ドジっ子童子と乳と母
普通な少年が居ました。純粋の少年は言いました。
なんで僕は恨まれるのか。
なんで僕は疎まれるのか。
少年は訳が解らず右往左往、親に聞いたら呆れて悲しい顔で怒られる。先生に聞いても親と全く同じ反応でした。クラスの人に聞いてもニヤニヤされるだけ。
心が尽ききった少年は、心の中の彼女に話かけました。神様と言ってもいいでしょう。
「なんで僕は嫌われるの?」
「貴方は何も悪いことしてませんよ。そうです、悪いのは全て周りです。貴方は寧ろ、本当に良い人です」
「そうかな」
「そうです。ほら、よく言うでしょう、いじめられる子は聖人だと。全て周りが悪い」
「周りが悪い」
「そう。ほら、おいで」
「う……」
「よちよち。甘えることは良いことです。ほら、もっとこっち来て。ほら、もっと甘えて。おいで。」
「ああ」
「よしよしかめよ〜、かめさんよ〜、せかいのうちでおまえほど〜あまえんぼうなものはない〜どうしてそんなにあまえるのか。」
「続きは?」
「欲しいですか?ほんとにもう」
ばーんと、急に部屋の戸が開けられた。
「……冷えて来たわね」
母さんはそう言っただけで、戸を閉めて帰っていった。
「なんか怖かったねー」
「うん。なんかね」
「勝くん、遊ぼ!」
勝くんの未来はもの書きです。特に小説家として活躍しました。心の彼女に励まされながら。
その子の名を、うるはといいます。