雨乞いは日照りと共に(4)
今日は少しゲームをやる気にはなれないので趣向を変えて本を読むことにした。
銃の解読本だ。
ゲームに役立つ……とかではない。
僕の趣味だ。
この本に掲載されている銃の種類……大まかに見てオートマチックのタイプが7割、リボルバータイプが3割だ。
レトロ系の雑誌だとリボルバーを専門にした本なんかも結構あったりする。
暇な時はこれを読みながらずっと過ごしている。
ふむふむ……やっぱり見てて面白い。
独特の機能美も然ることながら作られて行った歴史を紐解いていくとより一層面白味を増すのがとてもいい。
暇な時以外にも嫌なことを考えている時はこれを見ていることが多い。
身近なものでは無いというのもいいのかもしれない。
日本では銃に触れるなんてことはないからね。
他にも戦術指南系の本だったりゲームのカタログ本なんかも読んだりしていることもある。
実際に使われた戦術だったり理論だけのものだったりと見てて飽きない。
そう言えば結花さんが遊びに来た時一度見られたことがあった。
……訝しげな顔をされた。
あれはドジを引いたなあ〜。
気づけば僕は笑みが漏れていた。
結花さんと一緒に過ごす日々は僕にとってかけがえのないものだった。
小さい頃からずっと……僕達は一緒。
それが良かった。
……良かったのかな?
「本当に……良かったのかな……」
僕は渇いた笑みのまま一つ呟いた。
「……学校、行こうかな。」
このまままた言い訳を吐いたとしてもきっと結花さんは認めてくれない。
それどころかいよいよ呆れられてしまうかもしれない。
それは……なんだか凄く嫌だ。
結花さんにだけは見放されたくないと思ってしまう。
…………なんだかんだ言って、僕は結花さんが好きなんだ。
……だけど。
足がすくんでしまう。
学校のことを考えると怖くて……怖くて……。
僕はキャップ帽を手に取りギュッと抱きしめた。
夕方、時間は6時ほど。
今日はいつもより少し早く結花さんはやって来た。
玄関の前。
僕達は暫し見つめ合う。
「入っていいかな?」
「うん」
僕は結花さんを部屋に入れた。
「昨日はごめんね?」
結花さんが謝った。
謝るべきはどう考えても僕の筈なのに……。
「アキヒラくんのためを思ってたんだけど……気持ちを理解出来てなかったみたい。」
僕は口をグッと結ぶ……。
「勝手に先走って……傷つけちゃって。」
「私、お節介だったね」
……結花さんは悲しそうに笑いながら謝った。
「もっとアキヒラくんの気持ちを考えるべきだった、ごめんなさい」
……結花さんは顔を歪めて泣きそうな顔をした。
……僕は。
「明日、学校行くよ。」
僕は彼女にそう答えた。
「……えっ!?」
結花さんは顔を上げ困惑の表情を見せつける。
「結花さんは謝らないで?
悪いのは僕だから。」
「いつも迷惑ばかりでごめんね?
もうこれからは迷惑をかけないようにするから」
僕は決めた。
これ以上結花さんを傷つけない。
結花さんが傷付く位なら僕が傷付けばいい。
僕はそう固く決心した。
あれから結花さんが帰って、そして3時間ほど経った。
……とまああれだけ大口を叩いたが正直少し後悔している。
これでもう言い訳は効かなくなってしまったからだ。
もう後戻りは出来ないということ。
「……学校の支度しなくちゃ」
遠くを見据えたまま僕は歩き出した。
「ピピピピピピピピ…………。」
次の日の朝、僕は久しぶりの目覚まし時計を止めて起き上がる。
僕はおもむろにカーテンを開けた。
暗い部屋いっぱいに陽射しが飛び込んでくる。
渇いた晴れ模様に僕は一言だけ呟いた。
「ああ……こんな時、雨でも降ってくれればいいのに」
それも特大の大雨が───────────。
一連の晴れ日和は僕の意思なんて汲んではくれなかった。