005 魔王になれそうな奴を見つけた
2~3日はガイアとイサムと特訓をしていたんだが、ギルド員さんに魔物討伐に行ってきて欲しいと直接頼まれたので、今日は魔物討伐に行くことにした。
「この辺では見かけたことのない、『ファイアジャイアント』が近くの山に現れたようです。街や街道に来たら大変なことになるので討伐をお願いします。ファイアジャイアントの推定ランクはB級なので、イサムさん達なら問題ないと思いますが、怪力と炎には気を付けてください」
と言う事なので、ファイアジャイアントの目撃情報のあった山まで行くぞ。結構距離があるから車で行くか、俺はメダルを『ほい』と言いながら『ぽいっ』と投げつつ呼び掛ける。
「来い! ガイアドライブ」
『ボム』っと煙が上がり、煙が晴れるとそこには立派な車が! 運転席のドアを普通に開けて、俺搭乗!
「本当に何でもありだなお前ら、オレは突っ込まんぞ」
遊び心は魂の健康に必要なことだぞ。さあ、これに乗れば目的地なんてすぐさ。
教訓、舗装されていない道を普通車で走るもんじゃない。車に酔った……。
「これなら普通に馬とか使った方が良かったんじゃないか」
まぁ、早く着いたから良しとしよう。途中からオフロードに強いガイアタンクに変形させたから、揺れも大分軽減されただろ。
「なんという力の無駄遣い」
ファイアジャイアントはウィルに探させてるから、ちょっと休憩しようぜ。
「アニキ、あっちの方でファイアジャイアントと誰かが戦ってるっす」
索敵優秀ですね。えっ、また出遅れたの? 他の冒険者かな? どっちが優勢?
「冒険者(?)の方が優勢っすね」
じゃあ、焦らず現場に向かいますか。危なそうなら援護するってことで。
現場に到着すると、そこにはデスサイズ(?)死神が持ってそうな鎌を手にした、かわいい猫耳が生えた何者か(亜人?)がファイアジャイアントの首を跳ね飛ばしたところだった。
「むっ、ヒト族の冒険者かにゃ。ファイアジャイアントが騒がせて悪かったにゃ。討伐の首が必要にゃら持っていって良いにゃ」
「あっ、ああ、首は持って帰れると助かる。あ~、お前は何だ?」
「吾輩は魔族のマオだにゃ。同胞がヒト族に侵略しようとしているのをやめさせようとしている立場なので、ヒト族とは友好的な関係を気付きたいと思っているのにゃ。ヨロシク頼むにゃ」
「オレはイサム、冒険者だ。こっちはサトルな」
俺も冒険者ですヨロシク。まだこっちの世界に来て浅いんだけど、何、魔族はヒト族に侵略しようとしてんの?
「むむ、お前も異世界出身かにゃ。吾輩も転生者でにゃ、何の因果か魔族に生まれてしまったので色々と辛いのにゃ……。魔族内をどうにか抑え込んで、将来的にヒト族との和平を結びたいのにゃ。その時には協力をお願いしたいにゃ」
何やらこの世界の魔族は、魔物を使役することができるようで、今回のファイアジャイアントを人里近くに放ったのは主戦派の嫌がらせらしい。本当はもっと大規模な魔物の侵攻とかしたいのだが、十年前にそれやってヒト族から手痛い反撃を喰らい、戦力が不足しているようだ。停滞する戦況に苛立った魔族が個人として先走って嫌がらせの魔物を放っている、というのが現状のようだ。
イサムの村に魔物の襲撃があったのも、主戦派の魔族の仕業臭いな。
「吾輩はヒト族に攻めても勝ち目はにゃいと侵攻するのは反対しているにゃ。でも、最近魔物の中にも転生者がいるようで、バカみたいに強いスライムとかゴブリンとかが出てきたと、主戦派が調子に乗ってるのにゃ。転生した魔物は簡単に使役できないと思うから大丈夫だと思うけど万が一があるにゃ。魔物に転生した者と話をしてみようと思ってるのにゃ」
何か、魔族内は魔族内ですげー面白そうなことになってんなぁ。いや、当事者は大変なんだろうが。これ、下手したら魔物の転生者に魔族が下克上を喰らう可能性もあるよな。
「そうにゃんだよにゃあ……。吾輩としても魔族のトップがやられる分には構わんのにゃが、魔族全体に敵意を向けられるのは避けたいのにゃ。何か転生先がかにゃりハードで辛いのにゃ……」
何かあったら協力するから頑張ってくれよ。是非、転生魔物を束ねて革命を成功させて、次期魔王にでもなってくれ。
「魔王とか嫌だにゃ。強い転生魔物がいたら、そいつに王様になってもらって、魔族は共存させてもらえればよいのにゃ」
なるほどなぁ。ところで、魔族の嫌がらせのファイアジャイアントって一匹だけなの?
「そう聞いてるのにゃ。あちこちに一匹ずつ、嫌がらせのようにばらまいているそうにゃ。調子に乗ってヒト族を怒らせないように、災いの芽は吾輩が刈り取っているのにゃ」
ふーん、でもうちの精霊の話だと、こっちにジャイアントがダース単位で向かってきてるみたいだぞ。
「にゃにゃ?! 吾輩が目障りになって排除しにきたのかにゃ? もしくは陽動? とりあえずさっさと片づけて帰った方が良さそうだにゃ」
ジャイアントはこっちで受け持ってもいいぞ。心配事があるならさっさと帰るといい。
「ほんとかにゃ? それは助かるにゃ。でも大丈夫かにゃ?」
ガイア、ウィル、とりあえず一匹やっちまえ。
「我に任せるのである」
「ウィっす、ようやく俺にも戦闘の機会が、やあってやるっす」
そういうと、アーススパイクで先頭のジャイアントを串刺しにし、それでも生きてるジャイアントに対して、張り切ったウィルの風の刃で切り刻まれ、あっという間に絶命してしまった。
「ひい、おっかないにゃ。でも大丈夫そうだにゃ。ここは任せるのにゃ。感謝するのにゃ」
「さて、オレの出番はあるのかな。しかし、サトルは巨神に乗る必要あるのか?」
魂の健全を保つには必要なのです!(断言)
とりあえず、数が多く、頑丈さが取り柄のジャイアントには、精霊達のおもちゃ……、もといサンドバッグ? とにかく大事な戦闘訓練の相手として大切に倒されましたとさ。
「巨神モードとサイズが見合う相手がいて、良い練習相手になったのである」
「汚ねぇ花火だったの」
「あらあら、うふふふ」
「やっぱ、風っぽい技はネズミの忍のカラテが一番っすね」
「ミンチよりひでぇよ」
イサムが何やら戦慄してるが、精霊たちはすっきりしているようなので問題ないだろう。俺も精霊を使う練習になったしオーケーだ。さて、大量のジャイアントを討伐したし帰るとするか。初の魔物討伐クエスト無事達成っと、これならやっていけそうだな。




