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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第61話-2 氷VS光

前回までのあらすじは、礼奈がやっぱり怖いです(クローナ談)。

 レラグが率いるチームがいる場所。

 そこは、中央の舞台の中にある部分である。

 四角いリングを挟んだ反対側に瑠璃チームがいた。

 レラグが自らのチームの元へと戻ってきた。

 「これで、俺らはチームとして負け・・・か。」

と、レラグは自らのチームの状況について言葉にする。

 それを聞いたマーグレンが、

 「誠に申し訳ございません。レラグ殿!! 私が、アンバイドという強敵に負けたがうえに!!!」

と、勢いよく謝りだす。言葉も大きく強調されたものであった。さらに、マーグレンは、レラグに向かって目の前で土下座をする。マーグレンは、心の底からアンバイドに負けてしまったことを悔いていた。もし、アンバイドに自らが勝利していたのであれば、このような状況になることはなかったのだ。たとえ、アンバイドがマーグレンよりも途轍もなく実力が高く、その差が激しかったとしても―…。

 そんな、マーグレンの土下座姿を見ているレラグは、なぜか申し訳なさそうな気持ちになった。

 「マーグレン、謝らないでくれ!! っていうか地面に膝を付けて謝らないでくれ!!! 俺がチームメンバーに無理矢理、謝らせているように見えるから―…。俺はそれを望んでいないんだ。マーグレン(お前)の相手は、アンバイドだったんだ。負けてもしょうがないし、アンバイドの試合の時には、無理に俺が出場すべきだったんだ。責任はむしろ俺のほうにある。」

と、レラグは言って、レラグの方もマーグレンと同様に土下座をしてしまうのであった。

 レラグの土下座を見て、マーグレンは、

 「私こそすいませんでしたぁ―――――――――――――――――――――――――――――――――。」

と、叫ぶように言い、レラグよりさらに深く土下座をする。それは、頭を中央の舞台の地面にぶつけるように―…。

 さらに、マーグレンの深い土下座を少し顔を上げて見た、レラグは、

 「俺の方こそ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。」

と、マーグレンよりも大きい声で言って、マーグレンよりも深く土下座をするのであった。頭を中央の舞台の地面にぶつけながら―…。

 このような光景を見て、レラグとマーグレンを除く見方、および瑠璃チーム、レラグたちのいる場所に最も近い観客席にいる観客も、ただ見ていることしかできなかった。

 この全員、

 (…………………………………………。)

と、思考を一時的に停止させてしまったのである。

 思考を復活させた人も、冷静になった人も、チームとして一試合を一生懸命戦っているという感情的な気持ちと、土下座までする必要は双方共にないでしょう、という気持ちが複雑に絡み合ってしまったがために、どうにもできない気持ちになってしまっていたのだ。

 その中で、冷静になり、さらに、まともな思考するようになったレナは、

 「止めんかテメーら!!」

と、怒鳴るように言って、レラグとマーグレンの土下座の張り合いを無理矢理に終わらせるのであった。そうしないと、永遠に続くのではないかと思ったからだ。レナが言葉遣いを汚くしてでもやらないといけないと思ったのだ。それは、今まともに思考ができるのがレナ以外にいないと自らが思ったからだ。

 そして、しばらく数分の時間が経過することになる。

 「「すいませんでした。」」

と、レラグとマーグレンが重なるように、レナに謝るのであった。

 「わかればよろしい。」

と、レナが言う。

 レナの気持ちとしては、

 (ふう~、やっと終わったぁ~。)

と、溜息を吐き、

 (あんな土下座合戦なんてされたらこっちが恥ずかしい。真面目過ぎるだろ、レラグとマーグレン(あの二人)は―…。)

と、であった。


 一方で、瑠璃チーム。

 クローナに抱き着くのを終えて、クローナから少しだけ瑠璃は離れた。

 瑠璃は、

 「クローナ、鉄を切った時、何をしたの。」

と、クローナに尋ねる。瑠璃は、クローナが鉄を真っ二つに切る時、どのようにしたのか気になっていたのである。

 「ああ~、あれね。あれは―…。」

と、クローナは言いながら、語りだす。

 「こ~う丸い、円盤みたいのを出すでしょう。その中は空洞にしていて、空洞に風を纏わせて、さらに、自分の放った風に触れると、中の空洞の風が回転し、それとともに円盤を回転させたの。回転した円盤が鉄を真っ二つに切ったわけ。いや~、あの時、ふっと、思い出したんだ。アンバイドが出していた、クルクル回るやつ。あれを参考にしたんだ。」

と。風を真っ二つに切るのにアンバイドが良く展開している最大で三つだすものを参考にして、円盤状でギザギザのあるものをクローナは展開したのである。

 さらに、クローナは、

 「回転させれば、切れるかなって。アンバイドもそれで切ってったし。」

と、付け加えるのであった。

 「へぇ~。」

と、瑠璃は言うのであった。しかし、瑠璃はクローナの言っていることをほとんど理解できなかった。これは瑠璃が馬鹿で、頭が悪いというのではなく、クローナの説明の仕方が下手すぎたのだ。それは、クローナ自身にもうまく理解できているわけではなかったがゆえに、説明が下手になってしまったのだ。

 それでも、クローナの説明を聞いていたアンバイドは、ある程度理解することができた。

 (なるほど。中が空洞になっている円盤を生み出した。その円盤の空洞部分に風を纏わせておく。そして、自らの武器で放った風が触れた瞬間に、円盤の空洞部分に纏わせていた風を回転させるようにした。そして、そこから、円盤が回転したってわけか。たぶんだが、円盤の空洞部分はどこかでこぼかしていたかもしれない。クローナは気づいていないだろうが―…。で、武器で放った風はミーグール(相手)の展開した鉄の尖ったものへ向かい、円盤の空洞部分はその間、回転速度をあげて、鉄を切ることができるまでに回転数を増やしていたというわけだ。これをするには、二つの風を正確にコントロールしないとできない。かなり、精密さを要するものであっただろう。感心だな。)

と、アンバイドは、クローナしたことを冷静に自らの言葉にして、心の中で言うのであった。自らの知識と経験を付け加えながらであるが―…。

 クローナの言っていることを理解できたのは、アンバイド以外、誰も瑠璃チームのメンバーの中にはいなかったという。それでも、礼奈などは、少しだけではあるが、言おうとしていることを理解はしていた。アンバイドのように補足的なものをというわけでなく、表面的にである。結局、礼奈としては、疑問の残るような感じとなった。


 観客席。

 その中には、ランシュの企画したゲームの審判を務めているファーランスがいる。

 ファーランスは、四角いリングを見て確認していた。四角いリングの修復が完全なものであるかどうかを―…。

 すでに、第七回戦第四試合が終わってから、二十分ほどの時間が経過していた。

 ファーランスの予想通りであれば、そろそろ完全に四角いリングの修復が完璧になされ、試合前の状態に戻っていることになる。

 その確認を終えたがファーランスは、

 (大丈夫です。目視する限りにおいては―…。では、両方のチームともメンバーは揃っているだろうか。)

と、四角いリングの修復が完全に終わっていることがわかった後、瑠璃チームとレラグ率いるチームのメンバーが全員いることを確認する。

 (双方ともにいます。)

と、両チームのメンバーを確認し終えると、

 「では、これより第七回戦を再開したいと思います。次の第五試合に出場される方は、四角いリング(フィールド)の上に来てください。」

と、言うのであった。


 ファーランスの試合再開の言葉を聞いた瑠璃チーム。

 「じゃあ、予定通りに私が行ってくるよ。大丈夫。勝ってくるから。」

と、礼奈は言うと、四角いリングへ向かって行った。そして、四角いリングに到達すると、その上へと上がるのであった。

 その中で、瑠璃は、

 (礼奈、頑張って!!)

と、心の中で応援するのであった。礼奈が勝つということを瑠璃が信じて―…。

 その中でクローナは、

 (痒くなってはいけない。そうすると―…、礼奈が…礼奈が……、あああああああああああああああああああああああああああああああ。)

と、心の中で叫び出すのであった。その時の表情は、何かに恐ろしいものに怯えているようであった。礼奈の表情がクローナの頭によぎりながら―…。

 一方で、アンバイドは、

 (相手はレラグか。もう一人別の方か。どっちだ。)

と、心の中でこれから四角いリングに上がってくるであろう礼奈の対戦相手が、レラグなのか、それとも別の人物なのかに関心を抱いていた。そう、礼奈の対戦相手がレラグであった場合、礼奈がこの第七回戦第五試合で死ぬという結末がほぼ確定的に高くなるのであるから―…。さらに、礼奈の対戦相手がレラグではなかった場合、瑠璃が自動的にレラグとの試合となり、その時は瑠璃の方が死という結末へとほぼ確定的に迎えるのであろうから―…。そう、アンバイドのこれ以後の回戦にどうすべきかということを確定させるために―…。

 セルティーは、

 (頑張ってください、礼奈さん。レラグ(あのイケメン)には、気をつけてください。彼は明らかに私たちより強いです。アンバイドさんを除いて―…。)

と、心の中で、もしも礼奈の対戦相手がレラグであった場合、気をつけてほしいと思うのであった。さらに、礼奈の事を心配しながら―…。


 レラグ率いるチームがいる場所。

 そこでは、

 「じゃあ、予定通りということで―…。」

と、レラグが言う。

 その言葉を聞いた人物は、すぐに四角いリングへと向かって行くのであった。

 (任せたぞ、レッラー。)

と、心の中でレッラーというこれから試合に出場する人物に向かって心の中でレラグは言う。それは、自らのチームは負けてしまったとしても、後への回戦へと出場できる人数は、レラグ以外にもいたほうが、後で、瑠璃チームに再度挑戦し、倒すことも、瑠璃、李章、礼奈という三人組をより多く討伐する機会を自らにめぐってこさせることができるからだ。そのために、レラグはレッラーに第七回戦第五試合で勝手欲しいと思ったのだ。

 そして、レッラーは、四角いリングの上に上がるのであった。


 四角いリングの上。

 礼奈とレッラーが、それぞれ相手の目を見る。

 相手がどういう感じなのかを探っていたのだ。例えば、戦い方、天成獣の属性、武器など。

 ゆえに、互いに数秒の間、声を発することはなかったが、心の中ではそれぞれ思うこともあった。

 礼奈は、

 (何だろう。あの金ぴかなレイピアは―…。どういう天成獣が宿っているのかかえってわかってしまいそうだけど、それが光の属性だと考えてしまうの単純すぎないかもしれない。他の可能性も考慮しないと―…。後は、突きでの攻撃が主なところでしょう。)

と。そう、礼奈は、レッラーの武器に宿っている天成獣の属性は、光ではないかと思っているのだ。他の可能性も考慮しないといけないとことに注意をすることも忘れずに―…。一方で、武器はレイピアで、全身が金色に光っているのである。その光は、レッラーがレラグとともに中央の舞台に入ってくるときから光っていたので、礼奈にとっても少しだけ関心をもっていた。それでも、他の相手との対戦かもしれないので、すぐに他の相手の観察へと切り替えたのだ。

 一方で、レッラーは、

 (武器は槍か。まだ、体も成長盛りであろうに―…、あんな重そうな武器を使って―…。そして、情報によると、あの槍に宿っている天成獣の属性は氷と言っていた。氷はないから、水と言ったほうが正しいのだろう。そうなってくると、凍らされないように気を付けて戦わないといけないなぁ。それに、回復技を使えるとなると、試合中に回復でもされたらまずいし、試合を決める時には一気に決めないといけないな。)

と。レッラーとしては、礼奈に対して戦うときにやらなければならないことは凍らされないこと、そして、青の水晶による回復技を使わせないこともしくは、レッラーが試合を決める時には礼奈に青の水晶による回復技を使用させないことであった。

 礼奈とレッラーの両者が、四角いリングの上に上がったことをファーランスは確認し、それを終えると、

 「両者とも試合の準備の方はよろしいでしょうか。」

と、礼奈とレッラーの双方に試合を開始してもいいかを聞くのであった。

 「ええ、試合を開始しても構いません。」

 「OKだ。さっさと試合を始めてくれ。」

と、礼奈、レッラーの順番で言うのであった。

 試合を開始してもいいということを聞いたファーランスは、自らの右手を上に上げる。

 「これより、第七回戦第五試合―……、開始!!!」

と、言い終えると同時に、上に上げていた自らの右手を下に向かって振り下ろすのであった。

 こうして、第七回戦第五試合が始まった。


第61話-3 氷VS光 に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。

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