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7月8日 災厄生起

7月8日


 サーボパルサーがぶっ壊れたってよォ────ッ! (ジ●ジョ風)


 研究室への到着は0900過ぎ。なんかやたらと柳下の到着が早く、珍しいこともあるもんだと思ったら、早々に『サーボパルサーが壊れちゃった☆』とか言い出した。『使った人次第で俺が壊したわけじゃない。最後に使った人が壊したことになるんだ』とも言ってたらしい。見返して思ったけど意味がよくわからん。


 ともあれ、なかなかに大変な事態。サーボパルサーがマジでイカれたのだとしたら、【検閲済み】研の半数が実験できないことになる。


 だいぶ前から油が漏れていて、『締結部のボルトを取ったらそこから油が漏れてきた。とりあえず戻して見なかったことにした』(羽鳥談)くらいにまずい状況だったらしいんだけど、こもりんが金をケチっていたためにここまで事が大きくなってしまったようだ。


 動作不良の直接の原因としては油漏れのようで、油圧がうまく働かないためにきちんと動いてくれないのだとか。


 恐ろしいことに、この状態でなおこもりんは『油圧で調整していたのなら、手動に切り替えれば問題ないやろ? 壊れるまで使い続けなさいな』とか言ったらしい。


 島津製作所の一時間の診断で三万円、油関連の修理だったら数十万もするけれど、大本がぶっ壊れたら数百万、下手したら四ケタ万円の損害になる。なぜ目先の小金を大事にして大金を失うような馬鹿な真似をさせるのか。


 とりあえず、うちの班には関係ないので再ゼミ用の資料作りを進める。順解析をゴリゴリとすすめ、圧力分布の図や【検閲済み】の振動形状なんかを出しておいた。


 あと、青松が昨日に引き続きパソコンのセットアップを行ってくれた。なんでもあいつ、以前自作パソコンを組んだ(見ていただけとも言ってたけど)ことがあるらしい。細々として面倒なアップデートを全部やってくれたので本当に助かった。


 『まだ調子悪くてクソみたいな状況だ』ってあいつは言ってたけど、今度なにかお礼をしようと思う。ベーキングパウダーでも贈ればいいだろうか。


 午後になってサーボパルサーに動きがあった。こもりんから『どこがぶっ壊れたのかちゃんと検証しろ』と言われたらしく、試しにもう一度動かしてみたら普通に動いてしまったらしい。


 『もうぶっ壊れてんだから実験しなくてよくね?』という空気が蔓延していたHSP班の連中がこぞって残念そうな顔をする。しかも、ヘタに動いてしまったってことは、このまま修理もメンテもせずに使わなくちゃいけないってことを意味する。ある意味最悪の状況。


 大丈夫なら大丈夫、ぶっ壊れるなら完璧にぶっ壊れてくれないといろいろ面倒だ。いつぶっ壊れてもおかしくない状況で使い続けなきゃいけないとか、理系としてどうなんだろうか。


 なんだかんだで午後はゼミ資料を作って終わった。明日南郷さんに見せ、衣笠先生に最終確認を取ろうと思う。まぁ、ダメと言われてもあれ以上載せられることなんてないんだけど。さっさと試験片が来てほしいものだ。


 夕方ごろ、スクリーンセーバーとして写真のスライドショーを設定したらなぜか盛り上がりちょっとした上映会(?)が始まった。三枚に一枚の割合で水瀬が登場するのが限りなく怖い。


 今週はツいてないのか、いろんなものが壊れたりトラブルにあったりしている。月曜日は電気ケトルのランプ、火曜日はパソコン、水曜日はサーボパルサー。明日木曜日は何が壊れるのか、幾許かの期待と不安が隠せない。


 もしかしたら【検閲済み】研は本当に呪われているのかもしれない。月曜日の謎の水たまりも結局原因不明だし、こうも立て続けにトラブルに見舞われることってあり得るのだろうか? うちの班はもともとトラブルばかりだったけど……まさか、うちの班の呪いが拡大して広まったのだろうか?


 なお、柳下はここのところ毎日忘れずに仕事をしている。そして、ここのところずっと雨が降り続いている。


 どうせ明日も雨だろう。洗濯物的に考えて、そろそろサボらせたほうがいいかもしれない。

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