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VOICE  作者: 沙由
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一声 オフ会 の Ⅰ

伝説は小さなことから始まる。

 ジリジリと午前八時、歩の部屋の目覚まし時計は鳴り響いていた。でも、歩がまったく起きる気配は無い。この時間なら普通の小学生は学校に行くために起きなきゃいけないのに。ここで起きなければ遅刻してしまうのだから。


 その五分後。いよいよ時間が迫ってくる。でも、お母さんが起こしにくる気配さえも全くない。だけど、そんなの歩には関係なかった。なにせ歩は学校に行っていないのだから。


 というわけで、歩の起床時間は八時半と決めている。が、決めているのと現実とはあくまで絶対に同じわけは無く、


「ふあぁぁっぁぁ、学校いかなきゃって行きたくないな。休んじゃお。よっし二度ね」


 歩はいつもそれより早く起きるけど、二度ねする。

 それが歩にとっての日常であった。


 でも、歩は実は二度寝が苦手だったりする。毎朝二度寝にチャレンジしているけど五分くらい経つと結局起きてしまうのだ。人には向き不向きがある。使い方が間違っている気がするが、そこは関係ない。話の本筋とはまるっきり関係ないのだから。


 だから、歩はいつも八時十分ごろに起きていたりする。極めて健康的だと思う。

 でも、その後から早速学校に行っていないことの不健康さの伺える行動に出る。歩は起きたらすぐにパソコンの置いてあるデスクの方に向う。そして、電源いれ立ち上げる。


 その微かな時間の間に朝ごはんを食べようと、自分の部屋のドアを小さくあけ、トレイに載せられラップをかけられた朝ごはんを回収し、昨日の夜ご飯を同じ場所においてとにかく食べる。


 ついでにこの間歩はパジャマ姿で顔も洗っていない。しかも、そのパジャマは三日間着っぱなしだったりする。


「はー、なんでこんなまずいご飯しか作れないんだろう? お母さん」


 歩は寂しそうに呟く。冷たいご飯を口いっぱいにほおばりながら。どこか泣きたげに見える。

 まずいといったもののただとにかく歩はご飯を口に運ぶ。味噌汁も飲み込むし、大根の煮つけだって味わいながら食べている。おいしいといいたげに。


 それなのに歩は「まずいよ。まずい」と呟きながらご飯を食べる。一粒も残さないように

 だけど、そんな時間も短く。またパソコンに向き合う。


 パソコンにはまだ幸せだった頃かって貰ったイヤホンがついている。そして、無料動画をただ聞いている。画面は見ないで。時々「この人の声、高い」「あっ発音の仕方悪いよこのひと」「これ多分ゲスト出演してる人だな」などと、呟きながら。


 たまに、セリフを自分でも言ってみたりしている。でも、そのたびに顔をしかめて「こんなの違う」と歩は呟く。


 自分に厳しいのかもしれない。


 そして、その後は適当な掲示板を回っている。基本的にアニメとかドラマ関連のもの。声優さんについてのところも多いい。


 で、最後に「shiger」という名のSNS。最近は「声優LOVE」というサークルに入っていよいよここを見ることも増えた感じだ。その時、メールという項目に目が留まった。


 実は、歩はメール機能を利用したこともないしこの後も利用しないだろうと、基本的にそこについては無視することに決めていた。でも、なんか今日だけは例外だった。


(ちょっとだけ見るくらいなら、メールにはまりすぎたりもしないよね? 大丈夫。ちょっとだけ)

 歩はメールというところをクリックする。すると、ある一件のメールの内容が目に留まる。


《こんにちは。秋です》


 タイトルにはただそう書いてある。でも、地味なところが余計に歩の心を誘うし、秋はこのSNSの中で一番歩と仲がいい人だったりする。だから、そのお陰もあって歩の文を読むスピードはだんだんと速くなっている。


《歩さんは何時もはメールは読まないので送らないでといっていますが、メールでしか書けない事なのでメールします。歩さん、今度オフ会しませんか? 折角だし、あのサークルの中の四人くらい……そうだな僕と君と鈴李と聖徒ででも。実は、もう他の2人にはメールしてOKを貰っています。歩さんはどうしますか? 返事を待ってます。 P.S オフ会とはパソコンを使わず実際に会うことをいいます》


「オフ会か……」


 歩は呟く。机に自然と肘をつきその手の上にあごを乗せて考える。


(会ってみたい気もするんだよね。でも、ちょっと怖い)


 このSNSではオフ会は禁止されている。何かの犯罪に巻き込まれる危険性があるからだ。それはもちろんの話で、歩はできるだけ危ないことをしたくなかった。でも、それ以上に歩は外に出るのが怖かった。それは浅い意味ではなく、もっとずっと深い意味で。


(でも、会いたい。秋とかのこと知りたい)


 歩は家を出ることができない。兄の協力がないと。それに、外でも知り合いにあったらもう終わり。そんなリスク、危ないことのために犯せるはず無かったのだ。でも、歩は返信ボタンを押してメールを打ち始める。



 そのメールは断りのメールではなかった。


《秋さん、お誘いしてくれてありがとうございます。私もオフ会に参加したいと思います。場所と時間、

早く決めて早く会いたいです。》



 歩はそううつと最後にタイトル欄に《うーん、そうですね……》と、打ち込み送信ボタンを押した。


オフ会ですね。

自殺オフとかありますが、まぁ、そういうのはさすがにないです。


血は舞わせません! 何としてでも前面死守(笑)

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