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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第8話 とある伝説の誕生

前回までは、領主フォルゲン=デン=ベークドを凍らせることに成功した瑠璃、李章、礼奈たちであった。一方で、魔術師ローは町へと到着していた。そして―、物語はまた一歩進み出す。

 氷漬けられたある男は心の中で言う、


 (なんだ!! この氷は!! 動かせない!! 凍らされた!! あいつらはどこから攻めるくるんだ!! わからない!! ここの領主であるフォルゲン=デン=ベークドがこんな瑠璃、李章、礼奈(ガキども)に~~!!)


と、怒りの感情を抱きながら―…。

 凍らされた男ベークドは、礼奈によって作られた氷の中から脱出しようともがく。だが、それを実現することは今のところできていない。

 そして、


 「あなたの負けです」


と、李章は言った。

 右足で蹴り入れようとしていた。氷漬けされているベークドに向かってあたるように―…。

 李章の右足による蹴りは氷にあたる。その右足の蹴りは氷を砕くこともできると思わせるように迫力のあるものである。


 (ぐっ!!!)


と、ベークドは感じる。

 この李章の氷への攻撃の振動が伝わったのか、ベークドはダメージを受けた。


 (決まりましたか?)


と、李章は確認の意味を込めて心の中で言う。

 そして、氷が割れた。ベークドを凍らせていた氷である。ベークドはその割れる衝撃で後ろに倒れていった。

 ベークドは頭を強くぶつけたのである。

 もし、仮に天成獣の能力を持っていない、または能力を借りることができなかった場合は、頭を打った衝撃ですぐにでも気絶してしまう。脳震盪さえ起こしているのかもしれない。語り手に医学の知識はないためよくわからないが、まさにものすごい衝撃に襲われるのである。だが、天成獣の能力を借りていたなら、気絶することは、たぶんよっぽどの強い衝撃(強い技や攻撃など)がなければ起こることはない。

 ゆえに、ベークドは、気絶することはなかった。


 (俺が―――…、この俺が――…負けることはない!! このぐらいの攻撃で!! 俺はくたばりはしない!!)


と、心の中で自らの心を鼓舞させるベークドは、ふらっとしながらも起き上がったのである。

 ベークドは、李章の攻撃によってベークド自身を氷漬けにしていた氷が割れ、その衝撃で後ろ向きに倒れて受けた衝撃の痛みから回復することは全然というほどできていない。痛みはベークド自身も感じている。強いというほどに―…。

 瑠璃と礼奈は、「!!!」と思うほどに驚いた。


 「復活した!!」


と、瑠璃と礼奈は言う。

 そして、李章は驚きを隠せないでいた。


 「私はまだ立てます……。はあ……………はあ……………………お前ら……はあ………………な………んか……………ぶっ殺してやる!!」


と、息も()()えになりながらベークドは言う。

 自らがまだ戦えるのだと、負けることがないのだということを言い聞かせるように鼓舞し、心の奥底からそう思うように―…。

 その形相は、信念? 切羽詰まった感覚? などをいろんな感情が入り混じったと思わせるベークドの表情は、恐怖に近いものを瑠璃、李章、礼奈に感じさせた。だが、瑠璃、李章、礼奈にとってその表情があったとしても自分達を襲った主犯者に対して、恐怖に近いものによって攻撃を控えたり、倒すこともできないほどの畏怖をも感じたりしない。むしろ、倒すことが瑠璃、李章、礼奈たちにとって自らを守ることにつながるとすぐに理解していた。

 だから、


 「征け」


と、瑠璃は発すると、雷の攻撃をベークドに向けて放った。

 瑠璃が放った雷の攻撃は、ベークドへと直撃した。ベークド自身、すでに立ち上がるのがやっとであり、瑠璃の攻撃に気づくのにさっき受けた攻撃の痛みによって遅れたのである。

 ゆえに、瑠璃の雷を攻撃を受けて、


 「がああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


と、叫び声をあげるしかなかった。



 ◆◆◆



 瑠璃の雷による攻撃がやんだ。

 その攻撃を受けたベークドは、シュウウ~~という蒸気みたいな煙をあげながら突っ立ていた。

 その状態を見た瑠璃は、驚きをこえてもうただ口をわずかに開け、呆れるに近い表情をするしかなかった。心の中で倒れてくれという言葉が何度も瑠璃自身の頭の中をめぐっていた。礼奈にしても李章にしてもそうだった。ここまでの攻撃を喰らっても立っていることがありえなかった。ベークドの表情が礼奈や李章の心の中にある恐怖が自身の感情の主要を占めるという状態になっていた。

 しかし、瑠璃、李章、礼奈の恐怖の感情は、すぐに落ち着いていった。

 それは、ベークドが後ろへと倒れていったのである。


 (俺が負けた―――!!)


と、心の中でベークドはつぶやきながら地面に倒れた。

 その衝撃はベークド自身を気絶させるほどに―…。



 【第8話 とある伝説の誕生】



 とある場所。

 そこには、円になっているものがある。その円は映像を映し出しているのである。

 そう、領主の館に仕掛けられた記録するための物によって送られてくるものを、今、映像機を用いて円状に映し出しているのだ。

 そして、ベークドと瑠璃、李章、礼奈の戦いを映像機で出される円状の映像を見ていたある人物は、


 「ベークドが倒されるとはなあー。まあ、ベークド()の実力は下位より少し上ってものだが―…。これがダメとなると~」


と言う。

 ある人物であるランシュが続けて、


 「だが―…、気になるのは今、我々でも行方を追うことのできない―…、あの魔女の動きだ」


と言って、表情を険しくしていたランシュであった。

 ローを追うことは難しいことであり、ローもどうやって自らの敵と思われる勢力や人物から気づかれずに行動できるのかをちゃんと理解している。経験年数が違うというものだ。

 その後、ランシュも瑠璃、李章、礼奈のこと以外にも本来の仕事があるので、そっちの方に取りかかるのだ。腹心との約束を守るために―…。



 ◆◆◆



 城門を通って町のなかへと入っていったローは、ただ歩いていた。ある場所に向かって―…。

 今は、夜が始まった時間であり、町の中では露店が大量に出店されていた。露店から漏れる光は、この町を黒の世界をつくる夜から紺色の夜へと変化させていた。そして、多くの人々が露天のある大通りを行きかっている。露店で食事をし、酒などを飲んでいる大人たちの声が漏れ聞こえていた。ローはそんな中を歩いていく。目的の場所へと向かって―…。

 ローは、目的の場所へと自らの記憶をたどりながら、周囲の景色から何かそこへ向かうための手掛かりを探りながら進んでいった。

 そして、そこである人物に出会う。


 「お主は…、ナルクの領主じゃないか」


と、ローはナルクという今いる町の領主とされる人物に声をかける。

 それに反応したナルクの領主は、


 「あなたは―…、もしかして…ローさんですか?」


と、ローに向かって尋ねる。


 「そうじゃ。儂が魔術師ローである。久々じゃのう~。コーエンル」


と、ローがナルクの領主コーエンルに自らの名を名乗り、挨拶をする。


 「お久しぶりです、ローさん。今回はどんな用でこの町に来られたのですか」


と、コーエンルもローに挨拶をし、どんな要件でナルクに来たのかを尋ねた。

 すると、ローは、「実はのう~」と言って、コーエンルに要件を伝える。

 そして、ローは、コーエンルの案内で目的の場所へと向かっていった。



 ◆◆◆



 ローは、自らが目指していた場所についた。

 そこは、一軒の家であった。その家の玄関は、何段かある階段の上にあった。


 「ここです。ローさん」


と、コーエンルは言い、その後ローさんに別れを告げて去っていった。

 その間に、ローは、


 「案内ありがとうのう~。今度困ったことがあったら力になるぞい」


と言って、コーエンルの案内に対する感謝を伝えた。

 ローは何段かある階段を昇り、玄関の前に立つ。


 (この中に―…)


と、ローは目的の場所である家の中にいる人物に期待しながら―…。

 コンコンと、玄関をノックする。

 そして、玄関が開けられ、一人の人物が顔をだす。

 その人物は、瑠璃や礼奈の年齢の面でほとんど変わらず、同年代といってもいい女の子であった。

 ローは、目的の場所にいる会いたい人物であったので、


 「久しぶりじゃのうー」


と、女の子に向かって言った。


 「お久しぶりです、ローさん」


と、女の子は答えるのである。


 「元気そうで何よりじゃ、クローナ。さっそくだが、本題に移らせていただく。クローナ、お主に頼みたいことがある―…」


と、ローはクローナという少女に自らの頼み事をしようとする。


 「何でしょうか?」


と、クローナは言う。

 そして、ローはクローナに頼み事を話すのだった。

 これは、瑠璃、李章、礼奈にとっても関わってくることであった――…。



 ◆◆◆



 一方で、瑠璃、李章、礼奈たちについては―…。

 瑠璃、李章、礼奈が領主ベークドを気絶させることで倒すことに成功した。その後、瑠璃、李章、礼奈を襲った館の人間を縛って閉じ込めている場所へと赤の水晶の能力を使って空間移動をさせた。そのとき、領主ベークドは気絶している最中であった。

 この閉じ込めている場所とは、簡単にいうと牢屋である。瑠璃、李章、礼奈が領主の館を探索している最中に発見した場所であり、そこに瑠璃が赤の水晶の別空間においていたレクンドやシークドを牢屋の中に無理矢理が落とした。その衝撃で目覚めるレクンドとシークドは、再度瑠璃の雷の攻撃で気絶させられた。そして、瑠璃、李章、礼奈は自分達を襲ってくる敵を倒し、気絶させて、赤の水晶の能力で牢屋へと送っていったのである。結局、牢屋はたぶん人で満杯であろう。牢屋にいる人たちは身動きもできないほどになっているだろう。



 ◆◆◆



 時は流れ、瑠璃、李章、礼奈が館の中に入った夜が終わり、朝日が顔を出し始めている。

 ここ、領主フォルゲン=デン=ベークドの治める村の人々の朝は早い。なぜなら、この領地は、リース王国の中に属しているのであるが、税金は一番ではないが、それでも多い方である。ランシュとしても、ベーグドがこのような支配をしていたと思ってもいなかった。

 完全なほどまでにベークドのことを信頼しているわけではなかったが、それでも、話した感じはそこまで悪い人間のように感じなかった。その時は、何とか上手くベークドの方が誤魔化したのであるが―…。まあ、ランシュ部下で、ランシュの側にいる者は若干であるが、怪しい存在であることに気づいてはいたが、それでも、二年前の出来事によって政権を完全ではないにしても掌握したばかりで、基盤を確立させられていたわけではないし、対外的な関係にも注力しないといけないし、ランシュに敵対する勢力がまだまだ力があったので、それに割かないといけなかったので、ベークドの悪政は見逃されてしまったのだ。ランシュに忠誠は誓っているようであったので―…。

 それに、ベークドの方もランシュに対する忠誠は、完全な見せかけのものではなく、自身が生き残るために必要であるものだと思うし、ランシュの実力がかなりのものだとわかっているので、ランシュの庇護下にいることを自ら望んだのだ。ランシュと敵対する勢力とは縁を切って―…。

 ベークドは、同時に、領主である地位に溺れていった。権力とは、他者を自由自在にコントロールできるという側面が完全にではないがあるので、何でも自分の言う事を聞いてくれると思い、身勝手な要求をするようになる。

 そのせいで、ベークドが治める村では、税などが高くなっていったのだ。

 村に住んでいる人々は、ベークドが強い存在であり、力で村人など簡単に制圧できることを理解させられているので、逆らうことができずに、ただただ受け入れるしかなかった。それに、ベークドは村人を奴隷か何かと勘違いして使うようになった。

 そう、村人が生活するための耕作地に加え、領主が直接に経営している耕作地を耕すことを強制されたのだ。それを耕すために朝早くから領主ベークドの部下である者たちが、村人たちを無理矢理、日の出の時間に起こそうとするのだ。起きなければ、家を壊されるということもあるほどだ。

 さらに、一日中、領主ベークドが直接に経営している農地を耕された後、村人たちは夕方に自分達の農地を耕すのだ。

 領主が直営している農地から、村人たちが耕した分の給料が支払われることは一切ないし、昼食も含めて自前で用意することになっている。一方で、村人たちが持っている自分達の農地においても、税金が課されており、前に述べたように税金が上がっているのだ。

 要は、村人の暮らしは決して楽ではなく、生きていけるのがやっとであり、収穫祭などというお祭りをやることができるぐらいの費用もないし、時間もない。休みが年中ないのだ。

 そして、暮らしが良くないということは、村人のかっこうもみすぼらしいということになる。

 つまり、今日も今日とて、領主が経営している農地の耕作をしないといけないということだ。

 だが、今日はそうではなかった。

 領主の部下たちが無理矢理起こしにこなかったのだ。

 ゆえに、それを不思議に思って一人の男が家から外に出るのだった。

 辺りを見回す。

 だけど、領主の部下は一人もいなかった。

 だからこそ、一人の男は思う、


 (あれ、今日は来ないのか。領主の部下は―…。それに、今日はやけに静かだ。いつもなら、領主の部下の声が騒がしいほど聞こえるのだが―…)


と。

 今起きている不思議な出来事に疑問を感じながら、村の様子を一人の男は見ていく。それも警戒心を出しながら―…。そう、もしも領主の部下に見つかったら何をされるかを想像するだけで恐怖を感じ、見つからないようにするために―…。

 だけど、領主の部下に見つかるはなかった。そして、領主の部下が館から出てくることもなかった。やがて、一人の村人が自らの家の近くに戻ると、他の村人たちも外に出てきていた。


 「今日は、来ませんねぇ~。領主の農地の労働をさせに―…」


 「そうじゃのう。今日は何かあったのじゃろう」


 「もしかして、領主がこの村が出ていったとか」


 「もしくは誰か英雄が現れて、領主を倒してくれたとか」


 「もし英雄が領主を倒してくれたことがあったのならば、そりゃあ今日はお祝いやじゃ」


と、村人たちは各々に会話をしていた。

 そして、村人たちの中の一人は、


 「なら、館がどうなっているのか見に行ったほうがいいんじゃね。確認するために―…」


と言う。

 それに対して、村人たちは領主の館へと向かおうとする。

 そして、領主の館へと向かった村人たちは、村の子どもが使っている侵入口から館の中の庭へと入っていった。そう、大人一人がやっと通れるものほどの広さであった。そして、館の玄関へと村人たちが来て、無理矢理こじ開けて館の中に入ると、驚きの声をあげる。


 「これは……」


 「どうなっておるんじゃ。まさか、神様が悪徳領主に天罰を下されたとか。」


 「そうだ、そうじゃないとおかしい。英雄様はいらっしゃたんだ。」


 「私たちを救いになられたのだ。」


 「そうだ、そうだ。」


と。

 そう、玄関近くの壁にひびがはいっており、何かをぶつけた跡があるのである。これは、李章とシークドの戦いによるものであった。

 村人たちは領主の館の中を進んでいく。



 ◆◆◆



 瑠璃、李章、礼奈は、領主の館の中で一晩を明かした。

 使った部屋は客間のような一室であり、瑠璃と礼奈が一緒に仮眠をとった。

 朝になる頃に、瑠璃と礼奈は起きて、李章がその部屋で仮眠についた。

 もしも、領主の部下もしくは領主が牢屋をやぶって攻めてきたときに対応するために、交替で仮眠を取ることにしたのだ。

 李章は現実世界にして3~4時間ほど仮眠をとった。そして、起きるとすぐに、瑠璃と礼奈に伝えた。


 「十分睡眠がとれましたので、これからどうするかことにしましょうか? 瑠璃さん、山梨さん」


と。


 「う~ん。ずっとここに留まることはできないし。それに、石化から戻すために、情報を集めないといけないし、ベルグって人を探さないといけないから~。う~ん、やっぱり都市かな~。いや、ここはまず領主と呼ばれる人から聞くしかないかな。いろいろと―…」


と、礼奈は考えながら言う。


 「そうですね。今はとにかく情報が欲しいといったところです」


と、李章が返答する。


 「それじゃあ、牢屋の方に行く」


と、瑠璃が尋ねる。

 李章と礼奈は頷き、瑠璃、李章、礼奈は牢屋の方へ向かっていった。



 ◆◆◆



 しかし、その途中で多くの人と出会うことになる。

 それは、多くの人―…、いや領主フォルゲン=デン=ベークドが治める村の村人たちであった。数にすると数十人、老人、青年、女性など幅広い年齢の人々がそこにはいた。

 村人で長老のような風貌をもつ老人の男は、

 「お主たちは何者ぞ。一体ここで何をやっているのか」

と、瑠璃、李章、礼奈に尋ねた。



 ◆◆◆



 「実は―…」と、言って李章が村人たちに自分達がどうしてここに来たのか。そして、領主の館で何があったのかを説明した。


 「そうか、そうか、そうじゃったのか」


と、瑠璃、李章、礼奈に尋ねた老人の男はそう言葉にし、涙ぐんだ。

 それは、瑠璃、李章、礼奈に対面している村人たちも同様に涙ぐんだ。そして、自分たちは領主フォルゲン=デン=ベークドの悪政から解放されたという喜びからくる涙であった。


 「瑠璃、李章、礼奈(あなたがた)には何とお礼を申し上げたらよいか。本当に、ありがとうございます。我が村の恩人です。むしろ、英雄でございます」


と、老人の男の言葉に村人たちにみな頷くのであった。

 村人たちは、その後、瑠璃、李章、礼奈を「英雄様、英雄様」と叫びながら言うのだった。三人にとっては、理由はわかるが、どうして英雄とか呼ばれるのか、疑問に感じる面があるのだった。そして、なぜこの村の人々が領主を恨んでいる詳しい原因はわからず仕舞いだった。まあ、それよりも現実石化の解決のために、ベルグという人に会うことが一番優先すべきことなのだから、聞いている時間も惜しいぐらいと思っていたから、三人が聞くことはなかったが―…。

 こうして、瑠璃、李章、礼奈は一日ほど村に留まることとなった。その日の夜はまるで祭りのような様相を呈していたという。

 その後、瑠璃、李章、礼奈は村を出て、新たな場所へと向かっていく。そう、現実世界で石化を起こしたとされるベルグを探し出し、石化を解くを聞きだすために―…。


 追伸:領主フォルゲン=デン=ベークドの治める村は、瑠璃、李章、礼奈たちを襲おうとしたために領主フォルゲン=デン=ベークドの悪政から解放されることとなった。そして、領主だった男フォルゲン=デン=ベークドはその部下とともに牢屋にしばらく閉じ込められた後、リースへと身柄を引き渡され、リースで勾留されることとなったという。

 その時、やってきたリースの騎士は、申し訳なさそうに村人に謝っていたことと、村人から投げられた石に対して、怒りをぶつけることはなかった。そのようなことをしていれば、返って、村人たちの不信感を買い、ランシュの敵対勢力を勢いづかせることだとわかっていたからだ。その後、ランシュやその腹心の側からまともな行政官がやってきて、次第に、村人との間で、信頼を回復させていくのだった。

 一方で、フォルゲン=デン=ベークドを倒した瑠璃、李章、礼奈は、悪政されていた村で英雄と扱われるようになり、一つの伝説を誕生させることになった。この話は、後世に語り継がれることとなったという。



 【第8話 Fin】


次回、新章開始?(現実世界石化、異世界冒険編はまだ終わりません) 

新キャラが出てくるといいなと思います。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


追伸:2021年3月8日 追伸の中の「…リースへと身柄を引き渡され、リーズで勾留される…」を「…リースへと身柄を引き渡され、リースで勾留される…」に修正しました。


2022年10月29日 以下を修正および加筆する。

①「怒り抱きながら―」を「怒りの感情を抱きながら―…」に修正。

②「奥底からそう思うように」を「心の奥底からそう思うように」に修正。

③「ベークドの表情が礼奈や李章の心の中にある恐怖が自身の感情の主要を占めるいこうとしていた」を「ベークドの表情が礼奈や李章の心の中にある恐怖が自身の感情の主要を占めるという状態になっていた」に修正。

④「表情を険しくしていたランシュであった」の後に、

「 ローを追うことは難しいことであり、ローもどうやって自らの敵と思われる勢力や人物から気づかれずに行動できるのかをちゃんと理解している。経験年数が違うというものだ。

 その後、ランシュも瑠璃、李章、礼奈のこと以外にも本来の仕事があるので、そっちの方に取りかかるのだ。腹心との約束を守るために―…」を加筆。

⑤「露店から漏れる光は、この町を黒の世界をつくる夜から紺色の夜へとさせていた」を「露店から漏れる光は、この町を黒の世界をつくる夜から紺色の夜へと変化させていた」に修正。

⑥「領主フォルゲン=デン=ベークドの治める村の人々の朝は早い。日が昇りきる前に、領主の部下の人が村の家々をまわって税金を取りに来るのである。そう、毎日毎日、村人が払いきれるギリギリもしくは払いきれないほどを要求し、無理矢理とっていくのである。もちろん税金は村人たちが育てた穀物などである。だから、村人たちは収穫の時期になると、朝日が昇る前に穀物を収穫し、さっさと家の中で領主の部下に見つからないように穀物の隠すのである。そして、毎日税金をとるため、朝食を食べている最中にでも来るものなら、家中を領主の部下が探し、穀物や金目の物を見つければすぐに税金として取っていく。なので、村人たちの服装はみすぼらしいものを常に日頃から身につけている。そうしないと家中を領主の部下に捜索されてしまうから―。

 今日も今日とて、朝食をさっさと終え、税金となる穀物を隠した村人は怯えながら待っていた。領主の部下が来るのを―。そして、支払う税金がなければ、暴力を振るわれることを―。だけど、暴力だけで済めばまだいい。税金として穀物でも奪われてしまったのなら、生きていくことすらできないのだから。生きるためには盗みを犯さねばならない。だが、領主フォルゲン=デン=ベークドが治める村人たちは、誰もが同じような状況であるため、双方で盗みをすることはできない。盗みをすれば、それこそ村で本当に生きていくことすらできない。村一歩でも出ようとすれば、領主の部下が館からすぐにでも来て連れ戻しに来るからである。ゆえに、日々怯え絶えるしかなった。

 しかし、領主の部下は今日、来なかったのである。それを不思議に思った村人は外に出る。

 家の外に出たのは、一人の男であった。この男は領主フォルゲン=デン=ベークドが現在治めている村に生まれ、ずっとこの村で生きている人である」を、

「ここ、領主フォルゲン=デン=ベークドの治める村の人々の朝は早い。なぜなら、この領地は、リース王国の中に属しているのであるが、税金は一番ではないが、それでも多い方である。ランシュとしても、ベーグドがこのような支配をしていたと思ってもいなかった。

 完全なほどまでにベークドのことを信頼しているわけではなかったが、それでも、話した感じはそこまで悪い人間のように感じなかった。その時は、何とか上手くベークドの方が誤魔化したのであるが―…。まあ、ランシュ部下で、ランシュの側にいる者は若干であるが、怪しい存在であることに気づいてはいたが、それでも、二年前の出来事によって政権を完全ではないにしても掌握したばかりで、基盤を確立させられていたわけではないし、対外的な関係にも注力しないといけないし、ランシュに敵対する勢力がまだまだ力があったので、それに割かないといけなかったので、ベークドの悪政は見逃されてしまったのだ。ランシュに忠誠は誓っているようであったので―…。

 それに、ベークドの方もランシュに対する忠誠は、完全な見せかけのものではなく、自身が生き残るために必要であるものだと思うし、ランシュの実力がかなりのものだとわかっているので、ランシュの庇護下にいることを自ら望んだのだ。ランシュと敵対する勢力とは縁を切って―…。

 ベークドは、同時に、領主である地位に溺れていった。権力とは、他者を自由自在にコントロールできるという側面が完全にではないがあるので、何でも自分の言う事を聞いてくれると思い、身勝手な要求をするようになる。

 そのせいで、ベークドが治める村では、税などが高くなっていったのだ。

 村に住んでいる人々は、ベークドが強い存在であり、力で村人など簡単に制圧できることを理解させられているので、逆らうことができずに、ただただ受け入れるしかなかった。それに、ベークドは村人を奴隷か何かと勘違いして使うようになった。

 そう、村人が生活するための耕作地に加え、領主が直接に経営している耕作地を耕すことを強制されたのだ。それを耕すために朝早くから領主ベークドの部下である者たちが、村人たちを無理矢理、日の出の時間に起こそうとするのだ。起きなければ、家を壊されるということもあるほどだ。

 さらに、一日中、領主ベークドが直接に経営している農地を耕された後、村人たちは夕方に自分達の農地を耕すのだ。

 領主が直営している農地から、村人たちが耕した分の給料が支払われることは一切ないし、昼食も含めて自前で用意することになっている。一方で、村人たちが持っている自分達の農地においても、税金が課されており、前に述べたように税金が上がっているのだ。

 要は、村人の暮らしは決して楽ではなく、生きていけるのがやっとであり、収穫祭などというお祭りをやることができるぐらいの費用もないし、時間もない。休みが年中ないのだ。

 そして、暮らしが良くないということは、村人のかっこうもみすぼらしいということになる。

 つまり、今日も今日とて、領主が経営している農地の耕作をしないといけないということだ。

 だが、今日はそうではなかった。

 領主の部下たちが無理矢理起こしにこなかったのだ。

 ゆえに、それを不思議に思って一人の男が家から外に出るのだった。

 辺りを見回す。

 だけど、領主の部下は一人もいなかった」に変更し、加筆。

 理由、毎日、税金を取りに来るあまりにも理不尽と感じたので、このように変更しました。

⑦「一人の男は思う」を「だからこそ、一人の男は思う」に修正。

⑧「村人たちが外に出てきた」を「一人の村人が自らの家の近くに戻ると、他の村人たちも外に出てきていた」に修正。

⑨「税金をとりに」を「領主の農地の労働をさせに―…」に修正。理由は、⑥の変更にために伴うものである。

⑩「これは……」の後に、以下のセリフを追加する。

 「「どうなっておるんじゃ。まさか、神様が悪徳領主に天罰を下されたとか。」

 「そうだ、そうじゃないとおかしい。英雄様はいらっしゃたんだ。」

 「私たちを救いになられたのだ。」

 「そうだ、そうだ。」」を。

⑪「二つの分けて睡眠をとったのである」を「交替で仮眠を取ることにしたのだ」に修正。

⑫「老人の男の言葉に村人たちにみな頷くのであった」の後に、「村人たちは、その後、瑠璃、李章、礼奈を「英雄様、英雄様」と叫びながら言うのだった。三人にとっては、理由はわかるが、どうして英雄とか呼ばれるのか、疑問に感じる面があるのだった。そして、なぜこの村の人々が領主を恨んでいる詳しい原因はわからず仕舞いだった。まあ、それよりも現実石化の解決のために、ベルグという人に会うことが一番優先すべきことなのだから、聞いている時間も惜しいぐらいと思っていたから、三人が聞くことはなかったが―…。」を加筆。

⑬「そして、領主だった男フォルゲン=デン=ベークドはその部下とともに牢屋にしばらく閉じ込められた後、リースへと身柄を引き渡され、リースで勾留されることとなったという」の後に、「 その時、やってきたリースの騎士は、申し訳なさそうに村人に謝っていたことと、村人から投げられた石に対して、怒りをぶつけることはなかった。そのようなことをしていれば、返って、村人たちの不信感を買い、ランシュの敵対勢力を勢いづかせることだとわかっていたからだ。その後、ランシュやその腹心の側からまともな行政官がやってきて、次第に、村人との間で、信頼を回復させていくのだった」を加筆。

以上。


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