第65話-4 もう一つの方法と自らの積み重ねを
前回までのあらすじは、ローとギーランが会話しました。
今回で、第65話が完成します。長かったような気がします。
あと、前回の更新で文字数が60万字を超えました。
ここは、リース。
リースの中の競技場。
そこの、四角いリングの上では、瑠璃とレラグが試合をしていた。
両者は視線を合わせていた。相手の隙をつくために―…。
数十秒の時間が経過した後、最初に動き出したのは、瑠璃であった。
瑠璃は、剣の方ではなく、剣の先とは真反対にある水晶玉の部分をレラグに向けて、雷攻撃を放つ。
(征け。)
と、心の中で言いながら―…。
レラグはすぐに、気づいた。いや、瑠璃がレラグに向かって攻撃するのが見えていた。
ゆえに、対処することができた。
「純粋の盾」
と、レラグが言う。そうすると、レラグの目の前に、円状の水でできている物体が出現した。
純粋の盾が出現されてから、二秒も経たないうちに、瑠璃の雷攻撃はレラグの純粋の盾に到達し、衝突するのであった。
しかし、レラグに瑠璃の雷の攻撃は届かなかった。そうであろう。瑠璃は一度、雷の攻撃をレラグに向けて行った時に、レラグの純粋の盾によって攻撃を向こうにされたのだから―…。今度もそういう結末であった。
それでも、瑠璃は、
(あの盾がある限り、雷での攻撃は気をつけたほうがいい。そうなると、光の攻撃を加えていかないと―…。)
と、心の中で思うのであった。
雷の攻撃が消えた後、すぐにレラグの純粋の盾は、蒸発するかのように、消えていった。
そして、レラグは瑠璃の方を見て、気づいていたことを心の中で言う。
(杖が―…、いや、あれは仕込杖か。それも、剣か。雷の攻撃はしてくるが―…、雷の攻撃であったなら、俺の水の卵は斬られていなかった。そうなると、斬る時に言っていた言葉から、天成獣の属性は光なのか。)
と。
そう、レラグは、瑠璃の持っている武器に宿っている天成獣の属性が光であるとわかった。理由は、水の卵を斬る時に、雷であったならば、武器である剣で通り抜けるだけで、斬ることなどできず、雷は無効にされているからである。
(なら、面白い。ここからは、手加減などなしにしないといけません。それに―…、女の子を傷つけるのは好きではないが、そうも言ってはいられません。プライドを捨ててもここは殺しにいかせていただきます。)
と、続けて、レラグは心の中で言う。それは、レラグの決めていたルールを破ることでもあった。瑠璃という人物の実力が、剣を抜くということによって、跳ね上がったのだ。レラグが本気で戦わないと勝てないとレラグに思わせるほどのものとなったから―…。
瑠璃は、レラグに向かって、
「私は―…、レラグに負けない!!」
と、言う。その様子は確実に、自らが勝利するのだということを信じ、決意した者のようである。
「私の水の卵を抜け出し、斬るとは―…。お見事です。ですが―…、負けるのは瑠璃であり、瑠璃は私によって殺されるのです。」
と、今度はレラグの方もはっきりと意志を強くして言う。それは、ランシュがベルグより受けた任務の討伐を果たすためでもある。実際は、時間稼ぎができればよいのであるが、ランシュが討伐までしようとしていて、自らの部下には討伐するように言っている。そのため、レラグは忠実な僕として、ランシュの言っていることをそのまま守っている。そして、討伐というものによって、相手を殺すことによって達成されるので、レラグは対象の一人であり、今対戦している瑠璃を殺そうとしているのである。
そして、レラグは、右手の掌を上にする。
そこから、球体の形を水が出現する。その水は、右手を覆っているレラグの武器である羽衣の力によって展開される。水の球体は、左回転をしていた。それも、レラグから見れば速く感じるほどである。一方、瑠璃にとっては、水が展開されたぐらいにしか感じないし、回転されるのは距離があるために見てわかるものではない。
そして、レラグは、瑠璃に向かって、
「俺の本気をここから見せてやるよ!!」
と、言う。
中央の舞台。
瑠璃チームがいる場所。
そこでは、チームのメンバーの全員が瑠璃に驚いていた。
(……あの一斬りだけで、水の卵を―…。)
と、礼奈は心の中で驚く。続けて、
(瑠璃の武器が杖なのはわかっていたし、その中に剣が仕込まれていたのはわかってた。それでも、雷が効かない相手に、対して、剣を一振りするだけで、斬って、消滅させてしまうなんて―…。それに―…、光っていた。そうなると、瑠璃の天成獣の属性は光!!? すごい―…、これなら―…、これなら、勝てるよ。)
と、心の中で言う。礼奈は、レラグに瑠璃に負けると言った。その時は、レラグに言われたことに対して、カッとなったからだ。それでも、瑠璃が勝つことを信じることはできていた。それでも、瑠璃が水の卵を斬って消滅させる場面を見た時、瑠璃がレラグに勝つということが確実的なものに変化したのだ。だから、礼奈の表情は明るいものに自然となっていた。
(…あれが、瑠璃さんの実力ですか―…。剣の扱いに関しては、素人よりも毛の生えたぐらいの実力しかありません。いや、それよりもだいぶ伸びたとは思いますが、一流の剣士にほど遠い。それでも、あの光の威力ならば、レラグに勝てるかもしれない。)
と、セルティーが心の中で呟く。それは、瑠璃が勝利するのではないかという希望を抱きながら―…。そうさせるのは、瑠璃が仕込みの杖の一部から剣を抜いて、水の卵を一振りで、攻略した時に、放っていた光が、途轍もなく強く感じられたからである。それは、セルティーの心の奥底で無意識のうちに思えたことによる。
(うわ~、瑠璃―…、強ッ!!!)
と、クローナは心の中で思った。
さらに、
(これで、レラグに勝ったら、アンバイドの鼻をギャフンといわせられる。)
と、続けて心の中で言う。クローナは、瑠璃のことを心配していた。瑠璃の第七回戦第六試合の対戦相手であるレラグの強さに、瑠璃が勝つとは思っていても、本当に勝つのか不安になっていた。それが、瑠璃が剣を抜いて、天成獣の属性である光を発揮したことにより、瑠璃の勝利に対する不安を失くし始めるのであった。
そして、同時にあることを頭の中で、クローナは、考え出すのである。それは、アンバイドが言っていたことで、レラグによって瑠璃が第七回戦第六試合で殺されるという内容であった。その内容が実現する確率が減少してきたので、心の中に余裕が誕生し、その内容を言ったアンバイドの鼻をあかそうとしたのである。そして、そのために、アンバイドに対して、どのような弄りをやろうかと考え始めるのであった。李章、礼奈を傷つけた恨みを個人的に、勝手にはらすために―…。そこには、クローナの私欲がすべての割合に占めているほどだった。
(瑠璃さん…。それでも、レラグはまだ本気を出していなかったみたいです。そうなると―…、それでも、瑠璃さんには勝ってほしいです。瑠璃さんが殺されそうになった時は―…。)
と、李章は心の中で言う。
李章にとっては、通路の中でアンバイドに言われたことは納得のいくものではなかった。それでも、相手の強さがわからないわけではない。ゆえに、心の中で、李章は絶望していた。さらに、こうも考えていた。瑠璃が殺されそうになった時は、確実に助けよう、と。
しかし、瑠璃がレラグの水の卵の中に閉じ込められた時、助けにいこうとするが、なぜか、緑の水晶に警告されるようにして止められ、李章が一歩で踏み出せば、アンバイドによって抑えられるような感覚がした。
実際に、アンバイドは、李章が一歩でも瑠璃を助けようとした場合、李章を止める気でいた。それは、李章が止めに入れば、確実に、李章が殺されてしまう可能性があったからだ。レラグのターゲットに李章が含まれていることは、わかっていたから―…。そして、止め入っていった李章がレラグによって殺されてしまえば、確実に、瑠璃チームの戦力が低下してしまう。そうなってしまえば、第八回戦以後、毎週の連戦になってしまい、相手に戦略を立てられてしまい、チームを不利な状態にしてしまう可能性が高かった。
そのため、李章は中央の舞台に戻った時から、四角いリングへ向かっては移動できなかったのである。それでも、瑠璃が仕込杖の剣を抜き、自らの天成獣の力を発揮させることに成功したので、瑠璃がレラグに勝つ可能性が出たという希望ができたのだ。ただし、瑠璃が負ける可能性はなくなっていないので、もしもの時は瑠璃を助けようという気構えは続けていた。アンバイドに邪魔されず、助けに行く方法を考えながら―…。
(瑠璃の天成獣の属性は、光か。雷を使っていたことからある程度は想像付いていたが―…。一切、光を使っているところを見たことがなかったから、どういうものかはわからなかった。剣を使って瑠璃が戦い始めているのを見てなんとなくわかった。瑠璃の天成獣の力の量は、俺が見たなかで、トップクラスか。久々に興奮するな。)
と、アンバイドは心の中で気持ちを冷静に、そして、昂らせながら言う。それもそのはずであろう。瑠璃の武器に宿っている天成獣の力の量は、つまり、天成獣が宿っている武器で戦う時に仕える属性として使われる量が、圧倒的に多いのだ。この量が多いと、大きな攻撃をする回数が多くできたり、長時間の戦闘がしやすくなったりする。
これは、希望かもしれない。確実性を帯びるための―…。
(瑠璃なら―…、倒せる。ランシュを―…!!!)
と、アンバイドにとっての希望である。ベルグに対して復讐することを可能にするための―…。そう、アンバイドは心の中で歓喜をあげていた。自らの表情にだすということなく…である。
そして、四角いリングの上。
レラグは、本気になっている。
レラグの対戦相手である瑠璃は、剣を抜き、レラグが本気でないと倒せないとレラグ本人に思わせるほどに―…。
そして、レラグは、右手の掌の上に水の球体を展開していた。
それは、クルクルと左回転している。
(そろそろだな。)
と、レラグは心の中で言う。そう、レラグにとっては頃合いなのだ。攻撃をするための―…。
「突き抜け!!」
と、レラグがはっきりと強く言う。
そうすると、水の球体から水の光線が発射されるのである。
瑠璃を突き抜こうとするために―…。
瑠璃は気づいていた。気づかないほうがおかしい。目の前で、その光景を見ているのだから―…。
〈瑠璃!! なんか向かってくるぞ!!! とにかく、迎撃しないとやばいぞ!!! レラグが本気を出してきた!!!!〉
と、グリエルが瑠璃に言う。この声は瑠璃にしか聞こえない。そして、瑠璃は今、自らの武器に宿っている天成獣であるグリエルが見えているわけではない。それでも声は聞こえる。そう、瑠璃はグリエルと意思疎通をすることができるようになっていた。それを、瑠璃は理解できている。
だから、
〈うん、わかっている。準備は完了しているよ。〉
と、瑠璃はグリエルのみ聞こえるように言った。それは、漫画やラノベ、ゲームなどにおける媒体でみられる念話みたいなものだ。自らの言いたいことを念じ、かつ、話したい相手に向かって念じることで話すことができるのだ。天成獣との会話は、念じるというよりも、話す相手を選んで、その人にのみ聞こえるように話しているのだ。瑠璃の場合は、グリエルの言葉に関しては、言葉にするのではなく、返事するという相手を浮かべて、心の中で言葉にしているだけにすぎない。
これを、水の卵の中でできるようになったのだ。そこから、本当の意味での脱出する間に―…。
瑠璃は、剣を構える。その剣からは、剣の斬ることができる部分が光り始めるのである。
そして、瑠璃は剣を振ることによる攻撃を開始するのである。
【第65話 Fin】
次回、アンバイドに迫る人が一人いた!!
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。
パソコンが画面が急に黒くなるのは怖いです。特に上書き保存していない状態で執筆している時にくると―…。何とか、回復しましたが―…。
そろそろ決着へともっていけると思います。すでに、書き終えてはいますが―…。