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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第9話-2 復讐を目的とする男

第9話の分割した後半部分です。

前回までは、瑠璃、李章、礼奈の旅にアンバイドの同行をアンバイドが提案したのであった。

 結局、瑠璃、李章、礼奈はアンバイドの提案を保留するという形で、とアンバイドに言って、瑠璃、李章、礼奈はアンバイドの部屋を出た。

 そして、瑠璃、李章、礼奈は、瑠璃と礼奈が寝る部屋へと三人で入っていった。

 これから、どうするのかを話すために―…。



 ◆◆◆



 一方で、アンバイドの部屋では、アンバイドが一人ベットで座りながら何かを考えていた。

 それは、喜びを含んだものであった。瑠璃、李章、礼奈とアンバイドが自ら探している相手が一緒であったこと。もし、瑠璃、李章、礼奈がベルグに狙われているならば、必ず奴らの部下が襲ってくるはずだ。そして、首筋に埋め込まれている水晶をもつ瑠璃という少女と一緒にいれば必ず魔術師ローがどこかで接触してくるだろう。以上の考えをアンバイドは想定した。

 ゆえに、


 (俺にも運気が巡ってきた。復讐を果たすためのな)


と、喜びと自らの強運を感じるのであった。



 ◆◆◆



 とある場所。

 ベルグは見る。現実世界の映像を黒い生物みたいなものから―…。

 つまり、黒い生物みたいなものの目をベルグ自らの後ろにいる黒い生物みたいなものに集めて、その黒い生物みたいなものが目から映像を映し出して―…。


 「ふ~ん、まだ時間は止まったままか。仕掛けた男も止まったままってことか。しばらくは動かないほうがいいね。現実(この)世界では―…」


と、ベルグは言った。

 そして、


 「これはいい状況とは言えない。だが、ここでランシュを差し置いて動くのもよろしくない。そうなると、今は機を待つとするか。いや、むしろ計画の準備に邁進するとするか」


と、続けてベルグは言った。


 「なら、ローのほうを倒す」


と、近くにいたフェーナが声をかける。


 「それは止めたほうがいいよ。僕の後ろにいる「()」が怒るから」


と、ランシュはフェーナのさっきの言葉が「私」という存在を怒らせることになるので注意した。

 なぜなら、魔術師ローを倒したいのは「私」という存在が自らによってなしたいからである。そうすることで―……。



 ◆◆◆



 一方で、ランシュはというと、リースのとある場所で、


 「ベークドがやられるとなると、それなりの力量のある人物もしくは集団を差し向けないといけないってことか」


と、ランシュは言う。


 「魔術師ローに関しては、牽制のみだな。あの魔女は殺すことさえできないのだからなあ。「(あの方)」以外にいないからなあ~」


と、ランシュは続けて、


 「やるべきはとにかく瑠璃、李章、礼奈(あの三人組)の討伐だな」


と、言う。


 「次は、俺らが行ってもいいか、ランシュさん?」


と、ランシュの後ろから声がした。

 ランシュは後ろへと振り向くと、七人の集団がいた。七人それぞれの体格はまちまちで、大きいのもいれば、そんなに大きくない者もいた。


 「ナンゼルか」


と、ランシュが言う。


 「ベークドを倒したってのがいるんだろ。そうなると、集団で対処するほうがいい。つまり、俺らが必要ってわけだよなあ~」


と、七人の集団の中で一番前にいて、最も七人の集団の中でランシュと距離を近くしていたナンゼルが言う。


 「ナンゼルなら―…………、そうか、なら、私からお願いしよう」


と、ランシュは言うと、声を高らかにして、


 「ナンゼル含め七名に、瑠璃、李章、礼奈(この三名)の討伐を命ずる」


と、映像機で瑠璃、李章、礼奈の顔を映し出して、その討伐を命令した。


 「はっ!! 必ずや成功させてみせましょう」


と、ナンゼルは言った。

 そして、ナンゼルを含む七人の集団は瑠璃、李章、礼奈の討伐へと向かっていった。


 (リースの騎士たちの情報では、ベークドの野郎が自らの支配を任された村で苛酷な労働を領民にさせていたという話―…。これが事実なら奴は処分しないといけない。俺の眼も節穴だったということか。領主たちが苛酷な支配をしないようにするための見せしめにしないといけないな。)


と、ランシュは心の中でベークドの処分を考えるのだった。

 ランシュにとって、自らの腹心との約束である以上、リースという国の政治に悪政があるのを嫌っている。なぜなら、因果は巡り、それが結果となって帰ってくるのだ。

 ランシュは、そのような結果を実際に、見たというよりも、想像できる出来事があったのだから―…。人を大量に殺すことに加担した者は、その被害者から報復を受けたことのように―…。

 ランシュは溜息を一つ吐くのだった。



 ◆◆◆



 瑠璃と礼奈が宿泊する部屋。

 そこには、瑠璃、李章、礼奈がいた。三人はこの後どうするのか、アンバイドの提案を受け入れるのかについて―…。


 「怪しいと思います。普通、見ず知らずの人と一緒に旅をするのはよくないです。それに―…、あの人が私たちを狙うためにわざと近づいてきた可能性があります」


と、李章は言う。

 李章は、アンバイドの旅への同行に対しては反対であった。それは一般的な現実世界、特に日本という国においての常識を当てはめるとそうなるからである。


 「私は、まだどうすればいいのかは分からないけど―……」


と、少し考えながら、


 「李章君の意見については一理あることはわかる。でも、この異世界については何もわかっていないのも事実だから。そうなってくると、アンバイドという人がいてくれると助かるには助かるのだけど―…」


と、礼奈はアンバイドの旅への同行に対しては反対とも賛成とも言えない状態で悩んでいた。


 (私は、たぶんアンバイドさんの旅への同行を望んでいる。それは、首筋に埋め込まれている水晶について知りたいから。そして、異世界には異世界のやり方があるし、そう考えると)


と、瑠璃は考え、


 「私は、アンバイドさんの旅への同行には賛成かな。この異世界については知らないことが多いし、知っている人がいると安心できるし、変な風習に巻き込まれてしまっても解決しやすいと思うから―…。それに、もし李章君が言っていたようにアンバイドさんが私たちを狙って罠にはめるために近づいてきたのであれば、気づいた時点でこっちから罠へはめてしまえばいいよ」


と、アンバイドの旅への同行に関して、瑠璃は賛成の意を李章や礼奈に示した。

 瑠璃は、李章がアンバイドの旅への同行を反対したのは、瑠璃と礼奈の二人を守るためであると思っていた。瑠璃は、李章を誰にでも丁寧で、礼儀正しく、優しい、品行方正の模範になる人だと思っていた。だから、その面があるところが好きになってしまったのかもしれないと瑠璃は自身を無理矢理に納得させる結論をだしていた。

 瑠璃のアンバイドの旅への同行に賛成の意に対し、


 「瑠璃さん。それは―…、さずがに―…」


と、李章は自分の意見とは反対であったことに対して、今すぐにでもやめさせようとするが、それを言葉にすることはできなかった。

 言えば瑠璃はショックを受けて悲しい顔するから―…。それを李章は見たいものではないと思っていた。


 「瑠璃がそういうなら―…。私も瑠璃の意見に賛成しようかな。それに、罠だとわかればこちらが罠にかけてあげればいいから」


と、礼奈は決心していった。

 それは、瑠璃の言葉と李章の言葉を考えた場合、危険を承知でもこの異世界について知っている人と一緒にいたほうがメリットが大きいから。アンバイドが罠をはめるために瑠璃、李章、礼奈に近づいてきたのであれ、そうでないのであれ、まずアンバイドの情報を知っておくこと。そして、他の人に聞きながら情報を精査すれば、この異世界についての情報を正確性の高いものとして知ることができる。アンバイドが罠をはめるためのものであれば、そのときは返り討ちにすればいいと礼奈は考えた。


 「…………仕方ありませんが、私も瑠璃さんの意見に従います」


と、李章が結局折れることとなり、アンバイドの瑠璃、李章、礼奈の旅への同行が決定されたのであった。



 ◆◆◆



 その後、李章は、自身の宿泊する部屋で、


 (私が、瑠璃さんと山梨さんを守らなければなりません。だから、アンバイドと一緒にいるときはひたすら警戒をしておかないといけません。私がしっかりしないといけません)


と、心の中で思うのであった。



 ◆◆◆



 夜は明け、瑠璃、李章、礼奈は朝食のとき、偶然同席していたアンバイドに旅への同行の提案を受け入れることにしたのであった。

 そして、アンバイドは自身の幸運を心の中で喜び噛みしめたのであった。

 ここでの偶然というのは、アンバイドにとっても偶然であった。

 もちろん、朝食後に、瑠璃、李章、礼奈が泊っている部屋に向かい、自身の提案を受け入れるのかを答えを聞く気であったのだが―…。

 手間が省けたということは、事実であるので、より喜びというものを噛みしめれるのだった。



 ◆◆◆



 一方、瑠璃、李章、礼奈を狙う刺客の一人、ナンゼルはリースとその周辺の書かれた地図を広げていた。

 そして、ランシュからもらった情報を整合していた。

 ナンゼルはそこからある結論に達する。


 「このまま行けば、瑠璃、李章、礼奈(あの三人組)はリースの方へと向かってきている。そうなると考えられるのは、ルーゼル=ロッヘを経由してくる可能性が高い。そうなると、その手前で迎え討とう」


と、ナンゼルは自らの結論を自分以外の六人に素早く伝達した。

 そして、ナンゼルは自分以外の六人に言う、


 「いくぜ、野郎ども」


と。



 ◆◆◆



 太陽がそろそろ真南になる頃、瑠璃、李章、礼奈はアンバイドとともに少し大きな村もしくは町の入り口にいた。


 「ここら辺でベルグを見つけるための情報が入る確率が高いのは、リースだろう。別に行きたいところがあるならそこから先に行くが―…」


と、アンバイドが瑠璃、李章、礼奈に対して言う。


 「リースに行きたいです。情報の入る確率が高いのならば―…」


と、瑠璃が言う。

 そして、李章も礼奈もアンバイドの言葉に対して瑠璃と同様であった。


 「そうか。なら出発しよう。今から行けば、明日あたりにはリースの中間点にあたるルーゼル=ロッヘに辿り着くことができる」


と、アンバイドが言う。

 そして、瑠璃、李章、礼奈はアンバイドとともにルーゼル=ロッヘ経由でリースを目指すのであった。



 【第9話 Fin】


次回、ナンゼル率いる集団が・・・!!

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。

やっぱり第9話は当初より長くなってしまいました。う~ん、話を作るのは難しいです。


2022年11月6日 以下を加筆および修正する。

①「そして、ナンゼルを含む七人の集団は瑠璃、李章、礼奈の討伐へと向かっていった」の後に、

「 (リースの騎士たちの情報では、ベークドの野郎が自らの支配を任された村で苛酷な労働を領民にさせていたという話―…。これが事実なら奴は処分しないといけない。俺の眼も節穴だったということか。領主たちが苛酷な支配をしないようにするための見せしめにしないといけないな。)

と、ランシュは心の中でベークドの処分を考えるのだった。

 ランシュにとって、自らの腹心との約束である以上、リースという国の政治に悪政があるのを嫌っている。なぜなら、因果は巡り、それが結果となって帰ってくるのだ。

 ランシュは、そのような結果を実際に、見たというよりも、想像できる出来事があったのだから―…。人を大量に殺すことに加担した者は、その被害者から報復を受けたことのように―…。

 ランシュは溜息を一つ吐くのだった」を加筆。

理由は、ベークドが領民に対して、苛酷な政治をおこなっていたことと、その後ランシュという人物の行動を考えると加筆する必要があったので―…。ランシュがベークドに命じて苛酷な労働をさせていたのではないかという誤解を与えてしまうためです。

②「この異世界については知らないことが多いし、知っている人がいる安心できるから」を「この異世界については知らないことが多いし、知っている人がいると安心できるし、変な風習に巻き込まれてしまっても解決しやすいと思うから―…」に修正。

③「偶然同席していたアンバイドに旅への同行の提案を受けることにしたのであった」を「偶然同席していたアンバイドに旅への同行の提案を受け入れることにしたのであった」に修正。

④「そして、アンバイドは自身の幸運を心の中で喜びかみしめたのであった」を「そして、アンバイドは自身の幸運を心の中で喜び噛みしめたのであった」に修正し、その後に、

「ここでの偶然というのは、アンバイドにとっても偶然であった。

 もちろん、朝食後に、瑠璃、李章、礼奈が泊っている部屋に向かい、自身の提案を受け入れるのかを答えを聞く気であったのだが―…。

 手間が省けたということは、事実であるので、より喜びというものを噛みしめれるのだった」を加筆。

⑤「明日あたりにはリースの中間点にあたるルーゼル=ロッヘに着く」を「明日あたりにはリースの中間点にあたるルーゼル=ロッヘに辿り着くことができる」に修正。

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