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【書籍版】若返りの錬金術師~史上最高の錬金術師が転生したのは、錬金術が衰退した世界でした~  作者: えぞぎんぎつね
一巻 アース・スターから発売中!

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20 野生動物とのふれあい

 仕留めたらすぐに魔猪の処理を始める。

 使うのは昨日購入し錬金術で強化したオリハルコンのナイフだ。


「うん。良い感じだ」


 使い心地はとてもいい。

 我ながら素晴らしいナイフに仕上げたものだと思う。


「血抜きしないといけないから、まずここをこうやって……」

「りゃありゃあ」

「毛皮は価値があるから、あまり傷つけないようにしないとな」


 リアに聞かせるように作業内容を口に出しながら進めていく。

 リアは真剣な表情で、俺の手元を観察していた。


「毛皮を革になめすのは大変だから、このまま売るんだ」


 もちろん鞣し作業は錬金術でもできる。

 だが大変だ。【物質変換】に【形態変化】【形状変化】も必須となる。


 工程数も多く、消費魔力も大量だ。

 だから、普通の皮の鞣し作業は専門業者に任せるのが一番だ。


 俺の説明をリアは真剣な表情でふんふんと聞いていた。

 毛皮だけでなく、牙や蹄、魔石を収納魔法へと仕舞っていく。

 今食べる分以外の肉も仕舞う。


「リアは生と焼いたのどっちがいい?」


 俺はそう言いながら、焚火を起す。

 そして近くにあった平べったい大きな石を上に乗せて熱していく。


「分厚くしてもいいけど、火が通らないと寄生虫が怖いかもな」


 リアは竜だから、寄生虫ぐらい大丈夫だろう。

 だが人族の俺は少し気を付けた方がいい。


 魔猪の肉を適度の厚さに切って、焼き始める。

 ジュウジュウという、おいしそうな音を鳴り、いい匂いが立ち込めはじめた。


「リアは生の方がいいのか?」

「りゃ?」


 リアはよくわかっていなさそうなので、とりあえず生の魔猪の肉を小さく切って与える。

 リアは羽をばたばたさせて、嬉しそうにパクパク食べた。


「やっぱり、竜だから生肉が好きなのかも知れないな」

「りゃむりゃむりゃむ」


 そうしている間に自分の肉も焼き終わる。

 木の枝を使って、つまんで食べる。淡白な味だった。


「……うまいな。塩が欲しいけど」


 客観的に考えたら、塩が足りなさすぎる。

 だが、ものすごく空腹なので、おいしく感じる。


「素材の味ってやつだな」

「りゃむりゃむ!」


 空腹は最高の調味料とはよく言ったものだ。

 リアもすごくおいしそうに食べている。


「調味料も買っておくべきだな……」

 本当に買い忘れが多い。嫌になるほどだ。


「りゃありゃありゃあ!」


 俺が焼いた肉を食べていると、リアが鳴きながら羽をバサバサさせながら口を開ける。

 まるで親鳥に餌をねだるひな鳥のようだ。


「いっぱい食べなさい」

「りゃむ!」


 俺は生肉だけでなく、俺が食べていた焼いた肉もリアの口に入れる。

 甘えているのか、リアは俺に食べさせて欲しいらしい。


「りゃあ!」


 リアの反応は生肉より焼いた肉の方がいいようだ。


「焼いた肉の方が好きなのか?」

「りゃ!」


 どうやら、そうらしいので肉をどんどん焼いた。

 焼きあがった肉をリアの口の中に入れながら自分も食べてく。


 リアは猫舌ではないようだ。

 それも当然だろう。深紅の鱗を持つ竜は成長すれば火炎を吐くのだ。


 俺とリアが楽しくご飯を食べていると、背後から魔獣がゆっくりと近づいて来た。

「リャッリャッキシャアキシャアア!」

 魔獣に気付いたリアが警戒して鋭い鳴き声を上げる。


「大丈夫大丈夫。ただの魔狼だ」

「キシャキシャア!」


 リアは竜らしからぬ怯えようである。

 通常、竜というのは泰然としているものだ。


 だが、リアはまだ赤ちゃん。

 それに親元からはぐれて、傷だらけになっていた。


 怖い目に沢山あったのだろう。怯えるのも仕方のないことだ。


「大丈夫。全然怖くないからな」


 リアを落ち着かせるため、俺は優しく撫でてやる。

 そうしながら、後ろを振り返って魔獣を見る。


 そこにいたのは大きな魔狼だった。

 体高が一・五メトル近くある。

 魔狼の中でも特に立派な個体と言っていいだろう。


「ふむ? 身体はでかいが……がりがりだな」


 魔狼は、通常の狼と同じく群れで行動する。

 なのに、こいつは一頭だけで行動している。


 一頭だけでは狩りをするのも大変だろう。痩せてしまうのも仕方ない。


「ガルルルルル」

 飢えた魔狼は俺を睨みつけながら低い声で唸った。

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― 新着の感想 ―
[一言] リアのかつての怖い目の犯人は目の前に居そうな気がしますね(笑)。
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