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私はあなたに愛を求めません!!!!  作者: 二条 健一
1/1

愛をテーマのラブストーリー

 

時は、年号が明治から大正に変わる頃小さな町に診療所があった。その診療所はある意味有名な所でその診療所の先生も優秀な医者だがその先生の娘が町で一番の美人で有名だったからである。


彼女が町を歩くと男たちは、振り返る。

その瞳には、赤く力強くキリッとしていて、唇は厚くピンク色で、髪は黒く長い髪にくせ毛があり二つ結びに結び、肌は白く、少し幼さがあるのが愛らしく、周りが羨ましがる用な容姿を持っていたが、


「あ゛ぁ? なんだよ? 」


男達は男らしさ全開の口調で彼女を見ていた全員は皆絶句する。彼女の名前は、月光 百合(げっこう ゆり)と言う。彼女は町一番の美人と呼ばれていたが、周りから女の子らしさが無いのか残念美人とも呼ばれていた。


「なんで、毎回こうも外に出たらこんな視線を感じるんだよ……部屋にこもりすぎたか? 」


久しぶりに外にでて買い物をしようと思ったら毎回のこと視線を感じる あまり外に出ない彼女はこのように町に出たらこのような視線を嫌った為かあまり外に出ないで部屋の中で本を読んだりなどで過ごしていた

すると、


「百合さん!!! 」


「あ"ぁ"? 誰だよ…? 」


振り返ると若い男性一人が声をかける。彼女はこの男性に見覚えがあった。彼は五日前に縁談がありそこで知り合った。鼻筋は通っており眼鏡をかけていて以下にも真面目の様な人だったが、自分は結婚をするつもりは無かったため縁談が始まって5分で速攻断った。その時は、父さんに面倒をかけてしまったが、何故彼がここにる…??


「すみません…私、貴方のこと……ハァハァ……忘れられなくて…ハァすみません、走って来ました…」


息を切らしているのか、途中途中よく聞こえなかったが、息が整ってきたのかハァー…と深呼吸をして


「あの!!! 百合さん! 私は貴方のような百合の花が似合う女性は初めてで、こんな気持ち初めです!! 私が貴方に一生涯、何不自由なく貴方のことを幸せにします!!! 僕と結婚してください!! 」


「……」


正直、迷惑としか思わなかった。顔が少し引きつっているように感じる、まず町中のど真ん中ででっかい声出されて求婚されてとても迷惑としか思えない。((もっと他に場所があっただろ!)) とツッコミをしたかったが、

私を見つけて速攻で走って来たのだろう。そして、私は彼の名前も知らない。とゆうか顔ちょっと見ただけですぐに断ったから名前を知らないのは当然かもしれないけど、


町の人達が私を見てくる。期待の眼差しを、自分に視線が集まるのが嫌でも分かってしまった。

ある人は、「またか……」 と少し溜め息をついている人もいる。あまり目立ちたくないのに。 と少し苛立ちを持っていた。


こんなに視線を感じたら、他の女は恥ずかしくて逃げてしまうかもしれない。まぁ、私は例外だけど、彼は、走ってまで自分の気持ちを伝える事は悪い事ではない。相手に背中を向けて逃げるよりここでハッキリ断る事が相手にも敬意になると私は思う。が場所を考えろ


「すまないが、私はお前の事をよく知らないし、名前も知らない。走ってきてまで求婚されるのは嬉しいが、場所を考えて欲しい迷惑だ……それに私は今は結婚する気が無いんだ」


すまない…… ともう一度言う。彼には悪いが私は今すぐ行きたい所があるからそそくさにその場を離れる。

彼は、何かを言おうとしていたが私はその場の視線に耐えられなくてすぐにその場を立ち去った。あそこで期待されるよりも今断った方が自分なんかよりも彼を大切にする女性が見つかるかもしれないと私は思う。


「はぁー、あれで少し時間を食っちまった。空いてるかな……」


百合柄の着物の裾を持って急いで目的の場所まで向かった。


チリンチリンと鈴の音が聞こえる


目の前の店には、「書物問屋(しょもつどんや)」とゆういわゆる本屋だ。

「歴史書」「辞書」「医書」時には異国からの 「語学」「語学」「天文学」と珍しいくらい本の品が揃っている。

私はその本屋を愛用していた。


「おっちゃん、まだ店空いてる? 」


「おぉ!? 今日は、遅いから来んかと思っち待ったやんかお前さんが欲しかった新刊ちゃんともってるで」


奥の方から少し筋肉質で肌は少し日焼けている元気なおっちゃんが出てきた。本屋の人は少し痩せてる奴がイメージがあるが、このおっちゃんは今年で87歳とあまりにも爺さんに見えない位で、私は歳を聞くまでは60歳位かとそれくらいに若く見えるおっちゃん。


「!? あんがと! ……さっき色々あってちょっと遅れちまったんだ」


さっきの事はあまり知られたくない、そんな気持ちの時おっちゃんが察したのか、


「まっ、ゆっちゃんのこったどっかの誰んかが言い寄ってきたんやろ、違うか? 」


「!? ……なんで分かったん? 」


驚きを隠せない自分におっちゃんは、


「ゆっちゃんとは長い付き合いやから何となくわかんねん、顔が少し落ち込んでるように見えるがな…なんかあったんか? 」


「……そんなん顔に出てたか」


自分はそんなに顔にでていたのか、確かに求婚は初めてではない、ただ大体がチャラく私の顔しか見ない面倒臭い奴ばかり、多分さっきの奴も同じで自分の顔だろう……いや、分からない、相手の気持ちなんて分かるわけない。

ただ、私にプロポーズする奴らは、皆本で書いてあった「恋」に落ちていたのだろうか? 分からない……それは何だろう?


「まぁ、さっきここに来たお客さんゆっちゃんの事を話してたてた事もあるけどな ハハハ!! 」


「知ってるんかい!! 」


ハハハ!! と上機嫌に笑っているおっちゃんに、つい自分もツッコミを入れてしまったじゃないか……なんかおっちゃん見てるとさっきのモヤモヤが消えていく。


「ホイ、ゆっちゃんこの本好きやな〜こんな異国の言語ば分かるんか? 」


おっちゃんが渡してきた本は自分が一番好きな異国の医学書である。自分は、将来父の後を継いで医者になりたいと思っており父に教えて貰いながら勉学に励んでいる。


「異国の言葉は語学と父さんから教えてもらったからな、それにこの本書いた人は、うちの父さんが知り合いやけん 相手の先生が本を出版した言ってたからな まじ、おっちゃんに感謝あんがと! 」


そう、お礼を言うと


「いいってことよ!! 」


と言うと私の頭を撫でてきた。昔から知り合いだったおっちゃんの手は暖かくて、安心してしまいついつい甘えてしまう事があるがあまり迷惑をかけたくないので照れてその場を離れようとついついきつい言葉をかけてしまう。


「おっちゃん、私もう15で大人なんだからやめろよ!」


「15はまだ子供だ! この位甘えろ、ハハハ!!! 」


そう笑うおっちゃん。 久しぶりに顔を見たおっちゃんに私は、「体には気おつけろよ!! 」と一言言って 書物問屋 を後にした。


走って家まで向かう。ゆっくりと本を家で見たかった私の足取りは軽く、とても楽しみだった。

少し町から離れた場所にまぁまぁデカイ私の家には、父はまだ診療所で仕事をしている。今の時間は一人で、自分の大好きな本を早く読もうと思うとテンションが上がって玄関のドアを開ける。


「ただいま」


誰もいない家に声をかけても父は今診療所で仕事をしているのに……今日は


「おかえり、早かったね」


「……父さん!? 」


目の前には穏やかそうにニコニコと笑顔の自分の父が家に居ることに驚きを隠せなかった。


「えっ! 仕事は? 」


「仕事は、早く終わらせてきたよ。今日早く帰るて声掛けたけど……聞いてた? 」


「えっ! あちゃ〜、聞いてねぇ……」


「まぁ百合は本に集中してたからね。集中力があるのはいい事だけど、話はちゃんと聞くことだね。医者に成りたいなら患者さんの話はしっかり聞くことが大切だからね。」


「分かってるよ、次は気おつけるから」


そう反省すると父はニコニコと新聞の続きを読む。父の名前は、月光 三郎(げっこう さぶろう)と言う。

父は、有名な医者で海外など時折出張勤務になるほどと優秀な医者らしい。自分は、そんな父に憧れて医者を目指すが、女性が働くことを許してくれないのがこの時代。

女は働くよりも家事をしろ! と言うのだ。息苦しい生き物だと感じてしまう。私は女に産まれたくなかった 女は窮屈で、やりたい事をやれる男が羨ましい。 でも私は産んでくれた母を恨んでいない。 むしろ感謝してる。流行病(はやりやまい)で母を亡くなってしまい男手一つで育ててくれた父にも。


「そういや、父さんなんでこんなに仕事早いんだ?」


思い出したかのように目を見開らくと父は次の瞬間真剣な顔で私を見る。


「父さん知ってたんだ。お前が「女学校」に行きたがっていることを」


「!? どうしてそれを……」


女学校とは、小学校を卒業後に女性だけが入れる学校で男性だけが学べるこの時代女性にとっては自己を持って将来を選択出来る学校だったが、自分の母が亡くなったのが小学校卒業後で行く予定だった女学校を諦めることになってしまった。

それに、女学校に入るには莫大なお金が必要だ。お金持ちの人達だけが通う学校で、自分もまぁまぁの金持ちと思っているが家を売っても足りないくらいにお金が必要。

だから私は少しづつお金を貯めて行こうと思っていた。色んな物を売ったりして、少しづつお金を貯める。本当は今回買った本もあまり買いたくなかったが、自分の欲に負けて買った。

女学校は半ば諦めていた。尊敬する父にもっと迷惑をかけたくなかったから。


「父さんお前に女学校に行かせてもいいと思ってる。」


「えっ!? でも父さん 女学校てお金かかるんだよ、そんなお金あるの? 」


「父さんまた今度海外主張する事になったんだ。お金は頑張れば行けるし、それにお前はもう15だ。母さんとこに預けて貰えば安心出来る。」


「えっ、でも……」


半ば諦めていた「女学校」に通えると思うと涙がでてきそうだ。医者になりたいけど「女には無理」とか「女は家事をしろ」などそんな事ばかり言われる時代に夢を追ってもいい事に私は堪えていた感情に目から涙を流した。


「父さん、お前にあの病院を継いで欲しいと思っている、だからお前は遠慮せず「女学校」に行って来なさい。」


あの病院 それは私の父が建設した大事な病院。それを継ぐのが私の夢。嬉しい……


「……ありがとう」


目から涙が止まらない、鼻がズルズルとすすってしまう。それを見た父が抱き締めて頭を撫でる。

本当に嬉しい、女学校に通える事が何より本を読んだりしてもっと知りたいと思った時私は、ずっと学びたかった。だからすごく嬉しい。父に私は、心の中で感謝した。言葉にするには恥づかしいから、心の中で。

そんな父は、私を泣き止むまで抱き締めてくれていた。


---


それから1ヶ月後、東京に同じ医者の親戚の家に住まわせて貰う事になり、自分の荷物をまとめるなどをして支度をする。

あまり日の光が入らない部屋、そこには本が重なり散らかった部屋が綺麗に整えてあり小さい子窓からは日の光が入ってきて綺麗に掃除された自分の部屋。荷物は、先に東京の方に送った。

机にかじりついて本を読む生活はしばらくおさらばしてしまう事に少し寂しい気持ちもあるが、帰って来ない訳ではないため気持ちを切り替え荷物を持って自分の部屋を去った。


「準備出来たか? 」


外で待ってくれていた父、その後ろには本屋のおっちゃんや、お世話になった人達が待ってくれていた。


「キーつけてやがれ、都会はぎょうさん人がいるから都会酔いとかせんようにな。」


「あぁ、ありがとうキーつけて行ってくるから」


おっちゃん達とは、しばらく会えなくなることに少し寂しくなるものの、おっちゃん達に最後の別れを告げ小さな町を去った。


ーーー


東京に行くまでには汽車に乗って乗り換え人力車に金を渡して東京の街中に進む。東京は人で溢れていて思った以上に多いい人に少し酔ってしまった。


「うっ……」


「大丈夫か?」


人酔いになってしまった自分を心配する父。


「後少しで着くから待ちなさい吐くなよ、」


「うん……」


思った以上に酔ってしまった自分 もう少しで着くと思って我慢をした。今日からここに住むのだから、人酔いにも慣れなければと思い我慢をした。


「おっ! 着いたぞ。百合大丈夫か?」


「あぁ……まぁ」


目の前には大きな看板に診療所と大きく立てられてあるとてもじゃないが自分の家より大きく3階建ての家があった。

まずこれは家なのか?


「いらっしゃい、待ってたわ。あらァ〜べっぴんさんになって〜」


「ご無沙汰してます」


「あらァ大人になってぇ〜、元気してた? 」


「はい、お陰様で元気です。今日からよろしくお願いします。」


診療所からでて来たのはとても50代には見えないほど若々しい女性。名前は月光 綾(げっこう ゆか)と父のお母さんで、私の叔母だ。叔父が医者で、叔父も結構有名な医者らしく父も叔父に憧れて、医者になったと昔聞いた。


「さぁ、上がって部屋を案内するわ」


「母さんご無沙汰してます」


「あら、あんたおったん? 」


「えっ!? 母さん! 」


「ふっ、冗談よ。とゆうか女学校行かせるんだって? ()()()()()()()()()()()……」


「あぁ! そんな事より早く百合に部屋案内してやってくれ、具合悪そうやけん! 」


「えっ!? そうなの、はよそれ先に言いなさい」


そう言って叔母がバタバタと部屋を案内する。叔母が言おうとしよった事は、何だろうと少し疑問に思いつつ案内された部屋に向かう。


「ここの廊下の突き当たりの右にトイレで、その奥が貴方の部屋よ。送ってきた荷物は中に置いといたから、迷子にならない用に気おつけて。後、その階段を降りたら診療所でお客さんもいるから。それから……」


家が大きすぎて少し覚えるまでに時間がかかりそうだか、きっちり覚えようと話を聞いた。


「後、部屋の片付けが終わったらおじいちゃんにちゃんに挨拶するのよ! あの人、貴方が来るの楽しみにしてたんだから。」


「! 分かりました。後でちゃんと挨拶します」


「よろしい。 それと敬語はやめてね、これからは一緒に住むのだからそんなだとなんだかぎこちないわ」


「……分かった」


少し恥ずかしくて、照れてしまった。 その後叔母は仕事に戻ると行って奥の診療所に戻っていった。その後は自分の部屋に戻って部屋の片付けを始める。

思った以上に部屋は大きく医学書がいっぱい棚に入っておりテンションが上がってしまった。その後は、部屋の片付けをしてやる事が無くなったので自分の部屋にある本に目を通して時間を潰した。


それから1時間後


「じゃあ、父さんは帰るから元気にしとけよ。」


「分かった。気おつけて」


「あぁ、百合も気おつけなさい」


そう言って父は部屋を去って行った。あっさりした別れに少しびっくりしているが、別に会えない訳じゃないと思い自分は、また本に目を通した。 その時の自分は知らなかった、この会話は父との()()()()()()()()()()()自分は知る予知も無かった事に。



その後 私は、仕事が終わった叔父に挨拶をしに行った。叔父は相変わらず無愛想な態度だが叔父は、「部屋は気に入ったか? 」と聞いてきて少し驚いたがすぐにあの部屋は叔父が用意してくれたのだと気づきお礼を言った。 叔父は小さな声で「あぁ……」と返事をすると叔母が「ご飯の準備出来ましたよ〜」と声をかけてきたのでこの大きな家のリビングに叔父と一緒に向かった。



その後、私は夢にまで見た「女学校」に向かう。足取りは軽くとても楽しみだ。少し歩くと門が見え初め目線をあげると、協会のような立派な建物の学校だ。周りの女性も学校に向かって通学していく綺麗な着物のお金持ちのお嬢様達とすれ違う、時折視線を感じるが自分はまっすぐ目的の場所に向かった。

校長室で待ち合わせしていた先生に会うために向かうが意外と学校の中は広く迷子になってしまいそうだが、聞いていた道を真っ直ぐ歩いて目的の校長室に何とか辿り着けた。 そして、二回ドアをノックすると部屋の中から「どうぞ」と声がしたのでドアを開ける。


「失礼します。 初めまして月光 百合と言います。よろしくお願いします。」


「初めまして早乙女 鈴(さおとめ りん)よ よろしく 早速だけど手続きが終わったら貴方の教室に案内するわ」


そこにはとても賢そうでミステリアスが漂う女性が高そうなソファーに座っていて、待っていたかの様な座り方をしていた。


「はい、わかりました」


部屋の中は以外と古風だったが、どれも一級品の品物ばかりで、高そうなソファーが真ん中にありそこには一枚の契約書が机に置いであった、ソファーに座り手続きを書く事何分か、手続きが完了したので校長先生に声をかける。


「先生書き終わりました。」


「あら、早かったわね。じゃあ早速教室に案内するから

それにここ結構大きいからちゃんと学校の中を覚えてね」


「わかりました。」


そう言って校長室を出て教室に案内される。中はやはり綺麗で一級品の品物がいっぱい置いてあり一つ取ってもバレないのじゃないかと思う程にあるが、やはり人は少なかった。教室も結構がら空きの教室が多いい、流石はお嬢様方が通っている場所だと改めて思った。

そうして、校長先生から教室に案内されると目の前にはドアがあるすると、


「じゃあ此処が貴方の教室よ、頑張ってね」


「はい、案内ありがとうございました」


フフフと、笑ってその場を去って行く校長。緊張するがノックをしてドアを開ける。


「失礼します」


教室の中は女性が私を珍しいそうな目で見てきて少し緊張もするが、


「初めまして、月光 百合です。○○町から来ました。よろしくお願いいたします。」


そう自己紹介をして、指定された席に案内され初めての授業が始まった


ーーーーー


初めての授業が終わった。初めての授業はとても面白くとても勉強にもなった。その後は、真っ直ぐ家に帰り、出された課題を終わらせ、病院の手伝いをして疲れを癒そうとベットに横たわる。すると、


コンコン


「はい」


「百合ちゃんお父さんから手紙が来てるよ〜」


おばさんが部屋に入って来て手紙を渡してくる。手紙の主は何となく分かっている、父はそこまで心配性じゃないから、送り主は……やっぱり、送り主は外国で学者をしている人で時折……嫌、しょっちゅう手紙のやり取りをしている先生で自分は師匠と呼んでいる。何処から聴きつけたのだろうと恐怖する反面、読んだ本について手紙で質問したい!

とも思ってしまう。早速手紙を開けて内容を見る。


相変わらずと言ってもいい程本のについて解説してくれてとても勉強にもなった。そして、相変わらず「君を養子にしたい」と意味の分からない事を言う。天才的な内容なのに最後は絶対頭のネジが吹っ飛んだ話に変わる。だが、結局ゆうととても面白く、興味深い内容なので手紙のやり取りを辞められない。父からは、すっごい顔で「あいつとはもう会うなー!! 」 と泣きながら訴えかけた時は少しめんどくさかった事をこの手紙を貰ったら絶対に思い出してしまう。……父さん大丈夫かな?ちゃんと飯食ってるかな? 父と会える日は二年後、会えると分かって居ても寂しい気持ちになってしまいベットが広く感じてしまう。

会いたい…… と思ってしまい目から涙が出たのは誰も知らない。



ーーーーーーーー

二年後


二年後、こっちの生活は結構慣れてしまった。女学校では友達もできたし、おじいちゃんの仕事は時折手伝ったり、教えてくれたりなどとても勉強になっている。そして今日は、父が日本に帰って来る日だ。父は元気にしているだろうか?時折手紙が来て元気にしていると書いてあるが本当なのか心配だ。そう心で楽しみに部屋ゆっくりしていると部屋の外でバタバタと音が聞こえる。すると、


「百合ちゃん!!! 」


「どうしたの、おばさん」


「……話があるの。よく聞いて」


そうおばさんから放たれた言葉に……


「えっ……?」


父が意識不明の重体で病院に入院していた。

父の帰って来る船で津波がありそのまま沈没してしまい多くの人が亡くなったが、父は奇跡的に救助されたのだと、が父はその時には意識不明で急いで病院まで運ばれたのだが医者からは今の技術では無理だと言われ、おばさんが目から涙を流しながら話をしていた。


「それに三郎を治すにはすっごいお金がかかるし、外国の人なら言われてうちらが持っているお金じゃ相当……」


とおばさんはまた涙を流す。自分はその時頭が真っ白だったが、最後の外国と言う言葉に何かが思った。父はまだ生きている、父を治すには莫大なお金が必要で、外国人の人なら治せるかも……。


その時むかし父が言っていた言葉を思い出した。


ーーー

「百合」


「何? 父さん」


「世の中には治せない病気があるんだよ。それは病気以外にも、だけどね百合世の中は治せない病気なんて無いんよ。この時代には治せない病気があっても私達見たいな人達が病気を見つけて治す。それは病気以外もどこか原因があって身体が動かなくなったりしているんだよ。」


「でも父さん精神的なのは治せないでしょ? 」


「……まぁ確かにそうかも知れないけど精神的病を持っている人達はストレスが原因だから発散する事で予防する事はできるよ。けどね精神的病にかかった人達はその後病気になったりするからそうなる前に対処する事が大切だよ。」


「ふーん……ならもしも目の前で治せない病気にかかったらどうすればいいの?」


「そうだね……なら百合が治してあげなさい。そしたら、百合は治せない病気を治した! て称されるかも知れない」


「別に私そうゆうの興味無い」


「えぇ……そうなの……」


ーー

そう、小さい頃の私に頭を撫でながら言った。もしかしたら私が父を治せるかもしれないと、思える確証はなかった。こんな医学書ばっか読んでいて外科手術なんてやった事のない素人と言ってもいい奴が父を治すなんてそんな確信なんて無いのだから。 なら自分は父を治す為に何ができるかそれは頼み綱の外国人の医者に父を治して貰うこと、そして父を治す為の莫大なお金が必要な事。でも父を治すお金なんてない。

ましてや私は女学校に入っていて、退学すればお金を貯めれるかも知れないけど……そんな絶望的な状況に自分は涙を流し何も出来ない無力感に苛まれた。


その後父が入院している病院に行く。思った通り父はとても傷だらけで本当に生きていた事が奇跡としか言えなかった。

父は眠っているかの様にベットに横になっていた。でも父を治すためにはお金が必要だとゆう事とこれから父を治す為に何をすればいいのかを考える。 まずはお金を貯めなければと思ったでもどうやって……


そんな考えに何日も何日も調べ金を貯める方法を考え学校に登校と繰り返し寝る間も惜しんで作業をしていた。

ーーー

そして2ヶ月がすぎる頃


コンコンとノックの音が聞こえたすると


「ごめんくださーい」


気づいたおばさんが急いで玄関に向かう


「はーい、ちょっと待ってください。」


そう言っておばさんが玄関のドアを開けるとそこには中年と思しき不気味で顔は帽子で深く下げられた男性が玄関の前に立って居て手には茶色いカバンを持っていた。


「大変申し訳ごさいません。(わたくし)猪ケ倉 茂雄(いがくら しげお)と申します。」


そう言って男性は名刺を渡してきた。


「実は(わたくし)あなた方の用なお困りの方々を点々としており少しお話を……」


「結構です。私達は忙しいんですので申し訳ございませんがお帰りください。」


そう言って強引に男性を帰そうとすると、


()()()をお救いになりたいと思いませんか?」


「!? どうして……」


そう、おばさんが言うと男はニヤリとニヒルに笑った。 おばさんは余計にその男を警戒した。それもそうだ知らない男性がいきなり自分達の父の話をするのだから誰だって警戒する。それに船については新聞で掲載されていたが、父については一言も書かれてなく口外もされていない。それを何故この怪しい男性が知っているのか。


「私は貴方(あなた)がたに御用があり、起こし頂きました。どうぞ、詳しくは中でお話いたします。」


そう猪ケ倉が言うと私達は警戒もしながらも家を上がらせた。


「どうぞ」


「ありがとうごさいます」


そう言って猪ケ倉は家の中に入っていき、私達はリビングに案内をした。


「いやー、ご立派な家ですねー」


と不気味な笑みを浮かべたのだ。


「早速ですが、息子を救うとはどうゆう意味でしょう?」


「フフフ、まずは貴方がたに知ってもらわなければなりませんのでね」


フフフと不気味に笑いながら猪ケ倉は懐から封筒の紙を私達に渡してきた。


「中身をご確認ください。」


そう言ってきたので私達は封筒の中身を見た。すると中には借金返済と書いてある紙がでてきてその金額はなんと


「「 !? 」」


その金額は私達がびっくりする程でとてもじゃ無いが払えるような金額ではなかった。


「貴方がたのお父様はそこにいる娘様に学校に行かせる為借金をなさりました。それはもう、立派でして……」


およおよとハンカチを出し嘘泣きをしていた。それを聞いて引っかかった事が次々と紐解けて言った。まず女学校に入るには莫大(ばくだい)なお金が必要だ。それを何処から手に入れたのか未だに謎だった。二年前におばさんが言いかけた言葉。


『とゆうか女学校行かせるんだって? ()()()()()()()()()()()……』


『あぁ! そんな事より早く百合に部屋案内してやってくれ、具合悪そうやけん!』


なぜ父が話を逸らしたのかも理由が何となく分かる、お金は借金して借りたなんて私が聞いたらキレて学校なんて行かないにきまってる。


「期限は今日まで借金を返済返済しなかったら……どうなってたのでしょうね〜」


「!? 」


また不気味に笑う猪ケ倉に私は色々な事に困惑してしまった。父は借金を返済しようとしていたのか? けどどうやってそんな莫大なお金を返済しようとしていたのか。

そしてまた金額が増幅してしまった。もしかしたら私は女学校をやめて遊郭で働いて、()()()()()()辿()()()()()()()()()()()()そんな恐怖といっぱいいっぱいな気持ちだった。すると男性は、


「ですがある時とても興味深い内容の依頼が来ました。もしそのご依頼に承知した場合貴方がたの借金は全て私がたが返済しておきましょう」


「えっ……」


そんな上手い話がある訳がない、といつもの私なら言っていただろうが借金返済に父の病気の慰謝料など払うものが多すぎてその話を詳しく聞いてしまう。


「それはどうゆう意味ですか? 」


そう言うと猪ケ倉はニヤリと笑いまた懐から黒い封筒を出てきた。


「こちらがご依頼内容でございます。」


私達は、封筒の中身を見た。

封筒の中身は説明書を書いてあるようであった。


『こんにちは、初めましてこの封筒をお読みになっていると言う事は私達のお話にご興味があると言う事ですね。

ではご説明いたします。私がたが書いたこの手紙はアメリカから発行された手紙です。なぜ貴方がた日本人にこの手紙を送りしてるいる理由は、実は私がたのご主人様が何ヶ月前にとある令嬢との婚約がありましたが、私達のご主人様はその令嬢に銃を向け脅しをかけてしまいその令嬢のお父様からとても圧をかけられてしまい私達のご主人様が軍をお辞めにならなければならない状況ですので、申し訳ございませんが()()()だけ私方の住む別邸でお住みになって欲しいのです。

この話はとても危険な話でありますので私達が決めた条件の合う女性でお願いいたします。

まずその女性はとても若く()()()()()である事、そして精神力のある方で、最後は()()()()()()()()()()()()()()()()()()です。

この条件を呑める方だけを限定に借金がある方は先に返済いたします。そして二年間何事もなく過ごせた場合は請求されただけの額のお金をお渡しいたしましょう。 ですが私達のご主人様はとても気難しい性格ゆえとても危険なお話です。この話を呑める方が現れる方が来るのをお待ちしております。』


と書いてあった。正直とても素晴らしい執事を持っていると思うのが最初の感想で次に疑問に持つことがあった「()()()()()()()()()()()()()()()()()() 」とは一体どれだけ女を口説き人をたらしこむヤバいやつなのだろうか……と結構ヤバいやつなのだとそう思った。

するとおばさんが震えながら猪ケ倉に向かって言った。


「この話を受ければお金が手に入ると……」


そうおばさんが言うと


「はい、この話を承知した場合莫大なお金も手に入り借金も返済でき、貴方の()()()()()()()事が出来ますよ」


とまた猪ケ倉はニヤニヤと笑った。するとおばさんは持っていた手紙をぐしゃぐしゃにし、椅子から立ち上がりテーブルを叩いた。


「あんたに私の息子の娘をこんな危険な話にのると思ってるんですか? 」


またおばさんはテーブルを叩いき手紙を乱暴に返した。


「確かにいい話かも知れないけど知らない異国の国に預けてそして死ぬかも知れない話にのるとでも? まだ私から見たら小さな子供にここに待っておけと言っていると同じだわ。 私じゃダメですか! 」


「えっ!? おばさん! 」


そうおばさんが言ってつい声が出てしまった。けど男の反応は


「いや、無理でしょ。だって手紙の内容お読みになったでしょ。「若い女性」だって、だから貴方はまず無理ですよ大体人妻と結婚て、浮気じゃないですか」


ごもっともと思う男のツッコミにおばさんは何も言えなくなった。けど


「なら、お帰りください。借金は自分達で返済しますので! 」


「えっでもおばさん……」


「百合は女学校に入っているでしょ。だから気にしなくていいのよ。お父さんの事は何とかなるわ」


そうは言うけどおばさんのことだからこの家を売ったりして借金を返済などするだろうけど、おばさんと叔父さんが建てたと言っていた病院でそして掛け替えのない家だと言う事はわかる。

……ならおばさんが家を売って借金を返済するより私が耐えて借金を返済する方が早い。効率厨なのは昔からだし、結婚なんて自分には無縁だと思っていたからな。


「ふっ……」


小さく笑ってしまった。


「百合? 」


笑った事に疑問を持ったような顔をして私を見ていた。

そして


「おい、猪ケ倉この話を承知したら借金は返済されるんだよな……」


そう言うとおばさんは驚いた用に反対し始めた。


「何言っているの!? おばさん達が何とかするから貴方は女学校に……」


そう言いかけたが、


「けど、おばさん借金返済する時家売るでしょ。」


「それは……」


図星をつかれたのかおばさんは黙った。


「大丈夫だよ。私結婚なんて無縁だと思っていたし結婚じゃなくて花嫁修行だと思ってよ」


「でも……貴方学校は? 」


そう悲しそうなに見つめられた。


「そうだね、辞めなきゃ行けなくなるけど父さんが治るか分からない病気と戦っていて()()()()()()()()()()()()()()()()()()


そうキッパリ言うと


「百合……」


と感動したのかおばさんの目から涙を一粒流した。

すると、


「決まりましたか?」


家族との感動の話をこいつはぶち壊すな……と思った。


「では、この書類にサインをどうぞ」


そう言ってまた懐から紙を出した。

そして私はサインを書いた。


「では、日付はこの日に来ていただければ送りしますので」


猪ケ倉はそうニコニコと笑いながらカバンを持って私達の家を出て行った。そして猪ケ倉は背中を向け歩き出した

おばさんは真っ青な顔で


「なんでサインを! 貴方が我慢しなきゃならな……」


おばさんが言いかけると


「フフフ……大丈夫よおばさん。相手がどんなにクソ野郎や顔が良い奴であろうが、私はもう決めたんだらか私は絶対に愛を求めない!! 」


そう、この言葉は私のケジメでもあり覚悟でもあった。











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