二号、ジュニア君と初対面
『引用rtされたキャラ設定のカプで適当に話を1〜2ツイート分ひねり出す』で白い黒猫さんよりリクエストをいただいた『キーボ君二号と京子ちゃんのお話』のツイートに加筆修正をしたお話です。
安住君ファミリーの長男君が生まれた当時のお話。
今日は我が家のキョウチャンジュニアが初めてキーボ君と対面する日だ。勇一という立派な名前があるのにどうしてキョウチャンジュニアと呼ぶかと言えば、もう何もかもが恭ちゃんと瓜二つで私の遺伝子の欠片も見えないからだ。
キョウチャンに言わせると「目の辺りは京子に似てると思うんだけどな」なんだけど、その意見は今のところ黙殺され続けていて十人中十人がパパ似だという意見で統一されていた。
「あ、いたいた、キーボ君」
駅前で歳末助け合い募金をやっていてうちの商店街のゆるキャラであるキーボ君も協力中なのだ。最初に聞いていた時は一号君だけな筈だったけど二号君もいるじゃない。さっきまで本堂に鎮座していたような気がしたんだけど気のせいかな?
そしてこの初対面には問題が一つある。私達大人はキーボ君を見慣れているし可愛いと思っているけど小さい子はどうかな?ってことだ。たまに泣いちゃう子もいるって聞いているからちょっと心配かな。
「ユウチャン、キーボ君だよー」
二号君の前に行くとほらほらと抱っこしていたジュニア君にキーボ君を紹介した。
「…………」
「…………」
そして顔と顔とで御挨拶。さすが怖いもの知らずの我が家のキョウチャンジュニア。泣くこともなく目を真ん丸にしてジッとキーボ君をガン見している。
「…………」
「…………」
あまりにガン見され続けてキーボ君の方が居心地が悪そうに身体を揺すり始めた。そしてジュニア君はその動きに反応したのかニパッと笑ってキーボ君の方に両手を差し出した。
「パーパ!!」
その言葉にギョッとしたように飛び上がるキーボ君。え? この反応はまさか?
「ちょっともしかして中にいるのキョウチャン?」
私の問い掛けに二号が体を横に揺らす。なかなか地元に戻ってこれなくて二号に入らなくなってから随分と経つのにこういう時の仕草は忘れていないらしい。
「なんで勇一には分かったんだ?!」
「それよりなんで中にいるのよ、さっきまで本堂の大掃除を手伝ってたんじゃ?」
確かに私が玄関から出る時にはバケツと雑巾を持って見送ってくれたわよね? 桜木茶舗さんで御隠居夫妻と璃青さん、そしてとうてつで籐子さんと桃香さんと話しているうちに追い越されたってこと? なんでキョウチャンがキーボ君の中に入ったままでそんなに早く移動できるのか未だに理解できない。
「帰ってきていると自治会の耳に入って歳末助合い募金の助っ人に駆り出されたんだよ。まったく実家に帰ってきてもゆっくり出来ないなんて俺は呪われているのか?」
二号は腹立たし気に体を揺すり、それを見て勇一がキャッキャと歓声をあげる。完全にパパと一緒の時の反応だよね、これ。
何故うちのジュニア君がキーボ君の中の人がキョウチャンだって分かったのかは謎だ。試しに一号二号で帽子を隠して並んでもらったけど迷うことなく二号君に手をのばした。こういうのって遺伝子の力なんだろうか? 実に不思議な安住家のDNA作用だ……。




