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2月9日 プログテストとトランプタワー

2月9日


 非常に眠い。家に帰ったのが2330頃で、夕飯食って風呂入ってなんやかんやして床について寝つけたのが0200近く。起床が0500だから、実質三時間前後しか眠れていない。ついでにやっぱり悪夢を見た気がする。全く、面白くなってきやがった。


 研究室に到着したのはおおよそ0830ごろ。今日は卒論概要集のとりまとめのため、早めに来いってことになってたんだよね。少し早すぎた気がしないでもないけど、まあ遅いよりかはマシだろう。


 しかしながら、非常に残念な出来事も。朝、隧道へと至る道をチャリで必死こいて走っていたところ、猫の轢死体を発見してしまう。頭部を除いた全身が不自然にぺしゃんこで、白と茶色の毛並みの半分近くが血で赤く染まってしまっていた。


 その瞬間でそのまま止まってしまったかのように顔は驚愕の表情を形作っており、その中で開き切った濁った瞳だけが不自然に浮いていた。


 別に始めて見たってわけじゃないけれど、何度見ても見慣れることはない。帰りには無くなっていたから、きっと誰かが保健所か市役所にでも連絡したのだろう。


 思えば、最近妙に禽獣の死体を見ることが多いような気がする。ネズミの死体、モグラの死体、カラスの死体……レパートリーも結構豊富だ。こないだは網戸に百舌鳥のミイラ化した足が挟まっていた。中型以上の哺乳類の死体はなんだかんだでショックもでかい。


 いつだったかどこかで見た殺しのラインについての話を思い出す。たしか、生物学的、および精神的に自分に近いものほど殺しにくくなるのだとか。自殺する人は、自分が自分でないという最も自分からかけ離れたものになったからこそ、自分という本来は最も自分に近い存在を殺すことが出来るのだとか。


 研究室に到着した後はひたすらにボーっとする。というのも、昨日の段階でやるべきことはほぼ終わってしまったためだ。今日のイベントと言えば朝に仮配生の概要集の製本があるくらいで、あとはクソ面倒なプログテストくらいしかない。


 『プログ』って打って一発で変換すると『プロ具』になる。こんなところでさえ私の神経を逆撫でしてくるとか、どこまでこいつは人をイラつかせれば気が済むのだろうか。


 で、仮配の概要集の製本の後は前日の指示に沿って適当にスライドを修正し、仮配生に引き渡す。金曜日に学部生、院生のチェックを行い、週明け月曜日だか火曜日の午後の二番目に小森先生チェックをするってことになった。


 ぶっちゃけもうあまり知ったこっちゃない案件ではある。どうせ卒研生のスライドとさしてかわらぬのだ。これ以上どうしろというのだろう。


 そうそう、羽鳥と水瀬が卒研生の概要集を印刷していたんだけど、失敗しまくってミスプリントを百枚単位で量産していた。あいつらにも環境テロリストの称号を贈るべきだろうか。しかも、両面印刷だから裏紙にも使えないっていうね。


 あと、なんか羽鳥がプリンターを壊したぽかった。なんかプリンターがめっちゃガタガタいってたのを覚えている。あいつホントマジでやんちゃだと思う。


 午後はプログ試験を受けることに。柳下と羽鳥に唆されたため、ちょっと早めに教室に行ってトランプタワーを立てることにした。ある意味当然だけど、教室にはまだ係の人しかいない。


 で、なんやかんやと進めていたら【検閲済み】研を中心とした懐かしいメンツが続々とやってきた。いつのまにやら囲まれてしまう。ちょう怖い。


 なんだかんだでトランプタワーは完成する。ワンセットから一枚無くなった合計五十三枚の作品。高さは八段のいつものあの形。この言葉の意味を、その本質を、その素晴らしさを、この文章だけで気づけるのはどれくらいいるのだろうか。


 残念ながら真の姿になる前に崩れてしまったけど、大いに注目を浴びることはできただろう。言い出しっぺの羽鳥はそれを見た瞬間に腹を抱えて笑っていた。


 やっぱりテストの試験会場でトランプタワーを立てるのって最高にクールだよね。ヒソカさんもハンター試験会場で作っていたし。私もセンター試験会場でやればよかったと今でも思っている。


 試験内容は相変わらずクソだった。正直やる意義を見出せない。普通にやるのも面倒だし、ぶっちゃけ退屈だったので、今回は普段の自分が絶対に選ばないような回答ばかりを選んでみた。きっと性格診断はとても面白い結果が返ってくることだろう。


 というか、あの性格診断テストって同じ内容の質問が三回は出てくるよね。最後の大問だって毎回同じだし、やる気あるのだろうか? お金をとって試験をするのだから、問題くらい新しくしたっていいだろうに。少なくとも一年の時からわけわからんマーケティングに関する大問が続いているから、四年間変わっていないってことになる。


 だいたいこんなもんだろう。プログの後は研究室に戻ってダラける。途中、衣笠先生が学部生室にやってきて放置されていた学内実態調査アンケートをニコニコしながら眺めていた。


 いくつかぶっ飛んだ内容のものを見て笑っていたけど、あのアンケートは一体だれが書いたのだろうか。


『志望理由で「なんとなく」に○をつけたのはさすがにいないよな?』って言われたけど、あの時私のアンケートを見られなくて本当に良かったと思う。


 一気に二日分の日記を書いてしまった。さっさと帰ろう。今、隣で日記を書いているのを見ていた八柳に『今日の分も書こうよ。日記はその日のうちに書くから日記なんだぞ』って言われてしまった。


 バナナの件があるから書くのに時間がかかるのだ。決して面倒くさいのではなく、より高いクオリティを目指すが故ということを理解してほしい。


 奇跡的にまだ五時過ぎだ。卒研の時期の理系とは思えないほど平和でダラけた日常が続いている。こんな日々がいつまでも続けばいいのに。


 あと、なんか最近、首の根元に桜の花びら程度の大きさの痣っぽいのができた。心当たりはまるでなし。触るとカサカサしている。でも触っても感覚がない。夏のしこりときといい、首周りに問題を抱えることが多い気がする。何事もないといいんだけど。

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