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1月20日 マニュアルオートマチョコレート焼きそば折り紙幼稚園

1月20日


 寒い。寒すぎる。お部屋の中でも息が真っ白。


 研究室に到着したのはいつもと同じくらい。最近この『いつもと同じ』が0930前後になっているけど気にしない。どうせそれでなおほぼ一番なのだから。


 到着後はやっぱり概要集について進めていく。ここ数日何度も同じことをやっているから詳しくは書かないけど、やっぱり書いては出しての繰り返し。正直詳しく書く気すらない。


 そうそう、今日は柳下がいなかった。なんでも、昨日そのまま南郷さんたちと泊りがけで麻雀して、朝方帰って行ったらしい。あいつマジブラックだと思う。


 あと、お昼の時間に青松が【チョコレート焼きそば】なるものを食べていた。これ、普通の焼きそばに使われるマヨネーズをチョコレートに変えたという代物。なぜ青松がそのチョイスをしたのかいまいちわからない。


 ちなみに、八柳いわく『もちもちチョコブレッドみたいな味』とのこと。青松は『まずくはないけどただただ不快』って言ってた。甘い匂いはするものの味はとことん微妙だそうだ。


 なお、麻生さんも全く同じものを買ったらしい。『ちょっと先食べてみてよ』って青松に言っていた。こないだのショートケーキのポテトチップスといい、どうやら麻生さんはこの手の奇抜なものを好むようだ。


 お昼頃、一通のメールが携帯に届いた。以下、原文をそのまま示す。


────────────────────────

卒研生四年の山岸です。


タイトルは

【検閲済み】の【検閲済み】に関する研究

です。


宜しくお願いします。

────────────────────────


 見ての通り、山岸が衣笠先生のメールに返信する形で卒研生全員に返信してしまったらしい。研究室の中に笑いの渦が巻き起こる。山岸は『俺じゃなくてアイフォンがクソなのがいけない』って言っていた。


 ちなみに、その直後に『全員に送っちゃったね(笑)』と休んでいる柳下が神速でラインで煽ってきた。あいつマジブラックだ。


 おやつの時間ごろ、山岸とオートマ、マニュアルについて大論争を繰り広げる。あいつのオートマに対するディスリスペクト具合は凄まじく、それに私が反論してマニュアルがいかに不便で危険か、オートマはいかに便利で安全なのかを説いた。


 なお、その場にいた限りでは羽鳥、山岸、井浦がマニュアル信者で、オートマなのは私だけ。三対一という劣勢の中、あれほど冷静で合理的、かつ論理的に主張できたのはなかなかすごいことだと思う。


 最終的に、山岸は『オートマはどうでもいいがオートマ限定の人間は劣っていることが証明された』という結論に持って行った。新たなる戦争の予感を感じずにいられない。『日記にマニュアルの勝ちって書いておいて』って言われたけどあえて書かないことにする。


 柳下だってオートマなのだ。車に求めるのはロマンではなく実利性なのである。


 しかしまあ、今日はみんな暇だったらしく、グダグダ感が凄まじかった。銀さんや羽鳥は例の折り紙に熱中し、ピカ●ュウとかいろんなものを作り上げていた。さすがというべきか、銀さんはネットで折り方を調べ、ハートのスタンドだとかサングラス、さらにはここには書けない問題作となりうるアレンジ品も作っていた。


 しかも、そのあとはなぜか研究室のみんなでひらがなの書き順クイズや漢字問題、ちょっとしたクイズなんかに熱中し始める。


 『幼稚園じゃねえか!』って誰かが言っていたけど、マジでその通りの光景だった。とても卒論に追われる理系の研究室の光景には思えない。


 なお、羽鳥はためらいもなく金銀の折り紙を使って手裏剣を作っていた。しかもこないだもらった【検閲済み】の本を的にして遊びだす始末。あいつマジやんちゃじゃね? 


 ちょっと内容にまとまりがないがこんなもんだろう。夕方の遅くにようやっと衣笠先生を突破できたのが幸い。あとは小森先生が通れば終わり。ささっと通過できる……といいなぁ。


 概要集の片手間にみんなの様子をうかがっていただけに、細部にボヤがかかったように思い出せない。なんとも口惜しいと感じると同時に、自らの文才の無さを嘆く。めっちゃ面白くて楽しい状況だったってのだけはわかってもらえるとうれしい。

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