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7月6日 鬱ゼミ

7月6日


 後述する諸事情により、二日後にこの日記を書いている。一応メモは取っていたので、要点だけかいつまんで記録しようと思う。


 研究室への到着は0800過ぎ。ゼミがあるからなんとなく早く来たわけだけれども、ゼミでもない羽鳥&柳下がすでに到着していた。羽鳥に至っては0700前からいたらしい。


 なぜにそんなに早いのかと聞いてみると、今日はなでしこのサッカーの決勝戦だったことが発覚。ちょうど始まったばかりらしく、その盛り上がりもいいかんじ……だと思ったら、めちゃくちゃみんな嘆いていた。


 なんと、まさかの開始十五分もしないうちに四点失点という負け戦。すでにお通夜モード。前半の間になんとか一点取り返すも、後半にまた一点入れられた。おまけに澤がレッドカードぎりぎりのプレーをしたらしい。


 三人でそれなりに盛り上がって観戦したものの、最終的に5─2で負ける。『これもうゼミで出なくてよくね?』って奇妙なハイテンション。しかし、現実はむなしくその直後にゼミ。あと、柳下が麻生さんのことを『麻生ちゃん』って言い間違っていた。


 先輩にちゃん付けとかあいつマジすげえ。あと、関係ないけど朝方研究室に謎の水たまりがあったらしい。羽鳥が有力な容疑者だけど、『来た時からあった』との弁明。結局真相はわからず。


 院生ゼミは播磨さん。【検閲済み】班の人数が多いのでわざわざ一号館まで行く。しかし、肝心の【検閲済み】班が世良さんと佐伯しかいない。どうなってんだろうか。


 内容は片振り疲労試験のなんとかってやつ。正直よくわからん。こもりん曰くあまりよくなり論文だそうで、若干炎上気味。まぁ、ある意味ではいつも通りだといえなくもない。これがいつも通りってのも悲しくなってくるけど。


 その後は授業。材力特論は相変わらず。件の課題の発表場所を決めるとき、柳下とエネ科の希望が被ったんだけど、あいつはうまく言葉巧みにそのセクションの面倒くささを植え付けて権利を勝ち取っていた。ブラックの二つ名は伊達じゃないとしみじみと感じる。


 複合材料の力学特論もほぼいつも通り。写すのにすごく時間がかかる。ふと思い立ったので羽鳥の筆跡を真似してノートをとる。『応力』という単語だけはそれなりに真似られたけど他はいまいち。


 授業後に直接羽鳥に確認してもらったら、『俺の字は凡人には過ぎたるものだ』と名言を言ってくれた。


 そして悲しいことに課題も出る。今回は調べもの。『ウィキペディアに載っていないので頑張ってください』って衣笠先生が言ってた。さすがにウィキペディアだけをまるまる信用する理系学生はいないと思うけど。昨今はそうでもないのだろうか。


 授業の後はメインディッシュであるゼミ。こもりんの前置きが相変わらず長い。そして書記を務めることに。


 発表者は山岸、真島さん&稲垣、イケニエにされた大北くんの三組。山岸は治具つくりで実験はしていなかったらしいけど、二十分もかからず平穏に終わる。こもりんの山岸に対する優しさがよくわからん。


 このまま一時間コースで終わるかと思ったら、真島さんところが炎上。チョークという名の地獄への片道切符を持たされた。これもうどうしようもねえな。


 しかも、最後の最後で再炎上。青松の『減速度線図ってなんですか?』という質問に二人ともまともに答えられず。後になって、『俺もよくわからんってのが正直な俺の答えだった』と稲垣が語っていた。


 そしてラストの大北くん。まさかの新記録でなんと十分を切った。マジで質問がなくてすごく平和。彼のああいうところがめちゃくちゃうらやましい。いったい何がどうしてああなるのだろうか。


 ゼミの最後にこもりんが鬱病について語る。やっぱりそれなりに問題になっているらしく、よくわからん説法的なのを延々とされた。『うちは飲み会とか旅行とかあるし、鬱とかはあまりないと思うけど……』とか言ってたけど、考え方がすごく前時代的すぎる。鬱の奴はそういうイベントこそが辛いっていうのに。


 しかも、『鬱病のやつは今ここで手を挙げて』とか言い出す始末。物事の本質をまるで理解していない。いや、理解していたらそもそもこんなことなど言い出さないか。


 あと、『M0はみんな元気がない。研究を楽しくやってれば鬱になんてならない。私のころは研究報告会が楽しみで楽しみでしょうがなかった。なのにおまえは居眠りするし』と謂れのない誹謗を受ける。ちゃんと目は開いていたでしょうと厳重に抗議したけど、果たして伝わったのだろうか。


 どうでもいいけど、ゼミ中に柳下が南郷さんとおしゃべりしていたのをこもりんが目ざとく見つけていた。書いてて思ったけど、本当にどうでもよかった。


 だいたいこんなもんだろう。電気ケトルのランプがイカれて点かなくなっているけど、機能に問題はない。あと、研究の方は特に進捗なし。


 まさか翌日にあんな目に会うなんて、このときの私は想像すらしなかった。

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