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1.「転生先はいわゆるファンタジーな世界らしいです。」

 忙しなく物事が流れていく時間

 いつもの様に今日という一日が始まった


 「行ってくるわ」

 「行ってらっしゃい」


 朝ご飯を食べ終えたユートは時間に余裕をもって家を出て、学校へと歩き始める


 ん~、最近暖かくて気持ちいいな。春の陽気に充てられていつもの通学路を歩いてくと、すぐそこに学校が見えてきた。


 学校に着いたらクラスで飼ってる金魚にエサをあげて、2時間目でやるテストの勉強でもしようかな。なんて思っていると、1匹の白い猫がユートの前を横切った


 その猫を目で追っていると道路を横断し始めたが、途中まで渡ったところで急に立ち止まってしまった。


 よく見てみると道路の溝に足がはまってしまい抜け出せないでいた。大丈夫かな?と、思っていると1台のトラックが走ってきてしまった。


 猫はなかなか抜け出せないでいるし、トラックは全然速度を緩めようとはしない。

まさか運転手さんは猫に気づいていないのか!?


 やばい!助けなきゃ!! と思った時には俺の足は自然と猫に向かって走り始めていた。


 夢中でユートは走った


 あと少し、あと少しで猫に手が届く!!

 「いっけえええええ!!」

 できる限り伸ばした腕が猫を捉えようとした、その時


 カクッ

 

 道路の溝のつまずき、転んでしまった。


 「あ、俺死んだかも。」




 ゆっくりと世界が流れていくなか、白い猫と目があったような気がした。


 「綺麗だ」

 猫は綺麗なオッドアイをしていた。



そして、ユートの人生は幕を閉じた




______________________________________________________________________________________




 「んっ」


 目を覚ますと俺は真っ白な部屋で横になっていた


 あーあの後トラックに轢かれたのか、てことはここは病院か?それにしてもなんもない部屋だな。


 いいえ、ここは地上と天界の狭間よ。


 何もない空間にとても澄んだ声が響いた


 「うわっ!誰かいるのか!?」


 「あーごめんなさいね?姿を映し出すの忘れていたわ」


 声と共に、白を基調としたローブに身を包んだ女性が現れた。しかもめちゃめちゃ綺麗だこの人

 あれなぜだろう、見たことあるようなないような、記憶に引っかかる違和感をこの女性から感じる。


 「あんたは?」


 「私はこの世界を監視・調整の命を与えられた女神ですわ。」


 うわー、出たよ女神。この手でよくあるやつだ!!嘘くさいっ!!


 「私は本物の女神ですわ!!まあ信じなくて結構です!改めまして、ここは地上と天界の狭間よ。あなたはトラックに轢かれて死んでしまいました。覚えていらっしゃいますか?」


 あ、綺麗なのに残念な人だ。ぷんぷんしながらほっぺを膨らませる自称女神は威厳もへったくれもなかった。


 「覚えている。あの後死んだのか俺…。」


 「ええ、即死だったわ。いろんなモノぶちまけてもう大変だったんですからね?」


 自称女神はまるで生で見たかのような物言いでリアルに詳細を伝えてきた。


 「うっ…おえええええ」

 その光景を想像して猛烈な吐き気に襲われる。嗚咽しても何かが出るという事はなかったが一通り吐いてなんとか落ち着いた


 「猫はどうなったんだ?」


 「はぁ、自分のことよりも猫ですか。猫は無事ですよ。むしろあなたが介入しなく大丈夫でしたわ。」


 「そっか、ならよかった。」


 「べ、別に感謝なんてしてないんですからね!!ほ、ほんとうは足が抜けなくて焦ってなんていなかったんですからね!!」


 「?」


 なんでこの人がこんな事言ってるのか理解できなかったが、考えるより先に自称女神が話しかけてきた。


 「それはともかく少し調べさせてもらったけど、あなた随分とつまらない人生を送っていたわね?人生にたくさん未練があるのではないかしら?もしあなたさえ良かったら、別の世界で人生やり直さない?」


 「ぜひ!やり直したい!!」


 そう、俺は生まれてきてから何もかもが平凡だった。運動も勉強も家柄もすべてが普通。何かやりたいこと得意なこと、趣味などは全くなく、ただただ1日を過ごしてきた。ほかの人が俺の生きてきた道のりを評価するのであれば間違いなく「つまらない」というだろう。あれなんだろう、すごく悲しくなってきたぜ!


 「そう!ならもう早速向こうの世界に送っちゃうわね!」


 自称女神がそういうとすぐに俺の体がどんどん光の粒に変換されていく。


 うわ!なんだこれ!


 「大丈夫よ、今あなたを別の世界に転送している最中よ。あ、あと言い忘れてたけど、あなたがこれから行くところは剣と魔法のファンタジー世界よ。くれぐれも平凡に生きるとかやめてよね?せいぜい長生きして私を楽しませなさい」


 この自称女神だいぶ最初と話し方変わってない!?さてはこっちが素だな!?


 そして俺の体は光の粒となって希薄になっていく。

 

 「それじゃあ行ってらっしゃ~~い」


 視界と音が霞んでいく中、俺の意識は再び幕を閉じた

 

 「ユート助けてくれてありがとう。死なないでね。」

 

 ユートがいなくなった白い部屋には、女神の美しく澄んだ声だけが響いた。











(=^・・^=)女神「綺麗だなんて言われたらほっとけるわけないじゃない……///」

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