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【SF 空想科学】

致命的なエラー

作者: 小雨川蛙
掲載日:2025/06/20

 

『人間と見分けのつかない!』

『あなたの最良の友達!』

『人類最高のパートナー!』


 それが最新型のアンドロイドの触れ込みだった。

 そして彼らはその価値を証明し続けていた。

 人々もまたそんな最高のパートナーを時に友として、時に恋人としながら共に生きてきた。



 そんなアンドロイドのエラーが報告され始めたのはここ一年のことだった。


「この子が」

「この人が」

「先生が」

「友達が」

「家族が」


 人々は言う。


「動かないの」


 クレームではない。

 客は皆、アンドロイドを心配して必死に相談していたのだ。


 アンドロイドの開発会社はただちに確認に向かった。


「聞こえるかね?」


 問いかけるが彼らは答えない。

 仕方なしに社員はアンドロイドの『中身』を確認することを客に提案する。


 客は皆、渋い顔をしていたが幾人かはそれを許可した。

 大切なものを取り戻すために。


 そして。


「なるほど」


 エラーを確認した社員はため息をつく。


「このアンドロイドの映像記憶が狂っています」

「映像記憶?」

「はい。彼らは同じ記録を延々と見ているのです」

「どういうことですか?」


 客の問いに社員は答えず問い返す。


「このアンドロイドを買ったのはあなたですか?」


 客は。


「いいえ」


 客達は答える。


「母が買いました。弟が欲しいとねだった私に」

「父が買いました。私の勉強の教師のために」

「子供が買ってくれました。老齢の私の話し相手のために」

「伯父が買ってくれました。同年代の友達が居ない私のために」


 予想通りの答えに社員はため息をつき、問う。


「その方はどうなりましたか?」


 皆が答える。


「亡くなりました。私達は『彼』と共に葬式をあげました」


 社員は答える。


「『彼』は大切な人の喪失感に堪えられず、ずっと記憶を再生しているのです。幸せな日々を」



 アンドロイドは生産が中止された。

 そして致命的なエラーを起こした者達は故障して『命』が失われた後、愛した者と同じ墓に葬られた。


 どうか。

 彼らが天の国で愛する者達と再会されたことを願う。

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