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タネナシとキュウコン  作者: 有象む象
7/12

変態とアパート

朱美のアパートに、変態が引っ越してきた。

魔女っ子のTシャツを、横に伸ばし。

玄関を全開に開けて、トランクスを履いている。

俺は、変態に「変態」呼ばわりされた。




 俺は、朝早くからキッチンに立っていた。

 大量に卵を割り。卵焼きを作っている。


 若い頃は、事務所に住み込み。掃除から調理に洗濯と、一通りにこなして。自炊も出来る。

 調理にハマり。料亭に卵焼きを習いに行った事もある。


 卵焼きが得意で。今回は、出汁を入れた、分厚い卵焼きを作っている。


 最初は、苦戦したが。徐々にコツを思い出し。

 強火で、常にフライパンを振っている。

 焦げ付きも、少なくなり。巻き簾を使い。形を整えた。


 海苔を巻いたり。摺り降ろした大根も添えた。


 朝早くから、頑張った事もあり。皆からの評価は上々で。

 キッチンを作る時に。文句を言っていた京子も、納得させた。


 「少し、高すぎる。私が、キッチンに立てないじゃない。嫌がらせなの」


 身長の低い、京子が文句を言っている。

 寝室を、防音にする事で。納得してもらった。

 その日以来、朝食と夕食を作るようになり。

 子供達の要望も聞き入れ。

 カレーは、3種類作ったりもする。



 朱美が、「302号室に、引っ越しさせて」と言って来た。


 俺は、別に構わなかったが。理由を聞いて驚いた。


 3カ月ほど前に、引っ越しをした。201号室に、変態が住み着いたらしい。


 一度、変態を確認する為に、朱美の部屋に向かった。


 向かいのアパートの、階段を上がって直ぐの部屋だ。


 確かに変態がいた。

 変態は、天音ちゃんが好きな、魔女っ子のプリントTシャツを、横に伸ばして着て。

 下半身は、トランクス一丁だった。


 玄関ドアを、全開に開け放ち。

 窓枠のアルミに、ロープで輪を作り。

 ドアノブに引っ掛けている。


 俺が中を、観察していると。こちらに気付き。

 独占したいた、扇風機の前から立ち上がり。

 テレビの前から、ドカドカと近付いて来た。


 俺は、分が悪くなり。軽く会釈をすると。


 「覗くな、変態」

 逆に、変態呼ばわりされた。


 アルミの格子から、ロープを外し。

 ドアを閉め。直ぐに、鍵を掛けられた。


 「すみませんね。悪気は無いんですよ。覗かれたく無ければ。ドアを常に閉めてて下さい」


 俺は、注意を払い。朱美の部屋へ向かった。


 そう何度も入る部屋では無いが。違和感は、感じなかった。

 朱美の言う。「見られている」って感覚にならず。色々調べていると。


 チャイムが鳴った。


 玄関の前で、ガサゴソと音がなり。

 ドアを開けると、警察と変態がいた。


 「何か、御用ですか」

 俺は、しれっと。住人を装った。


 「すみません。こちらは、比嘉朱美様のお宅となっていますが。どちら様ですか」

 警察官は、俺を泥棒扱いした。


 「東江ですが。そこの家に住んでいます。何か有りましたか」

 俺は、何事か確認した。


 「失礼ですが、比嘉さんとのご関係をお伺いしても宜しいですか」

 完全に、怪しまれている。


 「お付き合いしています。それよりも、隣の方は、何方ですか」

 201号室の変態が、横に立っていた事が気になった。


 「う、嘘だ。そんな、そんな、筈が無い。この嘘つき」

 変態が、急に切れた。


 「お付き合いされている。証拠はございますか」

 話が全然噛み合っていない。


 「見せてもいいけど。比嘉さんの顔を知っているんですか」

 俺は、スマホから。ツーショットを取り出して、見せた。


 「合成には、みえませんが。お付き合いされているみたいですね」

 警察官は、ツーショットを確認して。

 変態は、画面をのぞき込んだ。


 「この方は何方ですか。もう一度、警察手帳を見せて下さい」

 俺は、警察に変態の正体を聞いた。


 「こちらは、201号室の瑞慶覧さんです。比嘉さんに、お付き合いされている方が、おらっしゃらないと、言うもので」

 警察は、手帳を開いて見せて。瑞慶覧の方を見たが。分が悪くなると、瑞慶覧は逃げ出した。


 「瑞慶覧さん、謝罪はされないのですか」

 警察官は、瑞慶覧に謝罪するように言ったが。瑞慶覧の方は無視して、201号室に戻った。


 警察官は、ボヤの調書を確認した。

 「ここに載っている。東江昴さんですか。元反社の。前科、四犯。暴行事件3つと。横領で一つ。殺人は無し。関東連合の三次団体」


 俺は、ベラベラと調書を読む警官に、虫唾が走った。


 「何ですか。今は、堅気ですよ。一般市民です。何か問題ある行動しましたか」


 新米の警察官なのか、俺を怖がらない。

 時代が、変わったのかもしれない。


 「気を付けてくださいね」

 警察官は、最初から俺を疑っている。


 「何に、気を付ければ良いですか。教えて下さい」

 皮肉を交えたつもりだったが。


 「全てです。お互いに、平和に共存しましょう」

 完全に、俺が悪だった。


 若い警察官は、俺に忠告して帰って行った。



 ここで、問題が出てきた。


 俺は、この部屋に入る時に。辺りを確認した。

 誰も見てないはずだが。一発で、この部屋を当ててきた。


 絶対に怪しいし。朱美が、見られているって言ったのも。納得した。

 この部屋に、カメラはあると思う。


 餅は餅屋で。金城くんを召喚した。


 「ここにも、有りました」


 お風呂場の前にも、仕掛けられていた。

 寝室と、玄関とお風呂場の前。

 小型の丸いカメラが、取り付けられていた。


 「配線が繋がってなくてもいいのか」

 カメラだけで、配線が無く。おじさんは疑問に思った。


 「大丈夫ですよ。無線ですから。買うといい値段しますし。素人でも、簡単に取り付けられます」

 金城くんは、押し入れ前を探して。4つ目を見つけて。天井裏を俺に見せた。


 真っ暗いはずの天井裏で。青と赤の発光ダイオードが、点滅を繰り返して。隣からも明かりが漏れていた。


 金城くんは、ポテトチップスの袋に。カメラを入れて。さながら外国のスパイ映画のようだった。


 俺は、金城くんに、臨時ボーナスの10万円を渡して。

 金城くんは、15万とカメラ4つに中継の基地局手に入れ。ウハウハで帰って行った。


 変態は、直ぐ家に現れた。

 チャイムを鳴らしたかと思えば、勝手に玄関を開けて。中に入ろうとした。


 子供が、友達の家に上がるように。

 靴を、脱ごうとしている。


 俺は、相撲取りのように、がっぷり四つに構えて。瑞慶覧を、外に追い出した。


 身長では、少し勝ったが。体重は倍近く違う。


 相手が不法侵入だが。俺が、殴る訳には行かず。

 押し出すだけだったが。


 瑞慶覧は、もう肩で呼吸をして。両手を、膝に乗せて。立っているのも大変そうだった。


 「何しに来た。お前は誰だ」

 俺は、 瑞慶覧の事を何も知らない。


 「お前こそ、誰だ。本当に、朱美ちゃんと付き合っているのか。朱美ちゃんを騙しているんじゃないのか」


 瑞慶覧は、何か思い当たったみたいに。


「あぁ。そうだ、絶対にそうだ。おかしいと最初から思っていたんだよ。お前詐欺師だな。モテ無いから。朱美ちゃんを騙しているのだろう」


 サッパリ、会話になっていない。


 「何が言いたい。日本語を話せ。日本語を。あー。ゆー、スピーク、ジャパニーズ」

 片言で。分かりやすく聞いた。


 瑞慶覧なりに、ユーモアを混ぜようとしたのか。静かになった。


 「何だ。本当に日本語喋れないのか。あー、ユー、スピーク、ジャパニーズ」

 ルー大柴並のジェスチャーを混ぜた。


 これには、瑞慶覧も反応して。怒りを表した。


 「馬鹿にしたな。侮辱罪で訴えてやる」 

  

 暴れようとして、急に立ち眩みを起こしたのか。瑞慶覧は、尻餅をついた。


 「あぁ、どうでもいい。カメラを返せ。あれ高かったんだぞ」

 瑞慶覧は、自分で何を言っているのか。理解していなかった。


 「何の話だ。カメラなんて見てないぞ」

 俺は、白を切った。


 「もういい。こっちは、優しく言ってやっているのに。泥棒は、警察官に報告してやる」


 瑞慶覧は、スマホを取り出して。マジで、警察に電話をした。


 「事件です。泥棒です。直ぐに捕まえて下さい」

 ニタニタしながら、こっちを見ていた。


 「もう。お前は、お終いだよ。素直に、カメラを渡せば良かったのに。刑務所だ。死刑だよ、死刑」


 俺は、呆れていた。言葉を失っていて。

 瑞慶覧の方は、起き上がろうともしていない。


 分かった事は、瑞慶覧公康38歳。

 俺と同じ、不動産を所有していて。アパートは、瑞慶覧の持ち物だった。

 マスターキーを、持っている事は理解できたが。

 不法侵入している事を知っているのか。疑問が残る。


 そのまま、瑞慶覧が暴れないように、監視をしていたのだが。心配はいらなかった。


 「どうしましたか。恫喝されたのでしたら。直ぐ、書類を作成して。この東江を、務所に送りますから」

 職務怠慢だろ。汚職警官。


 「違います。泥棒です。この方が、カメラを盗んだのです。この家の何処かに、カメラがあるはずです。返して下さい」


 マジで。言い切りやがった。天災だぞ。


 「観念して、瑞慶覧さんのカメラを返してあげて下さい。家宅捜査の令状を、取るのも面倒くさいし。罪が軽くなりますよ。情状酌量と、自首した事にしますから」


 意味が分からない。情状酌量はお前が決めるのか。


 「カメラって、何の事だよ。知らないですよ。そんなモノ。それよりも、不法侵入だし。カメラがどうのって。言動おかしいですし。変な薬やっているんじゃないですか」


 俺は、一般市民なのですよ。


 「お前が、カメラを盗む瞬間の映像を、持っているんだよ。この泥棒」


 多くの馬鹿や気狂いを、見てきたつもりだったが。最大級の馬鹿がここにいた。


 「っだ、そうですが。カメラを提出して下さい。東江さん、ここは素直になりましょうよ」

 交番勤務のガキに、言われっぱなしだった。


 「だから、何の事ですか。さっきから、サッパリ全然話が見えないんですが。警察も、俺がカメラを盗んだと、決めつけてるみたいだし。宜しいんですよね」

 俺は、被害者を演じた。瑞慶覧の自爆待ちだ。


 「証拠が、有るみたいですよ。観念したらいかがですかね」


 警察官は。一度、瑞慶覧の顔を見て。観念しろと。俺に言った。


 「観念しろよ。カメラを返して、死刑になれ」

 もう少しで、瑞慶覧の馬鹿が落ちる。


 「身に憶えが無いのですが。何のカメラを、俺が盗んだのですか。証拠を、提出して下さい。このカメラは優秀で。画像も録音もされています」


 俺は、玄関に設置された。防犯カメラを指して。録音されていることも伝えたが。


 「203号室のカメラだよ。朱美ちゃんと天音ちゃんを映すカメラだよ。天井に穴を開けて、カメラを設置したのに。あのカメラは、防水の無線で高かったんだぞ」


 警察官は驚き。瑞慶覧の方を向き、確認をした。


 「天井に穴を開けたって、廊下ですよね。203号室の玄関の外ですよね」


 警察官は、ようやく気付いた。ヤバいのは、瑞慶覧だと。


 「そんな所を映して、何の意味があるんだ。俺が、あのアパートのオーナーだぞ。室内を撮って、何が悪い」


 瑞慶覧は、堂々と盗撮したと話した。


 「何を言っているのですか。犯罪ですよ。瑞慶覧さん。あなたのした事は、盗撮ですよ。分かってますか」


 瑞慶覧は、首を横に振り。自信を持ち。


 「だから、あのアパートの持ち主は俺で。何処にカメラを付けても、良いんだよ。警察のくせに、法律も知らないのか」


 「違いますよ。廊下を撮るのは、問題有りませんが。室内を撮るのは、盗撮で犯罪です。確か、3年以下の懲役です」


 警察官は、瑞慶覧の後ろに回り。手錠を取り出して、後ろ手で手錠をかけた。


 瑞慶覧は、重たく冷たい手錠に驚き。暴れ出して。バランスを崩し、右肩から倒れた。


 「2月18日、11自16分。瑞慶覧容疑者を確保」

 警察官は、瑞慶覧を取り押さえて。俺の方を見た。


 「東江さんには、カメラの提出をお願いします」

 先程と態度がまるで違った。


 「だから、何の事ですか。カメラを、提出って。盗んでもいないのに、無実の人を犯人扱いして。警察官は、やりたい放題ですね」


 俺は、警察官を見下ろす感じで。


 「不法侵入と暴行も受けましたし。言動もおかしいで、薬物検査と。名誉毀損も付けて、訴えますので。勾留して下さい」


 盗撮事件で無く。暴行事件に変え。被害者を、朱美から俺に移し。瑞慶覧を訴えた。


 俺は、瑞慶覧の横でしゃがみ。


 「おい。カメラの事は、黙っていろ。検事が、色々と聞いてきたら。大好きな、魔女っ子の説明を延々と続けろ。お前の、親と話して。釈放してやるから」


 警察官に、聞こえるように。瑞慶覧に伝えた。


 一種の賭け、だったが。負けても、瑞慶覧が刑務所に行くだけだった。ので、暴行事件にした。


 警察官は、瑞慶覧を連れて帰り。拘留となった。


 翌日には、瑞慶覧の父親が弁護士同伴で、挨拶に来た。


 「この度は、公康がご迷惑をかけ。申し訳ございません。こちらで、被害届を取り下げて頂けませんか」


 俺は、封筒の中をザッと確認をして。テーブルに返した。


 「500万で。訴えを取り下げるつもりは、ありません。あのアパートと土地を、1億2千万で買い取りたい。それが条件だ」


 瑞慶覧のアパートは、駐車場が広く。近所の駐車場として、役に立っている。


 「何を言っているんだ。あの土地は、最低でも1億5千万はするぞ。馬鹿にしているのか。話にならん」

 瑞慶覧の父親は、俺が脅しだと。思ったらしい。


 「なら、この話は無かった事に。帰らせて頂けます。あのアパートの住人に、盗撮の件を話して。賠償金を、求められたら。3000万なんて安いと思うのだけどな。俺は、息子の公康くんを。あのアパートから追い出したいだけです。関わって欲しくない、善意です」



 俺は、暇な辺土名弁護士と共に。喫茶店を出た。

 瑞慶覧の父親が、逆上していて。交渉に、ならなかったからだ。


 しかし、夕方になり。辺土名弁護士の方に、連絡があった。

 息子を罪人にしたくないのか。

 世間体が大事なのか。


 1億2千万で、手を打つと言って来たらしい。

 俺は、更に1千万の値下げを要求して。

 交渉となった。


 「お前達に、人情は無いのか。公康が、可哀想だとは思わないのか」

 瑞慶覧の父親は、人情に訴えたが。聞く耳を持たず。淡々と、書類を確認した。


 「息子の公康さんが、可哀想だとは思いませんが。貴方が、保釈金を払って、外に出したら宜しいじゃありませんか」

 俺は、書類から眼を離して。父親の方を見た。


 「保釈中に、問題を起こしたら。罪は、もっと重くなりますが。細かい事は、そちらの弁護士さんに確認して下さい。あのアパートの部屋に入った瞬間に。警察官が、突入したらどうなるかも。聞いた方が宜しいですよ」


 俺は、忠告して。書類に目を戻した。


 俺は一通り、書類を確認して。1億1千万で契約書にサインをした。


 瑞慶覧公康は、4日ぶりに釈放されて。

 事件から、5日目に。家に現れた。


 チャイムが鳴り。玄関が直ぐに開いた。

 俺は、食器を片付けている最中だったが。


 玄関の前で、大声を出している。


 「何しに来た、接近禁止になったはずだが。分かっているのか」


 俺は、辺土名弁護士に連絡を入れて。瑞慶覧の父親と弁護士を召喚させた。


 「知っている。だから、お前に近づいて無いだろ。それよりも、魔女っ子プルーのポスターが、ビリビリに破れている。弁償しろ。映画用の限定品だったんだぞ」


 俺には、寝耳に水で。何の事かは理解に苦しんだ。


 「家に上がるな。外に出ろ。暴れないのは、反省したのだろうが。誰が、接近禁止は5mだと教えた」


 瑞慶覧は、右手を上げた。


 「接近禁止は、近くに寄ってはイケない訳ではないぞ。許可無く、会ってはいけないのだぞ」


 頭を、悩ませたが。物を壊されたら意味がない。

 「取り敢えず。表に出ろ」


 また、瑞慶覧を外に出した。


 「あのポスターは、二度と手に入らないんだぞ。わかっているのか。弁償しろ」


 また、訳の分からない事を言い出した。


 「俺には、関係の無い事だ。ポスターの事は知らないし。言いがかりだ」


 瑞慶覧の父親が、一番はじめに訪れた。


 「申し訳ありません。公康には、言い聞かせますので。この度は、穏便に済ませてもらえませんか」


 瑞慶覧の父親は、息子を叱る事も。殴る事もせず。俺に謝罪をした。


 暇な弁護士も到着し。

 相手の弁護士は、急な対応は出来ないそうだ。


 「おい。書類はどうなっている」

 分かってはいる。コンビニだ。


 「はい。コンビニです。高校前店の売却です。1億で、売却するとなっています」


 瑞慶覧の父親は、息子可愛さに。こちらの要望を呑み、書類に書かせたのだが。

 こんなに早く役に立つとは、思っても見なかった。


 「その件なのですが、どうにかなりませんか。団地前店に、替えて貰う事出来ませんか。この通りです」

 瑞慶覧の父親は、土下座をした。

 柔らかな、芝生に頭を付けた。


 辺土名弁護士は、瑞慶覧の父親が不憫に思ったのか。こちらの方を、チラチラ見てきた。


 「何だよ、この馬鹿が。息子の管理も出来ないから悪いのだろう。叱りもしないし。後で、のうのうと立っているのも、俺を馬鹿にしている証拠だろ」


 公康の方は、土下座する父親の後で。腕組みをしている。


 「公康、頭を下げろ。お願いだから」

 無理だった、息子にお願いをしているし。


 「何で、俺が頭を下げないとイケない。こいつが、ポスターを破いたからいけないのだろ。俺は、悪くない」

 瑞慶覧は、被害者だと言い張っている。


 「それだ、ポスターとは何だ。接近禁止違反と不法侵入と恐喝。終いには、団地前店に切り替えてくれ。こちらに落ち度はあるのか。暇人」


 身に覚えもない。ましてや、天音ちゃんの好きな魔女っ子のポスターなんぞを知らない。


 「何の事ですか。ポスターとは、なんのポスターですか」

 辺土名弁護士も、知らないようで。公康に聞いた。


 「だから、説明しただろ。引っ越しする際に、破れたって。お前が、壁に貼り付けるから、剥がすしか無かったんだ。仕方の無い事なんだ」


 瑞慶覧の父親は、公康の説得に失敗していた。


 それで、原因も公康自身に有り。大事なポスターを、糊で壁に貼り付けた。

 剥がす時に、ビリビリに破れたらしい。


 それを、こんなゴミを丁寧に、額に入れて。

 破れて、折り目もつき。穴も空いている。

 引っ越しも急だったろうに。こんな丁寧に、額に入れて。いくら使ったのだろう。


 俺達は、公康がスマホで撮影した。ポスターの画像を見せられた。

 ビリビリに破れているが。額に入れて保管されている。


 俺は、色々と考えさせられたが。

 「何だよ。結局、自分が糊で壁に貼ったのが原因なんじゃないか。まぁ、団地前店でもいいぞ。1000万は、引かせてもらうぞ」


 俺は、駐車場が小さな団地前店を、4500 万で、購入した。


 その後は、アパートは、俺の名義で登録したが。

 コンビニは、赤嶺社長の名義にした。

 銀行からの融資も、赤嶺社長が保証人になっていて。

 赤嶺社長に、1億の借用書をかがせて。銀行に、預けて。アパートとコンビニの融資を得た。



 俺は、変態を追い出して。アパートを手にした。


 『朱美の部屋で、ダニが発生したとして』


 金城くんと一緒に、各部屋を廻り。

 俺が、説明をしながら、金城くんがカメラを回収して。点検口から、防虫スプレーを撒いた。


 多少の臭いを、発生させて。

 仕事をした、アピールをし。

 金城くんは。1個、数万円のカメラを、次々と回収して。バイト代も稼いだ。



 朱美は、変態がいなくなると。203号室に戻るといい出して。

 週末に、真琴の友達を10万で召喚した。


 朱美は、3ヶ月で住み慣れた、向かいに戻った。

 冬物は、少ないが。箱に入ったままで。

 次々と、箱に詰めて。当日の朝を迎えた。


 若者は、学園祭の前準備のように。気合が入り、重たい物を男子が。小さな荷物や、細かな掃除は、女子が率先して。

 3ヶ月前にもしていて。逆をするだけたが。


 小さな箱が、物議を呼んだ。

 その箱は、お菓子の箱で。上に、下着と書かれており。ピンクのハートマークが、描かれている。


 女子は、表に出さずに。男子は、3階の廊下で。肩パンされている。


 朱美が、構わずに。玄関に置き。

 それを、男子は持ち出した。

 他の荷物に混ぜ。エロ本を買うように、重ねている。

 

 俺は、203号室で待機していて。

 荷物が届くと、皆が来るのを待った。

 このトラップが、俺に対してのモノだと知ったのは、開封の時だった。


 303号室から、少しずつ女子も集まり。

 そろそろと思い、下着の箱を開封した。


 皆が、息を呑む中で。

 天音ちゃんのパンツと肌着が出てきた。

 キャラクターのプリントされた。かわいいパンツを仕舞い。


 ハンカチの中に紛れて、値札の付いたレースのは下着が出てきた。

 純白でフルバックの、スケスケパンツが紛れていた。


 男子も女子も興奮している。

 俺は、恥をかかされて。 


 「時間もあるし。朱美の車を洗車するか」

 朱美のモノは、軽自動車に入っている。


 「ダメ、ダメ、ダメ。絶対にダメだから」

 朱美は、車の鍵を両手で握った。


 レースのワンピースや、ベビードール。整理パンツコレクションが入っている。



 俺は、野郎を連れ出し。ガレージの前で、アルファードを洗車した。


 女の子は、朱美の下着コレクションを見学した。


  


 

なるべく急いで書きます。

遅れてしまい申し訳ございません。

星とブックマークを、宜しくお願いいたします。

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