表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍版】若返りの錬金術師~史上最高の錬金術師が転生したのは、錬金術が衰退した世界でした~  作者: えぞぎんぎつね
二巻 3月15日発売!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/108

01 戦闘後の朝

ここから、3月15日発売の二巻の内容になります。


一巻の書籍には、50話と二章1話の間のお話である「グルル、最初の夜」が入っています。体は大きいけど子竜のグルルが夜泣きして、ルードが添い寝しにいき、ルードの不在に気付いたリアが騒ぐという話です。

 魔王軍を撃退した日、俺はグルルの小屋で眠った。


 朝起きたら、リアとガウまで移動してきたので、みんなで朝ご飯を作って食べることにした。

 肉を焼いていると、俺の家で眠っていたカタリナも起きてきて、一緒に魔猪の肉を食べたのだった。


 朝ご飯の後片付けを終えた後、

「ルードさん! お話しをお聞かせください!」

 カタリナが勢い込んで言う。


「わかった。家の中で話そうか」

「はい」


 俺が家の中に入ろうとすると、

「……ぐるるぅ」


 グルルが寂しそうに鳴いた。


 グルルは体が大きいが、とても寂しがり屋なのだ。

 昨晩は小屋で一頭寂しくて鳴いていたので、添い寝をしてやったぐらいである。


「グルル、どうしようかな」

 グルルは捨てられた子犬ような目でこちらを見ていた。


 ――ガチャガチャ


「……カタリナ?」

「はい。どうされました?」


 家に入ろうとしていたカタリナの鎧から音がしている。


 昨夜の戦闘の前、俺はカタリナの鎧を調整、強化した。

 万全な状態で、カタリナの鎧から音がするわけがない。


「鎧が壊れてないか?」

「そんなことは……」


 カタリナは自分の体を足のほうから、見上げるように確認する。

 なぜかカタリナは全身鎧を着たまま眠っていたのだ。


 つまり、昨晩の戦闘から鎧を脱いでいないことになる。


「後で確認しよう。きっと昨日の戦闘で壊れたんだろう」

「折角強化して頂いたのに、申し訳ありません」

「いや、気にするな、武器も防具も消耗品。壊れるものだ」


 昨日の戦闘は激しかった。

 武器も防具も、不具合が出て当然だ。


「……あとでトマソンやギルバード、冒険者たちの武器防具も点検しにいくか」

 大規模戦闘で、みんな激しく戦った。


「カタリナ、話の前に鎧を脱いでひとっ風呂浴びてきてくれ」

「……ですが」


「グルルが昨日の戦闘の心の傷が癒えていないからな。小屋を手直ししたいんだ。その間、カタリナは風呂にでも入っていてくれ」

「……わかりました」


 よくわかっていない様子で、カタリナはそう言った。


 カタリナを風呂に送り出した後、俺は大急ぎで改修作業に入る。


「グルルの小屋を家に繋げるからな」

「ぐるる~」

 グルルは嬉しそうに尻尾を振った。


 グルルの小屋は、俺の家に隣接する形で建てた。

 だから繋げること自体は難しくない。


 グルルの小屋を俺の家のリビングに繋げればいいだろう。

 そうすれば、グルルも小屋の中から俺たちの様子を見られるし、俺たちもグルルの様子を見られる。


 それでグルルも寂しくないはずだ。


「グルルが通れる大きさの穴を開けるわけだから……」


 魔法の鞄に入れて置いた木材や石材を使って、グルルの小屋とリビングを繋げていく。


【物質移動】と【形態変化】、【形状変化】も使えば簡単な作業である。


「これでよしっと、グルル、小屋を通ってリビングまで移動できるか?」

「ぐるる~」「りゃあ~」


 リアを背に乗せて、グルルは小屋の扉を口で開け、そのまま歩いて行く。

 俺はグルルの後ろをついていく。ガウは俺の後ろを大人しく付いてきた。


「ぐるるるぅ!」

 リビングまで到着すると、グルルは嬉しそうに尻尾を揺らす。


「グルルは大きいからな、寝室には入れないが……まあ、俺がリビングで寝ればいいか」

「ぐるるるぅ」

 グルルのことはこれでいい。


 次はガウの手当だ。

 ガウは俺を助けようとして魔人に跳びかかり火傷を負ったので、毛がはげてしまっている。

 怪我と火傷は治したが、毛はまだ伸びている途中なのだ。


「ガウ、こっちに来なさい」

「がぁう」「りゃあ」「ぐるる~」

 なぜか一緒にリアとグルルも来た。


「ガウ、今日も薬を塗ろうな」

「があう」


 毛がはげてしまった部分、つまりほぼ全身に発毛剤兼育毛剤を塗っていく。


「ガウは毛が伸びるのも速いな」

「がう~」


 もう短毛種の犬ぐらいに見えなくもないぐらいには伸びている。

 伸びた毛をかき分けるようにして、地肌に薬を塗る。


「よく考えたら、発毛はしているから、育毛剤の成分比率を増やしたほうがいいか」

「がう?」


 塗った後は丁寧にマッサージをする。

 すると、ガウはいつものように、舐めようとする。


「ガウ、舐めたら駄目だぞ」

「がう!」

「リアもだ。塗り薬だからな。舐めたら駄目だ」

「りゃ?」


 リアがガウの毛を舐めようとするので止めた。


「……もしかして、この薬は魔獣にとっては美味しそうな匂いなのか?」

 多少、魔獣が嫌がる臭いにした方がいいかもしれない。


 そんなことを考えていると、カタリナが戻ってくる。


「いいお風呂でした」

「そうか、それはよかった」


 カタリナは全身鎧を籠に入れて、両手で持っていた。

 白い服で、脇の部分や膝裏など、全身鎧の隙間になりそうな部分に鎖帷子が付いている。


「ガウの治療が終わったら、すぐ全身鎧を見よう」

「ありがとうございます」


「今度鎧下も強化しよう。持ってくるといい」

「あ、ありがとうございます!」


「礼には及ばないさ。いい鎧下ができたら販売を開始するつもりだからな。協力してくれ」

「錬金術の普及ですね! 私に出来ることならなんでもお手伝いいたします!」


 カタリナは笑顔でそう言った。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ