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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第6話 領主のもとへ辿り着きました

前回までは、シークドを倒すことに成功した。だが、レクンドはまだ倒されておらず。そして、瑠璃の出した電玉の威力は如何程なのか。


 【第6話 領主のもとへ辿り着きました】



 ビリッ、ビリッィ、と音がする。

 これは、瑠璃が仕込み杖の水晶玉から出した電玉の音。

 この音に、レクンドは気づく。

 そして、シークドがすでに倒されていることにも気づく。

 レクンド自身も悟る。

 すでに、優位な状況であったのが、シークドが李章に倒されたことによって、自らが絶望的な状況になったことを―…。

 レクンドは考える。

 自らがどうすればよいのか。

 電玉から逃れる回避すること。

 自らが凍らされないこと。

 シークドを倒した李章にどう対処するのかを―…。

 一方で、瑠璃も、


 (敵はすでに、この電玉に気づいているみたい。それに電玉から音でているし。これだと気づかれるよね。うん、そうだよね)


と、レクンドに自らの電玉が気づかれたことには納得している。

 そうなるだろうと織り込みずみである。

 そして、瑠璃はレクンドに向けて仕込み杖を構える。電玉を構えた仕込み杖の前に出して―…。

 その行為にレクンドは驚く。そして、瑠璃へと注意をより集中的にレクンドはむける。レクンドは、瑠璃が攻撃してくることを読んでの判断であった。

 その集中力を瑠璃により多く向けたということを礼奈が見逃すはずがなかった。すでに、レクンドが瑠璃に集中をより多く向けたときから、槍での攻撃を出すための構えをしていた。そして、レクンドへと突撃するかのように走りながら向かって行った。

 礼奈は、レクンドの注意を向けるために、


 「瑠璃の雷に夢中にしないほうがいいよ」


と、レクンドに聞こえるように言った。

 その礼奈の言葉にレクンドは、反応した。そう、礼奈がレクンドへと突撃しようとしていることに―…。

 それゆえ、レクンドは、礼奈の突撃に対する防御へと体勢を移行せざるをえなかった。

 レクンドは、右手に装着しているハンマーを盾の代わりとして礼奈に向ける。

 そして、礼奈は槍でレクンドに向かって突きの動作をおこなう。

 キーンッ、と礼奈の槍とレクンドのハンマーのあたる音がなる。

 礼奈の槍に直接攻撃は、レクンドの右手に装着されているハンマーによって防がれた。

 そして、防がれたことを確認すると、礼奈はすぐにレクンドとの距離を置く。だいたい2~3メートル前後離れて、その後、すぐに氷の氷柱を一つだして、レクンドに向かって放つ。そして、その間にさらに礼奈はレクンドから距離を離れていく。この氷の氷柱を囮にして―…。

 この礼奈の行動はうまくいく。レクンドが礼奈によって放たれた氷の氷柱にハンマーをそのまま構えて防ぐことにしたからだ。

 そして、レクンドに礼奈の放った氷の氷柱があたる。

 レクンドはそれを当然、右手に装着しているハンマーで防ぐことに成功する。

 しかし、レクンドは気づく。


 (凍っている。俺のハンマーが……。まさか、礼奈(あの女)の攻撃があたると、あたった部分が凍るというのか!?)


と、レクンドは心の中で、どうして自らの一部が凍らされたのかという自らの結論にたどりつく。

 しかし、これも正解へと近づいているが()()()()にすぎない。

 実際は、礼奈が武器で攻撃や、氷での攻撃、自身への接触が発生した場合に、接触した相手を敵だと判断したときに凍らせているのである。

 つまり、接触した相手もしくはその武器に対して、接触と同時に氷の一部を相手に付着させ、その付着させた氷を自らコントロールして、青の水晶の能力を応用して氷を成長(大きく)させていたのである。これが、礼奈がレクンドの体の一部や武器を凍らせたトリックである。

 礼奈のレクンドへの突撃によって、レクンドは瑠璃に対して警戒するということを向けることができなくなっていた。

 そのことを瑠璃は見逃すことはなかった。すぐに赤の水晶を展開し、その能力を使って電玉をまた別空間に隠した。そして、赤の水晶の展開場所を変えた。

 レクンドは、礼奈からの攻撃に対する対処に追われたが、礼奈がレクンドから距離をとって、氷の氷柱を防ぐと、すぐに瑠璃へと視線をうつした。

 しかし、そこでレクンドはあることに気づく。電玉がすでに瑠璃の仕込み杖の先になくなっていたこと。そして、瑠璃がいまだ構えていること。

 瑠璃は、


 「征け」


と、言う。

 そうすると、レクンドの後ろで展開する、赤の水晶の能力を―…。つまり、レクンドの後ろに電玉を隠した別空間の出口を―…。

 そして、瑠璃は再度隠した電玉をレクンドに向かって放つ。


 「電玉突撃」


と、瑠璃が言う。

 そうすると、電玉はすぐに別空間の境界を越えて、レクンドの後ろに出現し、レクンドに向かって突撃する。

 その言葉にレクンドは気づいて、冷や汗をかきながら後ろを向く。

 だけど、レクンドが回避行動をとるという行為をするには遅すぎた。

 すでに、電玉はすでに目の前にあって、1秒の経過しないうちにレクンドに突撃した。

 そして、レクンドは電玉によって感電させられた。


 「ぎゃぃああああああああああああああああ―――――――――――――――――――――」


と、レクンドの悲鳴が響き渡った。



 ◆◆◆



 瑠璃が放った電玉の突撃が終わると、電玉は消えた。

 そこに立っていたのは、レクンドであった。

 だが、レクンドは、


 「ガッハッ」


と、言って、真っすぐ前に倒れていった。

 そして、ドスーンとどでかい音が鳴った。

 レクンドは気絶して倒れた。右手に装着しているハンマーもレクンドが倒れるとともに倒れていったのである。

 それをみた瑠璃と礼奈は、相手を倒すことができたのではないかと確信する。


 「これでやっとか~」


と、礼奈は若干疲れたなあ~という気持ちをのせて、やっと倒せたのかという意味の言葉を口にする。


 「やっとの思いで倒せたよ~。よかった、よかったぁ~」


と、瑠璃は、今日の敵の襲撃と領主の館内での罠による戦いですっかり疲れぎみであった。

 一方で、李章は、玄関へと向かっていた。近くには気絶しているシークドがいる。

 そして、領主の館の玄関に着くと、玄関の扉が開くのかどうかを確かめる。


 (う~ん。領主がもしここで私たちを狙ったということなら―…、この城のすべてが罠だと考えるべきです。ならば、二人を先に―…)


と、李章は心の中でそう思いながら、玄関の扉に手をかける。

 だが、扉は開かなかった。李章はある推測を考える、


 (閉じ込められた!!)


と。

 そして、


 「李章君、玄関の方はどう? 開いた?」


と、瑠璃が尋ねると、


 「ダメです。閉じ込められました」


と、李章は正直に答えた。


 (まずいことになってしまいました)


と、李章は心の中で思うのだった。



 ◆◆◆



 領主の館。

 領主のフォルゲン=デン=ベークドがいる場所。

 そう、領主が普段から公の会議を行う、玉座のようなものがある部屋。


 「たとえ、レクンドとシークド(あいつら)という俺の右腕と左腕の人物が倒されたとしても、俺、フォルゲン=デン=ベークドに勝てる人物などランシュクラスの実力じゃなきゃ無理だな。そう、ランシュのいう三人組がここで負けるのは確実だ。」


と、強い確信を抱く領主フォルゲン=デン=ベーグドであった。

 だが、実際には、ランシュクラスでなくても、この領主を倒すことは可能である。

 なぜなら、この領主の実力はランシュよりもはるかに劣ると言っても過言ではない。彼は天成獣の宿っている武器を扱えるとは言っても、そこまで強い方に分類されないのだ。

 ランシュクラスとなると、かなり強い実力者であり、もし、フォルゲン=デン=ベークドの実力がそのようなものであるなら、この領主の名前は、この地域でかなりの実力者として知られていないといけないが、決してそうではない。

 領主としての評判も良くない。その噂がリースに漏れないようにしているが―…。

 まあ、リースは二年の間、いろいろあって大変な状態であり、フォルゲン=デン=ベークドの情報はあまり入ってこない状況になっている。そんな要素もあり、噂は漏れていないというわけであり、届かないような状態になっているのだ。

 そして、この領主は、瑠璃、李章、礼奈が来るのをただ待つのだった。

 領主である自分が、わざわざ迎えに行くのは恥でしかないのだから―…。



 ◆◆◆



 領主の館の中を瑠璃、李章、礼奈は進んでいく。

 その足音は領主の館の廊下に聞こえる。

 レクンドとシークドを倒して歩いてきているが、ここまで敵が一人も現れないと瑠璃と礼奈は思っていた。

 レクンドとシークドを破るような人物と、戦うべきではないという判断を領主以外の領主側の人物たちが下していたからだ。レクンドとシークドの実力は領主の側近のなかで一、二を争うものであった。だから、その他の人物が束になったとしても勝てる見込みがなかった。

 だが、全員がそう思うはずもなかった。一部の者は、気配を消して、瑠璃、李章、礼奈の隙をうかがっていた。

 そして、隙が生じる瑠璃、李章、礼奈に襲おうとしたが、李章によって察知され、あっさりと倒されたのである。

 つまり、瑠璃、李章、礼奈の実力に怖気づいてしまった者と、隙を狙い李章によって撃退された者たちという二つの結果をたどって、瑠璃と礼奈の目の前に敵が結果として現れなかったのである。



 ◆◆◆



 レクンドとシークドを倒して二時間ほどが経過した。

 瑠璃、李章、礼奈はある場所についた。

 それは、大きな扉のある部屋の前である。


 「あとはここだけかー」


と、瑠璃は言う。

 そう、瑠璃、李章、礼奈は、領主の館の部屋の中に敵がいないかを探っていた。結果として、二時間という時間は、李章の危機によって、瑠璃、李章、礼奈の実力に怖気づいた者も、隙を狙って襲おうとした者のすべてが倒されてしまったのだ。瑠璃と礼奈が結果として、気づく程度には―…。そのため、李章は、少し疲れぎみでもあった。だが、李章はまだまだ戦うこともできるし、油断もしない程度の集中力を保っていた。


 「この扉を開けよう」


と、瑠璃が言うと、


 「うん」


と、礼奈が頷きながら返事し、


 「はい」


と、言って李章が扉を開ける。


 (この中には敵がいます。それも、玄関で戦ったレクンドとシークド(あの二人)以上の実力をもつ人物が―……)


と、李章が緑の水晶の能力で、この扉の向こう側に強敵がいることを理解していた。

 扉はゆっくりであるが、確実に開いていった。

 扉を開け終えると、絨毯のカーペットが扉から真っすぐと扉の奥へと続いていた。

 瑠璃、李章、礼奈は部屋を見渡す。その部屋はとてつもなく広かった。


 「すごーい。ここだけ部屋が大きーい」


と、瑠璃が、


 「そうだね~。本当にこの部屋は他の部屋に比べて大きーい」


と、礼奈が言う。

 一方で、李章は、


 (この城の主、領主はどこにいる。一体、どこに)


と、思いながら、部屋を全体を眺めていた。

 そう、瑠璃、李章、礼奈がこれまでに見てきた部屋のどの部屋にも領主はいなかったからだ。

 瑠璃、李章、礼奈が部屋の中を少し進むと、


 「お待ちしておりました」


と、野太い声が響いた。

 そして、瑠璃、礼奈、李章は、どこからさっきの声が聞こえたのかを辺りを警戒しながら見回した。そうするうちに、部屋の奥にその声を出した人物がいた。

 その人物は、玉座のような椅子に座っていた。その人物は、すでに四十代と思わせるかのように、おじさんと思わせる姿をしているが、それでも、野太い声に似合わないぐらいに体形は逞しいものとは正反対の若干ではあるが、ぽっちゃりとした感じである。顔は少し小さめに感じさせる。瑠璃、李章、礼奈に対して偉そうな態度を見せる。

 そして、


 「フン。レクンドは倒されたか。それにシークドも、っということか」


と、その人物は自らの部屋にたどり着いた瑠璃、李章、礼奈を見て、そう考え、結論をだした。

 そう、この人物こそが領主フォルゲン=デン=ベークドである。


 【第6話 Fin】

 

 

 

次回、領主との戦いに!? 瑠璃、李章、礼奈はどうなるのか。そして、ローの動向はどうなのか?

誤字・脱字に関しては、気いた範囲内で修正していくと思います。


2022年10月23日 以下などを修正および加筆します。

①「電玉が逃れる回避すること」を「電玉から逃れる回避すること」に修正。

②「瑠璃が攻撃してくることを読んででの判断であった」を「瑠璃が攻撃してくることを読んでの判断であった」に修正。

③「槍での攻撃を出すための構えをした」を「槍での攻撃を出すための構えをしていた」に修正。

④「礼奈の突撃に対する防御へと体勢へと移らざるをえなかった」を「礼奈の突撃に対する防御へと体勢を移行せざるをえなかった」に修正。

⑤「礼奈はすぐにレクンドが距離を置いた」を「礼奈はすぐにレクンドとの距離を置く」に修正。

⑥「礼奈への攻撃対象に追われたが」を「礼奈からの攻撃に対する対処に追われたが」に修正。

⑦「レクンドの後ろに別空間の境界を」を「レクンドの後ろに電玉を隠した別空間の出口を」に修正。

⑧「レクンドが回避行動をとることには遅すぎた」を「レクンドが回避行動をとるという行為をするには遅すぎた」に修正。

⑨「そして、レクンドは気絶して倒れた」を「レクンドは気絶して倒れた」に修正。

⑩「強い確信を抱く領主フォルゲン=デン=ベーグドであった」の後に、

「 だが、実際には、ランシュクラスでなくても、この領主を倒すことは可能である。

 なぜなら、この領主の実力はランシュよりもはるかに劣ると言っても過言ではない。彼は天成獣の宿っている武器を扱えるとは言っても、そこまで強い方に分類されないのだ。

 ランシュクラスとなると、かなり強い実力者であり、もし、フォルゲン=デン=ベークドの実力がそのようなものであるなら、この領主の名前は、この地域でかなりの実力者として知られていないといけないが、決してそうではない。

 領主としての評判も良くない。その噂がリースに漏れないようにしているが―…。

 まあ、リースは二年の間、いろいろあって大変な状態であり、フォルゲン=デン=ベークドの情報はあまり入ってこない状況になっている。そんな要素もあり、噂は漏れていないというわけであり、届かないような状態になっているのだ。

 そして、この領主は、瑠璃、李章、礼奈が来るのをただ待つのだった。

 領主である自分が、わざわざ迎えに行くのは恥でしかないのだから―…」

と加筆。

⑪「どこからさっきの声が聞こえたのかをあたり、警戒しながら見回した」を「どこからさっきの声が聞こえたのかを辺りを警戒しながら見回した」に修正。

⑫「その人物は、玉座のような椅子に座っていた」の後に、「その人物は、玉座のような椅子に座っていた。その人物は、すでに四十代と思わせるかのように、おじさんと思わせる姿をしているが、それでも、野太い声に似合わないぐらいに体形は逞しいものとは正反対の若干ではあるが、ぽっちゃりとした感じである。顔は少し小さめに感じさせる。瑠璃、李章、礼奈に対して偉そうな態度を見せる」と加筆。

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