帰り道と月と影~壱~
羽先優・・・十六歳の少年。群青色の髪に天色の瞳を持つ。両親を半妖に殺される。
紅月祈流・・・唐紅色の髪に鮮緑色の瞳を持つ二十一歳の男性。掃除屋で一番強い…?
月城律輝・・・新緑色の髪に思色の瞳を持つ元気いっぱいの少年。刀を扱うのが苦手。
春道凪・・・渋紙色の紙に青藍色の瞳を持つ大人びた少女。童顔だとよく言われるらしい……。
紅葉月華夜・・・退紅色の髪に藤色の瞳を持つ女性。
掃除屋の頂点に立つ人物であり、紅葉月家の現当主。
七草・・・華夜の式神。薄墨色のうさぎのすがたをしている。話せるようになったばかりの子のような話し方をする。
真砂・・・律輝の式神。砂色のりすのすがたをしている。
朱音・・・濡羽色の髪と紅色の瞳を持つ女性。
霊力・ ・ ・主に掃除屋の家系の人達が持つ力。物に宿っていたりもする。
掃除屋の家系・ ・ ・紅葉月家とその分家のこと。
雑種・ ・ ・掃除屋の家系ではないのに霊力を持って生まれてきた存在、または霊力は持っていないが、霊力が宿るものを使う存在のこと。
満神道・・・毎年、奉職試験が開催される際に使われる 広場とそこまでの道のこと。階段がとても長いとして有名。
妖力・ ・ ・妖怪が使う不思議な力。
律輝と一緒に階段を降りている途中、律輝が明日の予定を話し始めた。
「明日は学校長に挨拶に行くのと、学校の案内、その後は勉強ね!」
「かなり忙しいな……」
「仕方ないよー!明日は弥生になるんだよ!四月に月になったら入学式だから、あと一ヶ月しかないの!」
「一ヶ月もあるんだろ?」
「学校に入る前に基本の知識を叩き込んでおかないと授業受けてもさっぱりになるでしょうが!」
「……俺は、計算も出来るぞ」
「そうじゃなくて……!霊力とかそういう掃除屋関係のことだよ!」
「あぁ……そういう事か…」
「覚えることいっぱいだからね!!覚悟しなよ!?」
「わかってる」
(でも、一ヶ月しかないしかないって言うくらい覚えることが多いってことだよな……)
「あっ、そうそう!話変わっちゃうけど、満神道って階段の段数どれくらいあるか知ってる?」
「変わりすぎだろ……知らないな」
「じーつーはー、満神道、千五百二十四段あります!」
「は!?」
(そんなにあったか!?)
「そんなにあったか?って思ったでしょ!それもそのはず、なんせあの広場は中間地点だからね!」
「だが、広場の先に階段なんて……」
俺はハッとした。
(まさか…!)
「また、きつねの窓を使わないと見えないとかか?」
「それだったら扉を探した時に見えてるはずでしょ」
律輝が呆れたような表情をした。
「なら、どこに続きの階段が?」
「広場から先にある階段は緊急事態の時にしか見えないようになっているらしいよ」
「らしい、ということは律輝も見たことがないのか?」
「滅多に緊急事態なんて起きないからね〜、これは学校で習ったんだー!」
「そうなのか……ちなみに、その階段はどこに繋がっているんだ?」
「……」
律輝はいきなり黙り込んだ。
「律輝?」
「……いる場所」
「……?なんて言ったんだ?」
「……神のいる場所、だよ」
「神の、いる場所……」
「優なら、この意味が分かるよね?」
(神のいる場所…つまり……)
「天国…か?」
「どう、だろうね……地獄かもね」
そう言いながら律輝は苦笑していた。
「僕は、罪を犯したことがあるから、きっと、階段を上ると待っているのは地獄だよ……」
一瞬、律輝の瞳に黒い影が写った気がした。
(罪を犯した?)
「あーもー!!」
「……!!!!」
「こんな暗い話はやめよ!!もっと楽しい話がしたいなー!」
「そうだ!優ってここに来て明日で一ヶ月なんでしょ?」
「…言われてみれば確かに……」
(もう一ヶ月も経ったのか……早いな)
「あんまり休めてないんじゃない?」
「そんなことは無い」
「えっ!そうなの!?いつ休んでたの?」
「奉職試験を受ける前の六日間とか……」
「あ〜、そりゃああの山の半妖を倒せるくらいの強さだもんね〜。鍛錬なんてしなくても大丈夫だよね〜」
「そういえば聞いてなかったんだけど、どのくらいの時間で倒したの?」
「だいたい…五分くらいだ」
「僕の記録、超しちゃった?」
「いや、超えなかった」
「良かった〜!超えられてたらなんかくやしいからね!」
「安心しろ。今からでも超えようと思えば超えられる」
「え〜、絶対無理でしょ〜!僕のこと、なめすぎだよ!」
そう律輝が言うと同時に、俺たちは階段を全て降りきった。
「話してると案外短く感じちゃうね!」
「そうだな」
「明日も忙しくなるから、早く寝るんだよ!」
「……あぁ」
(子供扱いされてる気が…)
「じゃあね〜!」
「あぁ、また明日」
律輝と別れたあと、俺はまた歩き出した。
(…明日でここに来て一ヶ月が経つのか……案外早いな)
そんなことを考えながら歩いていると、小さい人影が見えた。
(見覚えが……あぁ、あれは凪か)
月の明かりでまだ影がかかっているが何となくそう思った。
距離が近くなったから、俺は声を掛けた。
「凪、こんな時間に何をしーーー」
俺は言葉を失った。
確かに俺が声をかけた人物は凪だった。
だが、凪から影が消えた瞬間、凪の着ていた着物がーーー紅く染め上げられていた。
「……っ!?凪!一体何が!?」
「…?なんの話をしていらっしゃるのですか?」
「その血は…!」
「…あぁ、そういう事ですか。少しやらかしただけです。このくらい大丈夫ですよ」
「だが…!せめて早く手当をしないと……」
「そうですね」
(……そうだ!)
「凪!霊力で自分の傷を治せないのか!?」
「……」
「何故そこで黙り込むんだ!」
そう言いながら俺は凪の肩を掴んだ。
「いっ……!」
(あっ……)
「……すまない」
俺は掴むのをやめた。
「…自分の霊力では治せない理由が、私にはあるのです。なので早急に家に帰って色々としようと思っていたのですが……」
「……すまない…完全に俺の早とちりだった」
「別にいいですよ。そのくらい心配してくれているのでしょう?」
「当たり前だ…知り合いが傷つくのは、好きじゃない」
「そうですか。良かったです、知り合い認定されてて」
そう言った後、凪は思い出したように話し出した。
「そういえば、貴方に渡さないといけないものがあったことを今思い出しました」
「……?」
「これを貴方に渡しておきますね」
そう言って渡されたのは深緑の色をしたお守りだった。
「これは少し見た目を違うように見せることが出来るお守りです。これの場合は瞳や髪の色が赤色々や橙色のような色になります」
「……?こんなものを持って何になるんだ?」
「掃除屋の家系、つまり紅葉月家とその分家の方々は必ず赤色や橙色のような暖かい色が容姿にあるのです」
「いのり兄さんで言うと髪色、律さんで言うと瞳の色ですね」
「これは掃除屋の家系かそうじゃないかを簡単に判別できてしまうのです」
「掃除屋の学校は家の位を重視する方がかなり多いのです。だから貴方のようなそもそも掃除屋の家系ですらない人に人権はほぼないのです」
「……!そうだったとしたら、試験の時は…」
「あの時は、あの場にいた人達全員が私のことしか気にしていなかったので…この際、はっきりいってしまいましょう。私も貴方と同じ、掃除屋の家系では無い人、他の方々が言うに雑種というやつです」
「ならなぜ凪は姿を変えて行動しないんだ?」
「…もう遅いので歩きながら話しませんか?私は遠回りにはなりますが……」
「…あぁ、わかった」
「……私は初めての『掃除屋の家系では無い人』だったのです」
そう言って凪は話し始めた。
「実は、私は昔の記憶が全くないのです。覚えているのはだいたい…三年前ですね。私が森で倒れているのをいのり兄さんが見つけたことから始まりますーーー」
皆さん、こんにちは!
怜です!
まずは今作品を読んでくださり、ありがとうございます!
他の方々と比べると、投稿する頻度がとても少ない中、読んでくださる方がいると、とても自信が湧いてきます!
これからもムラサスをよろしくお願いします!
今回は、前書きの部分に人物紹介や用語の説明を書いておいたので、ぜひ、混乱した時は見てください!
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