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010 魔王の親衛隊が現れた

 ああ、ゴブリンは俺がやっつけたよ。俺はそう言いながら巨神から降りて姿を見せてやった。


「サトル! ゴブゾウは間に合わなかったかにゃ。……完全に暴走してたからヒト族に討伐されても仕方ないにゃね」


 あいつゴブゾウって言うのか、やっぱり転生者だったのか?


「そうだにゃ。あいつは転生者で魔族の言う事を聞いてたわけじゃないけど、魔族に自分の王国を作るためにヒト族を滅ぼしましょうとかそそのかされてその気になって、『ゴブリン王に俺はなる』とか言って飛び出して行ったにゃ」


「同士ゴブゾウ氏はリアルハーレム願望があったのですぞ。力で無理やり実現しようなど紳士の風上にも置けないですぞ」


 ん、何だそいつらは。マオの後ろに魔物が三体いた。今のは念話だな。


「こいつらは魔物の転生者にゃ。話をしたら協力してくれることになったにゃ」


「うねうね、初めまして、自分はローパーのロパ助。悪い触手ではありませんぞ。女性の美容と健康にいい体液を全身に塗りたくりたいだけですぞ。なあにちょっとハッスルする成分も含まれますが体に良いものばかりですぞ」


「ぷるぷる、ぼくはスライムのスラ次郎。悪いスライムじゃないよ。悪いスライムじゃないから女性を溶かしたりなんかしないよ。防具とか服しか溶かさないよ」


「ふごふご、オデはオークのオク山。オデは姫騎士とかが好きなんだな」


「我ら、マオ様の親衛隊ファンクラブ! マオ様のアイドル活動を協力・プロデュースに命を懸けますぞ」


 何この変態紳士たち怖い。触手と粘液と竿役と役者揃い過ぎだろ。こいつらを放置して大丈夫なの?


「失礼な。我らはリアルにはノータッチですぞ。せっかく触手を手に入れたので使ってみたい願望はありますが、同意がなければ触手を出したりしませんぞ」


「オデ、お金払えば姫騎士のコスプレをしてくれる女の子を見つけるんだな」


「ぼくはぷよっとした見た目だし、女の子にかわいいって抱きしめられたいな」


 マオ、いい人材を集めたようだな。(ドン引き) そしてアイドル活動してんの?


「引かにゃいで。アイドル活動にゃんてしてないのにゃ、こいつらが勝手に『猫耳萌え―』とか言って騒いでるだけにゃ」


「マオにゃんは、我らが魔物に転生して途方に暮れているところに舞い降りた天使ですぞ。マオにゃんが居なかったら自分も暗黒面に落ちてしまっていたかもしれず、感謝しているのですぞ。マオにゃんを次のステージ(魔族の玉座)に上げるためなら何でもしますぞ」


「こいつら、吾輩より強いのに前に出ようとせず、吾輩を担ぎ上げようとするにゃ。何かヒラヒラした服を作ってるのを見かけたしどうしてこうなったんだにゃ」


 転生先はランダムのはずなんだが、こいつら見てると歪んだ性癖の願望が魔物の転生先を引き寄せたようにしか見えないな……。もうこのまま魔王アイドルクイーンを目指してプロデュースしてもらえよ。


「サトルも勘違いしているようにゃけど、吾輩は雄、男にゃよ。ヒラヒラした服なんて御免だにゃ」


 えっ? マジで? 猫耳の男とか誰得? とか考えてるのを見破られたのか、ロパ助が反論してきた。


「アイドルに性別など関係ありませんぞ。大切なのは容姿と性格キャラ、かわいければ性別なんて問題にすら上がりませんぞ」


「オデ、むしろ男の娘の方がウェルカムなんだな。マオにゃん最高なんだな」


「吾輩、これ以上聞きたくにゃいから、性別の話はここまでにするにゃ。一旦落ち着いて話を元に戻すにゃ」






 えーっと、何だっけ。とりあえず、ゴブゾウとやらは、人間の村を滅ぼして、若い女を攫って好き放題やってたから倒したぞ。これで今回の件は解決で良いんだよな。


「そうだにゃ。できれば説得したかったけど、そんだけ暴れた後だとヒト族に首を差し出さざるを得なかったと思うにゃ」


 じゃあ解散かな。救出した女性を介抱する使命が待ってるんだ。


「女性が困っているとあれば、この触手をいくらでも貸しますぞ」


「にゃにやら、下種なオーラを感じるにゃ」


 女性を助けるために立ち上がったところで、別の声が割り込んできた。


「女性たちの救助は間に合ってるから、もう少し話を聞かせてくれんか」


「誰にゃ!?」


 あれは、タイシか。この国の大魔導士だよ、なんでここに?


「大魔導士?! それは十年前に『炎の殺戮者』と呼ばれたヒト族の化け物かにゃ。吾輩たち狩られる?!」


「ゴブリンに村を滅ぼされたと聞いてな、色々準備して駆けつけたんやけど、一足遅かったようやな。サトルがゴブリンを倒してくれたんやろ、ありがとな。女性は救助隊に任せてきたで。さて、そっちの猫耳のことはサトルから話は聞いとるけど、今回のゴブリンの件がどういう事だったのか説明はしてもらうで」


「ひいいい、怖いにゃ。威圧半端ないにゃ」


「マオにゃんは我らが護りますぞ、心配はいりませんぞ」




 かくかくしかじか、というわけです。説明終わり。


「なるほどな。こいつらみたいな変態……、もとい強力な魔物が増えているなら早めに手を打った方が良いかもしれんな。マオにゃん、ワイに魔族の本拠地教えてくれへんか? 教えてくれたらサクッと乗り込んで暴れたるで」


「マオにゃん言うな。現魔王の居るところを教えるのは構わにゃいが、防御魔法や結界でガチガチに固めてるから、ひとりで落とすのは無理だと思うにゃ。大魔導士のファイアーフェニックスにも耐えられると自慢していたにゃ」


「ほほう、それはケンジと共同開発したアトミックフェニックスを前にしても同じことが言えるかな」


 賢者と大魔導士の共同開発した魔法とかヤバいな。てかアトミックとか環境大丈夫なんですか。


「環境への配慮は研究中や。いざとなったらすべてを灰燼と化したる」


 こいつらも野放しにしてると不味い奴らなんじゃないか……。あー、大規模な攻撃なら魔力量が桁違いなうちの精霊の方が向いてると思うんだがどうだろう。


「サトル、ワイの代わりに行ってくれるんか」


 村が滅ぼされるのとか気分悪いし、和平を結べそうにない相手とは戦うしかないかなって思ったよ。でも、魔王を倒せばそれで解決するのか? 第二第三の魔王とか出てこない?


「その辺は、自分たちが根回しをして、マオにゃんを魔王アイドルキングにしてみせますぞ!」


 すげー不安なんだけど大丈夫なのか。


「こいつらは信用できにゃいが、こいつらの力を見せつけてやれば、とりあえず従わせることはできると思うにゃ。何だかんだで暴力が支配するお国柄にゃ。一番強い奴の言う事なら聞く耳は持つはずにゃ」


 じゃあ、魔王を倒すのに手伝うよ。とどめはマオに任せた。


「うっ、吾輩が魔王になる流れから逆らえそうにないにゃ。まだ根回しとかに時間がかかるからそれまでに魔王やってくれる奴を探さにゃいと」


「自分たちは、マオにゃんが魔王にならなくても親衛隊ファンクラブはやめませんぞ。どこまでもついていきますぞ」


「うにゃあああ! アイドルをやめて普通の男の子に戻りたいニャー」




 何かマオが葛藤してるけど、魔王を倒すのに手伝うことは決まった。根回しなど準備が終わったら連絡をくれと念話のパスを設定しておいた。マオたちが準備している間、俺も城を落とす準備として下見をしておきますかね。


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