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7話

 夕莉とテスト勉強している最中、ずっと「自分はどうしたいのか」を考えていた。

 夕莉と一生友達でいるという約束は誰かにしたものではなく、自分で勝手に決めたもの。 止めるのも続けるのも俺次第。 決められない。

 もし約束を止めてしまえば、きっと俺は立花みたいなことはできない。 目の端には入れてても避け続けるだろう。

 だからと言って、このままで良いのだろうか。 俺にとっても、夕莉にとっても……。


「なぁ、もしお前がどちらか一つを選ばないといけないとしたら、どうやって決める?」

「う~んっと、そうだな~」


 夕莉は解いてる問題を終えてから、言葉を続けた。


「私だったら、楽しい方を選ぶかな。どっちが正しいかで考えたら、きっといつまで経っても答えは出ないし、やってみないとどっちが正しいかなんて分かんない。 でも楽しい方なら分かる。 だって自分がやりたいと思ってることだもん」

「……誰の言葉?」

「バレたか。 漫画に出てくるお婆さんの言葉。 テスト終わったら貸そっか? いろいろためになるよ~」

「そこまで言うなら」


 俺たちは勉強に戻った。 今度は集中できた。




 最終下校時間が近づいてきたから、夕莉と帰路についた。 何気ない会話をしながら、頭のなかではさっき夕莉が言っていたことを考えていた。

 俺にとって楽しいことはなにか。 俺がやりたいことはなにか。

 俺にとって楽しいことは、なにも変わらず今まで通り夕莉と仲良くいたい。 朝一緒に学校に行って、たまに教科書とか貸して、テスト前では一緒に勉強する。

 ごく当たり前のことだけど、それが楽しく感じる。

 俺がやりたいことは————

 考えて顔が熱くなった。 夕莉が「なに赤くなってるの」とバカにされたのを夕日のせいにして、速足になった。

 

 俺はあのとき、自分に約束した。 ずっと友達でいると。 

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