撃だろう。素直だな。性格は真面目で、頑固ってところかもしれない。)

と、心の中で李章の性格をそう思うのである。

 李章は、走って移動する。その前にすでに、刀は構えられ、李章から見て右手の側の方である。

 李章は、アルフェへと刀での攻撃をあてられる範囲に到達すると、移動を止め、右から左への横の軌道になるように刀を振るのである。

 その攻撃には、アルフェもすぐに気づいた。ゆえに、防御態勢をとることが可能であった。そう、アルフェは、自らの武器である長刀を上から下にしたかの軌道にしつつ、横の軌道になっている李章の刀での攻撃を止めるために、李章の刀にアルフェの長刀を当てるのであった。それは、成功することになる。

 ゆえに、アルフェは、

 (なかなか強く振るじゃないか。見事というところか。だが―…、甘いな。)

と、心の中で言う。

 それでも、アルフェにはわかったのだ。アルフェの刀よりも重量が軽く、さらに、自分の力でも押し切ることで、パワー対決に勝てる、と。

 それに、今の状況は、アルフェにとって、都合がいい。素早く攻撃すれば、斬撃を李章にあてることが可能であるからだ。

 一方で、李章は、

 (重いです。やっぱり刀の重量は向こうの方が上、しっかり握らないと簡単にこっちのほうが負けてしまいます。)

と、心の中で言いかける。

 その中で、李章が感じたアルフェの長刀の防御で感じた重さが、李章の今持っている自らの武器を落としてしまうのに十分であった。

 結果、李章は、アルフェの長刀の重さに耐えることができずに、自らの武器である刀を手から離してしまうのである。

 李章の武器である刀は、四角いリングの表面に落下していき、表面に触れると、金属音をさせながら、数回弾かれるようにすると、四角いリングに落ち終えるのであった。

 「!!!」

と、李章は刀を落としてしまったことに動揺もするが、緑の水晶が危機を李章に伝える。

 そう、李章は、視線を斜め上に向けると、アルフェが自身の武器である長刀を上に構えていたのだ。

 (まずい、隙を突かれた!!)

と、李章は心の中で思い、アルフェから距離を取ろうとするのであった。

 その時、李章は、自らの武器である刀を回収することができなかったのだ。急な出来事であったので、回収する暇すら与えてもらえなかったのだ。

 そして、アルフェは、長刀を振り下ろすのであった。

 ただし、これは、物理的な攻撃ではない。風による斬撃である。そう、アルフェが振り下ろした軌道上に斬撃が出現し、それが、李章に向かって行くのであった。

 このとき、アンバイドは、

 (アルフェ(相手)の方が、一枚上手だったな。)

と、心の中で言うのであった。


 【第83話 相手に刀が―…】


 アルフェは、目の前を見る。

 悔しそうにしながら―…。

 (クッ!! 避けられた!!!)

と、アルフェは心の中で言う。

 そう、アルフェは、さっき李章へ風の斬撃による攻撃をしたのだ。

 だけど、その攻撃はアルフェが一枚上手の攻撃だったにもかかわらず、すぐに李章は、回避してしまったのだ。

 結局、アルフェの斬撃は、一直線に突き進んでいき、中央の舞台と観客席を隔てる壁に衝突するのであった。

 その付近では、煙ようなものが発生し、風の斬撃が衝突した真上の観客席はしばらくの間、四角いリングでおこなわれている第九回戦第二試合を直接、そこにいたまま見ることができなくなってしまったのだ。

 ゆえに、そこにいた者たちは、アルフェに対してふざけんなと思いたい人もいただろうが、そんなことを考える余裕はほとんどなかった。それは、何がおこったのかを理解することができなかったからだ。目の前が煙のようなもので覆われてしまったがために―…。

 それでも、しだいに情報は伝わり、アルフェの攻撃を李章が避けたためであることを理解する。それは、観客たちのアルフェの強さを理解するには十分なものであった。

 一方、避けることに成功した李章は、アルフェの目の前に戻ってきていた。今のところ、アルフェへと攻める方法が存在しないのだ。

 そして、その間に、アルフェの方もすでに風を使って何かをしたのだから―…。李章へと攻撃するチャンスさえもその時は放棄してであっても―…。

 李章は、そのことに気づかなかった。

 (あと一秒、避ける判断を遅らせていたら、アルフェ(相手)の攻撃を真正面から受けて、四角いリング(フィールド)の外へと飛ばされるところでした。最悪を回避することはできましたが、刀を手から離してしまいました。天成獣の力は、時間が経つほどに使える量が減っていきます。とにかく、刀を拾わないといけません。ッ!!!)

と、李章は心の中で、これからどうすればいいのかを考えてしまい、目の前の状況を見ていなかった。

 それでも、考えている間に、目の前を確認する。ゆえに、気づいたのだ。

 李章の武器である刀が対戦相手であるアルフェによって握られているということに―…。

 「自分の武器から手を離すべきではないぜ。天成獣が宿っている自らの武器は、特に―……、な。」

と、アルフェは挑発するように警告する。

 その警告は、意味をなさない。すでに、李章の武器がアルフェの手に握られてしまっている以上に―…。

 李章は、ここで窮地に陥るのである。今、李章は、さっき、心の中で考えていたことの中にあったことが、李章の焦りに変えてしまったのだ。そう、天成獣の力がしだいに使える量が少なくなっていくことである。

 そして、李章の武器は今、アルフェが握っていることから、アルフェから取り戻さないといけないのだ。そうなると、李章は、確実といっていいほどに、アルフェの周囲を覆っている風に突っ込まないといけない。ダメージを受けることになったとしても―…。そうしないと、李章は、第九回戦第二試合に勝つことはできないのだから―…。

 「考えている暇があるのなら、こちらからいかせてもらうぜ。」

と、アルフェが言うと、自らが持っている武器の二つに風を纏わせる。

 そう、二つの刀を上に上げて―…。

 アルフェは、体格は決して、筋肉質でもなく、力がありそうに見えないが、パワーに関してはそれなりにあるのだ。長刀を持つために鍛えても、筋肉があまりつきにくい体質なのだ。それでも、鍛えた結果、長刀と李章が持っていた刀を片手で両方を持って動かせるぐらいにはパワーはあるのだ。

 李章は、とにかく焦りを感じていたとしても、対戦相手であるアルフェが攻撃をしてくることはわかる。ゆえに、そのことを考慮して、アルフェから、李章が持っていた武器を取り戻さないといけないのだ。

 「いけぇ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。」

と、アルフェは叫びながら、上に上げた二つの刀を振り下ろすのであった。

 その軌道上に二つの風の斬撃が形成され、李章のいる方向に向かうのであった。斬撃は二つは、クロスしてバツのかたちをしている。

 李章は、驚くも、アルフェが攻撃してくることはわかっていたので、避けるのである。少し早めのタイミングであるが、今、李章は自らの武器である刀をアルフェに奪われている以上、刀を持っている時のスピードよりも遅くなっている可能性があるのだ。

 そして、李章はアルフェの攻撃を避けることに成功する。

 アルフェの今の攻撃は、結局、中央の舞台と観客席を隔てる壁に衝突するのである。その前の中央の舞台と観客説を隔てる壁に衝突した斬撃よりも威力が強く、煙のようなものも、範囲が広く、長くなることになった。

 アルフェは、

 (また避けられた!!)

と、悔しそうに心の中で呟くのであった。


 観客席の中の貴賓席。

 そこには、ランシュ、ヒルバスらがいた。

 その中で、ランシュは、

 (なるほど、武器を奪われたとしても、うまく自分の状況を把握して避けているのか。経験があるのだろうな、李章(あの少年)は―…。だけど、相手はアルフェだ。試合を開始してからは、単調な攻撃を多くしているが、攻められた時は、機転の利かせた行動が多いな。さて、どうなることやら。)

と、心の中でこの第九回戦第二試合の動向を注視するのである。


 中央の舞台。

 瑠璃チームがいる側。

 アンバイドは、

 (アルフェ(相手)の方が一枚上手だ。今も、その状況に変化はない。だけど、李章の頑固な行動の経験が生きてくるとはな。さっきのアルフェ(相手)の攻撃を避けるタイミングが少し早めだった。天成獣の力が借りられていない状況をしっかりと想定しての動きだ。だけど―…、刀をアルフェ(相手)から取り返さないと、李章が不利な状況は変わることがない。むしろ、李章はアルフェ(相手)の攻撃の前に倒されてしまう可能性のほうが高くなる。さて、どうなる、第九回戦第二(この)試合。)

と、心の中で、第九回戦第二試合の動向を見ていくのであった。


 四角いリングの上。

 アルフェと李章が戦っている。

 アルフェには、わかっていた。

 (必ず、この自らの武器を取り戻しに俺に攻撃を加えようとしてくるに違いない。だけど、それはできないよ。)

と、心の中で慢心するのであった。

 アルフェが慢心するほどに李章が、李章の武器である刀を取り戻すことができないアルフェは思っているのだ。理由は、わかっているだろう。

 李章だって理由は、わかっている。それでも、しないといけない。アルフェに攻撃を意地でも与えて、李章自身の武器を取り戻さないといけない。そうしないと、この第九回戦第二試合に李章が勝つことができないのだから―…。

 李章は、瞬間移動に思わせるほどのスピードで移動する。まだ、そのようなスピードで移動することはできる。時間の経過が少ないことによるのだろう。だけど、いつまでもこのようなスピードで移動することはできないだろう。

 そして、李章が迷わずに素早く、右足でアルフェに向かって蹴りの攻撃をする。

 だけど、その攻撃がアルフェに当たることはなかった。

 「!!」

と、李章は驚く。

 それでも、予想できたことだ。ゆえに、意地でも蹴りの攻撃を決めようとして右足に力を入れる。

 しかし、そのことさえも無意味にしてしまう。

 「放て!!」

と、アルフェが言う。

 そうすると、アルフェを覆っていた風が四方八方へと拡散するのであった。

 そのために、李章は飛ばされるのであった。

 

 【第83話 Fin】


次回、まだ、奪われたまま―…、だけど―…!!(次回は、文量が短くなります。話数の関係上で―…。)

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


第86話完成後、2021年5月中旬まで更新をお休みします。このことに関しては、前回、詳しく言及したと思いますので、理由は省略します。

では、次回の更新で―…。

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