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【書籍版】若返りの錬金術師~史上最高の錬金術師が転生したのは、錬金術が衰退した世界でした~  作者: えぞぎんぎつね
一巻 アース・スターから発売中!

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13 お店で装備を買おう

「ギルドマスターだとは思わなかった」

「おせっかい焼きの古株冒険者だとでも思っていたか?」

「否定はしない」

「がはは! それも間違っちゃいない」


 そう笑うと、ギルバートは紙に金額を書いていく。


「ルード、魔熊の魔石と賞金合わせて六百万ゴルドだ」

「おお、思ったより沢山もらえるんだな」

「何人もやられたっていっただろう? 被害が大きくなるほど賞金額は大きくなるもんだ」


 そのとき、受付担当者が、俺の冒険者ギルドカードを持ってきた。

 ギルバートに促されるまま、ギルドカードを魔導具に通して自分を登録する。


「これによって、討伐した魔物などは自動的に記録されるようになる」

「それは便利だな」


 魔物の討伐記録だけでなく、クエスト受注や達成報告するたびにカードに記録してくれるとのことだ。

 千年前にはなかった技術だ。

 技術は全体的に衰退して入るが、すべてが衰退しているわけではないらしい。


「偽造も不可能だし、本人以外が持つと色が変わる。身分証明にも使えるぞ」


 俺の冒険者のランクはF。職業は魔導師だ。

 ちなみに冒険者のランクはFが駆け出し。


 Eが駆け出しに毛が生えた程度。Dが一人前。Cがベテラン。Bが一流、Aが超一流だ。

 Sランクなどもあるが、一般的ではない。

 SはAランクが大きな功績をあげたときに褒美として与えられるランクとのことだ。


「人食い魔熊討伐の功績を加味すればE、いやDからスタートすることはできるが……」

「問題があるのか?」

「そうなんだ。審査に時間がかかるからな。三週間ぐらい」

「それは困る」


 三週間もあれば、人食い魔熊ぐらいもう一頭倒せそうだ。


「だろう? だからFにしておいたぞ」

「配慮ありがたい。とても助かるよ」

 俺がそう言うと、ギルバートは笑顔になった。


「ルード、字は読めるか?」

「ルードさんは魔導師だぞ! 読めないわけないだろ」


 冒険者の一人が、ギルバートに笑いながら言う。


「俺もそう思うが、聞くのが決まりなんだよ。で、ルードどうだ?」

「ああ、読める」

「よかった。読めなかったら、色々面倒なんだ。冒険者ギルドの細かい決まりはこの手引きに書いているから読んでおいてくれ」


 そういってギルバートは手のひらより少し大きいサイズの本をくれた。

 白くて薄い綺麗な紙で作られた二百ページほどの本だ。


「もらっていいのか?」

「もちろんだ。新人全員に配る物だからな」


 どうやら、紙の製造技術と価格、印刷技術は千年前からだいぶ進歩しているようだ。

 千年前はこんなに薄い綺麗な紙はものすごく高価だった。


 俺が手引きをパラパラとめくって眺めていると、ギルバートは真面目な顔で言う。


「大切なことが書いてあるのでちゃんと読んでおけよ?」


 少し大変だ。ひまなときに少しずつ読むしかあるまい。


 俺はそう考えたのだが、

「そんなもん誰も読んでねーよ」

「ちげーねえ」


 先輩冒険者たちがそんなことを言ってガハハと笑っていた。

 ギルドマスターのギルバートまで一緒になって笑っている。

 必要な時に参照すればいいだけかもしれない。


「ああ、そうだ、忘れずにリアの従魔登録をしたいんだが」

「りゃりゃあ」

「おお、そうだった。登録用魔道具を持ってきてくれ」


 ギルバートの指示で魔道具が持ってこられる。


「本当は登録希望者の実力を調べたりするんだが……人食い魔熊を倒したルードなら構わないだろう」

「それは助かる」

「ここにギルドカードをセットしてくれ。ああ、それでいい。で、リアの身体の一部をここに触れさせてくれ」

「りゃあ」


 魔道具にカードをセットした後、リアが魔道具に触れる。


「これで完了だ。一応注意事項の説明だ」

 リアが暴れた場合、俺の責任になることなどを説明される。

「わかった。ありがとう」


 手続きが終わった後、ギルド内を見回してみたがカタリナの姿はなかった。


 その後、俺はギルドにいた冒険者たちからおすすめの店を聞いてから外に出る。

 何しろ六百万ゴルドも手に入れたのだ。

 色々と必要な物を買っておきたい。


「まずは……」


 服を買いたい。それに各種装備も欲しい。


 俺は王都の店を回って、まともな服や靴、剣などを買っていく。

 丈夫で軽い鞄も手に入れておく。


 収納魔法と同じことができる道具である「魔法の鞄」を作るためだ。

 魔法の鞄の有無で、仕事の効率は大きく変わる。


「あ、金属とかガラスも欲しいな」


 金属もガラスも錬金道具をつくるのに必要なのだ。

 特に金属類は採掘するのが大変だから買えるものは買っておく。

 ガラスは砂から作れるが、売っているなら買った方が良い。


「錬金薬を入れるための瓶も欲しいな」


 ガラスと同じで、作っても良いのだが、売ってあるなら買った方が良い。


 買い物を済ませると、俺はヨハネス商会へと向かった。

 ぜひ泊まってくれと言ってくれていたのでお言葉に甘えることにしたのだ。


 ヨハネス商会に行って名乗ると、


「商会長からお聞きしております。どうぞこちらへ」


 メイドさんが、対応してくれて中へと通してもらえた。

 話しを聞いてみると、ヨナは忙しく働いているのだそうだ。

 交易で手に入れた物資を使って色々しているのだろう。


「この部屋をご自由にお使いください」


 それは大体五メトル四方の部屋だった。

 一人で過ごす分には充分に広い。


 ベッドやクローゼット、少し広めのテーブルなどもある。

 快適この上ない。


「りゃあ!」

 リアが早速ベッドの上に乗ってゴロゴロ転がった。


「可愛い……はっ、すみません。つい。商会長は自分の家のように寛いでほしいと」

「ありがとうございます」


 その時後ろから声をかけられた。

「お、ルード。やっと来たのかい。待っていたんだ」

「トマソンか。ヨナについてなくていいのか?」

「俺は街の外の護衛専門だよ」

「りゃあ~」


 トマソンの頭の上にリアが飛んでいく。


「おお、リア、歓迎してくれるのか」


 トマソンは嬉しそうに頭上のリアを撫でる。

 挨拶を終えたと言うことなのか、リアは俺の方に戻ってきた。


 どうやら、街の中の護衛は、礼儀作法などを学んでいる素手でも戦える者たちだそうだ。

 トマソンたちは過酷な護衛任務をクリアしたので、三日間の休暇をもらったのだという。


「今回は怪我人も出たしな。みんなでゆっくりしているところさ」

「怪我人の経過はどうだ?」

「ルードのおかげで、ぴんぴんしているよ。そうだ、ついてきてくれ」


 トマソンはメイドに後は俺が案内するとか言って歩き出す。

「ここが俺の部屋だ。中はルードの部屋と一緒だよ」

「そうなのか。俺の部屋から近いんだな」


 十メトル程度しか離れていない。

 どうやら、護衛たちのための部屋の一つを使わせてくれるということらしい。


 トマソンは自分の部屋の前を素通りしてさらに進む。

 そして大きめの部屋へと来た。


「ここは談話室だ」

「ほう」

 談話室では護衛たちがゆっくり寛いでいた。


「俺たちは暇なときはここで寛いでいることが多いんだ。ルードも遠慮せず使うといい」

「ああ、そうさせてもらおう」

 寛いでいた護衛の一人が立ち上がってやってくる。


「ルードさん!」

「どうした?」

「治療してくださって、ありがとうございます!」


 それは大怪我して死にかけた護衛のうちの一人だった。

 確かヨナの護衛には珍しい魔導師だったはずだ。


「経過はどうだ? 少し診せてくれ」

 一言断ってから、俺は魔力の流れなどを調べていく。


 俺の診断を見ながらトマソンが言った。

「錬金術の診断ってやつか?」

「診断は、錬金術師の基本技能ではあるが、これ自体は魔法なんだ」

「そうなのか? 意外だな」


 基本的に魔力を物質を変えるのが錬金術だ。

 変える必要のない成分測定や診断などは魔法を使う。

 だから優れた錬金術師は、同時に優れた魔導師でもあるのだ。


「よし。何の問題もない。健康そのものだ」

「ありがとうございます!」

「ほかの二人はどうだ?」

「一人は近くに遊びに行ってます。もう一人は奥さんのところです。そろそろ生まれるとか」


 そういえば、重症だった一人は子供が生まれるとか言っていた。

 それならば妻のところに行くのが当然だ。

 もう一人も遊びに行っているということは、元気と言うことだろう。


「それはなによりだ。何かあったら遠慮なく言ってくれ」

「はい!」

「ルード、今から俺たちも飲みに行かないか?」

「大変魅力的な提案なのだが……、やりたいことがあるんだ。装備を整えたい」


 何があるかわからない。

 とりあえず俺は錬金術で装備を整えることを優先することにした。

【読者の皆様へ 作者からのお願い!】


この作品を読んで、少しでも


「面白そう」

「続きが気になる」

など思っていただけましたら、


発売中の書籍を買っていただけるとうれしいです。

1巻は発売中! 2巻は3月に発売になります!



ついでに、ブックマーク、並びに、

ページ下部↓の【☆☆☆☆☆】から評価して頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします!

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