表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

異世界転生?

 


 私は、東京の街でOLをしていたのだが。

 急死してしまった。


 その心臓が、止まる直前。


 私は、とても大きな燃える鳥を、空に見た。

 その鳥は、私と、私の周りを全て燃やし尽くし。


 私の世界を、暗黒へと変えてしまったのだ。




 - 都市ネフロス近郊 狩場 -



 目を開けると、そこは、見た事も無い草が、沢山生えている森と言うより、ジャングルの様な場所だった。

 私は、そのジャングルに寝そべりながら目を覚ます。


 地面は、湿っている。

 頬が、少し気持ち悪いと思った。


 重い体を、少しだけ力を出して起き上がらせる。


 カラン…。


 と、何か軽い鉄が、地面に落ちる音がした。

 身体に何か乗っていた様だった。

 それが、起き上がると同時に、地面へ落ちたのだ。


 私は、それを見て不思議に思った。

 そして、私自身を見える範囲で伝えると、レインコートの様な白い布の服を着ていた。白いブーツ。

 頭には、何か白いフードの様な物が、多い被さっている。


 (何だろう?この格好は…)


 そう思ったのは、まるでファンタジーの世界にある、魔法の杖の様な物だったからだ。

 私は、何処かのテーマパークの中で、気を失ったのだろうか?

 そんな事を頭で考えながら、その杖を持ち、周辺の散策をする。


 - 暁 ミカサ Lv.1 -


 私は、あまりテーマパークに興味は無い。

 趣味と言えるものも無く、会社と家を往復し、たまに贅沢をして高い食事をする程だ。


 会社でも地味な方だが、何かが秀でてる事もなければ劣る事もない。

 友人は、1人しか居ない。それも最近は、疎遠だった。


 けれど唯一憧れていた事が、あった。

 東京には無い。星空の綺麗な場所で、いつか愛する人と。

 流れ星を見る事だった。


 何と恥ずかしい夢だろう。

 自身でも、そう思わずには居られない。

 顔が、火照って来てしまった。


 そんな事を考えジャングルを散策していると、水の流れる音がする。

 喉も乾いた。私は、その音がする方へと足を早めた。


 しかし、何やら水の音だけでは無い。

 何だろう?


 そう思い、大きな木の先に見たものは、巨大な川と、巨大な怪物だった。

 私は、それを見るなり腰を抜かしてしまい、大きな木の下で、尻もちをついて止まって居た。


「何をしている?こんな所で…ラキサノトラスの観察か?見た所、この近隣の者では無いように見受けられるが…」


 そこへ謎の声。

 私は、発狂した様に声を上げた。

 が、しかし。この状況で人に会えたのは、とても恵まれている。


 このテーマパークの人だろうか?



「あ、あの、すみません。私、道に迷ってしまったみたいで…しかも、そこで気を失って…」


 それを聞いた男は、驚いていた。

 ラキサノトラスって何?


「そうなのか?大丈夫か?では私が、ネフロスへの抜け道を教えよう。さぁ、立って…」


 男は、私に手を向けていた。

 その手に、少し戸惑った。

 でもそれは失礼になるような気がして、手を伸ばした。


 見るところ、鎧を着た、逞しい男だった。

 目は、切れ長で、日本人の様に見えない。

 このアトラクションの、海外スタッフさんなのかも知れない。

 お仕事の邪魔になってしまっただろうか?


「どうも、ありがとう。あの…あなたは?」


 そう私が尋ねると、その男は、少し失笑した。


「この私を、知らないと?ふ、面白い女だな…」


 何故か私は、少し腹が立った。

 でも。仕事上、そういう風な役柄を崩す訳にはいかないのかと思い、グッと堪えた。

 そんな事を思っていると、男は立ち止まり、私の目を見る。


「ふむ、何かのマヤカシか、それとも…」


 男の顔が、あまりに急接近して来たので、私は思わず男を突き放してしまった。


「おぉ…すまぬ。なんとも奇妙だったもので、つい…」


 私は、正気を取り戻し、男に謝った。


「いや、いいんだ。さぁ、もうそろそろネフロスだぞ」


 そう言われても、ネフロスとは?

 何か分からない私は、戸惑ったが礼を言った。


「ありがとうございます。そうだ。私は、暁 ミカサって言います。宜しくお願いします」


 そう言ってから私は、自分の名前に違和感。

 そして何が、宜しくお願いします。なのかと自分に問う。


「いや、こちらこそ。名を名乗らずに失礼した…」


 すると男は、立ち止まり。

 私の方へと振り返る。


「あれが、ネフロス。そして私は、ネフロスの王、グロウ」


 時が、一瞬止まった。

 まず第1に、目に入った景色である。


 そこは屋根が赤い家が建ち並び、絵に書いた様な城が、立ち聳え、辺りには、コウモリが飛び交い、空には、大きな三日月、城下はボロボロで、木も枯れている。


 そして、第2に、王?この人が?何の?このお城の、王様?


 理解が、追いつかないでいた私に、追い討ちが、かかる。


「私は、この世の魔王グロウである!」


 そう言いながら、腰に携えた、大きな剣を知らぬ間に抜き、その先を地面へと突き刺す。

 すると、その割れた地面から赤い光が、浮かび上がると、辺りにマグマが吹き上がり、ジャングルの様な場所を、燃やして行く。


 一瞬にして辺りは、地獄へと化す。


 私は、それを見て、これはアトラクションなどでは無く、現実なのだと悟った。

 そして私は、また腰を抜かすのだろうと自分でも思ったのだが、気が付くと、杖を構え、グロウと名乗る魔王へ向け、見聞きした事が無い、言葉を唱えていた。


「闇は、その先へ、赤霧を払い、弧は、天を…血を清め、蘇の己は、循環を導く。咲き誇れ!」


 それを聞いたグロウは、驚愕する。


「な、何を?!貴様はっ!」


 私は、続けた。


「センドラ・ボルティスワァァァァァァイルッ!」


 すると上空と、グロウの足元には、巨大な魔法陣が。

 そして私の体は、赤く燃え上がり、背中には大きな羽。

 魔王グロウは、身動きが取れない。


「この時を、待っていた…ずっと。ずっと。私は、絶対に、あなたを倒すと。魔法も、剣技も、何も効かないアナタに、唯一無二の私の補助魔法。センドラル・ボルティスワイルを、喰らわせられる、この日を!」


 私は、傍観者であった。

 私は、何も考えても居ない。

 私は、動いても居ない。

 どこに、私は、居るのだろう?


 すると持っていた杖が、魔王グロウへと飛んで行った。


 が、私と魔王の間で止まり、杖の尻尾が、私へと向いている。


「ねぇ、グロウ。私とアナタの因縁もここまでね。この補助魔法。発動条件は、発動者の死、そして効果は、それと引き換えに対象者を確実に葬る事よ!」


 え?私は…何を?


「ま、待てっ!セレン!それを発動するな!私は、お前をっ!」


 セレンって、私の事?私は、暁 ミカサ。でしょ?


「問答無用!発動!来なさいっ!聖杖(せいと)パラディストロス!」


 すると私が持っていた杖は、外の装甲が割れ、中から杖と剣が、合わさった様な姿を、光輝きながら現した。


 そして、その剣の部分が、私に向かって飛んで来る。


「ごめんなさいね。あなたを巻き込んでしまって…」


 セレンと呼ばれる私が、私に向かって言った言葉。

 それを聞きながら、私の目の前は、また深い暗闇へと進むのだった。


魔王の叫びと共に。
















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ