美味しいかな?
色々な事があった。
ミカサは、今までの自分を振り返っていた。ここまで来た人生の軌跡を。
けれど、特に何か変わった事があった訳でも無く、今日もまた普通にベッドの上で目が覚めて行く。
(ペチペチッ、ピチャッ。ヌルッ)
不快な音と共に。
(ん、な、何かしら、この水分と粘り気の混じった音は…魔界の雨?スライム?蛇?)
ボヤける視界を開くと、空中でワンギョが、光る玉に包まれたまま、その中で暴れていた。
「わ、忘れてた!ご、ごめんね!ワンギョ?!昨日、あれから疲れて帰って来てすぐ寝ちゃったもんね!大丈夫だと思ってた!」
ミカサが、不思議そうにその光る玉を叩いたり、撫でたりし、振り上げて床に叩きつけそうな時だった。
窓が叩かれる音がする。
驚いてそちらを向くと、ディ・ジェルドラが微笑んで待っている。
「ミカサ様、お食事のご用意が城で整っておりますので…」
それだけを言うとディ・ジェルドラは、去って行く。
(お城で、食事…)
「あ、このままでも良いですよ。ミカサ様…恐ろしいし、このままでは寝てる間に出たヌルヌルで部屋が、大変ハレンチな事になりかねないので…」
「え?あ、そ、そう…」
数分後、光る玉と身支度を整えたミカサは、城門の前へと来ていた。
門が開くと1人の女性が、ミカサを迎え、お辞儀をして顔を上げた。
髪は、腰まである白色。
目はツリ目で黄色く、全体的に上品さが漂う。
着ているのは、黒いドレス。
足にはスリッドがあり、艶かしい太ももが見えている。
「ディ・ジェルドラ、ミカサ様のご到着を心よりお待ちしておりました。魔王グロウ様亡き今、ミカサ様を女王としてお迎えするとの決まり。さ、こちらへ…」
「は、はぁ…」
ミカサの耳には、届いていたか、いなかったのか、生返事だけをして中へと入って行く。
ワンギョは、そのまま抱えられていたが、城門をくぐった瞬間に、それが割れてしまい、ミカサとディ・ジェルドラは、ヌルヌルにまみれスっ転び、ディ・ジェルドラは、衣服が湿り肌を締め付け、胸部にも張り付く。スリットから艶かしい豊潤な足が、M字開脚で開かれ濡れた布が局部へと張り付き、その形をあらわにしそうになるも、ワンギョが飛んできて挟まる。
ミカサは、持って来ていた杖で必死に転ぶのを耐えては、足が滑り、髪や衣服はドロドロである。
目の前の悲惨な光景を何とか回避したかったが、ヌルヌルに足を取られ後方へと激しくスっ転ぶ。
後頭部を地面に強打しそうな時だった。
ミカサの後頭部と地面の間に、手が差し込まれた。
が、しかし。
「キャッ!あわ、あわわわわっ!」
謎の美少女の後頭部と、ミカサの後頭部が激しく強打し、2人は、気を失ってしまう。
起き上がったヌルヌル・ディ・ジェルドラが、その美少女を足でつつく。
「んまぁ~!?パチョファったら、早速ミカサ様に甘えてしまって…。恐ろしい子、かっもねぇ~?」
そういうとワンギョは、その辺のヌルヌルを口で全部、吸い込み出す。
「良い匂いがして来ました。ミカサ様とパチョファを早く食堂に連れて行きましょう」
とワンギョが言うと。
「ハッ!?そ、そうよ?!このパチョファとか言う、四天王上がりの小娘はどうでも良いけど、ミカサ様を早くっ!」
そう言いながらヌルヌル・ディ・ジェルドラは、自分の魔法でヌルヌルを取り固めると、ワンギョへ食べさせる。
「初めまして、ミカサ様!私パチョファですっ☆ニョキッ!」
そう言うと可愛い顔に似つかわしく無い牙が、現れ光を放つ。
それを見たミカサは、少し後退するが手を引かれ城の内部へと入って行く。
食堂には、様々な魔物や人型の魔人、ディ・ジェルドラやパチョファの様な人に似ている者も居た。
その中にミカサは、1人。
普通の人間として歓迎されている。
「ようこそネフロス城へ、今日は私が作りました。食べてください!」
そう言うと角にコウモリの羽に矢印の様な尻尾の生えた全身は青い、見るからに悪魔の様なコック帽子を被ったシェフが、皿を出して来る。
皿の上には、青い魚の様な姿をし、足が何本も生えた見た事も無い生き物と、赤いソースが掛かり、横にはブロッコリーの様な物が添えられていた。
(これは…確かに、この人が作ったに相応しい料理だわ…。切ればきっと中は白身の筈…)
そう言ってナイフとフォークを差し込んだ時だった。
パチョファが、その凶暴な牙で皿ごと口へと入れてしまう。
「ミカサ様!危なく毒があるかも知れない料理を口に入れる所でした!パチョファが、しっかりとミカサ様の、あざとい女の部分も食べてやります!」
- 暁ミカサ Lv.3 戦闘開始 -
ワンギョは、ディ・ジェルドラと後退する。他の魔物達は、部屋から出て行ってしまった。
パチョファの攻撃、その凶暴な牙が、飛び散りミサイルの様にミカサへと進む。
その口には、再び牙が生え揃う。
持って来た杖を前へと構え、詠唱を始める。
「聖なる内に有る、光の粒よ、刹那に飛び散り、闇へと噛み付け!」
ミカサの身体は、光の粒で覆われる。
「センドラ・ディ・ジェルドラ!」
するとディ・ジェルドラとミカサの位置が入れ替わり、牙がディ・ジェルドラに命中するも、ディ・ジェルドラの反射神経で全部の牙を間一髪で避け切る。
が、しかし服のアチコチが切り裂かれ、胸の上と下、へそ部分、スリットの前部分、尻、腿、腕などが露になる。
それを手で隠そうとするディ・ジェルドラに、着いて来てしまったワンギョが、足に絡まり転倒する。
M字開脚の間に再びワンギョが挟まり、ヌルヌルを吐き出してしまう。
辺りは、ヌルヌルに包まれた。
それに滑って転ぶパチョファ。
「あぁんっ!痛いぃ~んにょきっ☆」
そこへ暁ミカサが、転びもせずにやって来る。
「さぁ、おネムの時間よ···横取り女···」
パチョファが、起き上がろうとするとヌルヌルにより転ぶ、を繰り返している。
そうしている内に暁ミカサは、詠唱を唱える。
「明暗、時の扉に封じられし、その刻みの理、その主よ、今こそ、我が前に!刻切せよ!デッディ・マージナル!」
すると、そこらかしこにある窓や扉から、光る鎌と暗黒の鎌が、無数に飛び出し辺りを切り刻んで行く。
それは龍の様に長くなり、全ては微塵もかざす消えて行く。
ミカサは、ディ・ジェルドラの股に挟まったワンギョを手に取り、外へと走り城門を出る。
その鎌は、城を削り、全てを塵へとする。
その後には、何も残って居なかった。
その跡地をミカサは、ワンギョを抱いてただ眺めて居た。
「あの~ミカサ様。これは覚えていますか?」
そう言われたミカサは、ワンギョへと目をやるとワンギョは、1人の少年へと姿を変えていた。
その少年の瞳は、澄んでいて見ていると気が遠くなった。
「ミカサっ!?ミカサ!大丈夫か?!起きろ!」
暁ミカサは、盗賊である。
その身軽な装備に、武器は二丁短剣と飛び道具。
魔王討伐パーティーには、もう数ヶ月加入している。
呼ぶ声は、勇者ルーマ。
「私は、どうして…」
「さっきの戦闘で敵の攻撃が、後頭部に当たって気絶してたんだ。ビックリした」
その声の方を向くと格闘家ドランが居る。
「そうね。でも私が回復したし大丈夫でしょ?」
その優しい微笑みは、補助魔法師セレン。
(私は、暁ミカサ…大丈夫。これは、私の記憶…今までの事は、夢?)
そう思うと、また眠気に負けて目を閉じてしまった。
森の中で瞼越しに眩い光が、目に入る。
仲間の声と共に、意識は遠のいた。




