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8月31日 死にかけと終わりの日

8月31日


 なんか今日も割と涼しい。扇風機で事足りるレベル。このまま秋に突入するのだろうか。時合的には普通なのだろうけど、ここ数年異常な猛暑と残暑が続いていただけに不安を隠せない。 


 今日の出来事を書く前に土曜日のことについておさらしておこう。


 土曜日、いつもの時間に起きたら熱があった。めちゃくちゃつらいってわけではないけど、異様な眠気と倦怠感を確認。特に下半身に力が入らず、うまく立ち上がることができない。ついでに、立ち上がったとしても足がもつれ歩くのに非常に難儀する。


 なんだろうね、うまく足が動かなかったのよ。あそこまでひどいのは数年ぶりかもしれない。


 で、メールチェックだけ済ませる。金曜の夜に送った修正版の返事がなかったため、そのまま体調を考えてスヤスヤすることにした。


 結局衣笠先生からの返信を確認したのは1400過ぎ。メールそのものは1300くらいに来ていた。ベースそのものは変わっていないけど、文章表現が割とガッツリ変わりまくっているうえ、ほぼ全部手直ししてくれたという凄まじいサービスっぷり。感謝しきれてもしきれない。


 で、指示されたところを直して床につく。ここまでが土曜日の流れ。


 研究室に到着後は修正した奴の最後の自己チェックを行う。平均値の所の字体がゴシックになっていたので明朝に修正した。あれ、印刷してからじゃないとわかりづらいから困る。どうにかしてほしいものだ。


 その後、こもりんのところに完成版をもっていく。いつも通りにコンコンして『失礼しまーす』って声をかけたら、『あれ、真島さ、じゃなくてキミかいな?』って驚かれた。私以外の何があるのかと思ったら、『いや、真島さんの声だと思った』とのこと。


 さすがに私と真島さんの声を間違えることってなくねえ? そりゃさ、目上の人に声かけるときはトーンを変えるけどさ、それにしたってそんな風に間違えることなんてないだろうに。


 世良さんにそのことを話したところ、『ない! それはない!』とケラケラ笑ってた。やっぱ間違えようがないよなあ。


 肝心の完成版への修正の方だけど、文章的な訂正がいくつかと内容に関しての質疑がメインだった。最後の方だけちょっとわからんっぽかったけど、大きな変更は概ねなし。尤も、衣笠先生がほぼ書き直したし、時間がなかったってのもあるだろうけど。


 最後の方ってのは考察の腹とか節とか剛性に関するところ。正直あそこは私もわけわからなかったから助かったといえば助かった。普通に緩んでいる、いないで表現した方がわかりやすかったっぽい。


 毎回思うんだけど、理系の人って飲み込みやすい表現の基準が一般のそれとだいぶ違うよね。しかも、個人ごとにそのベクトルが面白いくらいにズレているから困る。


 ともかく、言われたところを言われたとおりに直して再提出。あ、例の腹と節の所は衣笠先生がうっかりしていたっぽい。午前中だけで死ぬ気で仕上げたって言ってたから、きっと疲れて意識も朦朧としていたのだろう。


 ご迷惑をお掛けしました。本当にありがとうございます。


 なんだかんだでそれでOKをもらい、肩の荷が下りる。そのまま大海先生に提出した。


 その後、先輩たちときれいになったおニューの学部生室を見学する。写真を撮っておいたのでふぉとらいぶらりを参照すること。


 また、窓の付近の床になにやら動く物体があると思って近づいてみたら、死にかけのスズメバチさんが足をぴくぴく動かしていた。鋭い目つきと立派な顎、そしてその最大の特徴である尻の毒針がマジデンジャラス。黄色と黒の縞々がその存在感を強調しているうえ、体格もかなり立派。下手したら女王クラス。


 とりあえず、ちりとりでつぶしておいた。殺れるときに殺るのは鉄則だよね。あいつらうかうかしていると仲間呼んだりするし。


 なお、スズメバチさんの遺骸は南郷さんの手によって窓から母なる大地へと還される。来世ではぜひミツバチさんになっておいしい蜂蜜を作ってもらいたいものだ。


 夕方ごろ、抄録を作らねばならないことが発覚する。テンプレが相変わらずクソすぎて概要の所の行間が凄まじくクソだった。あいつらマジで一回脳みそかち割って洗濯してやりたい。


 南郷さんがちゃんとしたテンプレをくれたため、あとは文字数との戦いだった。で、ナントカ番号以外は埋めきることに成功する。無駄に手間をかける羽目になった。


 そうそう、そのテンプレをもらった時、南郷さんから『ごろすけってなに?』と聞かれた。『ふくろうのことですよ』と答えたんだけど、驚くべきことにその場にいた誰もがそのことを知らなかった。


 ウリ坊やエテコウと同じノリだと説明するも、『初めて聞いた』のカノンが返ってくる。あの物知り博士が膳の中身をあてる昔話を聞いたことがないのかと問うも、それすら知らないようだった。


 せっかくなのでその昔話をネットでググったんだけど、なぜかそれに関する情報が出てこない。グリムのほうはあるのに、ごろすけだと言い当てるやつが見つからない。


 しかし、確かにあの昔話の記憶が私にはある。いったい原典はどうなっているのか。


 ここ数年、記憶にあるのに記録にないものにぶち当たることが多い。どうやら私が幼少期に見聞きした書物は割とレアものが多かったようだ。ポップコーンシュガーやレアードゼリー、車盾についても相当苦労したっけ。ファネロキエーテクリソスポリウムは時系列がおかしいだけで普通に調べられたけど。


 長くなったがこんなものだろうか。話にまとまりがないがそこはご愛嬌ってことで。



【理系学生の日記:後期の記録に続く】

※【理系学生の日記:後期の記録に続く】とありますが、これは原稿には存在しない一文であり、ここで区切って製本したために製本原稿に記述したものです。このWeb上での更新は普通に続きます。


 物知り博士が膳の中身の【ごろすけ】をあてるっていうお話、確かに記憶にあるのにどこを調べても見つからない……。

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