7月29日 水泡
7月29日
あつい。アツイ。暑い。熱い。灼ツイ。もぅマヂ無理。死にそぅ。
研究室への到着はいつもと同じくらい。学校に来るだけで汗だく。陽炎を見かける。プールセットを持って遊びに行こうとしている小学生がひどく妬ましい。あまりに暑いせいか、そもそも人が外にいなくて、薄着のおねーさんも見かけない。どうしろってんだ。
午前中はスライドの最後の微修正を行い、何回か銀さんと通し練習をする。発表時間もせいぜい誤差10±30秒程度とまずまず。数回通した後は面倒なので各自自主練ってことにしてグダグダと過ごした。
あまりにも暑すぎたので、サングラスをかけて外で涼む。中よりも外の方が涼しいという異常事態。高い場所だからか、いい風がずっと吹き込んできてなかなかの心地よさ。首まである背もたれ付きの椅子があったら最高だった。
お昼の時間を過ぎたころ、研究室対抗運動大会の件でNから連絡が来る。表面研はソフトボールの参加者がいなくて出場を断念するとのこと。試合の予定を組むのが面倒になった……というか、なぜ内燃ができて表面ができないのだろうか。
いやまぁ、面倒なのはわかるんだけどさぁ……。一日くらいみんなで遊ぼうってのがそんなにアレなのだろうか。Nの苦労が全部水の泡になってしまった。
午後も数回練習をしたものの、南郷さんとの約束の時間まではグダグダ。あまりにも暑すぎてやる気が起きないうえ、ぶっちゃけやることがない。
日記に書く内容もまるでないので、桐野に『何か面白いことなかった?』と聞いたら、『ハー●ンダッツを食べたらおなかを冷やしてトイレに行く羽目になった。やっぱぜいたく品は体に合わん』とネタをくれた。
ハー●ンダッツは確かにおいしいけど、夏のアイスはガ●ガリ君が至高だと思う。変にお高くとまっているアイスって庶民を馬鹿にしている気がする。
1600頃に南郷さんに発表を見てもらう。タイムはおよそ三十秒オーバーだけど、最後は普通にはしょれるから問題なし。スライドも微修正するだけで概ねOK。もう何も怖くない。
てなわけで、コアタイムが終わるまで魔法陣グ●グルを読んで過ごす。やっぱ安定して面白い。初めて読んだ時のように腹を抱えて笑うことこそなかったものの、口角が吊り上るのが嫌でもわかる。
恐ろしいことに初版発行日を見たら二十年ほど前だった。時代を感じる。そして、二十年前の作品がいまだに面白く感じることと、今の漫画のクオリティの低さに絶望した。
最近の漫画は絵こそうまいものの、漫画的な面白さが皆無だ。画集にセリフを乗っけただけって印象が強い。なんだろうね、読んでいて全然感情移入できないし、漫画を読んだって気分がしない。シナリオとかもうすっぺらいのが多いし、意味がまるで分らないものもある。読んでいて置いてけぼりにされることが何度もあった。
なにより、『今どき流行の』絵やシナリオばっかで、全体的に特徴がない。みんな同じに見えるし、絵に温かみがない。キャラクターの厚みもない。とってつけただけでまるで生かされることのない箇条書きの設定と、見た目だけで持っている感じが凄まじい。
おそらく、読み手がただの憧れだけで作り手になったからだと思う。ものを創造するにおいて必要な知識や人生経験がまるでないし、個人が持ってしかるべき信念やポリシーというものを感じない。
きっとアニメや漫画ばかりでそれ以外にまるで興味を持たなかったのだろう。だからそれらの中からでしかモノを想像できず、全部どこかで見たようなものばかりになるのだ。だから他人がどう受け取るのかってのを根本的に想像できず、独りよがりの意味の分からぬ自己妄想を押し付ける形になるのだ。
『俺が考えた最強の設定』はわかるんだけど、それを魅せる術がなってないし、そもそもの設定がお粗末すぎる。中途半端に技術だけを身に着けるものだから余計にタチが悪い。憧ればかりが先行して、他に必要なものがまるで見えていない。
自分の中だけで歪に完結していて、そして恐ろしいことにそのことに気付いていないのだ。
故にオリジナリティがないのだ。中身がうすっぺらいのだ。寒い茶番が多すぎて、物語に物語足りうる深みがないのだ。無から有を生み出すことができていないのだ。
嘆かわしいことに、読み手側の質も下がりまくっている。最初からクソみたいなものしか知らないからか、あの程度で絶賛しまくるアンポンタンが増えまくっているのだ。これじゃ悪循環に陥るに決まっている。
ちょっと興奮しすぎて文章にまとまりがないが、言いたいことだけはなんとなく感じられると思う。何もこの分野に限らず、最近は継承されるべき技術の失伝と若い世代のクオリティの低下が激しすぎる。このままじゃ日本は終わってしまうとマジで感じる。
冗談抜きに、変に粋がっている次代の連中には徹底した教育を施すべきだと思う。昔からそうしていたんだし、そうしなくなってからこの体たらくなのだから、そうするべきなのだ。
言いたいことは腐るほどあるが、それを表現するには時間も余白も足りなさすぎる。たぶんどんどん話が拡張して止まらなくなるだろう。今日はこの辺でやめておくことにする。
最後に。
マジでどうにかしないとならない。あの『根本的にはき違えている連中』をどうにかしない限り、未来はない。あいつらがこれ以上幅を利かせるようになったのなら、本当にオシマイだ。それは許されるべきことじゃあない。
いいか、言いたいことだけは感じ取れ。誰にもできないなら俺がやるしかないんだ。たとえ最後の一人になろうとも、それだけは貫き通せ。




