表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
100/745

第57話 次の手

新年、あけましておめでとうございます。今年も『水晶』をよろしくお願いいたします。

そして、今回の更新で100回目となります。

前回までのあらすじは、セルティーがレナに勝利した。そして、第七回戦第二試合が始まろうとしていた。

 【第57話 次の手】


 「あ~、そうなんですね。」

と、瑠璃は納得する。

 それは、セルティーがほぼ対戦相手であるレナの後ろにいて、レナにうまく間接的に触れていたからだ。

 そうすることで、セルティーは、レナの炎の範囲攻撃を防いだのである。火の属性を持つ天成獣を扱っている者の弱点である相手に直接もしくは自らが触れている物を通して相手がその触れている物に触れていることによって―…。さらに、最後のセルティーの大剣が触れるだけで、斬れていると錯覚するということを感じるという幻の一つ前に、レナにセルティーの大剣が触れていることを認識しないという幻をかけていたのである。

 結果として、セルティーの命を救い、レナに勝利することに成功した。

 「ええ。」

と、セルティーは瑠璃の納得に返事をするのであった。

 「それと―…。」

と、セルティーは自らに抱きついているの女の子()を見る。困惑した表情で―…。クローナは、瑠璃が納得するセリフを言いかけるあたりで、セルティーに抱きついてきたのだ。

 「生きてて良かったよぉ~。」

と、半分涙目になりながら言うのはクローナであった。炎の範囲攻撃に巻き込まれたセルティーのことを心配していたのだ。クローナは自身では今回なにもすることができなかった悔しさと、無事に勝利してくれたセルティーに安心しながら―…。

 「はいはい。」

と、セルティーは、妹か娘(実際にこの時点で、セルティーには妹や娘はいない)を慰めるようにそっとやさしく抱きつきかえすのである。クローナを落ち着かせるために―…。

 セルティーの優しい暖かいと感じさせる抱き返しによって、クローナは落ち着くのであった。冷静さを取り戻して―…。


 一方、四角いリング。

 そこでは、すでに、四角いリングに備わっている、能力により焼き焦げていた四角いリングの表面がしだいに第七回戦第一試合の前の状態へと戻っていく。

 時間にして、十分程度であった。その様子をファーランスは見ながら、四角いリングが試合ができる状態になるのを確認していた。

 四角いリングが第七回戦第一試合の前の状態へと完全に戻ると、それを確認したファーランスは、

 「これより、第七回戦第二試合に出場される両チームの代表は、フィールドに入場してください。」

と、言う。

 そのファーランスの声を聞いたレラグ率いるチームの中の一人が、

 「俺が行ってきます。レラグ殿。」

と、言う。今、この言葉を言った人物が、第七回戦第二試合に出場するようである。

 「分かった。マーグレン。くれぐれも油断することがないように。相手は君より強いのたくさんいるであろう。ランシュ様のためにやるべきことをやってほしい。それと―…。」

と、レラグは第七回戦第二試合に出場するマーグレンに、瑠璃チームの対戦相手に対して油断することなく、自らの役割を考えて戦うように言う。そして、その後、少し間をおいて、

 「レラグ殿は―…、やめていただけると助かる。」

と、レラグは言うのであった。レラグは、マーグレンから「レラグ殿」と普段からよく呼ばれているのだ。その「レラグ殿」という呼ばれているのがとても恥ずかしかったのだ。なんか、周りにそう呼ばせている偉そうな奴に見られるのが嫌でもあったのだ。

 「いえ、レラグ殿は、素晴らしい人ではありませんか。人格、容姿、声、行動、そのずべてのおいて―…。ゆえに、殿をつけないのは私のポリシーに反します。」

と、マーグレンは言う。そう、マーグレンは、レラグの人間性の素晴らしさにおいて、敬称をつけて呼ぶのが当たり前であり、それがマーグレンにとっての相手を尊敬するポリシーであったのだ。それに反するのは、自らの信念に反することであった。それと「殿」とマーグレンが付けるのは、それが一番の敬称だとマーグレン自身が思っているからである。

 (はあ~、このまま続ければ、意味のない会話になって、永遠に決着がつかなくなる。ここは俺が引くか―…。)

と、レラグはため息をつきながら、マーグレンに「レラグ殿」呼びを認めさせてしまうのであった。そうしないと、永遠にこの内容の決着がつかなくなり、審判であるファーランスに注意されるかもしれないと思ったからである。

 ゆえに、

 「わかった。俺が悪かった。「レラグ殿」呼びで構わないから、試合を頑張ってくれ。」

と、レラグは肩をすくめながら言う。悩みが尽きないのである。

 「はい!!」

と、元気よくマーグレンは返事をして、四角いリングへと向かって行った。

 四角いリングの上へとマーグレンが上がる。

 同時に、瑠璃チームからも一人の人物が四角いリングの上へと上がってくる。瑠璃チームではすでに決まっていた。第七回戦の前日に、誰がどの順番で試合に出るのかを―…。そこで決まったことによれば、第一試合はセルティーであった。

 ゆえに、第二試合に出場する瑠璃チームのメンバーは、

 「相手は、まだ、心の青い青年か。」

と、言う。その人物は、瑠璃チームの中で最も戦闘の経験があるアンバイドであった。

 アンバイドは、マーグレンの容姿を見ると、あくまでも元気の良さそうな青年で、中肉中背で、決して強いとは見た目からは思えないほどである。さらに、見た目の印象からは、頭が決して良さそうに見えないと、アンバイドは思っている。それでも油断してはならない。能ある鷹は爪を隠す、というように、自らの力を隠して、相手を油断させて、その隙を突こうとするほどの賢い者であるかもしれないからだ。

 ゆえに、アンバイドは、油断したような言葉を出すことを控え、口数を減らし、相手を冷静に観察する。見落としがあってならないように―…。

 観客席の中の四角いリングが目の前で見える位置にいたファーランスは、マーグレンとアンバイドが四角いリングに入ったことを確認する。

 「両者とも試合の準備はよろしいでしょうか。」

と、ファーランスは試合を開始してもいいかとマーグレンとアンバイドに尋ねる。

 「OKだ!! さっさ始めてくれ。」

と、アンバイドは言う。

 その次に、

 「準備はもう整っております。」

と、マーグレンは言う。

 アンバイド、マーグレンのさっきの言葉を聞いたファーランスは、自らの右腕を上にあげ、右手を自らの体で一番高い位置にする。

 「これより―……、第七回戦第二試合―………、開始!!!」

と、試合開始を宣言しながら、あげた右腕を下に下ろすのであった。

 こうして、第七回戦第二試合が開幕するのであった。


 「これでアンバイド(お前)を倒します。」

と、マーグレンは威勢よく言う。

 その後、自らの右の掌に黒い球状のものを展開し、少しずつ大きくしていく。

 アンバイドは、マーグレンの右手のひらに出現した黒い球状のものに気づく。

 (黒い球体が…できた?)

と、アンバイドは心の中で疑問に思いながら呟く。

 そして、右の掌がほとんど覆われるほどに黒い球状のものが大きくなると、

 「喰らえ――――――――――――――――――――――――――。」

と、マーグレンが叫び、黒い球状のものをアンバイドに向ける。

 その黒い球状のものからさらに、それよりも濃い黒色の球体が出現する。その濃い黒色の球体は、黒い球状のものようにもかなり小さく、直径でいうと、黒い球状のものの10分の1ぐらいに小さかった。そして、濃い黒色の球体は、キュウウウウウウンという音をならしていた。

 (あの、濃い黒いの!! まさか!!)

と、アンバイドは心の中で叫ぶ。アンバイドは予測したのだ。あの濃い黒い球体は、放出系の攻撃なのではないかと―…。

 そのアンバイドの予測は当たることになる。

 「いけええええええええええええええええええええええええええええええええええええ―――――――――――――――。」

と、マーグレンが叫ぶ。

 そして、濃い黒い球体は、アンバイドに向かって、ビームのようなものを発射する。それは、光の輝かしい色というのは反対で、黒色であったことから、ダークな闇の攻撃のようであった。

 「!!」

と、アンバイドはマーグレンの攻撃に驚くが、すぐに冷静な判断をするようになる。

 冷静になったアンバイドは、自らの武器を一つ展開する。

 それは、どれもクリスタルのように見える透明なもので、中央に玉のような球体が一つ、その周りに五つの先端が三角錐で、中央の玉のような球体の方へ向かうところが円柱のようになっていて、それを合わせたものである。

 その中央の玉のような球体から、マーグレンの放った攻撃に向かって、光線のようなものが放たれる。その放たれたものの色は白く、マーグレンが放ったものよりも直径にして二倍ほど大きかった。

 アンバイドは、マーグレンの放った攻撃と自らの武器が放った攻撃が衝突するまでの間、

 (これで、俺の勝利への準備に移行できる。マーグレン(あいつ)のあやつっている天成獣の属性は闇だな。さらに、放射して攻撃してくるのであれば、接近戦に持ち込むのがベストってことか。)

と、心の中でマーグレンの天成獣の属性、攻撃方法に対する対策を考えるのであった。そして、アンバイドのこれからマーグレンに勝つための方法を導きだす。

 そして、マーグレンの放った攻撃とアンバイドの武器が放った攻撃が衝突する。

 バァン、と音させながら―…。

 この双方の衝突による双方の力は、同じであったことによる、双方の放出した攻撃は相殺される結果となった。

 この結果に対して、アンバイドは冷静であったが、マーグレンは、

 (抑えられた。)

と、心の中で少し動揺する。

 そのため、

 「ぐっ!!」

と、言う悔しそうな声がマーグレンから漏れる。

 その声が聞こえたアンバイドは、

 「さあ~て、今度はこっちの番だ。いかせてもらうぜ!!」

と、歯を見せながら、余裕があるように言う。実際に、アンバイドは余裕が有りすぎるのであるが―…。油断はしていない。勝利の瞬間まで何が起こるかわからないからだ。

 タン、と足音がなる。

 一歩、アンバイドが前に進む。

 「攻めていくぜ。」

と、アンバイドが言うと、アンバイドの右手から、自らの武器をもう一つ展開する。それは、アンバイドが展開する武器である球体の周辺に五つある先端が三角錐で、中央の玉のような球体の方へ向かうところが円柱のようになっているものの一つと同じものである。その武器をアンバイドは、右手で持った。

 そして、アンバイドが最初に展開した武器もまだ展開したままであった。

 アンバイドが今展開した武器に対して、

 (角?)

と、マーグレンは心の中で感じ、何をしようとしているのか疑問に思う。

 そして、アンバイドはすぐに、マーグレンに向かって移動を開始する。それは、瞬間移動をするかのようであった。マーグレンもアンバイドが一瞬にして消えたのではないかと感じた。

 一秒も経過しない時間で、アンバイドは、右手に持っている武器を、マーグレンの右手に展開している黒い球状のようなものに当てる。

 「!!」

と、一瞬、何が起こったのかわからなかったマーグレンは、近くにいるアンバイドを持ち驚く。アンバイドが一瞬で移動してきて攻撃してきたのだから―…。

 マーグレンは、動揺しても、すぐに冷静になったのか、アンバイドと若干ではあるが、距離をとる。いや、むしろを距離をとるという概念には当てはまらないかもしれない。なぜなら、その離れる距離が一メートルにも満たなかったからである。

 距離をとったマーグレンを見たアンバイドは、マーグレンのとった距離がほとんどないことに見るだけで気づくことができた。まあ、わかりやすかったのだ。

 そして、

 「終わりだ!!」

と、アンバイドは叫ぶように言う。

 そうすると、アンバイドが展開していて、自らの右手に持っていない武器をマーグレンの目の前に移動させていた。

 「!!」

と、マーグレンは驚く。それは、マーグレンが焦っていたためであろう。マーグレンが焦ることにより、周りの状況や相手の武器などのことをしっかり戦闘の中で思考させていく時間などがなかったのだ。ゆえに、まるで、盲点であったかのように驚かざるをえなかった。

 「いつの間に!!」

と、マーグレンが言う。これが、その証拠であろう。

 (俺がアンバイドの攻撃で闇の球体が当てられた時に―…。)

と、マーグレンは心の中で思う。動揺しながら―…。しかし、それは完全に理解できているものとはほど遠かった。

アンバイドは、マーグレンの黒い球状のようなものである闇の球体に当て、マーグレンの視線を逸らしながら、マーグレンが気づかないぐらい上に、アンバイドが最初に展開した武器を移動させたのだ。

 そう、アンバイドがマーグレンに向けて攻撃するために―…。そこまで、マーグレンでも理解できていた。これからが、マーグレンにとって実際に、完全に理解できていないほどに遠かったのである。

 アンバイドは、

 「終わりだぁ――――――――――――――――――――――――――――――。」

と、叫ぶように言う。まさに、この一撃で、アンバイドはマーグレンを倒そうとしている。アンバイドの心の中では、決してそうではないのだが―…。

 アンバイドがさっきの叫ぶように言った後、アンバイドが最初に展開した武器が、球の部分から、球状のものを素早く形成し、マーグレンに向かって、その一撃を光線のように放つ。

 マーグレンは、その攻撃を避けることができずに、真正面からアンバイドの放った攻撃を受ける。これは、マーグレンの全身を覆うほどであった。

 そして、バーンという音をさせながら―…。

 アンバイドの武器の放った攻撃による風圧で、四角いリングの周囲に煙のようなものが発生することとなった。


 時間としては、数分が経過したのだろう。

 アンバイドは、その間、只管立ち続けていた。

 何もすることがなかったからだ。

 そして、煙のようなものが晴れていく。その中から―…、

 「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ。」

と、息のきれそう者の音がする。これは人が発しているものであろう。

 煙のようなものが完全に晴れていくと、マーグレンの姿があった。それも立っている姿である。マーグレンの両手は、膝に掌をつけている状態であった。そう、マーグレンが立っているのもやっとの状態であり、アンバイドのさっきの攻撃によってダメージを確実に受けていたのである。ゆえに、さっきの「はあ、はあ」の音はマーグレンの声からでたものであった。

 マーグレンは立っているのがやっとの状態であったが、ほんの数秒で膝についていた手を離して、立っていられる状態になっていた。

 (俺を倒せるわけがなかったな。何が今度はこっちの番だ。そんなものさっきの攻撃で俺が倒すことができなければ、アンバイド(お前)が負けるためのただの強がりにしかすぎない。なら、今度―………、えっ!!!)

と、心の中でマーグレンは、さっきのアンバイドの光線のような攻撃を防いだことと、アンバイドがさっきの攻撃をするときに言った言葉から理解した。そう、アンバイドがさっきの攻撃でマーグレンを倒そうとしたということ、そして、倒せなかった場合はアンバイド自身が負けるというマーグレンの憶測にしか過ぎないことをマーグレンは、自分勝手に結論付けたのだ。ゆえに、今度はマーグレンから攻めようとしたのだ。

 しかし、それが現実になることはなかった。

 (何で、アンバイドがそこにいて、俺を斬っているんだ!!)

と、さらに心の中で動揺しながらマーグレンは心の中で呟く。

 そう、マーグレンは、心の中で、アンバイドの攻撃を仕掛けようと呟こうとした瞬間にアンバイドに斬られたのだ。アンバイドが、光線のようなものを放ったのとは別の武器、もう一つ展開していた武器の三角柱の先端で斬ったのだ。そう、アンバイドは、マーグレンを姿を確認してすぐにマーグレンの近くへ移動して、攻撃をしたということだ。

 結局、マーグレンは、そこまで、深く腹部辺りを斬られることはなかった。マーグレンが死ぬほどではないぐらいに―…。

 マーグレンは、倒れる落ちる刹那にアンバイドの言葉を聞いた。

 「次の手ぐらい考えているんだよ。それも実行できるぐらいになっ。」

と。

 マーグレンが倒れるのを見たファーランスは、

 「勝者、アンバイド!!」

と、勝者を宣言するのであった。


 【第57話 Fin】


次回、瞬間的な蹴り有り!!?

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


2020年度の目標は、多くの人に『水晶』を読んでもらえることです。これが一番目の目標です。そのために、自らが少しだけでも成長していくことができたらと思います。

そして、2021年1月11日18時にもう一部分を更新します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ