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7月2日 懐かしき再会

7月2日


桑名が研究室に来た。中学振りでかなり久しぶりだったな。まさか同じ学校だったとは。なんでも水瀬のサークルでの知り合いとかなんとか。向こうはアレ吹いてるのに気づいてたらしいから声かけてくれればよかったのに……

桑名の話によると明海が学校やめていた。まず同じ学校だと知らなかった。知っていればやめる前に一度あっておきたかったと思う。明海も桑名と同じ学科で同じサークルだったとのこと。

平川が料理人になってた。今度店の名前でも聞いて行ってみるか。

東方はすごい。うん。尊敬するわ。

内藤はルービック。

福田はカードマジックやな。


材料の見積もりがなんとかなってほんとに良かったと思う。銀さんありがとうございます。しかし長い戦いだったな。みんながあんなに苦戦していたのがよくわかる。


そういえば、衣笠先生の機嫌がすごい良かった。就活の本を見て、「俺には常識ないからわからない」と言っていたが、どこぞのパンドラの箱よりかはよっぽど常識あると思う。(ボルト、現校長、水瀬の父)やはり結婚が決まると毎日幸せなのかな……俺も早く結婚してぇ。


珍しく稲垣が9時頃に来て試験片を作っていた。渋々早く来たとか。でも楽しそうにカーペットの方で試験片作ってたからよかった。


朝からリ●ルノア。たまんねぇ。もう毎日の日課になっている。朝から要請がどんどん来ると羽鳥が言っていたがなんだかんだまんざらでもない感じで混ざる。とにかく柳下のレベルの上がり具合は異常だと思う。


青松ガチ歯医者。治したけど知覚過敏やらで「歯がクラッシュオブク●ン」とこもりんのようにわけのわからないことを言っていた。ちなみに知覚過敏はアイス食べるとしみて痛いからこれからの季節はつらいと思う。


大北君が5時ごろ研究室に来た。珍しすぎて明日は雨だなと思ったけどほんとに雨降っている。


城木、マラソン、キリスト、コスプレ

マラソンのコツ!!!!

「後はお願いします(-_-)/~~~ピシー!ピシー!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 水瀬が日記のメモだけ取ってくれた。波線から上の部分が水瀬の文章だ。見れば一発でわかると思うけど、念のため記録しておく。


 研究室への到着はだいたい0900くらいだった。雨がぽつぽつと傘は要らない程度に振っている。梅雨のじめじめした空気のせいで研究室が酷く蒸し暑い。趣深いと前向きに考えようとしたが、やっぱクソ暑いだけだ。


 さて、朝のグダグダした時間に水瀬が意外な奴を連れてきた。どこかで見覚えのある顔だと思ったら、なんと中学の男の方の桑名だった。何とも恐ろしいことに、あいつもこの大学に入学していたらしい。今明かされる衝撃の新事実に驚きを隠せない。


 どうやら向こうはこっちを確信に至らぬまでも認識していたらしく(【検閲済み】を吹いているところを何度か見たけど、顔とキャラがだいぶ変わってたから自信がなかったとのこと)、せっかくだからと同じサークルである水瀬に頼んで確認しに来たらしい。まさかこの部屋で姐さんと呼ばれる日が来るとは思わなかった。


 実に七年ぶりの再会。思い出話に花が咲く。衝撃とは立て続けに来るものらしく、明海までもがこの学校に入学したという話を聞く。あのメンツのうちの三人が意図せずに同じ学校とか、なにやら作為的なものすら感じる。


 が、明海は【検閲済み】に入って一年くらいで鬱病で辞めたらしい。あの明海が。メンタルはそこまで弱そうじゃなかったのに。むしろ明るいタイプで……書いてて思ったけど、これって『あの人が鬱になるなんて思わなかった』ってやつの典型じゃね?


 ともかく、辞めた後はどこかの専門学校に入学したらしい。どんな形であれ、元気にやっていることを願わずにいられない。いずれ生きている間に話くらいはしたいものだ。


 話は巡って平川についても触れられる。あいつは料理人に弟子入りしたそうな。意外といえば意外。てっきり普通の大学生活を送っているものだと思ったんだけど。人の人生ってやっぱり面白い。ほかの連中の人生もぜひとも聞いてみたい。


 そこから東方、内藤、福田の話に。東方は相変わらずマジシャンで、成人式の時もみんなの前で披露していたらしい。内藤と福田はろくな情報がなかったけど、少なくとも内藤は元気にやっていることが確認されている。福田は……心配であるが、まぁ大丈夫だろう。あいつのカードマジックはずば抜けているし。内藤はルービックキューブがすごかったし。


 桑名は高校に入ってから少しだけトランプタワーをやっていたらしい。超ドヤ顔で自慢してきたのでその希望を粉々に打ち砕いてやった。秘蔵フォルダのトランプタワーを開放し、とくと見せつける。高さ、精度、効率、クオリティと全てにおいて完全勝利。


 私の中学時代しか知らない桑名は目をひんむいて驚いていた。【検閲済み】も相当似合っていなかったからこそ声をかけられなかったのだろう。【検閲済み】もしていると話した時は、『お前何しに学校来てるんだ?』と言われてしまった。残念ながらどれも高校時代に覚えたものだ。


 さて、その後は普通に先行履修の材料強度学特論に出る。城木先生は【検閲済み】の天候について心配していた。ついでに実行委員会の対応にも不満を言っていた。


 しかも城木先生、テレビでよくやってる国際マラソン? にも出場しているらしい。十字架を背負い、上半身裸、ほぼ裸足でキリストのコスプレをしている人について教えてくれた。なんでもバーで働いている人らしく、そんな格好をしてなおそれなりにすごいタイムをたたき出すとか出さないとか。いずれにせよ、そんな恰好で走りきるなんて生半可な努力じゃできないと思う。


 また、マラソンのコツと醍醐味についても教えてくれる。こっそり教えてくれたそれは、『運動着はぴっちりしたものが多いから、女性参加者の尻を見て楽しめる!』というものだった。近くでじっくり見ようと自然と足が動いて気力がわくし、合法的? だから不振がられることもない。まさにwin-winなのだとか。


 で、追い抜くときは一抹の寂しさと悲しさを感じつつ、すぐさま次の尻を追いかけるのだとか。いい形のものが見られたら超うれしくてやる気Maxとも。いろんな意味で尊敬できる人だと思う。発言がアレなのに全然セクハラっぽくないのがすごい。


 午後に銀さんが来たので見積もりの件を頼む。なんだかんだで連絡待ちだけど、連絡は未だ来ない。しょうがないのでトルクレンチのソケットの方を調べてもらった。が、肝心の発注が代引きか銀行振り込み、そして送料がかかるものしかなかったとの答え。こもりんの面倒くさい説教を幻聴する。


 結局、遅くに戻ってきた衣笠先生に以前のトルクレンチを買った場所を教えてもらう。【検閲済み】さんのホンダさんに頼めばいいということに。聞いたことのない名前だと思ったら、灯台下暗しでまさにこのパソコンの前に名刺が貼ってあった。何関連の名刺なのかメモがほしかった。


 午後の遅い時間、ゼミを強制的にずらされてしまった大北くんが資料を印刷しに訪ねてきた。軽くあいさつしなるたけフレンドリーに二言三言言葉を交わすも、特に目立った反応はなし。小さく相槌を打つくらいはしてくれるけど、マジで最初の挨拶くらいしか言葉を発してくれなかった。


 いつになったら心を開いてくれるのだろうか。別に特に嫌われることとかした覚えないのに。うまく馴染めているのか非常に不安。ほかの人としゃべっているところも見たことないし。何気ない日常会話は無理でも、こういう時くらいちゃんと喋ってもらえるようになったらなぁ。


 そうそう、柳下、羽鳥は例の課題に取り組んでいた。クソ長い行列式に思わず辟易する。レポート用紙を五枚くらい横につなげても書ききれそうにない。3*16の行列ってだけでも厄介なのに、一コマあたりの項が十数個以上っていう明らかにデンジャラスな感じ。もうどうにでもなーれ。


 とりあえずはこんなものだろう。柳下はきちんと仕事をやっていた。リト●ノアもめちゃくちゃやりこんでいた。どうせ明日も雨だろうと思ったらマジで土砂降り。逆テルテル坊主の称号を贈ろうと思う。


 細かい日常は水瀬の記述を見ておくこと。翌日の日記で改めて書くけど、あいつは文法をまるで理解していない。字下げと三転リーダくらいはきちんと使ってほしいものだ。

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