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プロローグ(2)

深い闇に溶けていくような感覚。

時間は流れず空間は水を伝う波紋のようにゆったりと肌を舐めていく。

身体は動かない。混濁こそしているが微睡み程ではない、微かに思考は働くが闇に身を任せれば意識は霧散してしまいそうだった。

だから僕は必死に思考を働かせようとこんな時だってのにくだらないことを考えてしまっているのに違いない。

”どうして僕はこんなことになっているのだろう”。

取り留めのない疑問符だけが頭をよぎる。

考えて答えが出る疑問でないことは初めから分かっている、ただそんな『どうしようもないこと』でもいいから今は少しでもなにか考えていたかったのだ。



少しずつ……少しずつ……記憶が戻っていく……。

と言うよりフラッシュバックに近い。

恐らく最も近況の記憶であろう物が脳内に断片的に浮かび上がる。

自分が何か責め立てられている様な記憶……自分が何か慰められている様な記憶……自分が……自分が……。

そしてどの記憶も、自分が凄く今にも泣いてしまいそうな顔をしていたこと。

……客観的に見てどれも碌でもない記憶だ。

ああ、そうだ……僕は学校にいたんだ。


クラスメイトの彼女に慰められていた、僕は泣いてしまいそうな気持ちを押し殺して彼女に愛想笑いをしていた。

彼女は僕を元気付けるために肩に手を置いて笑顔を返しながら何か励ましの言葉を掛けてくれていた。

僕はいつもそんな彼女の言葉に、笑顔に、救われていて…。


強い光だった。

教室の中に強い光が満ちる。

網膜を啄くその強い光に僕は耐えず目を覆い、気付けばこの暗闇に居た。


あの時、何て言葉を掛けてくれたのかな?

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