プロローグ(3)
体が覚醒する。
気付けば僕は眠りに落ちていた。何か考えていれば意識を保てると思っていたのに、その目論見はとうに外れ僕は眠ってしまったのだ。
……悪手を踏んだのだろうか?
眠くなれない時に羊を数えると眠れるって話がある様に、何か考えていたから眠っちゃったのかな?
だとしたら本末転倒だ、僕はバカなのか。
何はともあれ本当におっちょこちょいな話である。
僕は…風野アキヒラは一つ溜息を吐いた。
しかし……ここは一体何処なのだ?
辺りは大理石で出来た礼拝堂の様な一室で天井には分厚くも煌めく硝子が敷き詰められており外からの仄暗い光が当たり独特な模様を形成していた。
光の加減で硝子の線がほんの少し赤く浮かび上がっておりこれが独特の柄を象っている。
よく目を凝らしてみると何やら文字の様だ。
しかし書いてある文字はアルファベットでもキリル文字でもアラビア文字……でも多分ない。
僕はそんなことを頭の隅で考え、ただ呆然と真上の天井を眺めていたが瞬間急に鳩尾辺りに痛みが走った。
僕は蹲り痛む腹を抑えながらじっとした。
しかし少ししたら痛みは消え、僕は改めて冷静さを取り戻し今度は今の状況に頭を使うことにした。
「これは一体なんなんだ……!?」