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水穂戦記  作者: 江川 凛
第6章 信夫攻略2
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練兵

 どうして、そんなことを考えているというと、三川で鷹狩りの際にみた秋山風見と、青柳新右衛門の陣の展開があまりに見事だったからである。

 秋山風見の陣に切り込んだ時は、何も考えずに後ろから中央突破をしただけだったが、これからあんな手が通用する機会なぞないと思って良いだろう。

 どうしても、正面からやりあわなくてはならない訳だが、どう考えても、水穂、三川、信夫の寄せ集めの我が軍に彼らと同じことが出来るとは思えない。


 ただでさえ、兵力で劣る我が軍が 技術でも負けるとなれば、勝てる要素が見つからない。

 何としても、兵の連携を強めなければならないが、はっきり言ってまったくどうしたら良いかわからない。

 頭にあるのは、秋山家の見事な動きなので、信義を呼んで秋山家ゆかりの者で、だれか練兵が出来る者がいないか聞く。

 すると、赤井琢磨という名を挙げて来る。

 何でも秋山家には練兵を行う専門の家(赤井家)があり、琢磨は傍系ながら、その流れを汲む者らしい。


 早速呼んで話を聞いて見ようとするが、簡単に断られてしまった。

 どうやら気位が高いらしく、今まで三川で練兵をやっていた自分が、何故こんな弱兵をという気持ちかららしい。

 確かに、わからない話でもない。

 しかし、既に琢磨自身も落ちぶれた身だし、こちらもどうにかしなければならないので、粘っていると、「だったらそれなりの成果を見せて下さい。」という。

 「具体的に何をすれば良いのか?」と聞くと、兵を横一列に並んで、隊を乱さずに陣を前に進めることができれば、練兵を引き受けてくれるといいう。


 早速、兵を並ばせ、前進の号令をかける。

 並んでいる時は、それなりに様になっていたが、動き出した途端に、それは見るも無惨なものとなった。

 それぞれの兵の歩く速さが異なる。

 どうにかして隣の者には合わせようとするが、少し離れた者となると、どうしようもない。

 結果、蛇がのたうった様に、ぐにゃぐにゃとした前進となる。


 琢磨は予想通りという顔をしている。

 どうしても兵の動く速さが違うからこうなってしまう訳だが、皆、それなりに練兵はして来ているはずだ。

 それでも速度が異なる原因は考えるまでもない、各国で訓練されて来ている進軍の速さが異なるからだ。

 一番速いのが三川で遅いのが水穂だ。

 これだけでも、如何に三川がきちんと練兵をしているかわかる。

 信夫もそんなに速い訳ではないが、そこはやはり慣れた地の利というところだろう。


 だったら出身国ごとに3つに分けてということも考えだが、そうなると今後は更に進軍速度の違いが表に出すぎて、出身国ごとの境目が分断されてしまう状態だ。

 それにこれからも兵を増やしていかなければならない以上、旧出身国どうしだけでまとまるのは望ましくない。

 何としても、混成のままで進軍速度を合わせるしかない。


 どうしたものかと思っていると、唐の国の本に太鼓を使って、進軍速度を合わせるというのがあったのを思い出した。

 太鼓の音に合わせて、足を出させてみればどうなるかとふと思った。

 早速やって見る。

 太鼓の音に合わせて、足を右、左と交互に前に出していく。

 まるで、初めてよちよち歩きをした子供と同じだ。

 ただ、確かに速度は遅いが、さっきまでの、のたうちまわる蛇とは全然異なっている。


 ゆっくりだが、皆が同じ速度で前に進んでいるのがわかる。

 それでも、どうしても中には、遅い者がいるので、それは位置を交換したりして、少しづつ調整していく。

 何度か繰り返すうちに、速度もそれなりに上がってきており、何とか様になっている。

 それを見ている琢磨の様子が変わってきた。

 最初はあまり関心がなさそうであったが、そのうち食い入るように見つめはじめると、小声で「そこだ。」とか「それ。」とか言っていいだした。


 そして、仕舞には、いきなり大声で「違う。」と叫んだかと思うと、続けて「ひもを用意しろ。」と言い出し、ひもを皆に持たせた。

 そして、「それをもってさっきと同じように行進をしろ」という。

 確かにひもを持っていると、自分が前に出過ぎているか、後ろに下がりすぎているかが良くわかる。

 ある程度、太鼓を打つ速さをあげても、これなら何とかなりそうだった。


 琢磨が何がばつの悪そうな顔をして、こちらを見てくる。

 しかし、直ぐに正面を向くと、先にいろいろ指揮をしだした。

 冬の間、練兵をすれば春の合戦までにはマシになるかな、ふとそんな期待を抱かせてくれる光景であった。

 これで、最大の問題は何とか成りそうなので、俺は別の大事なことに取りかかることにした。

 申し訳ありませんが、少し、最後の方を変更しております。

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