表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/213

7月16日 鬱病レジスタンス

7月16日


 雨が降ったからか、昨日よりかはいくらかマシな気温。しかし、じめじめして蒸し暑いのは相変わらず。


 なぜか疲れと眠気が取れなかったため、一限の時間はスヤスヤすることにした。最近マイフェイバリットチェアーのベストポジションを見つけたおかげか、心地よく寝ることができた。


 しかも、青い汎用の椅子とマイフェイバリットチェアーをうまく組み合わせることで、なかなかにグッドな寝心地を提供してくれるベッドを作ることにも成功した。


 が、なぜか研究室の人たちから『最近前に比べて明らかに寝る時間増えてない?』、『鬱病大丈夫?』と心配されるようになった。そんなに頼りなさげに見えるのだろうか?


 二限は城木先生の材料強度特論。最後の授業だけど特に提出物とかはなく、普通に終わる。スライドを使った授業で、SEMとかを用いたフラクトグラフィーの話だった。


 授業後、ユーリさんとともに昨日の研究室対抗運動大会の件について城木先生に相談する。その結果、景品にかけるお値段は上から五千、三千、千円ということに。ただ、三位の景品に関しては城木先生がいらないマッサージ機を持っているらしく、そちらを提供してもらうことになった。


 てなわけで、適当に約一万円以内で景品を考えておくように。想定当初よりもいくらか規模が小さいけど、まあ現実なんてこんなもんだろう。


 打ち上げの件についても、『とりあえず大皿料理があればいいんじゃね?』ってことに。タダ飯食わせるのもアレだし、お金を出しているという意識だけはほしいので、最低限の金額は集めることにした。


 現段階の計画では五百円ほど参加者から集金し、アシが出た分は城木先生が払ってくれることになった。『あくまで意識がほしいだけだから、五百円だと参加を渋る人が多いようなら三百円でも百円でもいい』とのこと。さすがに貫禄が違う。


 さしあたって、早々に決めなきゃいけないのは全体参加人数ということだろうか。肴類と最低限の酒・ソフトドリンクも運営側で用意しなくちゃいけないから、そこら辺の予算の草案も作っておきたい。


 午後は複合材料の力学特論の課題に取り掛かる。柳下は昼過ぎに帰りやがった。しかも、そのまま丸付けの仕事をする始末。仕事の意味を問いたい。


 あとあの野郎、カレンダーの自分の誕生日の所を塗りつぶしていやがった。マジで照れ屋さんだと思う。


 複合の課題だけど、なかなかいい資料がなくて苦戦する。どこも大したことが書いていないし、そもそも難解で分かりにくい。シェル要素は面要素ともいえるらしく、記述内容がこんがらがる。


 何もしないというのはアレだったので、参考になりそうな文章をワードにぶち込んでおいた。あとは適当にまとめておしまいにしてしまおうと思う。


 おやつの時間頃、南郷さんが学部生室にやってきた。『今週中に中間報告会のスライドとか見せてくれる?』となかなかの無茶ぶり。さすがにきついので『来週中のできるだけ早いいつか』ということになった。


 そうそう、雑談中に面白い話を聞く。どうやら【検閲済み】研がなかなかサスペンスなことになっているらしい。


 なんでも、深沢の態度に大神先生がとうとうブチ切れたそうだ。もとより件の鬱病の原因はあいつでほぼ確定だし、そうでなくとも普段の態度が悪すぎる。


 で、その影響か今だけはやたらと深沢が生徒に優しくなっているそうだけど、それで納得する奴なんて一人もいない。なんとも意外なことに、あの新見先生が静かなる怒りの炎を燃やし、深沢を裁判沙汰にして追い出そうとしているという話もあるそうだ。


 悪趣味かもしれないが、対岸の火事ほど面白いものはない。しかも、今回は場合が場合だ。これを機にクリーンな研究室になってくれることを心の底から強く強く願う。つーか、新見先生ってすごい人だったんだな。


 今日は銀さんはこなかった。【検閲済み】でなにかあったんだろうか。まあ、来週から忙しくしてしまうから今週くらいはいいかもしれない。


 夕方ごろ、羽鳥から『外に不審者がいる』との情報が。以前、この研究室に見学に来た人っぽい。特に何をする出なくちらちら、フラフラとそこらをさまよっていたそうな。


 『お前が変なものを呼んじまったんだ。お前がこのクソみたいな【検閲済み】研を魅力的に語りすぎてしまったんだ』とか言ってたけど、あれはほかに人がいなかったから仕方なくやっただけだ。


 私は、今まで一度たりとも自ら率先して物事をこなそうと思ったことはない。全部、誰もやらないから仕方なくやっていることばかりだ。


 『誰かがやらなきゃいけないのに、誰もやらない。誰もやらないなら、俺がやるしかないんだよ』


 ……と、どこかで聞いたセリフを持って本日の日記の締めとさせて頂く。たまにはこういう終わり方もいいもんだ。割と文章量的にすっきりまとまっているのもグッド。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ