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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
101/747

第58話-1 生速瞬撃

本日、二度目の更新となります。

前回までのあらすじは、アンバイドがマーグレンを倒すことに成功し、勝利する。

第58話は、内容が追加されたことにより、分割することにしました。

 アンバイドは歩こうとする。

 しかし、それは止められる。四角いリングから下りことを一時的に止めさせる。

 「!!?」

と、アンバイドは、真剣な表情で、レラグ率いるチームの方へと視線を向ける。その時、体をレラグ率いるチームから見て、右側に腹部を向けている。

 「あなたが、有名なアンバイドですか。なかなかの実力であった。ランシュ様にも引けをとらない実力を感じています。私では、到底、アンバイド(あなた)には勝つことなどできないでしょう。そして、瑠璃、李章、礼奈(あの三人組)が、もし私の対戦相手になる時には、ランシュ様のために殺させていただきます。アンバイド(あなた)()()()()()()()()のように私の見た感じでは感じるので―…。では―…。」

と、アンバイドに話しかけて、言いたいことをアンバイドに言ったレラグは、倒れているマーグレンのもとへと向かう。

 マーグレンのもとへ辿り着いたレラグに対してアンバイドは、

 「レラグ(お前)瑠璃、李章、礼奈(あの三人組)を殺すと言ったよな。どの三人組かは知らないが、どうして殺す必要があるんだ。その三人組は、何か―…、お前らの弱みでも握っているのか。」

と、アンバイドははっきりとしながらも、挑発を感じさせるようにレラグに向かって言う。

 「弱みですか。そんなものはありません。ランシュ様によると、()()()()()()()。いや、見てしまった、動けてしまった、()()()()()()()()()、と言ったほうが正しいかもしれません。そして、生きてこちらへ来てしまったという感じですかね。そう、我々にとっての弱みは、()()()()()()()ですよ。あの方以外いませんから。」

と、レラグは冷静に言う。その言葉は、たとえ侮辱する言葉、恥ずかしいセリフであっても、それすらまるで様になってしまうものであった。

 なぜ、レラグが瑠璃、李章、礼奈について知っているのか。それは、ランシュが説明したからである。そして、レラグはランシュの上に誰がいるのかも知っている。たぶん、ルーゼル=ロッヘで出会った黒いフードを被った人物以外の十二の騎士に属している人は、全員であろう。そう、瑠璃に似ていて、瑠璃を成長させたような少女も知っている。知っている理由は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()であった。

 (あの魔術師ロー(ババア)。一体、どこまで恨まれているんだ。それに―…、相手側からの証拠も得られた。瑠璃、李章、礼奈、あの三人は魔術師ローと関係があり、ランシュの上というとベルグにも何か関係があるのか。狙われているということから考えると、ベルグらと敵対しているといったほうが正しいかもしれないといったところか。まあ、ベルグと関わりがあるのであれば、それを利用させてもらうがな。)

と、アンバイドは心の中で思うのであった。レラグがさっき言った言葉で、瑠璃、李章、礼奈とベルグの関係と、魔術師ローの関係をある程度把握することができた。自らにとって有利になるために利用しようとも考えていた。

 「そうかよ。魔術師ロー(あのババア)、本当に恨まれすぎだろう。こちらとしては、そちらの戦いに巻き込まれたくはないし、それに、俺はいい加減に戻らせていただくぜ。」

と、アンバイドは必要な情報は得たと感じたし、審判であるファーランスが次の試合と言って急かしてくるかもしれないと感じたので、四角いリングをさっさと下りることにしたからだ。

 「俺もそうさせてもらおう。」

と、レラグはアンバイドに向かって言う。

 そして、レラグはすぐに、マーグレンを抱え、四角いリングを下りていくのであった。

 レラグは、マーグレンを中央の舞台に戻って、床に寝かせた。レラグは、心の中で、

(寝心地が悪いところですまん、レナとマーグレン(二人とも)。次からは、ちゃんと枕とか寝具を持ってくることにするよ。)

と、思うのであった。レラグにとって、同じ味方で戦う者は、大切にせねばならないと考えている。その考えは、レラグの優しさという面が大半であるが、味方を大切にすることで、味方の裏切りの可能性を減らし、自身の所属しているものの功績などが高くなると信じているからである。そのため、レナとマーグレンを中央の舞台の土もしくはコンクリートのようなもののタイルとなっている場所に、頭をつけて寝かせるのは二人の体にとっても良くなく、味方を大切にできていないというレラグの申し訳ないという気持ちがでてきているのだ。

 レナとマーグレンのことを心配していることはできなかった。申し訳ないとレラグは思いながらも、次の試合についても味方に対して、士気をあげないといけなかった。そうしなければ、士気が低下し、相手に勝つ可能性を低くさせてしまうからである。

 「レナとマーグレン(二人)が敗れた。相手は強い。だけど、俺らは勝てる!! 勝ちにいく!!! ともに戦おう!!!!」

と、レラグは叫ぶように言う。叫ぶことで、味方の士気に繋がっていくことをレラグは信じている。今のレラグ自身が考えてできることは、これぐらいだからである。

 それでも、レラグ率いるチームの一人のメンバーは、

 「何を言うかと思ったらそんなことであったか。レラグ、しょうもないことだ。俺の戦いに勝ちたい気持ちがレナとマーグラン(二人)の敗戦で揺らぐかよ!! レラグ(あんた)というとんでもなく強い奴がいるんだ。レラグ(あんた)の頑張りを俺らは普段から見ているんだ。負けるかよ。強い相手だったとしても、味方に勝利をもたらしてやるぜ。だから、レラグ(あんた)が士気を落としたり、申し訳なさそうな顔をするんじゃねぇ~。次は俺がいくぞ。」

と、言う。その言葉は、レラグと長いかどうかはわからないが、つきあいがあり、レラグの真面目な姿と仲間を思いやる姿勢を目の前で見てきているからこそ心の底から真であると強く主張するものであったのだ。ゆえに、レラグが申し訳ない表情をせずに堂々とした態度でいてほしいとさっきの言葉を言った一人の人は思ったのだ。

 「アグレ~。」

と、レラグはさっきの言葉を言ったメンバーの一人の名を呼びながら、感謝するのである。そう、目に涙を浮かべながら―…。

 続けてレラグは、

 「俺が悪かった。お前らのことを信用できていなかった。本当にすまない。だからこそ、最大限実力を発揮しながら試合に勝ってくれ!!」

と、アグレーに言う。さっきの言葉を言い終えた後、

 「感謝するアグレー。」

と、言葉を言って、アグレーに向かって頭を下げる。レラグは、味方や部下に自身が救われた時は、頭を下げ感謝することにしている。たとえ、自らが上の者であったとしても、救われたのなら、感謝し、自身を救ってくれた者に対しては、彼らの願いをレラグ自身が叶えられる範囲で最大限聴くことにしている。それは、救われたことに対して、お礼をするのは当たり前であり、人は互いに助け合うことで社会や人同士がうまくいき、良きものになると信じているからである。

 「そうかい。ありがとうよ。レラグ。」

と、アグレーが照れながら言う。レラグの素直な言葉には少しうるっとくるものがあったのである。そして、言葉があまりにも様になっていたのだ。

 アグレーは、四角いリングへと向かって行くのであった。


 一方で、アンバイドは四角いリングを降りる。

 向かう場所は決まっていた。

 そう、アンバイド自身がランシュの企画したゲームで所属しているチームだ。

 メンバーに向かってアンバイドは、

 「まあ、あの程度ぐらいは勝つのには苦労しないな。」

と、余裕の表情をする。それは、アンバイドが、この第七回戦をもう戦うことがないからだ。第七回戦第二試合に出場し、勝利したことによるためだ。

 「まあ、アンバイドならそうだろうねぇ~。」

と、クローナは言う。表情は、アンバイドの実力であれば、マーグレンに勝って当たり前ぐらいには思っていた。

 「そうだな。珍しく素直じゃないか、クローナ。」

と、アンバイドは素直にクローナに言う。ただし、アンバイドの心の中では、

 (何か、変なことでも考えていないだろうなぁ~。上げて下ろす的なやつ―…。)

と、思うのであった。クローナという人物がアンバイドにちょっかいをよくかけてくることをアンバイドは理解していたからだ。何度も何度もその被害にあっているのだから―…。

 「ええ、毎回、毎回、アンバイドに嫌がらせをしても意味がありませんから―…。」

と、クローナは言う。表情はそんな変化がなくいつもの笑顔に近い表情であった。

 そんなクローナの言葉に対してアンバイドは、

 (何か狙ってやがるのか。)

と、心の中でクローナに対する嫌がらせを何かでしてくるのではないかと疑う。

 実際、クローナは、

 (ここは素直にアンバイドに対して嫌がらせはしないほうがいい。そして、欲しくなったと感じた時にすればいい。)

と、クローナは心の中で悪だくみをする子どものような感じで、呟くのであった。そう、クローナの狙いは、しばらくアンバイドに嫌がらせするのをやめ、アンバイドがそれを物欲しそうに感じた時に、再度アンバイドへの嫌がらせを実行しようとしているのだ。その方が、アンバイドへの嫌がらせで、アンバイドに本当に怒られることを回避できる可能性があるとクローナが思ったからである。

 (何もねぇ~か。まあ、いいや。)

と、アンバイドは心の中で思い、瑠璃チームのメンバーから少し距離を取るのであった。クローナが狙っているような、アンバイド自身への嫌がらせに対する物欲しさは全然感じていなかった。嫌がらせよりも考えなければならないことがあったからだ。

 (まあ、クローナからのちょっかいに関してはどうでもいい。それよりも、今考えるべきことは、いつレラグが試合に出場するかということだ。こっちは、第三試合は李章、第四試合はクローナ、第五試合が礼奈、第六試合が瑠璃の順だ。もしも―…、レラグ(あいつ)が、第三試合、第五試合、第六試合のどちらかに出てくるのであればまずい。降参するという手は使わせてもらえるわけがない。八回戦以後は一人減るという計算で進めていかないといけないな。)

と、アンバイドは、四角いリングから下りる前に話したレラグの会話を思い出しながら、レラグがどうしてくるのかを考える。そう、瑠璃、李章、礼奈の誰かが、レラグとの試合となってしまった場合、確実にレラグに当たった者は自らのこの世での生を終えてしまうのだ。つまり、レラグと瑠璃、李章、礼奈の三人の個人としての実力には、差が存在するのだ。ほぼ確実にレラグが瑠璃、李章、礼奈の誰か一人と戦う場合に勝利するということを―…。

 ゆえに、アンバイドはこの後第八回戦以後の戦いが、五人での戦いになることでどのように進めていくのがよいのであるかを―…。

 これは、アンバイドにとっても予想外といっていいかもしれない。なるべく、味方の数の減少がゼロでランシュが出場する回戦へと進むのが望ましいと考えていた。ランシュが最後の方で出てくると考えてのことであったからであり、ランシュが出てくる前に瑠璃、李章、礼奈、クローナ、セルティーの実力をランシュクラスまでに到達させるための時間を十分に確保できるからだ。

 ゆえに、レラグの実力をアンバイドが、レラグとの会話である程度わかってしまい、絶望に近いほどの気持ちになってしまう。

 (……。)

と、アンバイドは堂々巡りの考えに陥っていった。レラグとの会話で、レラグが瑠璃、李章、礼奈と戦うことになった場合、どういう対処するのかを知らされたがために―…。

 一方で、アンバイド以外のメンバーに関しては―…。

 「うん。次の試合は私なので、いってきます。」

と、李章は言う。次の第七回戦第三試合は李章が出場することになっている。そのために、自らのチームのメンバーに、四角いリングへと行ってくることを伝える。

 「うん、李章君、試合に勝ってきて。」

と、瑠璃は言う。瑠璃は、本当に心の底から李章に第七回戦第三試合に勝ってほしいのだ。気持ちとしては、好きだった(?)がゆえに―…。

 「李章~、いってらっしゃい。」

と、クローナは能天気なように言う。

 「油断しないようにしてください。李章さん。」

と、セルティーは、油断しないようして、試合に勝ってほしいという気持ちで言う。

 「ありがとうございます。」

と、李章は返事すると、すぐに四角いリングの方へと向かって行った。

 礼奈は、アンバイドの方に視線を向けていた。そのため、李章が四角いリングへ行くのに気が付かなかった。

 (アンバイドさん。何を思いに耽っているのだろう。それに―…、思いつめている。さっきの相手チームの人との話していたみたいだけど―…。)

と、礼奈は心の中で呟き、アンバイドの様子に何かあるのではないかと思う。そう、礼奈は、アンバイドとレラグが話しているのに気づいており、そのことがアンバイドが思いつけるようになった原因だと判断した。それは、実際に正しかったが、その内容の詳細は瑠璃チームのメンバーはレラグがアンバイドに向かって言われたアンバイド以外には聞えなかったがゆえに、どういうことなのかを完全に理解することはできなかった。

 さらに、礼奈はアンバイドに話しかけることすらできないと思った。アンバイドは普段から自らのことを必要以上に話すことはなかったからだ。それに、話しかけてもはぐらかされる可能性が高いからだ。なので、礼奈から話しかけることはせずに、これから始まる第七回戦第三試合を見るために四角いリングのある方向へ視線を向けるのであった。

 礼奈としては、考えすぎてもいい結果にならないから、と思ったからだ。なるようになるしかないのだから、人の未来なんて―…。



第58話-2 生速瞬撃 に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


アンバイドとレラグの会話は、当初の予定にはなかったのですが―…。

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