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VOICE  作者: 沙由
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一声 オフ会 の Ⅳ

ただ、正面衝突とはハイリスクハイリターンなものだと思われる

「きゃ、すみません。ごっごめんなさい。うあぁ」



 歩が外に出るのは、友達に誕生日プレゼントを私に行くために出た時以来だから、約1年半ぶり。そんな人がもちろん外でうまくやることはできず、歩はぶつかったりにらまれたりされていた。



(あーもうやだよ、外なんて……。暑いし、人たくさんだし。みんな怖いよ――そんないかつい顔しないでよ。うー秋さんたち早く来てくれないかな?)



 かわいらしいツインテールに結わえてる髪が悲しそうに垂れ下がる。この日のためにと散々迷ってから選んだ服も、ぶつかったりしているうちに(木に登ったりしてる時に)大分汚れてしまった。

 といっても、無地のピンク色の半そでのワンピースにジーンズの短パン。それとヒールの無いサンダルという、いたって子どもっぽい地味な服装なのだけれど。



(そもそも、私場所間違えちゃったかな? 時間とか間違っちゃったかな? もしかして、みんなが私を仲間はずれに……きっとそんなこと無いよね? でも、やっぱ不安――)



 歩は時間がたつごとにどんどんと沈む。それは暑さのせいであり、人の多さのせいでありまた、裏切られた過去から来る不安なのだろう。

 まぁ種明かしすると、それは彼女の心配性のせいである。集合時間より早く着すぎてしまったのだ。尤も歩はそのことに気づく気配は無いが。



 その時、歩の背後に女性が立ちそして一言「歩ちゃん?」と言う。歩はというと、

(えっどうしてこの人私の名前知ってるの? 怖いよ――都会は怖い人がいっぱいだよ。これじゃあ振り返れ

ないよ……)

 黙りこんでた。



「え、あ、ごめんなさい。人違いかな? 鈴私、李なんだけど……」

「鈴李さん!?」

「やっぱり歩ちゃん!?」


 歩はとっさに振り向く。二人の目はぴったり合う。まるで、事前に打ち合わせていたように。だが、この二人は実際に会うのはこのときが初めてでだからこそ、そのすごさが身にしみる。


「きれい――」

「かわいい――」



 鈴李は確かにとても綺麗である。スタイルもとてもいいし、顔はどちらかというと西洋人のようで、髪は栗色で短めである。そして、なによりも茶色の憂いを秘めた澄んだ瞳が彼女をきっと美しくしているのだろう。ただ、その美しさはどこかはかなげであり、それがさらに鈴李の美しさを引き出していた。


 まさしく絶世の美女。美しいより綺麗な人。


 しかも、鈴李は服の着こなしがうまい。黒い綺麗な無地のひものワンピースの上に、薄紫色のはんそでの薄いカーデガンをまとっていて、それがさらに鈴李の綺麗さを引き立てていた。もう、黒いレースの日傘があまりにも悲しすぎる。


 もう世界が違う。とでも言えばいいのか? だが、彼女は確かに歩のよく知る鈴李という人であった。



「本当に、鈴李さんですよね?」

「ええ、私が鈴李。じゃあ、やっぱりあなたは歩ちゃんなのね?」

「はい。それにしても本当に綺麗ですね」

「ありがとう。何歳なの? 小学生くらいに見えるけど……」

「あっそうです、小六です。鈴李さんは?」

「うーん、何歳だと思う?」

「高校生でしょうか?」

「そうよ。高校二年生。それよりもうこんな堅苦しい言葉、止めましょ? つかれちゃう」

「そうですね」

「ほら、また敬語使ってる。もう」

「だって、美人のお姉さんを口説く時は敬語を使えってロリ兄貴が……」


 それは嘘。進は決してそんな事をいった覚えはないはずだ。


「そんな感じで普通の言葉使お?」



 鈴李は微笑む。嗚呼、字の文の私でさえ後光が見える。それはまさしく天使の微笑み、否女神の微笑といったほうが妥当。見るものを幸せにし、ついなんでも鈴李に言われれば従いたくなってしまうような……そんな笑顔。


「はい」


 歩は気づかぬうちにそう返事を返し顔には満面の笑みを浮かべる。もちろん、本人はそんなこと意識の中に無く、ただ鈴李さんの笑顔に心を奪われてるだけにしか思っていない。


 これはまるで催眠術。

 そして、その催眠術を解いたのはあと2人のメンバーのうちの一人であった。


「ん、もしかして、歩と鈴李さん?」


 その残りのメンバーのうちの一人の少年、聖徒は2人が向き合っている真横からいきなり話しかけてきた。歩はすぐに言葉を返す。



「そうだけど……、なんで私だけ呼び捨て!?」

「だって、年下だし」

「じゃ、君何歳なのよ!?」

「ん? 俺は小4だけど」

「バリバリ私より下じゃない! 私は小6よ。ほらさん付けしなさい」

「精神年齢は俺より二歳くらい下だろばーか」

「なによ!」



 歩と聖徒はお互いをにらみつけている。身長は歩のほうが大きいのでその慎重さがまた2人の苛立ち具合を上げる。


「まぁ、やめなさい」


 鈴李はまたやんわりと微笑んで言うことを聞かせようとするが二人はそちらに全然眼を向けないので効果が無い。鈴李はやれやれと呟きため息をついた。

 

だけど、会話をとめるものはいつでもかならず現れるものだ。例えば、さっき聖徒がいきなり話しかけてきたように……。


 そして、その役目をやるのはもちろんあと一人のメンバー……秋に決まっている。


「すまん、おくれて」


 三人に突然声をかけるものがいた。進と同じようにTシャツにジーパン姿の少年、大体高校生くらいの少年、秋だ。

 とっさに三人とも声の主を探ろうとそちらにふりむく。自然とにらみ合いも終る。

 そして、たっぷりためてから――コマーシャル一本くらいの時間はためてから――秋は言う。


「遅くなってすまん。俺がこのオフ会の主催者、秋だ」



 そうちょっと堅苦しく言ってから秋はにっこりと笑った。


オフ会メンバー集合です。

人の名前多くてすみません……。

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