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そして、神喰いは世界の造り変えを始めた。創世を上書きし、新たな惑星を二つ造り、神喰いは故郷の世界を再び創り上げ、自分自身が新たな創造主として世界に君臨した。
だが、本来はそうあるべきでない世界であるが故に、世界は元の形に戻ろうとする力が働き、神喰いの改変との間に反発が生じ世界は歪んだものへと変わってしまった。
神喰いはその歪みさえも力でねじ伏せ、強引に望む方向へと世界を進めて行った。もちろん無理な改変である、歴史の細部は歪み誰も幸福にならない未来ばかり紡いでいった。だが、神喰いはそんなことまるで気にしていない、だたひたすらに歴史を創り望む場所へと急ぐ事しか頭には無い。
神喰いは恍惚とした笑みを浮かべながら世界を操り続けた。
『もうすぐだアリス……もうすぐ、会える』
そして、神喰いが望んだ少女がこの世界に産まれ落ちた。だが、歪みの影響なのか名前も性格も少し違っていた。新たに生まれた少女の名は『ファニアリス』といい、内向的でひそやかであった『アリス』と違い、とても明るく活発で他の兄神たちにせがんでは刀剣を触りたがるとても好奇心の強い娘だった。
確かに少女は神喰いの『アリス』とは違った。だが、根本は同じ、神喰いは少女の成長を『創造主』として見守り、再び自分と出会う運命の日を待った。彼女ともう一度、出会う為に。
全ては上手く行っていた。そう、予想外の異分子が紛れ込むまでは……